☆ PROJECT FREQUENCY ☆

16/08/08更新 目次          HOME
製作/販売 BioXide        公式サイト       Game Jolt      INDIE DB
配布状況  2015/11/01にリリースされた 0.1.3 alpha (1.3GB) が最新バージョン

 更新頻度: これが3番目のリリースバージョン

 昔Unityにて制作していた旧バージョンは無料で公開されている

 Steam Greenlightにはまだエントリーしていない

 Kickstarterは開始予定だったのだが、気が変わったのか実際には行われていない

概  要  作者のBioXide氏はプエルトリコ人で、協力者は一人いるがほとんど自分だけでこのゲームの制作を行っている。

 昨年プレイして印象に残った作品であり、新版がすぐに出るという事で待っていたのだがそのままニュースが少なくなって、先日久し振りにチェックしに行ったところ、「どうしても資金が要るので、それを稼ぐ為に職に就いて普通に働いていたので開発がストップしていた」。しかし「パブリッシャーから声が掛かったので現在資金提供を含めて交渉中で、近い内に契約が成立すればフル稼働状態で開発を進められる」と報告している(6月下旬時点)。

 契約成立後はSteamにて早期アクセスをスタートさせる事になっており(販売実績のあるパブリッシャーからならGreenlightを経由する必要は無い)、それ故に予定していた新バージョンのデモリリースは中止する事にしたとあるのだが、最近になって考えを変えたような記述も見られる。と言うのはこのゲーム起動時&プレイ中のクラッシュが多く、動作に大きな問題があるという状況。それがあまりにも多い為に、クラッシュへの対策を施したバージョンを安定性のテスト目的でリリースするかも知れないという話になっている。

 プラットフォームはPCオンリーで、将来の予定も明らかにされていない。


 「Project Frequency」とはある種のオカルト的プロジェクトの名称である。自然界には人口の物を含めて様々な周波数の電波が飛び交っているが、その中には霊的な世界との接続点となる周波数も存在しているという物で、中世時代には楽器を用いてその可能性を探ろうとする研究者も存在していた。詳しく言えばこの世界には通常の人間には探知出来ない特殊な周波数の通信波が飛び交っており、それを探知出来れば霊的世界や別次元との繋がりを持つ事が可能になるという思想である。

 現代でもその思想を受け継いでいる研究者は存在しているが、今はその別次元との接続口はダークウェブに在るとされており、多数のハッカー達が様々なツールと手法を用いてインターネット上を探し回っている状況にあった。そして最近になってその探索者達が次々に連絡を絶つという事件が発生。主人公もその探索者の一人だったのだが、原因を調べていくうちに自分自身もその別次元に捕らえられてしまう。プレイヤーは先陣の者達の残した情報を頼りにしながら、何としてもこの異次元世界からの脱出方法を探らないとならない。

動作環境  必要環境はあきらかにされていない。64ビットOS専用exeではないが、メモリ量はかなり食いそうな印象。

 起動時に落ちる(Fatal error)という報告がかなり多いゲーム。プレイ中に落ちるというケースもあり。私もプレイ中のクラッシュには何回か遭遇している。頻繁にというほどではないが、プレイ時間との比較においては不安定な方だと言わざるを得ないレベルである。概要で書いた様に、あまりにも不安定なので予定変更してテスト用のデモ版を出そうかという話になってきているくらい。Unreal Engine 4自体は特に不安定とかは無いので、何等かの特殊なシステム等が悪影響を及ぼしていると考えられる。


 その他に死亡後にRespawnを選択した際に、カウントダウンが始まるまでに時間が掛かるケースがある。反応が無い場合は数分放置して様子を見てみるのが良いだろう。

 別の注意点として過去のバージョンをプレイしている場合、昔のセーブデータが残っていると問題が発生する恐れがある。メニューからセーブファイルを削除出来る様になっているので開始前にそれを実行。



BASICS  オープンワールドのサバイバルホラーという点を売りにしている。“オープンワールドのサバイバル”というゲームはここ数年トレンドで大量にリリースされているが、このゲームはサバイバルではなくて“サバイバルホラー”である。“オープンワールドのサバイバル”においては通常ゾンビやモンスターの存在は脇役でしか無く、実質的にはリソース類を奪い合うオープンワールドでの対人デスマッチという意味合いが強い。或いはシングルプレイモードであるならクラフト重視というゲーム性。そうではなくてあくまでもサバイバルホラーがベースで、Silent Hill, バイオハザードの様な世界感を持ったゲームとなる。

