☆ RAVENFIELD ☆

17/04/06 更新 目次          HOME
製作/販売 SteelRaven7        公式サイト     STEAM     itch.io     Game Jolt
配布状況  2016/12/09にリリースされた Beta 5 hotfix 1 (61MB) が最新バージョン。

 更新頻度: 少なくとも5回はアップデートされている

 Steam Greenlightにエントリーして、既にGreenlitに到達している。

 公式サイトは簡素であり、更新情報は主にTwitterで行われている。

 現在はテスト用デモをフリーで配布中。正式販売時の予定価格は$12〜15程度とされている。

概  要  スウェーデンのSteelRaven7が開発。現時点では個人制作のプロジェクトである。過去に幾つかフリーゲームを公開しているが、これが最初の商業プロジェクトとなる。

 プラットフォームはWindows, Mac, Linux。リリース予定日はまだハッキリしていない。4〜6週間を目処にして大幅なアップデートを行うつもりとしているが現時点では停滞中。Steamでは早期アクセスを経てからの正規発売になる可能性も在り。

 既にダウンロード数が100万を超える大変な人気かつ有名タイトル。Greenlightの方もたった六日で賛成が2万票(全体で2位)を超えたそうで早々にクリアしている。

 ※以下のトレーラーは次回以降のアップデート分の内容を含んでいる(現在未実装のコンテンツが結構あり)

動作環境  細かい必要環境は明らかにされていない。ただし相当低速なマシンでも動くというのを特徴の一つにしており、シンプルにDX9互換のビデオカード(チップ)があれば動くとしている。対応OSはWindows XP SP2+, Mac OS X 10.8+, Ubuntu 12.04+, SteamOS+。

 制作はUnity。バグはともかくとして動作上の不安定さなどは特に無いようである。私の環境でも問題無く動いていた。

BASICS  見た目で想像が付くと思うが、Battlefieldシリーズに代表される大人数対戦系FPSゲーム。いわゆるコンクエストモードをメインにしており、拠点の確保と敵兵士を倒す事でポイントを得るという基本的なルールは変わらない。ただし重要な特徴としてこのゲームはシングルプレイ専用としてデザインされている。マルチプレイには対応する予定もない。基本コンセプトとしては、オフラインで大量のbotを入れてプレイ出来るカジュアルなコンクエスト系FPSとなり、初心者層から気軽に楽しめるというのを売りにしている。

 同系の有料ゲームでもオフラインでBotをサポートしている物はあるし、金が掛かっている分そちらの方がいろいろと中身が多くて豪勢。また近年の物でないならば価格も既に相当安い。だったらそういったゲームで良いのでは?という考え方もある。ところがそれには大きな問題が存在しており、オンラインの対戦FPSでは運営側のデータ管理による「XPを稼いでランクアップ&各種アンロック」というシステムがかなり前から定着している故に、購入していきなりオフラインでプレイしようとしてもほとんどの武器やアイテムにアクセスする事が出来ない。アンロックの為には公式のランクサーバーに接続して長時間のプレイを要求されるので、完全なソロ向きでは無いのである。このRavenfieldの様に最初から全ての武器やアイテムにアクセス可能というタイプは今では珍しく、同様のゲームは大手の高額予算物であっても相当昔の作品となるので、個人制作のレベルではあるがその時代の差の分だけ十分に対抗も可能と言えるだろう。

 シングルプレイ用に特化している分だけAI兵士の能力は大変に重要視されている。この点も大手の作品の方が担当プログラマーが多かったりと優位なのは確かだが、上記の様に昔のゲームに比較するとCPUの性能も2コア時代に比べて今は4コア以上が普通となり、それを考慮に入れた上での最適化に関しては今の方が有利という利点はあり。


 プレイヤーはBlueチーム固定(いずれアップデートでRedも選択可能になる)。Botの数はデフォルトでは50人だが、設定に制限は無く「PCが処理出来る限界まで」とされている。キャラクターモデルはローポリゴンの原始的な物だが、これにはリアルな物は制作が大変というのに加えて、大量に出現させた際の描画負荷を下げるという意味合いも持っている(ただしキャラクターモデルはアップグレード予定)。

