☆ THE OUTSIDER ☆

15/08/08 更新 目次          HOME
製作/販売 olblue       公式サイト      itch.io      STEAM
配布状況  2015/06/02にリリースされた Beta 9.0.4 (1.89GB) が最新バージョン。

 更新頻度: クローズドベータを含めて何回か更新されている。


 現時点でのゲームの配布形態については良く判らない面があるのでそこを説明。これまでのバージョンは無料配布(クローズドベータ版を含む)されていたのだが、現在の最新バージョン9.0.4はお金を支払わないとダウンロードが出来ないと有料化されている。しかしこのベータ版はチャプター1&2を含んだ内容であり、その1&2は正式販売が開始されても無料で配布されると今でも明記されているのがおかしな点。更にその販売価格は$0.05となっており、制作資金難でやむを得ずと見るにはあまりにも安い。

 そして探してみるとitch.ioで販売している9.0.4は無料でも配布されており(9.0.4リンク)、そこには「何時までこのリンクが生きているか判らないが...」という注釈が付けられている。こういった情報を繋ぎ合わせると、itch.ioにはダウンロード時の帯域使用制限が存在し、それを超えたらファイルのアップロード者が通信量に応じて実費を支払わないとならないという規定になっているのではないか?と想像する。このゲームの様な巨大ファイルだとその限界を超えてしまう危険性があるので、その支払い発生時用にやむなく非常に低額の値段を付けているのではないだろうか。

概  要  UK出身のolblue氏一人だけで制作しており、スタジオ名などもまだ無い模様。詳細は不明だが、彼は3d-Palaceという3Dモデリングのチュートリアルサイトの運営(メンバーの中の一人?)に携わっている様である。

 ゲームは全12チャプターになる予定で、最初の2章が無料でデモの役割。後は出来た分から順次リリースされる。販売時は分割売りとシーズンパス形式(全章まとめ買い)を併用するそうである。以前の情報だと最初のリリースは2015/08予定とあるが、既に8月に入っており多分もっと先になると思われる。SteamでもGreenlightには登録されておらず、売り上げ増を目指してSteamで売る為には早目に登録してGreenlitに到達する必要がある。まだまだ無名なitch.ioだけでは多くの売り上げを達成するのは厳しいだろう。


 タイトルはH.P.ラヴクラフトの非常に有名な短編であり、ゲームの設定もそれに似ているが中身まで一致してるのかは不明。一致しているにしても、原典に比較して長いのでそれを拡張した内容だと考えられる。主人公はほぼ書物だけしか存在しない場所に幽閉されており、そこには鏡も無い為に自分の容姿すらどうなっているのか知らない。そんなある日閉じ込められている場所から脱出する機会を得て...といったストーリーになる。


動作環境
  必要環境 推奨環境
CPU 2 GHz Dual Core -
MEMORY 2 GB -
VIDEO GeForce 8800 / Radeon HD 2600 -
SOUND - -

 私の環境では動作自体には特に問題はなかった。ただしグラフィックス関連を含めた設定項目が一切無い為に、問題発生時には切り分ける手段が用意されていない。低性能PCでのプレイ時におけるフレームレートの問題も同様。Unreal Engine 4で制作されており、コマンドラインパラメータは使えるので、それを使用して調整するしか無いだろう。後は内部設定ファイルを直接編集するかだが、UE4についてはどこに在るファイルを調整するのか私も良く理解していない。

 ショートカットのプロパティを出してリンク先の欄を以下の例の様に編集する。重かったら解像度の値を下げてみる等。
 "....\The Outsider 904\BETA 9.0.4\TheOutsider\TheOutsider Beta 904.exe" -resx=1920 -resy=1080 -fullscreen


 バグとしてはUseキー(Eキー)による件が一回発生した。文章を読む際にEキーで読むのだが、それを止める際にもEキーを押下しないとならないシステムで、戻る際にその「Eキーを押下」の表示が消えてしまってゲームに戻れなくなった。


