☆ THE PURGATORY ☆

16/10/18 更新 目次          HOME
製作/販売 Sigma Games        公式サイト      STEAM      INDIE DB
配布状況  2016/09/22にリリースされた Purgatory_demo_21_09_V4 (2.44GB) が最新バージョン。メニュー画面の表示はV 210916。

 更新頻度: これが4番目のリリースバージョン

 Steam Greenlightにエントリーして、既にGreenlitに到達している。

 公式サイトでPayPalにて任意額の寄付を募集中。Kickstarter等のクラウドファンディングについては言及されていない。また既にGreenlight系バンドル(もしSteamにて発売されたらキーを貰える)に含まれて売られた事もある。

概  要  Sigma Gamesはポーランドの制作会社で設立は2009年。これまでは学校や公的機関向けにシミュレーター系のプログラムを開発・提供していたのだが、その流れからVR関連のプログラム開発に力を入れ始め、そこから今度はゲームの開発にも乗り出したという話らしい。一般的なゲームとしてはこの作品が初となり、開発メンバーは現在5人体制。他に外部からの協力者を得て制作されている。

 元々は2015年に開催されたEpic Games Jam(テーマを決めてアマチュアからの作品を募集する定期開催イベント)において発表された同名作品を拡張した物。

 プラットフォームは今のところPCのみだが、モバイルへのポートが予定されている様である。発売は2017年初頭を予定している。


 主人公はJohn Blake。ほとんどの記憶を失った状態で不可思議な空間にて目を覚ます。彼はその場に出現した神とも悪魔ともつかない存在に導かれて、異空間の中を自らの過去の記憶を取り戻す旅に出るというストーリー。

動作環境
  必要環境 推奨環境
OS Windows 7/8/10 (64-bit) -
CPU Intel Core 2 Duo or AMD, 2,4Ghz Quad-core Intel or AMD, 2.5 GHz
MEMORY 4GB 8GB
VIDEO Geforce GT 8800 or Radeon HD 3870 Geforce GTX 970 Radeon R9 390
SOUND DirectX 互換 同左

 実行ファイルは64bitのみ。配布ファイルは7zで圧縮されており、解凍プログラムによっては正常に解凍出来ない障害が報告されている。その場合は純正の7zを使うのが一番確実。

・操作キーのアサインが可能だが、その設定画面の動作が変。Crouchをクリックしても反応しなかったり、別のキーにアサインした物が一緒に複数の項目に割り付けられてしまったりする。

・解像度&フルスクリーンの設定が保存されない。常にウインドウで起動してしまう。

・私の環境ではBGMを含めてサウンドのボリュームが最大にしても小さいという問題あり

BASICS  一人称視点のホラー系ミステリーゲーム。ラヴクラフト, E.A.ポー, スティーヴン・キング等の影響を強く受けている。

 基本的な構成としては、不思議な存在(内なる声)に導かれながら異世界を探索し、そこから脱出するというのが目的。異世界は自らが過ごした過去の世界から成り立っており、それは幼少時代から現在へと幅広く繋がっている。それ等の世界を探索しながら自らの記憶を取り戻して行くという風に進められる。

 そういった過去世界がランダムに接続されているというのが一つの特徴で、ある程度ブロック化はされているが、ドアを開けた際にどの世界のどこのドアに接続されるのかはランダムに決められる構造。個々の世界単位で謎解きは独立している為、クリアの順番はどうでもOKという設定の様だ。全エリア数は50にも上るとされている。


 目的は各過去世界内で謎解き(パズル)を達成して記憶を取り戻して行き、最終的にはなぜ自分がこんな状況に迷い込んでしまったのかを突き止める事にある。ただしどういった行動を採るのか選択を迫られるシーンも用意されており、そこでの選択によってエンディングは分岐するようになっている。エンディング数は3個で、それ故に(一種のホラーで謎解きもあるが)リプレイ性もある程度は持っている。


 VRは現時点ではOculus DK2への対応がアナウンスされている。


・キーアサイン不可×, マウス感度設定不可×, 明るさ調整不可×, サウンドボリューム調整可○
・難易度設定無し
・字幕有り
・セーブ機能あり。制限無く幾らでもセーブ可能。

 セーブは可能なのだが、このデモではロード機能は持っていないようだ。途中で終わらせた場合にそこから続行出来るのかも知れないが未検証。


*一人称視点固定, FOV調整機能無し
*インベントリー画面は無し
*照準有り
*スプリント無し。ジャンプ, 屈み有り。
*現在のオブジェクティブ表示機能有り(進行状況表示機能)


GAMEPLAY  現在のバージョンのボリュームは30分程度。全部の世界の中から1/3程度を収録している様だ。一応このベータ版でもエンディングらしきシーンまで行く事が出来る。完成版でもこれと同じ形で終わりになるのかは不明。

 ゲームの進行は最初に会う神(悪魔?)的な者に導かれる形で進められるが、途中で遭遇する別のある人物も主人公に対して語り掛けてくる。そのどちらを信じるかによってエンディングへの影響が発生するのではないかという印象。ただ他にもプレイ中に選択肢が出る場所もあるし、エンディングではプレイヤーがあるアクションを行うのか止めるのかという直接的な選択場面もあり。


 プレイ中にいつでも拠点風の小部屋へと戻る事が可能。ここにはセーブを行える他に、現在の進行状況を記したメモ的な本へとアクセス出来る。この本では多数の世界別に出来事がまとめられており、そこには次にするべき事やヒントが書かれていたりととても親切な設計。これを見る限りではあまり謎解きでプレイヤーを悩ませようという考えは無く、滑らかに進行させる方を重視していると受け取れる。

