☆ NEBULA: SOLE SURVIVOR ☆

16/06/11 更新 目次          HOME
製作/販売 Bruno de Araujo        公式サイト      STEAM      INDIE DB
配布状況  2016/02/02にリリースされた Early Beta V1.0 (772MB) が最新バージョン。ダウンロードはこちらから

 更新頻度: これが初回リリース

 Steam Greenlightにエントリーして、既にGreenlitに到達している。

 Kickstarterは50%弱程度の達成率で未達に終わっている。現在はPatreonにて資金募集中。$5以上のバッカーにはEA版としてこのデモよりも新しいバージョンを配布するとあるがまだ行われていない様である。

概  要  制作者のBruno Gruber de Araujo氏は現在カナダ在住のブラジル人。サウンド等パートによっては他の人の援助を受けているが、基本的には一人で制作しているプロジェクトである。資金募集には失敗したが発売予定は2016/11で変更無し。現時点ではPCのみでの発売予定だが、Mac, Linux版についてはユーザーの反応を見て対応していくそうだ。


 時代は未来。人類は史上初の地球外の移住地として木星の衛星エウロパを選択し、その第一段階としてテラフォーミングを含めた様々な研究の為に施設を建設し多数の研究者を送り込んでいた(プロジェクト・ジュピター)。主人公Ivy Howlettはそれに携わるエンジニアの一人でCICADA Baseに勤務していた。しかし突如として基地はモンスターに襲われて崩壊。生き残ったメンバー達は宇宙船を使って脱出しようとするが、ここも既にも敵に襲われており飛行に失敗して墜落。意識を取り戻したIvyは、単身エウロパからの脱出方法を探さないとならなくなる。



動作環境  現時点では特に言及なし。ただし実行ファイルは64bit版のみなので64bit OSが必要

 初期状態ではウインドウ表示なので、Alt+Enterでの切り替えやコマンドラインパラメーターによる指定で解像度を設定したりする。

 動作そのものは安定していたが、最適化不足のようでグラフィックス設定を上げると重い。それと以下でも解説するがゲームプレイにおけるバグ(問題)が幾つか存在している。

BASICS  舞台となる“CICADA Biomass and Geology Ground Base”は全長数マイルに及ぶ人類史上最大の施設と設定されており、ゲームのストーリーの中心となる場所でもある。ちなみにCICADA(蝉・セミ)とはエウロパで発見された初の地球外生命体である昆虫のニックネームに由来しており、ここではその生態系の研究がメインに行われていた。

 オープンワールド方式を採用しており、ストーリー展開上プレイヤーはCICADAを離れて氷の大地表面や洞窟等の別の場所に探索に行ったりもするが、本筋とは別にそれを自由に行えるデザインとなっていて移動用のビークルも用意されている。プレイの自由度は高いそうだが、ストーリーの進行にも影響が出るのかまでは判らない。


 システム的にどれだけ複雑なのかは不明だがクラフティング要素を含むとある。それに関連して自由探索による各種アップグレードの進行強化が重要視されている。発見した様々なアイテムを使って新たなアイテムを作り出す, 改造キットを数多く見付け出してアップグレードを早く進行させる, 制作したアイテムで新たな探索エリアをアンロックする、といった風になっている模様。

 ローカルCo-opの搭載を予定。これはキャンペーンシナリオでは無く、時間的に本編前に発生した最初の敵の来襲を扱ったCo-op専用の独立したシナリオとなる。


・キーアサイン不可, マウス感度設定不可, 明るさ調整不可, サウンドボリューム調整不可
・難易度設定無し
・ESCを押すと警告が出て、その間に再度押下すると終了する

*チェックポイントセーブ方式(ただしゲームを終了させた場合には保持されない)
*インベントリー画面は無し
*照準無し
*スプリント, 屈み(CTRL)可能。ジャンプは不可。代わりにスペースバー+方向キーでローリング動作。


 やや斜め後方位置からの見下ろし視点固定でカメラの垂直方向への角度調整は不可。障害物の陰になる位置ではキャラクターがハイライトされて描画される(敵も同様)。ダクトの様な場所を屈んで通る際は透過表示になる。なおプレイヤーが探索していないエリアを黒く塗り潰して上から見られない様にするといった設定にはなっていない。

