☆ RIDES WITH STRANGERS ☆
16/09/10 更新 | 目次 HOME |
製作/販売 | Reflect Studios 公式サイト STEAM GAME JOLT |
配布状況 | 2016/06/29にリリースされた、コンセプトデモとなる 1.0.3 (263MB) が最新バージョン。 更新頻度: 一般公開された物としては3番目のバージョン Steam Greenlightにエントリーして、既にGreenlitに到達している。 Kickstarterは$25,000の目標額に対して$32,524を集めて大きな成功を収めている。 配布の状況に関しては良く解らない面もあるが一応解説(バッカーしかアクセス出来ない情報頁が在るため)。まずKickstarterの開始と同時にアルファデモ版が同ページにて公開。その後アップデートも行われたが、かなりの評判になった事もあってわずか数日でデモが他のサイトにミラーされる様になってしまう。こうなるとKickstarterの頁にアクセスしてくれない可能性があるので意味が無いと判断し、デモの一般公開が停止される措置が採られた。その後はバッカーのみがアップデートされるデモにアクセス可能となる。そしてKickstarterの目標も達成されたので、6月に来て再度デモが一般公開されるようになったという経緯。 25ドルのV.I.P Passを購入したバッカーには週単位で最新情報が配布される他に、ゲームの最新版にもアクセス出来るとあるのだが、この公開版よりも新しい物が配布されているのかは判らない。 |
概 要 | Reflect Studiosはアメリカの会社で設立は2001年と古く、これまではWEBデザインやモバイルアプリの開発をやっていたのだが、2015年から一般的なゲームの開発に業務をシフト。既にSteamにてWelcome to the Gameをリリースしている。このRWSの開発メンバーは5人ほどの様だ。 ゲームのリリース日は全くの未定とされている。 現時点ではPCとMacに対応。Linuxはリクエスト次第。ストレッチゴールに到達したのでPS4, XBOX1でもリリースされる予定だが、対応はPC&Mac版の完成後から更に先になる可能性はある。 プレイヤーが操作する主人公はエノラ。自らの憧れる職業に就く為に必死の努力を重ねてきた彼女は、ある日応募していた目標の会社から面接の通知を受け取る。喜び勇んで目標の会社へと長距離ドライブに繰り出したが、果てしなく道路が続くだけという何も無い様な場所で車が故障して動かなくなってしまう。修理会社も翌日でなければ到着出来ないという返事で、翌日朝までに到達しなければならない約束のエノラは途方に暮れる。タクシーが走っている様な場所では無いし、既に陽も落ちて周囲に頼れるような家屋も存在しない様子。仕方なく彼女は決心して、最後の手段となるヒッチハイクで目的地を目指そうと考えたのだが....。 |
動作環境 | 必要環境は明らかにされていない。ファイル構成を見ると64bit OS限定ではない。 私の環境では特に動作に問題は感じられなかった。エンジンはUnityでランチャーが表示される形式なので、起動に問題があるケースでは窓化してみたりとかを試すしか無いだろう。 |
BASICS | 心霊現象に脅かされたりモンスターに追い掛けられたりといった定番のホラー要素に背を向けて、日常的な現実の出来事をテーマにしたホラーゲームを狙いとしている。そのテーマとして選択されたのがヒッチハイクで(日本では一般的とは言えないが)、ヒッチハイクにおける車中の不安や恐怖感をゲーム化しているのがユニークな点。 主人公はどうしても明日までに目的地に到着しないとならない事から夜間にヒッチハイクを試みるが、そこで遭遇する運転手=ストレンジャー達は全てある種の異常者という設定で、エノラはその魔の手から逃れないとならない。 製品版で登場するストレンジャーは計10名。まだ全員ではないが、神父, コンピューターオタク, ニンフォマニア, 探偵, 薬剤師, マザコン, 老婆等が公開されている。全員がエノラを襲う何等かの理由や衝動を持っており、それは殺害, 暴行, 誘拐, 監禁等様々。ただし何としてでも襲おうという考えでは無く、ヒッチハイクで偶然に拾った所から「それを実行に移そうか?」という考えを持ち始めている状態。 プレイヤーは物理的にストレンジャーを攻撃して襲撃を防ぐとかそういったゲームでは無く、エノラは会話により相手の精神状態を落ち着ける、もしくは行動を実行に移せないように監視するといった手段で対抗する。乗車する車のストレンジャーもゲーム側に決められるのでは無く、自分でヒッチハイクする相手は選択可能。 ストレッチゴール未達によりストレンジャーの数はデフォルトの10人に留まってしまったが、ゲームが売れれば新ストレンジャーを追加したDLCというのは当然期待出来る。 ・キーアサイン不可×, マウス感度設定不可×, 明るさ調整不可×, サウンドボリューム調整不可× ・難易度設定は2種類 ・会話の字幕は無し ・セーブは出来ない *一人称視点固定, FOV調整機能無し *インベントリー画面は無し *照準は特定の状況でのみ表示される *スプリントはあるが特に意味は無い。ジャンプ, 屈み操作無し。 ESCでゲームが終了してしまうので注意。 |