 コンクエストモードがメインでルールにも特別に変わっている点は無い。マップ内の5〜6個の拠点を制圧して旗を掲げればそこが味方のスポーンポイントとして確保される。勝利の為には画面上の勢力ゲージを押し切る必要があり、相手を倒すとそれに確保拠点数を掛けたポイントを得られて、これで指定されている点差(デフォルトでは200)を付ければ勝利。もしくは全拠点を同時に確保しても勝利となる。

 マップはまだ2種類のみ。モードは他にアサルトモードを用意。ルール面では、ナイトモード, マップ反転, ビークル無しを設定出来る。

 今後実装予定な機能の一部を紹介。

・キャンペーンモード(進行マップ選択方式)
・分隊システム
・AIへの指示コマンド
・カスタムマップ作成機能


・キーアサイン可(ランチャーのみ), マウス感度設定可○, 明るさ調整不可×, サウンドボリューム調整可○
・難易度設定はEasyとChallenge。その他にBotのバランス(数)をスライダーで調整可能。

 キーの設定はランチャーにて可能だが全てでは無く、またゲーム内には操作キーの一覧が無いので注意。
 F=Use Enter=Loadout M=Map K=Suicide O=ステータス Capslock=超スローモーション Shift+CapsLock=スローモーション


*一人称視点固定, FOV調整機能あり
*照準無し
*スプリント○, ジャンプ○, 屈み○, 左右へのリーン○
*マップ表示機能有り


GAMEPLAY  基本武器は現在まだ5種類と少な目。アイテム類はスロット制で通常の物は幾つか持てるが、ロケットランチャー系を携帯するとスロットが複数埋まってしまう。グレネード類やナイトビジョンの他にメディキットと弾薬パックをアイテムとして選択可能で、これ等は戦場に捲いて自分用や他のBotに拾わせたり出来る。新しいバージョンではレンチが追加されており、これで味方のビークルを修理可能となった。

 ビークル類は現行版では戦車, ヘリ, ジープ, バイク, ボートを用意。複数人で乗れる物&攻撃兵器が備え付けられている物も在る。初期設置の物が破壊されると、しばらくして拠点に自動的にリスポーンするシステム。ヘリ操作方法は2種類用意されており、更に細かくカスタマイズも可能。操作難易度はあまり高くしないという方針だが、それでも慣れるまでには時間が掛かりそう。

 マップ表示は可能だが押している間だけ全体マップが表示される方式なので、常時表示のミニマップ機能が欲しいところ。リスポーン地点はこのマップ上でクリックして選択する。

 初期弾薬は少な目なので長い時間生き残ると足りなくなる傾向にあるが、現状部隊制ではないので弾薬配給役が近くに居ないというケースが多い。その場合ポイントがマイナスになるが自殺した方が早いとも言える。

 アイアンサイトに切り替え可能で、それでもリコイルはそこそこ生じる。ただ弾はあまりブレずに着弾するという印象(アクション寄り)。ヘッドショットの判定はある模様。ピストルはデフォルトで所持している。

 FF有りで切り替え設定無し。通常は判別に困らないが、夜間モードにすると色の区別が判り辛くなる。


 一般的な大人数対戦型ゲームに比較してプレイ感が異なる点としては、第一に両軍の色分けから非常に居場所が判別し易いというのが挙げられる。グラフィックスがリアル寄りのゲームでは(迷彩)軍服が周囲に溶け込んで居場所が瞬間的には解り難いケースがあり、それをどれだけ素早く見付けられるかというのが先制攻撃の為には重要となるが、このゲームでは体を隠してリーンで攻撃していようが即座にその色で存在が丸判りとなるので(1on1の対戦FPSにおけるブライトスキンと同様)、バランスとしてはリアクション速度重視の激しい撃ち合い系となっている。通常はAIに背景と兵士をどれだけ早く見分ける能力を持たせるかが難しい所だが、その辺を考慮する必要が無いというのは利点。

 第二に死亡後に流血やゴアの代わりにその色がデカールとして残される為に、遠くからでも現在激しい戦闘が行われている場所、及びそこではどちらの軍がより多く死亡しているのかが一目で判断出来るようになっている。特にヘリからの視点では便利。

