☆ NOCT ☆

17/04/01 更新 目次          HOME
製作/販売 C3SK / Devolver Digital           公式サイト      STEAM      Indie DB
配布状況  2016/11/11にリリースされた Beta 0.19.3 が最新バージョン。

 更新頻度: 正確な回数は不明

 Kickstarterでは22,000カナダドルの目標に対し36,363カナダドルで達成。

 Greenlightを通過後に、2015/10から早期アクセスを開始している

 以前にプロトタイプはリリースされていたが、現在では公式サイトからも削除されてしまっている。ミラーを探せばまだ残っている可能性はあるが、このプロトタイプの削除はゲーム性がかなり変化したからというのもあると思われ、プレイしてもあまり参考にはならない可能性が高い。

 現在はSteamの早期アクセスで有料販売されているのみ。従ってプレイには購入が必要である。

概  要  カナダのChris Eskins氏のプロジェクト。サウンド以外は個人で作っている様だ。予定では2016/Q4には正式リリース予定だったが既に過ぎており、また予定の実装機能などを見ると正式リリースはまだ先になるのではないかという気がする。

 プラットフォームはWindows, Mac, Linux。


 私自身はこのゲームを昔から追っている訳では無いのだが、アップデート状況の履歴などを見るとかなりのカオスと言うのか、結構重要なシステム&ルールが途中で変更されたりしているし、それは今後の予定されているアップデートでも同様。良く受け止めるならば「ユーザーのリクエストに応えて方針を変更している」だが、悪く言うなら「当初の基本方針がブレまくっている」とも言える。従ってここで解説している内容も全てを逐一検証はしていない為に、現行バージョンでは合致しない項目が含まれている可能性がある点をお断りしておく。


 地球はどこから来たのかも知れない闇の勢力によって滅ぼされており、数少ない人間が生き残っているのみとなっていた。プレイヤーはこのNoct (Nocturnal)と呼ばれる世界の生き残りとなり、自らと地球を救う道を探さないとならない。

動作環境
  必要環境 推奨環境
OS Windows Vista -
CPU 2GHz -
MEMORY 2 GB -
VIDEO GeForce 6800GT with 256 MB
ATI X800 with 256 MB
-
SOUND DirectX 互換 同左

DirectX 9.0c以上要

BASICS  基本としては2Dのトップダウンシューターで、サバイバルホラー的な要素を含んでいる。マルチプレイも最初から導入されており、常設サーバーにて協力するも殺し合うも自由というサバイバルスタイルのモードが用意されている。

 発端としては作者がDayZの大ファンで友人達と一緒に楽しんでいたのだが、自分でもこういったマルチプレイのサバイバルゲームを作ってみたいと思い立つ。しかしこれまでには存在しない様なユニークな作品にしたいと考えて、同じくファンだったHotline Miamiと合体させる様な形にして友人に見せたところ好評だったので、資金を集めて本格的な制作に乗り出したという流れ。


 現在の概略だけ先に書いておくと、前には在ったシングルプレイキャンペーンは一時的に無くなっている。これは主人公と上空の通信衛星XMITが会話をしながら進めて行くというストーリー形式で、Waypointに従ってマップ内を進んで行くチュートリアルを兼ねた物となりオートセーブにも対応していた。ゲームへの導入部としては良い物だと思うのだが、今回やってみると全然違うゲームになっていて驚く。

 現行版ではいきなり説明もなく世界に放り出されて生き延びるという形式になり、5分間に一回発生するCataclysmicと呼ばれるイベントから逃れる為にバンカーを設置して地下に籠もらないとならない。そこで一日が過ぎるとセーブされるが、再び活動しても死ねば最初からというパーマデス方式で、一切の獲得したアイテム類は引き継がれない様になっている。


 今後のアップデートではインベントリー機能の実装が目玉となる。現在用意されていないインベントリー機能が追加される予定で、これによりバンカー内や他の場所の保存ボックスに多数のアイテム類を保管可能となり、その中身を別の保管庫へと転送も可能。更にアイテム種類が大量に増える事で、それ等を組み合わせて新しいアイテムを作成したり、武器の改造なども出来る様になる。

 このインベントリー機能の実装後にストーリーモードは復活予定。バンカーがポータルの様な働きをする様にもなり、そこから別のロケーションへとトラベル可能という風にされる。XMITとの会話システムも復活予定だが、完全に出来上がっているストーリーを体験するのでは無く、ある程度ランダム性を持ったミッションタイプの進行になるそうである。


 死亡の扱いについては最初からパーマデスでそれは変わらないが、他の同系ゲームの様に死亡するとリセットされて最初からだが、最終スコアに応じてポイントが得られてそれで初期装備をある程度は調えられるというシステムに変わる


 マルチプレイの方は殺し合いがメインだった設定から、協力し合うCo-op系を推奨する方向へと変わっている様子。サーバーは開発側の物と思われる常設サーバーが一つ在るが、プレイヤー自身で立てて公開したりフレンド同士でプレイしたりも出来る。なお過渡期というのもあるのだろうが、現時点ではほとんどプレイヤーは居ない。