GAMEPLAY | ゲームのメカニズムを順に解説。まずは通過する車の中から自分がヒッチハイクする物を選ぶ事になるが、このデモではストレンジャーは神父一人だけなので選択に意味は無い。 1.道路際に立ってドライバーに自分を気付かせる(自分の姿のアイコン表示) 2.ズームして車に目のアイコンを合わせて白になるまで待つ 3.ヒッチハイクするならスペースバー押下でアイコンが緑色となり車が止まってくれる 4.助手席側のドアをUseして中を覗き込み運転者を確認 5.その車に乗り込むかどうかを決定する これ等は技術的に難しいとかでは無く単なる手続き的な操作に過ぎない。製品版でドライバーをえり好みするのに不利な要素が発生するのかは不明(時間が経過してしまう等)。 車に乗り込んだエノラが行える行動は、WASDキーにて視点を前後左右へと動かすというのが基本。幾つかのオブジェクトはマウスの左右ボタンで操作も行える。例えばラジオをオンにする等(デモでは壊れているが)。 ゲームをクリアする条件はシンプルで、画面左上にある「Distance Meter」をフルにすれば目的地点に到達した事になって成功となる。このデモでは特にエンディングのムービーなどは用意されていない。一方で失敗となるのはストレンジャーに襲われてしまった時である。 ストレンジャーに攻撃されない方法の基本は、Aキーで左を向いてストレンジャーを見続けるという行為になる。しかし見ている間は同じく画面左上にある「Sketch Meter」が上昇していき、このメーターがフルになるとその後はAキーで左を向く事が出来なくなる。 ストレンジャーは定期的にエノラに話し掛けて質問をして来る。そしてその間は多分襲われない様になっている。この質問の際に4個の選択肢が表示されて、タイマーが切れる前にその中のどれかを選択して返答しないとならない。正解を選べばストレンジャーの襲おうとする気持ちを低減させる事が出来るが(目に見えるメーターは無し)、返答を間違えるか制限時間に間に合わない場合には、逆に襲う方向へと気持ちを傾けてしまう事になる。 右側のドアにおいて窓を開けるという作業を行える。これで風を入れる事で精神的に落ち着くという風になり、「Sketch Meter」の値を下げる事が可能。しかしその代償として、質問に対する返答タイマーの制限時間が半分になってしまう。 同じくドアにて“Tuck And Roll”を選ぶ事で、走行中の車からドアを開けて飛び出し脱出する事が出来る。「Sketch Meter」がフルで危険だと判断した際などの非常手段。その後は別の車をヒッチハイクして「Distance Meter」は現在の状態から続行出来る。ただしこれは2回までしか使用出来ない(それ以上やるとゲームオーバー)。 道路向かって右側の“Speed Limit”の標識をクリックし続ける事で、その間は車のスピードがアップして「Distance Meter」の進みが早くなる。標識を一つでも見逃すと定速に戻り、再度クリックに成功すればまた速度が速くなる。ただしスピードが上昇している間は“Tuck And Roll”による脱出が出来なくなるという欠点あり。また標識を見逃さない様に正面を見続ける事は危険ともなる。 難易度Suicideは“Tuck And Roll”や窓開けが禁止された高難易度モード。よって質問に正確に答え続ける事で時間を延ばすしかない。 実際のプレイ感だが、当然ながら完全に安全となるストレンジャーを見続けるという行為は、「Sketch Meter」の上昇がかなり早い為に短時間しか使う事が出来ない。回数限定で脱出は許されているのでそれは利用するべきなのだが、それをフルに活用したとしてもストレンジャーを直視可能な時間は相当に短く設定されているという感想。つまり質問に正確に応えつつ、相手を見ない状態を長時間乗り切らないとクリアは出来ないバランス。 質問への返答は4択で、どれが正解なのかは何とも言えない。無難, 弱気, 強気といった感じで返答が並んでいるが、無難に相手を怒らせない様な返答を選んでおけば良いという単純な物なのか? ストレンジャーにはそれぞれに精神タイプが設定されているので、それに合わせて適切な物が決まるという設定なのかも知れない。 今現在どれだけ危険なのかを知る方法は無い為、襲われる時はいきなり襲われる。なので質問が行われている安全な時間帯以外は危険となるが、左側を見る事は短時間しか出来ない。そこでチラチラと見ながら耐える他にないのだが、この「今この瞬間にでも襲われるかもしれない」という緊張感がたまらなく怖い。手に汗握るとは正にこの事で物凄いプレッシャーとなり、他の一般的なホラーゲームとは別種の怖さを生み出しているという点でも高評価出来る。心霊現象やモンスターに頼らないホラーゲームという狙いは見事に成功していると言えよう。 その不気味な怖さに貢献しているのがデモに登場するストレンジャーである“The Father(神父)”で、もうこのキャラクターを持って来た時点で「勝ち」という圧倒的なインパクト。設定としては外面は普通の神父だが、変態的な少年愛嗜好を持った異常者で、既に子供を含んだ人間を多数殺害しているサイコパス。