☆ PARANORMAL ☆
14/07/27 更新 | 目次 HOME | ||||||||||||
製作/販売 | MattCohen |
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配布状況 | 2014/04/12にリリースされた V1.3.7 (Patch #4) が最新バージョン。 少額ではあるもののKickstarterでの資金集めも成功済み。当初はDesuraのみでの販売だったが、Steam Greenlightのエントリーを通過して途中からSteamでも扱いが始まっている。共に価格は$9.99。内容は一緒だがSteamの方には実績&トレーディングカードが含まれている。なおSteamではまだ早期アクセスタイトル扱いなのに対して、Desuraではアルファ・ファンディング扱いではない(おそらくその開始前から販売されているから)。 プレイするには有料で購入しないとならず、無料でアクセス可能なバージョンは用意されていない。実際には無料配布されていた頃のデモバージョンも数種類残ってはいるのだが、あまりに古いので実質有料版のみの早期アクセスタイトルとみなす事にした。 2012/08からリリースが始まっておりもうほぼ二年が経過するが、その間のパッチリリースは二十回程度と更新頻度は多い方である。 |
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概 要 | アメリカ人のMatt Cohen氏のプロジェクトで、外部に協力者は居るようだが基本的に一人で制作している。 完成予定は延期されたりしており、現在の目標では2015年6月までに完成という話らしい。プラットフォームはWindows, Mac。 現在はパッチによるバグ修正の他にコンテンツの拡張などが行われており、最初のDLCとなる「The Town」もアナウンスされている。ゲーム本編の完成後もDLC等による追加・拡張は続けられる予定で、全てのDLCは本編購入者に無料で配布される事になっている。 Unreal Engine 4への移植が進行中。このバージョンも無料で配布される(アップデートでは無く、本編とは別に配布される模様)。 個人的には他のゲーム目当てで購入したバンドル(Indie Gala Flash)の中に入っていたのだが(Desuraキー&DRMフリー)、その時点では全く内容を知らず。その後Greenlitに到達してSteam用のシリアルキーが無料で追加された。なお内容は同じはずだが、今回のレビューはDesura版で行っている。価格の方はDesuraでは75%オフになった事があるが、Steamではまだ33%オフが最安値の様である。 美術アーティストのMattel Clarkはある家をアトリエ兼住居として借りたのだが、その家において数々の心霊現象に遭遇する。調べてみるとすぐに借りた人間が逃げ出してしまう曰く付きの物件で、過去に殺人事件なども発生している事が解った。だがその心霊現象の発生を信じて貰えない為に、家の中に監視用のカメラを設置し、自らもカメラを持って証拠を撮影しようと試みる。 |
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動作環境 |
DirectX 9.0c以上要 64bit OS推奨。現行バージョンはDX9しかサポートしていない。 Xbox 360 controllerに対応。 かなりの数の障害やバグを抱えている(いた)ゲームで、Steamでは障害関連の専用掲示板も設けられておりスレッド数が多い。しかしパッチで修正されている点も多く、サポートについては当人が迅速且つ熱心に対応しているので荒れている感じは無い。ただし技術力が高いという訳では無く、「出来ない」とか「何時になるか解らない」等の正直なコメントが目立つ。アマチュアによる手作り感が漂うゲームであり、その辺をどう受け取るかによって評価も変わるだろう。 例えば現バージョンでは手作り感が満載のオーバーレイ表示でメインメニューが出るのだが(白色が選択で緑色が非選択になっている)、ウインドウ表示にしておくとゲーム終了時にオーバーレイの位置がズレてしまう恐れがある。解像度とアスペクト比の変化を計算に入れていないので、スタートボタンの表示箇所をクリックしているのに、実際にはそれが終了の位置を押していてゲームが終わってしまう等の問題が発生する。「このメニューは問題が在るので前のバージョンの物にとりあえず戻したら?」という提案にも、前のバージョンの物はHDがクラッシュしてバックアップを採っていないのでもう残っておらず、再度作る事も無理という返事。 或いは起動後に表示可能なオプション画面では、幾つかの項目がToggle(切り替え)になっているのだが、クリックしても表示は変化しない。「どうやって今どちらに設定されているのか確認するのか?」の問いには、自分にも判らないと返答している。上でUE4への乗り換えを進めていると書いたが、これもグラフィックスの向上といった面の他に、現在解決策が解らない障害関連が移植によって解決出来るかも知れないという希望が含まれているそうだ。 その他に遭遇した障害を記載。メニューからプレイ前に解像度を指定しても、ゲーム開始後にESCで表示されるオプションから選択可能な解像度が限定されているのでリセットされてしまう。固定の解像度を選択するには、TABキー押下でコンソールを出して setres 1024x768 の様に好みの解像度を入れてやる。 扉の開閉バグが二回。そのまま透過して通れる様になったケースと、他でイベント後に開くというケースで解決。オブジェクトにスタックしてしまったケースでは元に戻せずにやり直すしかなかった(FlyやGhostは可能だが何故か戻せない)。 |