BASICS  一人称視点のホラーゲームとして制作されており、武器を使っての戦闘要素は含まれていない。ただしある程度のアクションやステルス操作を要求される箇所はあるようだ。現時点ではユーザーからの感想やアドバイスを広く募ったりと、まだ細部に至るまでゲームのデザインが確定している訳では無いように見える。


・キーアサイン不可, マウス感度設定不可, 明るさ調整不可, サウンドボリューム調整不可
・難易度設定無し
・字幕は無し

 ESCキーが有効では無く、ゲームをポーズ&終了させる方法が無いためALT+F4による強制終了等を使うしかない。

 セーブ機能無し。ゲームオーバーになるとマップの最初からやり直しとなる。以前はトップ画面からチャプターを選択出来たのだが現行バージョンでは無くなっている。代わりにコンソールを出してやり、CH2から開始したいならば open level2 の様にして実行して欲しいとある。だが現在のUE4は旧UEとは異なり、日本語KBからコンソールを出す事が出来ない。FPSゲーマーには有名な話だが、ゲーム(エンジン)の中には日本語KBからではコンソールを出す為のキー(UE4ではチルダキー)が有効にならない物が存在している(一般的なアプリならKB配列変更ユーティリティー等で対応出来るのだが、ゲームではダイレクトにキーのスキャンコードを読み取っている物があり、このケースではチルダの生の値を入力出来ないので不可となる)。config内にはコンソールキーの指定項目も存在しているのだが、UE4ではどうやらこれを変えてもダメな様で、どうしてもコンソールを出したいなら、デバイスマネージャ上からキーボードのドライバを「標準 PS/2 101/102 キーボード」に変更して英語KBにしてやり、PCを再起動すれば入力が可能になる(半角全角キー使用)。


*一人称視点固定
*インベントリー画面は無し
*照準無し
*スプリント, 屈み 操作は無し。ジャンプは可能。

GAMEPLAY  9.0.3もプレイしているのでそれとの比較も含めて書いていく。

 同タイトルの原作にどれだけ忠実なのかは判らないが、ネタバレを避けて事実だけを書くと、幽閉されている主人公を警備しているのは人間では無い。時代設定は1896年頃。この序盤だけではどういった背景設定なのか良く解らないのだが、そこに興味を惹かれたのは確か。在り来たりにクトゥルフ神を崇める狂信的カルト集団が云々といった感じでは無さそうで、捕らえた怪物を研究しているレポートが随所に見て取れる。そのモンスターも人間型の単純なタイプ(Husk)と、強大な力を持った見た目が悪魔の様な物が存在しており、その辺のクトゥルフ神との関係も謎である。導入部の引きとしては良く出来ており、先をプレイしてみたいという気にさせてくれる

 小説がモデルというのもあるのだろうが文章量は多めで、且つ謎解きのヒントや答えはその文章内に書いてあるというパターンが多い。よって文章を飛ばしてもクリアは可能といったタイプのゲームでは無い為、英語を読むのが面倒という方にはお勧めしないし、ストーリーに主眼が置かれているようなので面白くも無いだろう。

 だがこの文章類を読むのには問題も在って、書面の有る場所ではUseキー(Eキー)を押下するのだが、その際に演出としてカメラがズームしていって書面がアップになる様にされている。その際にカメラがグルグル回ったりと過剰な演出もある上に、全く同じ場所にピタリと止まる訳では無いようで見辛い位置に停止してしまう事がある。またフラッシュライト位置が連動して動かないために書面が暗くて読めないケースが発生する。照準も無いのでマウスをアチコチへと動かして、ライトが書面を照らす位置を探さないとならない。


 マップ内の景観はなかなか良い出来で、どの程度オリジナルの物が含まれているのか判らないが、複雑な形状のオブジェクトが結構用意されていて初期段階にしては雰囲気が出ている。またかなり広い空間を繋げており、別のエリアからマップの広範囲を見渡せたりと壮大な感じも演出している。ただしその分重いというマイナス面は感じられた。