実際に今もその仕事を実行中にエノラを拾ったという設定の様だ。話し方のトーンは落ち着いており物腰は柔らかなのだが、とんでもない事を話し出したりと「自分が狂っているという自覚が全く無い精神異常者」として強烈な印象を残すキャラクターである。 襲撃のシステム関してはどういう仕組みなのかという詳細は情報が無いので解らず。可能性の一つは単純に「質問への正解は固定」という方式で、仮に襲撃するかどうかを決めるパラメーターを襲撃メーターと名付けるなら、正解するとメーターが減り、不正解だとメーターが上昇。そして(左を向いていない際に)それが一杯に達してしまったら襲われるというシステム。これだと質問の正解が解ってしまった時点でお終いとなり、それが10人分クリアの時点でゲーム全体が終了という事になる。高額予算でボリュームタップリというゲームでは無さそうだし、そこそこの価格で10時間弱程度遊べるという設定ならばそれでも別に問題は無いだろう。 リプレイ性を高めるならば、例えば襲撃メーターをプラス側(強気, 安心)とマイナス側(不安, パニック)の両方に振れる様にしておいて、そのどちら側かに振り切れてしまうとアウトとする。もしプラス側に大きく振れている状態で質問に対して弱気に答えるとメーターが更にプラス側に振れて襲われるが、強気に言い返すと相手が怯んでメーターがマイナス側へと戻されて安定する。逆にマイナス側に大きく寄っている際に強気で応答するとパニックに陥って襲って来るが、弱気に応答すると落ち着きを取り戻して安定する。こんな感じで質問への正解は状況によって変わるようにして、長時間リプレイで遊べる様にするという方式の可能性もある。 残念ながら現時点では非常に大きな問題が一つ存在している。それはゲーム自体の問題では無くて、対応言語が英語だけという点である。現在の仕様は質問には字幕が表示されず、4択の返答は同時に画面に表示されるという形式。しかしこの返答を制限時間内に行わないとならないという条件で、その猶予時間はネイティブの人でも焦るという程度に設定されている。従って英語が堪能な人でもない限りは返答時間が足りない。私も間に合わないので、その点に関しては100%の状態で楽しめたとは言えない。 とりあえずデモでは質問の順番は固定らしいので、1回ではなく2回で全選択肢を読み取るように分割するとか、質問表示時にSSを撮影しておいて幾つかまとまったら一旦終了し、事前に何番を答えるかを全部決めておいてからゲームを再開するといった手法で対応するしかない。 |
GRAPHICS & SOUND |
グラフィックスはUnityのデフォルトランチャーの設定のみ。しかも選択出来るのは2種類だけである。 集めた資金は10人のストレンジャーのモデリングと(フェイシャル)アニメーションに大半が費やされる様で、低予算だしそれで正解と思う。車のディテールや背景オブジェクト類のグラフィックスはテクスチャーも粗くて大した事が無いが、そこに予算を割けないのならばこのデモ程度の低レベルのままでも良いだろう。 3Dサウンド無し。ボイスはありで、このデモの神父については声優のセレクションやその出来は非常に良い。 |
感 想 | 発売時点で日本語対応ならば即買い。今年プレイしたデモ系のゲームの中でも有数の面白さで、且つ傑作になりそうな期待感を持っている。悩ましいのはその日本語対応の件で、将来的に日本語に対応するのかどうかなどは発売時点ではまず解らないと考えられる。問題は上にちょっと書いたリプレイ性の絡みで、質問への答えが固定方式の場合、答えが解った時点で実質ほぼゲームは終わってしまう。そうなるとそれから日本語対応したからとプレイしても、面白さは相当減退した状態にならざるを得ない。つまり日本語対応するのかが解らないのならば先に英語版の状態でプレイするのもアリだが、その場合には質問に時間内に答えるというパートはちゃんとプレイ出来ない為に面白さが損なわれるのを覚悟しないとならないし、その後日本語対応しても楽しめない可能性が高い。かと言って実現するのかも判らない日本語対応を待ってプレイを保留し続けるというのもどうなのかというやり辛さがある。 コンソール版も発売予定に入っているし、いっそのこと日本のどこかの大手パブリッシャーが権利を取得して完全日本語版を出そうとか考えないかな?とも期待している。ストレンジャーの語りが非常に重要なので、彼等に適した実力のある日本人声優を採用してボイスも日本語化するのが理想的。日本ではヒッチハイクという行為が一般的では無いので「実生活に則した恐怖」という面では欧米に比べて弱いが、それでもこれは日本人ゲーマーにも受ける様に思える。 やはり最重要となるのは他のストレンジャーの出来栄えである。このデモの神父が非常に良い出来だけにハードルは高い。対戦マルチプレイゲームにありがちなケースとして、デモとして最初にリリースされたマップの面白さを超える物が製品版には収録されていないというのがあるが、そんな風にならないように願いたい。 現在の完成度: 具体的な時期は未定とされているが2017年になりそうな気配である。 |
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