BASICS | カメラを用いて心霊現象を撮影するというデザインは、映画『Paranormal Activity』, 『Blair Witch Project』に強く影響を受けている。 ランダム構成をメイン要素として用いており、マップ構造自体には変化は無いが、内部で発生するイベント等はプレイの度に変化するというシステムとなる。これは予めプレイ前にゲーム側で選択されていたイベントのみが発生するのでは無く、プレイヤー側のリアクションや行動によってダイナミックに発生する事象が変化する事もあるという風にされている。従ってリプレイの都度その変化は大きいため、リプレイ性が高くなるというデザイン。マルチエンディングも実装予定だが、現時点ではまだ簡素な変化しか用意されていない。 武器を持って攻撃するというシステムは無し。また追って来る敵から逃げるというタイプでも無い。恐怖体感型のゲームであり、アクション操作を上手くやらないと死亡してしまうといった要素は少な目。ゲームの進行や敵を倒すのには、パズルを解いたり書物を読んで解法を見付けるというアドベンチャーゲーム的な要素の方が強い作品である。 メニューには三つの項目(House, Room, Town)が用意されているが、現在プレイ可能なのは最初のHouseのみ。二番目は固定監視カメラの映像を見られる一種のデモ画面で、Townは将来追加される無料DLC。ストーリーはそれぞれの項目別に共通性は無く、全てに別の主人公や設定が用意されているという短編集スタイルである。 プレイ前にAbridged or Unabridgedを選択するが、これは短縮版と完全版の意味。Unabridgedを選ぶと展開がスローとなり徐々に様々な心霊現象が発生する形になる。一方Abridgedではより集中的にイベントが発生しエンディングまでの日数が短くなる。 |
GAMEPLAY | ・キーアサイン不可, マウス感度調整不可, 明るさ調整は可能 ・セーブ機能は無し ・難易度設定無し ・スプリント可能だがそれが制限されるケースもある ・一人称視点固定 ・インベントリーは無し。集めたアイテム一覧を見られる画面は在り。 視点はハンディカメラを通しての映像となり、時にはイベントによって勝手に揺れ動く。凄く変則的な揺れ方をするため人によっては酔うかもしれないので注意。“Camera Shake”の設定があるのだが、先に書いたようにどっちに設定されているのか確認出来ないし、いずれにしろ全ての揺れをカットする訳では無いようだ(初期メニューでオフにしても同じ)。 カメラにはバッテリーインジケータが付いており、これが無くなるとゲームオーバーとなる。補充にはベッドにて眠り(Use)さえすればリチャージされる。ただし安易に繰り返し寝ているとゲームオーバーになってしまうシステムになっており、これはあるイベントが発生した後にすぐ行動をおこなさないとならないという設定の為。 死の扱いについては詳しい説明が無いので、掲示板で得た情報などを基にして記しておく。まずは上記の様にバッテリーが切れるとアウト。次に幽霊から攻撃を受けるケースがあるが、これは大半がイベントであってそれで死んだりはしない。ダメージエフェクトが発生したりもするがヒットポイントの概念は無く、何回遭遇しても大丈夫である(そもそもこれ等は避ける事が出来ない)。中には死んでしまうケースもあるのだが、これはどれがそうなのかその場での判断は困難である。プレイしていて不明であれば、より詳細な最下段のヒント欄を参照。 ストーリーの解説には文書(テキスト)を使用しており、読まないと何が起きているのかほぼ解らない。それほど多くないし難解でもないのでなるべく目を通しておいた方が良いだろう。 アイテムの操作インターフェースには問題も感じられる。干渉可能なアイテムを指してもアイコンが変化せず、更にそのアイテム全体が対象とは限らないので、一部をピンポイントで指さないと反応しなかったりもあり。例えば最初のテーブル上のノートPCでは、タッチパネル付近を触れないとならない等。よってインタラクト可能なアイテムを見過ごす可能性もあるが、クリアには問題無いと思われる。 金庫のインターフェースも専用の物が作成出来ないのか実に原始的で最初は意味が解らなかった。三桁の番号を入れるのだが、テキスト表示で順番に三回、数字を二択で聞いてくる。つまり「その数字は1: Xか2: Yか、該当する方を数字キーの1か2を押して答えよ」が三回繰り返される。よって知らないで答えていても短時間で全部の組み合わせを試せるので上手いやり方とは言えない。 ゲームプレイの方はランダムにイベントが発生する前半と、地下室への扉を開いて以降のほぼスクリプトによる一本道となる後半に分けられる。「発生イベントやマップ構造をランダムにする事でプレイヤーには展開の予想がつき辛くなり、それによって恐怖感の増幅と高いリプレイ性を確保出来る」、という主張によりそれを導入するホラーゲームが増えているが、単にそうしたからと言って怖くなるのかと言えばそうではない。あくまでもどういう風にそれを行うのかが鍵となる。その点でこのゲームに関しては、ランダム要素が上手く使われており成功している。 例えばSSを見て解るようにマネキン人形が多数置かれており、そこから「これがプレイ中に動いたりする」というのはすぐに見当が付く。