 武器改造用のパーツ(スパナマーク)は敵を倒すと自動的に収集される他に、沢山入っているボックスを発見しても手に入る。これ等はシークレット的な場所に置かれていたりもする。武器はワークベンチで改造可能だが、そのI/FはWSとEキーでの操作。

 操作キーのガイドが無いという問題あり。とりあえず検証した範囲では、B=スクリーンショット撮影, Y=防寒着を着る?(このデモでは意味が無さそう), ALT=キャラクターを固定した状態でのカメラの回転操作。

 フラッシュライト(Fキー)は無限なのか不明(バッテリーやゲージは無し)。アクションにより自動的に切れたりする事あり。


GAMEPLAY  デモの分量は30分程度だろう(以下に記すが個人的にはトラブルに遭って2時間位掛かった)。レビューの内容は当然ながらこのプロトタイプについてだが、既にこのバージョンへのフィードバックから幾つかの要素が修正されており、その辺は解る範囲で追記しておく。


 まずはマップ内探索について。現在の目標を参照する機能は無いが、とりあえずスイッチ類を動作させていけば進める感じで問題は無い。パズル要素は一部在るが特に難しくはないという印象。マップ機能は持っておらず、終盤にはややルートが解り辛い部分は出て来るが迷い易いという程では無いだろう。ただし視点の上下角度を変えられない為に、複雑な構造の場所ではどこを通れるのかが判断し難いというのはある。FPS/TPS視点への切り替えを可能にしてしまうと別ゲームになってしまうのでそれは無しだろうし、ゲーム内のオブジェクトがポリゴンでは無く固定されたグラフィックス(背景画)として描かれているのならば視点切り替えは不可能という話でもある。

 施設内のデザイン, 雰囲気, 作り込みのクオリティは良い出来栄えで、このデモにおいて最も優れている点と言える。個人的にはShadowgrounds(2006)を連想してしまったが、それの高解像度版といった感じ。デモには含まれていないがアウトドアエリアなども映像を視る限りでは同様にクオリティが高そうであり期待出来る。


 戦闘関連は大雑把でありあまり面白味は無い。構えも照準も無く、敵の方に自分の体を向けて撃つだけである。つまりオートエイムで命中率は武器の改造性能によるというシステム。弾薬は無限でリロードのタイミングに気を付けるのみ。他の戦略性としては弾薬を通常弾と電撃弾への切り替え程度。ローリングによる回避は特に使うほどでも無いし、ローリングするとその方向を向いた状態で立ち上がるので扱い辛いという面も感じられた(逃げるには適していると言えるが)。[修正] これはオートエイムを廃止し、照準を合わせて攻撃するというシステムに変更されている。

 ヘルスの治療は回復機の様な場所に戻ってくれば無限に可能。ただし敵も一般通路に無限沸きなので絶対に安全では無いし、ひたすらそこへと戻るのが得策では無いという面も持っている。[修正] メディキットを携帯可能というシステムを導入済み。


 セーブシステムには二つの意味で問題あり。先に仕様からだが、チェックポイントに設定されている場所を通るとセーブされるが、これはその場所を通れば何回でも繰り返しセーブが可能。そして復活する際にはセーブされた時のステータスでは無く、ヘルスがフルの状態で何回でも復帰出来る上に、その際に周囲の状況は死亡前の状態が維持されるという仕様。プレイ済みの方にはBioshockにおけるVita Chamberと同じと言えば解り易いと思うが、あちらは後に自由にオンオフ可能に変更された位に問題視された件で、いわば与えたダメージ等の状況をそのままに幾らでも復活出来るのでゴリ押しが可能という欠点を持つ。実際にこのデモにおいてもラスボス戦前にチェックポイントが有り、よって(倒し方さえ解ればだが)実に楽にボスを倒す事が出来てしまう。 ここはさすがに改善が求められる所である。

 続いてはバグ、或いはシステムとしてまだ出来ていない為に承知の上で放置されているのかも知れない点。一箇所ディフェンスミッションが用意されており、ここでは装置をオンにしてから敵のラッシュが開始され、その間生き延びないとならない。そこでのルールとして「指定エリア内から5秒以上出てはいけない」という物が在るのだが、ここで死亡してしまうと、最後のチェックポイントに復活する → エリア外警告カウントダウンがリセットされない → 戻るのは間に合わないのでゲームオーバー → おそらく当該エリアにカメラが戻っている為と想像されるが、再度復活は出来るが画面は真っ暗で先に進めなくなる → 最初からやり直しとなってしまう。l