・キーアサイン可○, マウス感度設定可○, 明るさ調整可○, サウンドボリューム調整可○
・難易度設定無し
・ボイス無しで台詞は全て文章表示


*トップダウン視点固定, FOV調整機能は無い
*インベントリー画面は無し
*スプリント○, ジャンプ×, 屈み×

 操作はマウスルック切り替えが可能。通常モードではマップ固定でキャラクターが回転するのを、マップ側が回転する様に切り替える。


GAMEPLAY  現在のバージョンにおける感想。なおマルチプレイは試していないので、どういう風にルールが変わるのかは良く解らない。

 基本の流れとしては、開始するとランダム生成のマップ内のどこかからスタート。上部にカウンターが有り5分間のカウントダウンが始まる。これは次のCataclysmic(激変, 地殻変動)イベントまでの残り時間を表し、それまでに地下へと退避しないと(インドアに居ても)死亡する。その為には近くの建物内に在る(はずの)バンカーキットを見付け、これをアウトドアで使用してバンカーを設置し、Useでオープンして中に入るという風にする。そのままでタイマーが切れると一日が終了し、翌日はまた外に出て武器や資源などを求めて探索に回る。ただしバンカーに帰って来ないと死んでしまうので、遠征する際には注意しないとならない。それとバンカー内に籠もる事は出来るが、食料などが調達出来なくなるから長くは持たない。

 死亡すると最初からで、それまでに集めていたアイテム類は何も継承されない。ゲーム設定上は頭上の衛星XMITが地上の生存者を観察しているという形になっており、リスタート時は新たな生存者を発見したので観察を開始するという風に続けられる。


 (モードに区別は無いが)Co-opとしてプレイしているなら、誰かの見付けたバンカーに皆で退避し、そこにアイテム類を貯めるという風にする。しかしオープンなサーバーでは殺し合いや奪い合いをしても構わないという設定なので、他者のバンカーに侵入して中の物を盗んでもOK。バンカー自体は設置者しか開けられないが、開けてから閉まるまでに時間が掛かるのでその間に入る事は可能。それとマルチプレイではサバイバーとして死んでもバンカーの中身はリセットされないそうだ(別のサバイバーとしてリスポーンし、マップ上で前のバンカーを発見出来れば中身は残っている)。


 最大の特徴とも言えるのがサーマルカメラによるトップダウンビューで、この白黒オンリーの描写方法は変更出来ないしカメラのズームイン/アウトも不可。FPSゲーマーにはCall of Duty: Modern WarfareシリーズにおけるAC-130からの地上攻撃ミッションでお馴染みだが、このゲームでは完全に真上からの2D描写なのと、全体がボヤけた感じに描写されるのであれほど鮮明では無い(リアルではかなり鮮明らしい)。

 そこでまずはこの画面調整が何よりも大事となる。4つのパラメーターで白黒の度合いを調整する仕組みになっているので、これで周囲の状況をなるべく見易い様に設定する。どうやった所でクッキリと識別出来るようにはならないと思われるが、出来るだけ設定を詰めておくのが非常な高難易度だけに重要である。設定中もポーズは掛からないし、敵が襲って来ない安全地帯は存在しないので死にまくるはずだが、最初の何回かは気にせずにこの調整に集中する事をお勧めする。(この頁のSSの見え方は各人のモニターの設定に関係する為、人によってはとても見え辛いかも知れない)。

 中に入れる建物の壁と壊れている壁とは微妙に色合いが異なるのでそれを判別可能に。また建物のドアは真っ黒なので、その位置も確認出来る様にする。上空マップに切り替えた際に周囲をなるべく確認出来るようにもしないとならないので調整は大変である。なお画面はTABキーで白黒反転状態にする事も可能なので、こちらの方が見易いと思うのならばこちら基準で調整してもOK。

 他には画面全体をスクエア表示設定にも出来る。ワイド画面にするとHUDが4隅に拡がってしまう為、こちらの方が見易いのならばそうしても良い。


 難易度は非常に高い。ローグライク(パーマデス)では普通とも言えるが、大した時間も持たずにすぐ死んでしまうのを繰り返し、「これバランスがおかしいんじゃないか?」と疑い始めた頃から徐々に生き延びられる時間が増えてくるという感じ。それでも以前よりは易しくなっているそうだ(以前は一撃死だったのが、現在ではヒットポイント制になっている)。

 敵との戦闘には武器が用意されているが、弾薬が相当に少ないので撃ちまくるのは無理。打撃武器として板?らしき物を持っており、これは巨大な敵を弾き飛ばす位に威力が高いので、これで対処出来る敵は危険を冒してでもそうしないと強い敵に遭遇した際に弾薬が足りなくなる。