 この部屋にはルーン文字が貼り付けられる壁が有り、これは各エリアをクリアした際にそこに出現した文字で埋められて行く。文字が出現する場所が分けられている様に見えるので、どこに文字が出現したかでエンディングが分岐するという可能性も在るし、この文字でクリアしていない世界を確認出来るという単なる目印なのかも知れない。なおこの部屋に魔法文書とでもいうべき解説文が貼ってあり、どうもこれは飾られている奇妙な像の場所で使える様なのだが、このデモではそこまではアクセス出来ずに終了してしまう。


 肝心の世界が切り替わるシステムだが、これは各ドアを開ける際に接続される世界がランダムに変化するという方式。ドアを開けてからそこを通ると即背後でドアは閉じられてしまい、すぐに同じドアを開けても元の場所とは違う所へと接続される。各世界はドアでの接続無しにそのセクション内を探索出来るようになっているが、いろいろな箇所に有るドアを開けた先は別の世界となっており、各世界の探索(パズルの解決等)を終わらせていなくても自由に行き来は可能。よって各世界内のマップ構造は憶える必要があるが、世界同士の接続形態は常に変化するので憶えておく意味はない。ある世界に行きたいと考えたら、片っ端からドアを開けてその世界と接続されるまで続けるのみ。

 重要なイベントが発生する教会は最初にクリアしないとならない様だが、それ以降はどの世界からクリアして行くのも自由という構造。ドアを開ける際には新たな接続先のデータのローディングが入る事があり、このケースでは数秒待たされる事になる。気になったのは開閉可能な印のEキーが表示されないケースがあり、そこが開くのかどうかが判り難いという問題あり(立ち位置を調整すると治る事が多い)。


 フラッシュライトは常時点灯方式。恐怖イベントはたまに発生する程度で、視覚的に異常現象が起きたり、驚かせるサウンドが鳴らされたりするという一般的な物。ただショッキングイベントという程の強烈な類は無く、それで酷く驚かせようという意図は持っていない模様。雰囲気の不気味さで怖がらせるタイプと思われる。プレイヤーを追い回す敵は出て来ないし、何かから逃げたりのアクション要素も無し。おそらくそういった物は完成版でも含まれないのではないか。


 ストーリー進行は語り掛けてくる声の他に、各所に残されているメモを読む事でも解説される。ボイスレコーダーが宙に浮いていてこれを再生するという箇所もあり。このメモやボイスレコーダー集めがエンディングに関わったりするのかは解らない。このベータ版では主人公の身に何が起きているのかは全く明らかにされず、ストーリーとしての面白さはこれだけでは判定出来ない状況。

 ゲーム進行の為のパズルは必要なアイテムを探して集めてきたりとか、数字錠の暗証番号会わせ, 鍵を見付けてくる等で特に面白味は無し。解決も簡単だし、パズルの面白さで魅了しようという意図は感じられなかった。

GRAPHICS
&
SOUND
 Unreal Engine 4使用。グラフィックスの設定項目は多い。

 クオリティとしては特に良くもなければ悪くもない。テクスチャーやライティングの質が今一つという印象で、雰囲気を重視するならもっと高いクオリティが理想。特にUE4使用のゲームでは平均水準が上がって来ているので、他のゲームとの競争という意味でももっと力を入れた方が良さそうである。


 3Dサウンド対応。ボイス有りだが、主人公の声優の質に問題が感じられた。死んだように抑揚の無い声ではなく、もうちょっと力のある声の方が良いと思う。他の二人はまあこの程度でも良いだろう。

 後は二人が喋る会話シーンにて、お互いの台詞の再生タイミングが合わないという状況が何回かあった。

感  想  記憶を無くした主人公, 精神世界の探索, 異端のビジュアル, 恐怖イベント, 過去のトラウマの呼び覚まし等々、こういった要素を併せ持ったゲームは既にありきたりといった感が否めないのだが、ランダムな空間の接続やプレイヤーの選択要素などの独自性も持っている。パズルの面白さを売りにする路線では無さそうなので、ポイントは主人公の過去に起きた出来事にどんな物を揃えられるかが重要になる。それは精神的な恐怖感を与えられる様なタイプで、抑鬱・不安・陰惨・暗澹といった重く沈んだ気分を醸し出す物。このデモにも一部含まれているが、それの様にモラルとして困難な決断を迫られる選択肢を設けるというのも効果的である。

 またホラー物だとリプレイ性を生み出すのが難しい為、マルチエンディングというやり方も悪くない。ちょっと余談になるが単一のやり方でプレイヤーを怖がらせるゲーム(一体だけの敵に追い回される等)の場合、長時間それを続けても効果が薄れる為にそれ一発のゲームと割り切って「短時間で終わるが価格は安いゲーム」として売るという手法があったのだが、Steamの返金システムが確立してからは2時間以内で終わってしまうゲームというのが出し辛くなっているという事情がある。その意味でアマチュア制作の低予算ホラーゲームは特にその影響を受け易いのだが、リプレイ性を設けるというのは一つの解答に成り得る。

 会社自体はこれが最初のリリース作品とかでは無く、別のソフトなどの制作で経験は豊富な様だし、チーム人数も比較的多目なので品質としては期待出来そうな感じは持っている。


 現在の完成度: あと3〜4ヶ月位で完成する予定。

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