☆ PHANTASMAL ☆


14/07/14 更新 目次          HOME
製作/販売 Eyemobi        公式サイト      STEAM      INDIE DB
配布状況  2014/07/09リリースの v0.37.03 が最新版。ただしこれは現在UWPでのみ公開されており、今回のレビューではその前にプレイ済みだった v0.36.33 Pre-Alpha Demo の方をレビューしている。現在は無料で誰でもデモにアクセス可能。

 起動するとクレジット画面にはv0.35.27と表示されるが、書き換えていないだけではないかと思われる。ダウンロード先は現時点ではこちらだけの模様。 http://bit.ly/1kQk0Ap (344MB)

 更新頻度は多目で、既にこれが3or4回目の更新されたデモとなる。

 近々Kickstarterでの資金募集とSteam Greenlightにエントリーを行う予定だが、これを有料製品版として販売する予定なのか、それとも無料で配布するのかについては言及が無い。

概  要  Eyemobiはニュージーランドのゲーム制作会社で、現在は5人程度で運営されている。サイトを見ると無料のブラウザゲームが何本か公開されているが、無料でゲームを作る趣味的なグループなのか、或いはこれから有料のゲームを作っていく計画を持っているのか、情報が無いので不明である。

 プラットフォームは現在Windowsだけとなっており、将来的に他の機種にも対応する計画があるのかは不明。なお以前は“House of the Shunned God”の名前で制作されていたが名称を変更している。


 主人公John Hopeはベトナム戦争に従軍していたが、その際にナパーム弾の誤爆による現地人の焼死事件に遭遇して大きなショックを受け精神を病み帰還。以後はPTSDに苛まれる事になる。その結果酒に溺れて職にも就けず妻とも離婚。そんな彼に昔の戦友が手助けとして大学の夜勤警備員の職を紹介してくれたのを機会に、ジョンもその仕事に慣れて徐々に普通の精神状態を取り戻しつつあった。そんなある日、大学を猛嵐が襲い停電状態となる。ただ一人残された彼は校内を監て回るが、そこでPTSDの悪夢に悩まされていた時に似た闇の世界へと巻き込まれてしまう。



動作環境  公開されていない。


BASICS  特徴の一番に挙げているのは「ローグライク」、すなわちプレイの度に全てが作り替えられるという無限のリプレイ性。プリセットの部屋等の出来合い素材を組み替えるのではなく、天井, 壁, 床, 家具等の細かいパーツまで全てがランダムに制作されるとある。

 元々はアクションホラーとして起ち上げたタイトルで、複数の銃器を持って敵と戦うというデザインだった(近年のバイオハザードやDead Space系統)。だがユーザーのフィードバックからか制作側の心境の変化からか、このバージョンから大きくデザインを変えてきている(私がプレイするのはこれが初めて)。

 今回からステルスを重視するスタイルになり、銃器は各マップ内に一つだけで且つ弾薬数も非常に限定される設定になった。それとノイズを立てると敵がそれに寄ってくる様になり、特に銃器を使用するのは大きなリスクとなる。出来るだけ敵と戦闘せずに出口を探して、必要な時だけ戦うという風に変貌している。

 またクトゥルフ神話(ゲーム)の影響を受けており、正気度(Sanity)の概念を持つ。敵を長時間見続けたり戦闘をすると精神的におかしくなり、画面上にグニャグニャとした歪みや照準のボヤけ等のエフェクトとしてそれが現れ、それを回復させずに限界を超えると死んでしまう。


・キーのアサイン不可(ガイドを参照)
・マウス感度調整不可
・明るさはプレイ開始すれば調整可能

GAMEPLAY
・スプリント可能。ただしスタミナ切れまでは早い。
・ヘルスは数値表示でメディキットで回復する方式
・ライトは無限に使用出来る
・Cキーでフレアを投げられる(数に限りあり)
・難易度選択は無し


 スタートエリアは形状固定で、ここからポータルに入って飛ばされる世界からランダム構造となる。最後までクリアしていないが、同様にポータルを探して進めて行くスタイルだと思われる。

 このデモでは最初に銃器が手に入るが弾薬はそこでの20発のみ。第二のマップで銃器や弾薬が入手可能なのかは未確認だが、これだけだとすると敵の数に比較して相当少ない。打撃武器では最初に手に入るデッキブラシは壊れないが弱い。一方で角材は威力は高いが何回か当てると壊れてしまうという欠点を持つ。