 進行の基本はそういったクラシックなサバイバルホラーと変わらないが、それ以外に自由に探索可能なエリアが多数用意されており、プレイヤーは自由に進み方を選べるというデザイン。特定の必須ストーリーラインは持っておらず、プレイヤーが探索した範囲内でイベントやミッションが発生し、その幾つか用意されている中から短編のストーリーを味わえるという構成らしい。遭遇するNPCも探索するエリアに応じて変わるので、それ故にリプレイ性が高いという点も特徴となっている。

 このバージョンでは搭載されていないが8人までのオンラインCo-opに対応しているという点もサバイバルホラーとしては珍しい機能。


 ランダム性を重視している為に、アイテムの出現などはプレイの度に変化するというシステムを採用している。アイテムの出現する位置は固定されているが、全ての地点が時間を置いてのリスポーンに設定されているので、最初の出現&その後のリスポーンで何が出るのかはプレイ毎に異なる。(その地点にどのタイプのアイテムが出現するのかは決まっているようだ)。ただし鍵の様な重要アイテムの出現位置は固定。

 敵の出現位置やその種類もランダムとなり、固定イベント以外ではどこにどのタイプが出現するのかは予測出来ない。


 パラメーターはヘルスの他に、満腹度(飢え), 渇き, 正気度となり、飢えと渇きはそれぞれ食料と水分補給が定期的に必要となる。どちらでも切れると徐々にヘルスが減少して行き、そうなると補給アイテムを見付けるまではメディキット等で一時凌ぎをするしか方法が無くなる。

 正気度は恐怖イベントに遭遇したり、敵を長時間見つめていると減少する。他には“sanity emitters”と呼ばれる小さなモニターがいろいろな場所に置かれており、ランダムにそれ等がオンになるという仕組みで、その時に近付くと正気度が急速に失われていく。正気度が低くなると異常なサウンド, 幻覚発生, 視野狭窄, モーションブラーといったランダムな現象が発生してプレイヤーを動き難くするようになっている。


 閉鎖されたマップ内でウェーブ形式で湧き出る敵をクリアして行くHorde modeを搭載。ただしこのバージョンではバグによりウェーブ5までしかプレイ出来ない。マップ内の液体の入ったビンが通貨の代わりで、これを集めてショップに持って行けば武器やアイテムを購入出来る。


・キーアサイン不可×, マウス感度設定不可×, 明るさ調整不可×, サウンドボリューム調整不可×
・難易度設定無し
・字幕は無し

*一人称視点固定, FOV調整機能無し
*インベントリー画面あり
*照準あり
*スプリント, ジャンプ, 屈み 操作あり
*現在のオブジェクティブ表示機能無し。発見した文書を保存するジャーナル機能は有り。

*Zキーでオブジェクトを掴み、Xキーで投げられる
*武器の切り替えはマウスホイールで行う
*銛を投げるのはMMB
*変わったところで、移動中にドッジキー(V)を押下すると左右どちらかに移動して高速の投擲系攻撃を避けられる


 ライターは押しっぱなしにしないとならないのはともかくとして、走るとすぐに消えてしまうのがかなり面倒。武器を構えている状態からライターに持ち替えるにはHキー押下となる。

 フラッシュライトの使い方はちょっと解り辛く、インベントリー内でUseすると使える様になり、その後はインベントリー内のどこにも表示されなくなる。バッテリーが切れたらインベントリー内に有る予備をUseすればチャージされる仕組み。死亡して復活しても持った状態を維持するので、新しい物を入手しないでもバッテリーを見付けて使用すればOK。


GAMEPLAY  リプレイを含めて4時間位プレイしたがゴールまでは到達出来ず。開発者自身のプレイ動画がアップロードされているのだが、これを見ると途中で私は脇道ルートに侵入してしまったらしく、その病院エリアから出られなくなって終了。どうやら地下ルートに入ってから鍵を拾わないとならないが、それを拾わなかった為に戻れなくなった模様(最初に鍵が無いのに入れてしまったのがバグと思われる)。とりあえず現行バージョンでもボリュームとしては結構用意されている。