そんな状況でマネキン人形の位置が前の場所からランダムに別の場所に動いていたとしても恐怖感の演出としては弱い。だがこのゲームではそれをイベントの様な形で行っており、ネタバレになるので詳しくは書かないが、単に移動させるだけではなく演出込みでそれを行う事で効果を挙げている。つまりマネキンを使用したまるで異なったイベントが何種類か用意されており、その中からランダムで選ばれた物が発生する為、お手軽で単純なランダムイベントという安っぽさを感じさせない。その他の発生するイベント類も同様で、プレイの記録を採っていてなるべく体験済みの物を省くようにしているのかは不明だが、四回位リプレイしてもその都度未体験のイベントが発生していた。 それと前半部では幽霊の存在を扱っており、ハッキリとした外観を持った敵(モンスター等)がメインの相手ではないのも効果的に働いている。寝ている時のカメラ演出などもその一つで、就寝中には仕掛けてあるカメラの中の一つが選ばれてその映像が映し出されるのだが、そこで発生している超常現象を見られたりする。また敵の姿態をカットした分サウンド面に力を入れているそうで、3Dサウンドにも対応しておりそのクオリティは高い。家の中のいろいろな場所から人間が何かをしているかの様な物音がしたりとか、耳障りで嫌なノイズ音の発生、自分の近くを足音だけが通り抜けていったりと怖さを醸し出している。 後半パートはメインとなる敵が出現してのスクリプトによる演出となるのだが、こちらの出来栄えはハッキリ言って宜しくない。言わば古典的なホラーゲーム風の演出だが、メインの敵のグラフィックスやアニメーションが粗いので怖さが激減しており、そのホラー演出自体もありきたりで新鮮味に欠けている。確かにこういった物を見ると、グラフィックスに自信がないインディーズではストレートな表現でのホラー演出は避けた方が良さそうと実感させられる。こちらのパートもマルチエンディングやランダムな変化を付けたりとこれから改造する予定らしいが、グラフィックスを向上させるよりもその線で行った方が良さそう。 |
GRAPHICS & SOUND |
Unreal Engine 3を使用。グラフィックスのクオリティは一部の綺麗なエフェクトを除くと特に優れているとは感じられない。モデリングなども簡素なオブジェクトが多く、アニメーションも凡庸である。UE4へのアップデートでどれだけ改善されるかが見物だが、モデリングやアニメーションは負荷が掛かるので、これからゲームが売れて人を増やせないと厳しいと考えられる。 選択可能な解像度はトップメニューと実際のゲーム内で異なっており、また選択肢は少な目なので変えたいなら[動作環境]に書いた様にして変更する。 サウンドは良く出来ている。ヘッドフォン推奨だそうだ。ただしノイズというか突然非常に耳障りな音が大きく鳴ったりするので人によっては不快に感じられるかも知れない。3Dサウンドへの対応はインディーズ物としては珍しいが(UDKの持っている機能だと思うが)、若干音の定位が甘い様な感も受けた。 |
感 想 | ランダムなイベント発生を効果的に使用しており、特に前半パートはホラーゲームとして出来が良い。リプレイ性も高いと言える。しかし一回のプレイ時間が長い訳では無く、これだけで定価$10は高いという感も否めない。よってDLCを完成させてコンテンツ量を増やすのが重要となる。だが現時点ではアレもこれもと風呂敷を拡げ過ぎの印象もあり、先にチャプター1(House)の完成度を高める事を優先すべきだと思うのだが、新コンテンツとかエンジン移植に意識が移っており先行きが心配される。 現在の完成度:プレイ出来るチャプター1は既にそれなりに完成している。だがこれだけなのでその意味ではコンテンツ不足。どうも作者がやたらと新しいアイディアを思い付いてはそっちになびいていく様子なので、早期アクセスとしてリリースされてから長いゲームではあるものの、予定の2015/06までに完成するのかは怪しいという気もしている。 |
ヒント (ネタバレ) |
どうやったら死んでしまうのか、ゲームのルールや攻略に関するヒントを記載。(以下反転)。 第一にベッドで寝るとそこでイベントが発生して死亡してしまうケース。ランダムな場所に出現する金庫を開いて鍵を入手し、それで地下室に入るのが前半での目的。その暗証番号はあるイベント発生時に壁に書かれる形で表示される(位置が固定かは不明)。問題はこのイベント発生後にはすぐにその番号で金庫を開けて地下室に入らないとならない設定で、これを行わずに眠ってしまうと死亡イベントが発生する。短縮版だと二日か三日目には発生するそうだ。 イベント発生時の危険行為。大抵のイベントはダメージを受けてもそれは演出として処理されるだけ。だがメインである女性の敵、もしくはその類型に対しては、近付き過ぎると死んでしまう設定になっている。曖昧な表現だが具体的にどれだけ種類が在るのか不明なので、これとこれはダメとかハッキリとは説明出来ない。 現行バージョンで発生する地下室扉バグ。地下室に降りても何も発生しない。このケースでは扉が透過した状態になるので上へと戻れる。私の場合はここから就寝し、起きた後に再度扉を通り抜けて地下に降り、正常ならば開く位置(階段の横の音がする方向の壁)に向いて前進していると中に入れた(その中が壁を透過してバグの様な感じで見える位置)。 |
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