・リロードはマガジンごと捨ててしまう為に迂闊には行えない
・武器はピストルとメイン武器の2丁しか携帯出来ない
・メディキットは携帯出来ない(場所を憶えておいて戻ってくるしかない)
・設定画面を呼び出したりマップ参照中でもポーズは掛からない
・インドアでも敵は追跡してやって来るのでバンカー以外に安全地帯は無い。そしてバンカー内に居ても何も出来ない。
・スプリントは一定時間のみ。そして水を消費するので無くなると出来なくなる。
・ダメージを負うと移動速度が遅くなってより危険となる


 ステルスや走って逃げての戦闘回避も重要。「uh oh」というセリフが表示されたら、それは操作しているキャラクターが敵を発見したという意味になるので周囲を観察。ジグザグに走る事でまける敵もいるし、壁等の障害物に隠れてやり過ごす事も出来る。ただし上空からのカメラ視点だが、「ゲーム内のキャラクターから見えない場所に居る敵は見えない(画面内に表示されない)」という仕様なので、インドアに籠もっての待機はむしろ危険だったりもするので注意。敵はこちらの足跡を追跡してきたり、他の敵の死骸に寄って来たりもする。中には熱を検知するタイプも居るそうで、それだとどうやって逃げるのか不明。そして巨大モンスターは壁自体を破壊する能力を持つ。


 私が面白い、優れていると感心したのはその奇妙なゲーム内世界の表現方法である。視界はSSでも解る通りにボヤけていてハッキリしないし、2Dなのでリアルでも無い。ちなみに戦闘中も武器の効果音(純粋な銃器の発射音とはちょっと異なる)がするだけで、後はBGMが淡々と流れているだけ。そして地上のキャラクターを動かしているのはプレイヤーだが、それを見ているのは上空のXMITという特殊な設定である。つまりゲーム内の世界は当然リアルでは無いが、トップダウン視点(三人称)のゲームをプレイしている最中にはカメラの(神)視点と自分の操作が連動しているから、ある意味では仮想的な一つの世界を形成し体験している。ところがNoctではサーマルカメラが上空から自分の動きを追尾しているという設定であり、またサーマルカメラだけに自分の視点だとは感覚的に捉えにくいという面もあって、ゲーム内世界と操作している自分が乖離しているかの様な奇妙な感覚を覚える。

 地上ではモンスターとの戦闘が繰り広げられているが、サーマルカメラなのでその状況はあまりハッキリとは見えてこない。戦闘が行われて人が死んだりしているにも関わらず、それがあまりにもリアルでは無い映像なのでそういう事が起こっているとはピンとこない。あるいは人間の何倍もある様な怪物が襲ってきているのに、映像上は別に怖く見えないから現実感が無いという状況。実際にはリアルなのに感覚的にはリアルでは無い不気味さとでも言うのか、白黒の無機質な世界でのサバイバルを遥か遠くからボンヤリと傍観しているこの奇妙な感覚こそが、Noctにおける“ホラー”の表現方法となっている。例えば戦争においてレーダーのみで捉えられているターゲットを攻撃して破壊した場合、それはレーダーから消えるだけだが実際には多数の死者が出ていたりもする。だがレーダーだけを見ているこちら側からは単なる記号が消えただけという現実感の無さ。そのギャップから生じる奇妙な恐怖感と同様。

 なんかこれに似たゲームが在ったなと考えてみるとDuskersが思い当たった。ゲーム性は異なるが「自分が操作しているにも関わらず、実際にはその場で何が起きているのかがハッキリとは解らない恐怖感」という点では共通している。


 その他の感想や疑問としては、

・アイテム類の種類が少ない
・携帯可能なアイテムが少ない。インベントリーも無い(これらは次期アップデートにて改善予定)。
・箱をサーチ後にアイテムが出た時に表示が重なって見え辛い
・HUDのパラメーターに意味合いが良く解らない項目在り
・食料の影響がハッキリしない

GRAPHICS
&
SOUND
 Unity 4を使用。クオリティの調整は出来ない。グラフィックスについてはわざとボヤかしているので綺麗さの評価というのは困難。


 ボイスは無し。武器らしきサウンドがあるだけ。BGMはWordclockによるダークなアンビエントサウンド。それとNine Inch NailsのギタリストRobin Finckも楽曲を提供している。

感  想  まだかなり原始的な造りというのが正直な感想。更新が止まっている訳では無く改善中だが、もし最初から購入していたら進展が遅いと感じるのではないか。ただ次回以降のアップデートに面白くなりそうな予感があるので、それが早期にリリース出来れば盛り上がりにも期待出来るだろう。マルチプレイ(Co-op)もやってみたいタイトルである。

 現状ではシングルプレイキャンペーンがカットされてしまっている上に、フレンド同士でもないとマルチプレイにも人が居ない為に、高難易度でパーマデスの死にゲーが好きと言う方、もしくはサーマルカメラからの視点という奇妙な雰囲気を気に入ったという人以外にはお勧め出来ない。しばらくアップデートを待って大きくゲーム内容が改善されてから検討するという形で良いと思う。


 現在の完成度: 本来予定していた正式発売は過ぎているが、アップデート予定などを見るとまだ相当掛かりそうな感じで、開発側の考えている完成度が現状どの程度なのかは想像出来ない。

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