 ゲームはパズルと言うか、ルート探しと併せてのドアや仕掛けを作動させる方法を探しながら進めていく形式。照準が無い為に干渉可能なオブジェクトの近くに来ればどこを向いていても「Eキー押下」が表示されるので解り易いが、その一方で操作したスイッチ類がどの場所を作動させたのかが明示されないケースもあり、解らない場合には戻って変化は無いかを探したりしないとならない。後は既に操作し終わった場所でもずっと「Eキー押下」が表示されてしまう件と、「Eキー押下」の効果範囲がある程度広い事から、全然意味の無い別エリアにて壁越しにそれを探知してしまったりが起きる件が問題となっている。


 クトゥルフとくればサニティー(正気度)だが、それらしきエフェクトは用意されているもののパラメータ類も無く、見続けるとどうにかなってしまうといったシステムは少なくとも現時点では存在していない。

 9.0.3からの変化としては、マップ内の意図せずに移動出来てしまっていた穴(空間)を塞いだりといった傷の修正が主。ゲームプレイで変わったのはHusk(人間型モンスター)がカットされた点で、9.0.3ではHuskの彷徨いている中をそれに捕まらない様にして移動する一種のステルスパートが用意されていたのだが、9.0.4では同エリアにてそれが出現しない様に変わっている。AIの問題なのか、ステルスパートは不要という判断からなのか不明である。(この頁には一部旧バージョンのSSも含まれている)。


 他に問題点を挙げておくと、まず階段をジャンプしないと上れない箇所あり。複雑な形状をしている階段にて、実際には登れるルートが有るのだが、普通に段差の部分を登ろうとすると引っ掛かってしまう。

 ハマリによるスタックを防止する為に落下ダメージを設定しているが、それでも低い位置から落ちた際には死亡しないのは変わらず、運が悪いとそこから正規マップ内に戻れずに進めなくなる。逆にうっかり勢いがついた状態で段差を越えて飛び降りてしまうと死亡と判断されてしまうケースもある。

 暗くて前が見えないエリアあり。フォグが掛かっている場所も有るのだが、プレイヤーの位置によって真っ暗な場所から突然見える様になったりとライティングの設定がおかしい。フラッシュライトは壁等に近付くと照射範囲が狭まる方式だが、これもまた向いている方向によって明るくなったり暗くなったりと変である。9.0.4大分で改善された様だがまだ完全ではない。

GRAPHICS
&
SOUND
 作者が3Dのモデラーというのもあり、モンスターの造形やアニメーションは良い。対してライティングの設定が最適化不足な様で、光源が増えたり影が発生するオブジェクトが増えるエリアでは非常に重くなってしまう。


 BGMはあまり用意されていないがCH2の方は良い出来。3Dサウンドに一部対応している。

感  想  一応書いてくとクリアは出来ていない。CH2の途中で仕掛けを動かした後に進めるようになる箇所が解らずに詰まったまま。そこで攻略動画を頼ってみたのだが見付からず。Youtubeを探してもプレイ動画が制作者本人の物しか存在していない。誰もプレイしていない様なマイナーな物を狙ってプレイする実況者も居るため、ここまで無名なのは珍しい。(そういった事情なので、もしクリア出来たという方が居たらヒントを教えて欲しい。以下反転。モンスターが収監されている2つのケージの先の一番奥の部屋の中に有る歯車を回してからどうするのか?)。

 このとんでもなく無名という所が現在の大きな問題点でもあり、制作者もプロモーションが想像以上に難しいと愚痴をこぼしていたが、資金稼ぎも必要だろうしGreenlightに正式登録するなど早目に動かないとならないだろう。itch.ioでの販売だけでは知名度アップには繋がらないと思われる。


 現在の完成度: 予定通りに12チャプターなら単純に計算して1/6が完成。システムが仕上がってしまえば制作は加速するだろうが、それが固まるまでが遅れる可能性もある。この手の分割販売では売れなくなって途中で停滞というのも良くあるため、完成まで持って行けるかどうかは現段階では怪しいレベルと言わざるを得ない。

 雰囲気も初期段階としては良い感じだし、ストーリーも独特で興味があるのだが、今の無名度からしてそもそも製品として形になるのかどうかが心配である。多人数でのそこそこ大きなプロジェクトであるなら期待作と呼べるのだが...。

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