 第三にコミカルな印象のラグドールを導入しており、リアル寄りのゲームに比較してラグドールの演出が派手。自分自身も攻撃を受けて飛ばされるとしばらくはゴロゴロと転がってしまい、そこから起き上がるまでは操作が効かなくなる。よってラグドール状態になった敵が死んでいるとは限らない為に、転がって止まったら撃ってトドメを刺すというのも大事である。


 シングルプレイ専用という事でAIが極めて重要となるのは必然だが、その出来映えに関しては良い点もまだまだな点もある。射撃精度は難易度設定によって変わるが、Challengeにて特に不自然な精度という印象は受けない。一方でEasyではやはり弱い(反応が遅い)ので、中間の難易度を増やした方が万人向けとなって良いだろう。ただ大人数対戦物なので1対1での勝負というケースは少なく、あまり単一のAI精度にこだわる必要は無いとも言える(集団行動時の能力を高める方が理想)。

 ビークルの操作などは、車両が空いているのならば積極的に集団で乗り込んでいち早く移動という風にちゃんと使ってくる。ヘリや戦車の扱いも結構まともで、単に設定済みルートを通るだけがメインの車両系に比較していろいろと状況に応じて動きながら攻撃しないとならない訳だが、その辺もある程度はこなせるという印象。

 歩兵は攻撃時に障害物からリーンして攻撃をしたり、メディキットなどを捲いたりはちゃんと出来る。ただしスタックするケースも見受けられるし、現状では分隊システムが未実装なので、皆設定済みのウェイポイントを通って移動する傾向が強く、数が多いと不自然な感は否めない。これは分隊システムの導入と合わせて次回にでも修正予定。それとまだ指示が出せないので自分一人で移動するしか無く、狙いたい地点に人数を集中させるといった作戦行動が採れないのは残念。

 Botの数には制限は無いが、CPUとGPUの負荷の双方を考えて指定しないとならない。私の環境では512人を指定しても何とか動いたが、拠点に集中してスポーンした際(特にアサルトモード)などはCPUではなく描画負荷的にカクカクになってしまった。それと多人数にするほど各人の処理が細切れとなり、反応速度の遅れなどが発生する恐れが増加するのである程度で止めておいた方が無難。

GRAPHICS
&
SOUND
 Unityを使用。クオリティのプリセットは6種。他に個別設定項目も少し有り。グラフィックスは軽さ重視というのもあって特に優れているという所は無し。しかしこの容量と軽さを考えれば、このレベルのクオリティであっても優秀とも評価出来る。

 新キャラクターモデルはまだ導入されておらず、現行版では四角張ったままの単純なモデルである。これは兵器類も一緒。製作負荷を大幅に減らせるし、グラフィックスは非リアル路線という事でも特に欠点にはならないであろう。

 3Dサウンド無しだがこれは導入して欲しい点。ボイスも無し。銃声などの種類はまだ少ないが、小気味良い感じのサウンドで悪くはない。

感  想  今後どの程度まで発展するのかは解らないが、現時点のバージョンでも結構遊べるという感想。マップや武器を増やしてキャンペーンモードを実装さえすれば、現行のAI程度でも相当遊べそうである。これで分隊システムのAIが上手く機能するなら相当な傑作になる可能性も秘めている。

 シングルプレイ専用という点で大手パブリッシャーからのゲームでは有り得ない選択とも言えるし、アマチュアのゲームであっても同系の大人数対戦物はほぼ100%オンライン専用という時代。その意味ではお馴染みのコンクエスト系FPSではあるが、非常にユニークなアプローチのゲームである。オンラインで人間相手に戦ってこそと考える人には全く無意味なゲームであってユーザーを選ぶとは言えるが、既に大多数のファンが付いているし見事に成功を収めている。この様に低予算故にターゲットを絞って制作するというのはアマチュア作品らしい所でもある。

 オフラインオンリーという仕様に抵抗が無いならプレイしてみて欲しい作品。ただ急がずにもうちょっとアップデートされてからでも良いかも知れない。


 現在の完成度: 具体的な完成予定時期は不明。既にGreenlitなのでSteamにて早期アクセスを始めるのは今からでも可能だが、完成度を高めてからとなるとまだ結構掛かるというケースも考えられる。

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