 ステルスのシステムだが、まず屈むとステルスモードになる。ただしキーがLCtrl固定されているので押し辛く、マウスのプロファイルでサイドボタンにアサインするとか、ユーティリティーで別のキーに割り付けるとかした方が良いだろう。最も多いタイプの雑魚敵は目が見えずに音を頼って襲ってくるので、屈んでいれば見付からずに済む。よってライトで照らしても大丈夫なのだが、一定範囲内に近付くと気が付かれてしまう様だ。或いは気配に反応しているのかどうかは良く判らない。

 銃器は威力が高いが最大のノイズ源となり、連続して撃つと画面上に悪魔のアイコンが現れ、この状態になると敵が一斉にこちら目指して襲って来る。こうなったら逃げたりしてアイコンが消えるのを待つしかない。更に打撃武器を用いて攻撃しているだけでもノイズだと見なされる事がある様だ。

 フレアは自分がライトを消した状態で周囲を明るくして敵に居場所を感付かれない様にするという効果を持つのと併せて、(現時点では)似た様な形状が続くマップ内にて目印として使うという意図もあるらしい。


 デザインを切り替えたばかりだからかも知れないが、このデモは非常に難しくて問題ありという印象を受けた。第一にステルスを維持しようとして敵を観察していると、それだけで正気度に影響が出て画面が歪んだりしてしまうのが厄介。このエフェクトは現状強過ぎの感があり、戦闘が激しくなると画面全体が真っ赤になって何も見えなくなったりで詰んでしまう可能性が高くなる。更に加えてダメージエフェクトも派手で見え辛いのが重なる。それと銃のノイズの扱いももっと低減させた方が良い。撃つと敵が集まって来てしまい、その集団を倒すには銃器しかないので撃つとアイコン表示といった具合で使いにく過ぎる。

 ライトも出来るだけ照らさない方が敵に感付かれないとは言っても、点けないと暗過ぎて周囲が良く見えないし、フレアを使おうにも数が限られている。もっと灯りへの反応を敵全般に対して鈍くした方が良さそう。

 敵は透明の物とか赤い弾を飛ばしてくる奴とか何タイプか居るが、全体として敵を攻撃して倒すにはかなりの攻撃力不足で、かと言ってステルスを維持するのも同様に難しいというバランスである。特に鬱陶しいのが蜘蛛のモンスターで、被ダメージはたったの1と低いのだが、高速で床や壁を這ってこちらにまとわりついてくる。打撃武器で倒すのはその速さ故に難しく、銃で撃っていてはノイズで別の敵を呼び寄せてしまう。無視していると見えない場所から攻撃を喰らってジワジワと削られるし、走って先に行こうとすればそのノイズでまた気付かれるという感じで、この辺は次のバージョンでは大幅な修正が必要となるだろう。


 バグとしては机等のオブジェクトを体が透過してしまう件が目立ったが、不安定さとかそういった物は私の環境では無かった。

GRAPHICS
&
SOUND
 Unityで制作されており4:3, 16:9, 16:10に対応。窓化も選択出来る。グラフィクスのクオリティは6種類。ノイズエフェクトは起動後にオンオフ出来る。現段階では敵のモデリングやアニメーションがまだ粗い。

 サウンドのボリューム調整は出来ない。

感  想  個人的にはランダムに作られるマップが面白いのか?という点には懐疑的なので(練りに練った構成のマップを一つだけ作る方が面白くなる可能性が高いという意見)、そこには特に注目していない。またこのデモでは使う素材自体が少ない印象で、似た様なマップ構成が多く見られて迷い易いし、テレポートした地点が敵の大量発生場所だったりとランダム故の問題も発生。筆頭に持って来ているこの特徴はまだ機能していないという感が強い。

 ステルス要素を重視するのは賛成だが、もっと戦闘寄りにしても良いのではないかと思う。これだけ過敏だと銃を用意されても使い辛い。画面の発狂エフェクトももう少し抑えるべき。

 実際に制作がスタートしてからまだ数ヶ月の様だが、ビジュアルの雰囲気は良くて期待出来そうなタイトルである。次回の更新が楽しみな作品と言えよう。


 現在の完成度: 骨格部分は割と出来ており、ステルスと戦闘のバランスをどうするのかさえ決まれば、一応の完成をみるまでにはそれ程掛からないのではないか(Kickstarterの成否にも因るが)。こういったランダム生成タイプは後からコンテンツを足し易いので、先に発売してしまってからアップデートでいろいろ追加していくという風にも出来る。

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