 別のバグ系の問題点を挙げておく。

・改造用のワークベンチ画面へのアクセス時に敵に襲われた場合、画面から抜けられなくなり死亡するしかない
・ゲームの最小化(作業切り替え)を行うとカメラ位置がロックされてしまい、敵の方を自由に向けなくなる為にゲーム進行が実質出来なくなる。ただこれはクリア後に使用可能キーをチェックした際に、ALTでリセット出来る事を発見した。
・アクションキーで掴んで動かすオブジェクトへの反応が、自分の位置を調整しないと上手く行かない事がある


 最後に自分のハマったバグらしき件について。先に書いたディフェンスミッションのエリアにて、あまりにも敵の攻撃が激しくてヘルスが持たずに連続して失敗(そして上記の様に最初からやり直しとなる)。「何か変じゃないか?」とシステム的に知らない操作とかが在るのではないかと疑って、幸いプレイ動画が何本も有ったので確認してみたところ、おかしな事にそれ等動画でのプレイは私の物よりも簡単であった。具体的にはエリア内に敵が侵入しているとバーの進行が黄色から赤へと変わって行って遅くなるのだが、その赤への変化が私のPCでは激しくて、それだけ達成までの守備時間が長くなっている。動画では中ボスがやって来た辺りでほぼ終わりなのだが、私のPCではそれが二回繰り返されるので二回目のボス来襲辺りでもう持たなくなるといった具合。

 画面確認してみても私とデモのバージョンは同じだし、再度ダウンロードして解凍し直したりPCを再起動してもダメ。結局最初からそこまでやり直して4回目に集団型の敵が階段にスタックして残り全部が通れなくなり運良く突破。だがラスボス戦前に上記の最小化時カメラバグが発生してまたもクリア出来ず。もうこれで良いかと考えて何となくプレイ動画を最初から見てみたところ、「なんかこのエリアだけじゃなくて全体的に簡単じゃないか?」という件に気が付く。しかし難易度設定などは用意されていない。そこで自分とプレイ動画との違いを考えてみたところ、まさかグラフィックスの設定?という点に思い至る。

 これは仮説だが、ゲームでの唯一の設定項目としてグラフィックスのクオリティ画面を呼び出せる。ここで4段階の設定を選んでEnterを押下するとそれに応じてFPS表示が変わったりするのだが、このグラフィックスの設定をLow, Medium, High, Ultraに変更すると、制作者側の何等かの設定ミスで、ゲームの難易度もそれに合わせて変化してしまうのではないだろうか。プレイ動画は何もせずに開始しているのでグラフィックス設定&難易度がMedium。私はその都度Ultraにしてプレイしていた為に難易度の方もUltraになっていたという推論。実際に何もせずにプレイ開始してみたらディフェンスミッションも動画と同じで苦労せずに突破。敵を倒した際のパーツ報酬も遥かに多く、そのまま大した苦労も無く最後まで行く事が出来た。

GRAPHICS
&
SOUND
 Unreal Engine 4を使用。グラフィックスはクオリティを4種類から選択可能。ライティングなどかなり綺麗な部類だがそれだけに重く、この辺は既にデモ版からパフォーマンス改善が図られているそうである。

 作者は本職がCGアーティストだけあって、マップ内の造形は細かく良く出来ている様に感じられた。なおUE4を選択したのはグラフィックスのクオリティでは無く、ブループリントと呼ばれるビジュアル的なスクリプトシステムがプログラミング系に強くない自分にとっては理想的な環境だった為だそうだ。


 まだ開発段階だからなのか音数自体が少ないという印象。3Dサウンドは一部に適用されている。

感  想  グラフィックスや雰囲気は優秀。しかし戦闘を含めたゲームのメカニックスには特筆すべき点は無く、且ついろいろとバグを含めた問題を抱えているという段階のデモ版である。しかしシステム面はこのデモのフィードバックを受けて改良しているそうだし、実際に改善されればかなり良い作品になりそうだという期待は持てる。



 現在の完成度: 発売時期のズレ込みは未だにアナウンスされていないので、既に7割方程度は出来ていると推測される。

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