 難易度的には「とにかく難しく」という意図を持っており、今の時代に受けるのかどうかは疑問だが、昔ながらのハードコアなサバイバルホラーにしたいそうである。このアルファ版は序盤部分なのでそこまで厳しいという印象ではないが、慣れない内はシビアというのは確か。と言うのは食料と水の管理が厳しめの設定で、探索などをして時間を掛けていると簡単にどちらも無くなってしまう。そうなると補給品を発見するまではメディキットで凌ぐしか無くなり、その後もジリ貧になるといった具合。つまりゲームのシステムに慣れて、マップの全体構造を把握してから、その上で時間を掛けずに効率的に動き、常に水と食料が余っている状態を保つ、という風にしないとならないバランス設定。

 個人的にはこの設定には反対の考えで、食料と水が無くなって死亡するというのは“サバイバルホラー”とは違うという気がする。このシステムを導入するのは良いが、もっと寛容にしないと「敵よりも水と食料の切れが怖い」というゲームになりかねない。ここまでシビアだと、徘徊している敵が去るまでじっくりと隠れて待ったり、マップ内を探索して回るという行為すらやり辛くなる。無くなった際にヘルスの減少は50%程度までにして別のペナルティを与えるとかの調整が必要と感じる。あとは死亡前に何等かの警告を出す方が良い(ヘルスが危うくなったら画面周辺を赤くするとか)。またHUDがスケーリングしない為に解像度を上げるとステータス値の表示が非常に小さくて見難くなるという問題あり。


 戦闘用の武器スロットは打撃系も含めて3個。ダイレクトに数字キーで呼び出せず、ホイール選択となるのは地味にやり難いシステム。全部は見ていないが銃器の種類は7つ。アイアンサイトあり。弾薬はやはりというのか相当に少ない設定で、少なくともこのバージョンでは撃ちまくったりは出来ない。よって打撃武器メインでの戦闘になるが、打撃武器の方も耐久力が設けられているので永久には使えない。

 弾薬の扱いはかなりややこしくて面倒。解り辛いので解説しておくと、弾薬箱とマガジンは武器別に6種類ほど用意されており、ある武器を使うには基本的に両方が必要(ショットガンだけ例外)。弾薬箱には何発かの弾が含まれており、複数インベントリー内に有る時はUseして統合出来る。これの他にその武器で使いたいマガジンを入手したら、マガジンをUseするとその弾薬がマガジン内に詰められる。この状態で武器を持ってリロードキー押下により、マガジンが武器内にロードされて撃てるようになる。よって弾薬が切れた場合、インベントリーを開いてマガジンをスロット内に戻し、そこに弾薬を詰め直してからリロードする事になる(もしくは別のマガジンを予め作成しておくか)。マガジン内の弾薬数確認はTキー。


 序盤だからだろうが武器の出現率は極めて低く、キャンペーンでは3種類だけしか見ていない。それに対してマガジンと弾薬は高確率でスポーンするというバランスの悪さ。インベントリースロットには限りがあるのに、武器が出ない内はどれを保持しておけば良いのか判らない。だがマガジンと弾薬は6種類存在するので、それを集めているとすぐにスロットが圧迫されてしまう。よってドンドン捨てて武器が手に入ってから集めるという風にでもしないと厳しい。

 武器はリコイルが大きく、撃っている感覚は重量感があって良く出来ている。対して敵に被弾しているかどうかのエフェクトは弱くて、どれだけ当たっているのかは把握し辛い。タフな敵には相当当てないとならないが弾薬数は極端に少ない為、普通の敵は打撃武器で仕留めて弾薬は温存という風にする必要がある。しかし打撃武器で攻撃する際に敵を見続けると正気度が減るという問題があり(敵のタイプにより減り方は大きく異なる)、それ程簡単ではない。

 敵はタイプ別に挙動や弱点が異なり、それを把握するのも重要なポイントとなる。中には攻撃する必要が無いタイプも居る。なおそれを含めてプレイのヒントも出るのだが、死亡からの復活時だけなのはタイミングとして少な過ぎると感じる。

 中でも難関なのはインベントリーを開いてもポーズが掛からないという仕様で、戦闘中にマガジンを抜いて弾薬を詰め直す操作など実質不可能。持っているメディキットを使うショートカットキーも存在しない為に危なくなったら一旦逃げるしか無い。だが敵によってはこちら以上の速度で追い掛けて来たりと、敵との戦闘はかなり難しい設定にされている。


 ステルスは可能で、不自然だが敵がそっぽを向く時もあり。ライトを消したり、屈んで移動したりですり抜けたりが可能になる。遅い敵なら走っても良い。反対に移動中に音がしない敵も居て、これは背後から突然襲われたりもするので難物。


 インベントリーは現バージョンでは相当使い辛いが、これは改善するとされている。スロット数はアイテム数の割には少な目。サバイバルホラーで少ないのは解るが、リスポーンの扱いが問題。実験はしていないが、「それを取らない限りその発生ポイントのアイテムは入れ替わったりしない」のであれば、必要ない物であっても全て取ってリスポーンさせないとならなくなる訳で、そうなると取っては捨てての繰り返しで大変に面倒。

 ドロップしたアイテムは消えない様だが、物理エンジンも入っているので落とした物が重なって取りにくくなってしまったり、最悪のケースではめり込んだりで消えてしまう恐れもある。そうなると定番の保管ボックスなどを用いた方がスッキリするのではないかと感じられる。

 アイテム別に発生率だけが設定されている全くのランダム仕様?だとすると、役に立たない物が出続ける可能性もある。実際に初期状態からやり直した際にかなりアイテムの出方が異なる様な印象を受けた。そうなると運頼りのゲーム性という事にもなりかねない。もっと出現確率をコントロールするシステムの方が良いと思える。


 セーブはスタート地点の建物内のPCに近付くとカタカタとキータッチの音がし、その後変な音が鳴れば完了というシステム。アイテムの必要なしに何回でも行えるが、これだけ広大なのにセーブ箇所が一つだけというのは疑問符。なお死亡後には二つの選択肢が在り、メニューに戻ってから再スタートすると最後のセーブがロードされる。この場合セーブ時点のアイテムは所持しているが、セーブ後の入手アイテムは当然無くなっているし、ステータス値もセーブ時点のまま。仮に飢えや渇きが危険状態のセーブデータでメディキットも無い場合、補給アイテムを発見出来なければ死ぬので詰みとなる可能性もあり。一方でリスポーンを選択すると、インベントリーは空だがステータスはフルに復旧しての復活となる。死亡時のアイテム類は死んだ場所まで行けば回収も可能。ただし回収前にはアイテム集めをしてから行かないとまた殺されるかも知れないという障害は伴う。よって飢えや渇き等のステータスが厳しい場合、拠点で全部アイテムをドロップしてから死亡し、リスポーンでステータスを復旧させてから拾い直す様にするのが良いだろう。なお完全な新規スタートにはメニューからセーブデータを削除しておく必要がある。

GRAPHICS
&
SOUND
 Unityから切り替えてUnreal Engine 4を使用している。グラフィックス設定は多数用意されているが、今現在どれを選択しているのかは不明(インディーズ作品では大抵はそうなのだが)。

 作者も明記しているが、現状一人だけでシステム面を制作している為にグラフィックスまでは手が回らず、とりあえずデモ版として成立させる為に販売されているアセットを多数使用しているという状況。(UEやUnityのストアで販売されているゲーム制作用コンテンツの中に、アマチュアのホラーゲームでは定番になっている3Dモデルのセットが存在しており、この作品を含めて多数のゲームで同じモンスターや背景オブジェクトが見られる)。

 流血の色やエフェクトなどはあまり良くないという印象。何故か流血が発生した時だけエフェクトがド派手だが非常に変な風に表示される。正気度を失った時のエフェクトの方は種類も多いしまともな出来。


 3Dサウンド対応。キャラクターのボイスは無し。サウンドもフリー素材などを多用している段階。

 
感  想  荒削りだがなかなか面白く、これなら契約しようというパブリッシャーが付いても不思議では無いという感想。ありそうで無かった独特のプレイ感で、難易度は高目だがリスポーンが無限に可能とか、一本道が基本のサバイバルホラー物としては珍しさを感じさせてそこが魅力にもなっている。こちらに武器を含めた攻撃手段がある分恐怖感は薄いが、とにかくプレイヤー側は攻撃手段が何も無いというデザインが流行りの今、こういうクラシックなスタイルが逆に新鮮でもある。

 開発人員が増えて内容が充実すればより面白くなりそうで、素材としては可能性を感じさせる物なのは確か。ただし先に書いたように個人的には、ひたすら走ってアイテム確保(特に水と食料)という点はサイレントヒル系のゲームとしてどうだろうという気がしており、そこは変更して欲しいと考えている。


 現在の完成度: モデル等を自分で作成するとなるとまだ時間が掛かりそう ただ早期アクセスで売り出す事は明言されている為、そのリリースまではそれ程長く掛からないのではないか。アセット類に関してもライセンスさえちゃんとすれば他者制作の物でも使える訳だし、そこからオリジナルの物に徐々に差し替えていくという方針でも発売は可能。

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