☆ SHADOW OVER ISOLATION ☆

17/06/06 更新 目次          HOME
製作/販売 Naughty Shinobi / Forever Entertainment S. A.      公式サイト      STEAM     INDIE DB
配布状況  2017/05/22にリリースされた BETA (00002a) が最新バージョン。Steamを通してのみダウンロードが可能。

 更新頻度: Steamでは初のリリースだが、一年以上前となるが無料でコンセプトデモをリリースしていた(途中でパブリッシャーと契約したのもあって削除された)。

 2015年からPatreonでクラウドファンディングを行っていたが、パブリッシャーと契約したので現在は行われていない。

 現時点ではデモは無料で一般公開されている。リリース時に早期アクセスが行われるのかは定かでない。

概  要  Naughty Shinobiはロサンゼルスのインディーズ会社で3人組。その他にも人を雇って制作している。過去にはフリーゲームを出した経歴はあるが、有料製品版としてはこれがデビュー作となる。Forever Entertainmentはポーランドのパブリッシャーだがアジア地域、特に日本と中国をメイン市場として活動している。よって日本語対応も可能性としてはありえる。

 プラットフォームはWindows, Mac, Linux。2017年前半発売予定。


 舞台は1984年、ジョージア州Kapra County(郡)。主人公のRyan Kappelは17年振りに地元へと帰郷していた。彼の居ない間にKapraではいろいろと変化が生じており、Baphomet Corpという得体の知れない会社が地域を支配し、地下を掘り起こしたりと謎の作業を行っていたらしい。そして彼の叔父がその作業に関わっていた様なのだが、叔母に聞いても何も答えてくれない。その謎を探るうちに彼は秘められた禁断の過去に触れる事になって、自らの命の危険にも曝される事になる。


動作環境
  必要環境 推奨環境
OS Windows 7 -
CPU Dual core from Intel or AMD at 2.8 GHz -
MEMORY 6 GB -
VIDEO GeForce 670, Radeaon HD7950/R7 370 -
SOUND DirectX 互換 同左

DirectX 11以上要

 特に記載は無いがメモリ容量からして64bitOSが必須と考えられる。


 このデモ版は非常に重いという問題あり(私の環境でもそうだし他の人も言及している)。モンスター級のPCならばともかく、相当設定を下げないと十分なフレームレートを出せない。あるいは素早い操作を要求される様なシーンは無いので、重くても画質優先で我慢するかになる。


 Resolution Scaleの設定が変になる事があった。100%に設定後に再度オプションに入ると別の値に変化していたり、マイナスの巨大な値(無限大?)を示していたりと安定しない。もしかすると上記の重さに関連している可能性もあり(設定値が変になっていて)。固定するには、まず各種画質設定をしてから一度ゲームを起動させて終了。

 その後に  C:\Users\[ユーザー名]\AppData\Local\UEProject\Saved\Config\WindowsNoEditor の中の GameUserSettings.ini を開いて sg.ResolutionQuality の値を以下の例の様に“100”等の望む値に設定。その後プロパティから読み取り専用に指定して上書き出来ないようにする。(注意点として普通はゲーム名であるフォルダ名が UEProject とデフォルトらしき名称になっており、もし他にもデフォルトのままのゲームが在ったらお互いに上書きが発生する恐れあり)。

[ScalabilityGroups]
sg.AntiAliasingQuality=3
sg.EffectsQuality=3
sg.ResolutionQuality=100
sg.FoliageQuality=3

BASICS  タイトルからして連想される通りにH.P.ラヴクラフトの影響を受けたアドベンチャー系ホラーゲーム。ただし他の多くのラブクラフトがテーマとなるゲームの様に、原作の設定を用いたり(『Shadow Over Innsmouth(インスマウスの影)』, 『At The Mountains of Madness(狂気の山脈にて)』等)、忠実にクトゥルフ神話の雰囲気をなぞったりしているゲームでは無いと強調している。独自路線としてスタンリー・キューブリックの影響(ビジュアル&サウンド)も反映させたいそうで、これを探索型の一人称視点での3Dアドベンチャーとし、ストーリー面ではクトゥルフ神話的な内容を扱うゲームとなる。

 デザインとしては暗さを排除して明るくカラフルなイメージを大部分で採用。クトゥルフ神話をテーマにしたゲームにおいて定番となる、延々と続くダークな雰囲気, モンスターの出現, モノトーンの暗いビジュアル, ウォーキングシミュレーター的なゲーム性、といった要素を重要視していない。


 メインストーリーは4時間程度を想定。しかしオプションとして設けられたミッションの達成や、同じく探索するかは自由となっているエリアも存在。またその他の背景データを集めてより深くストーリーを堪能するとなればもっと長く楽しめる。

 基本的には謎解きで進めて行くが、パートによっては銃器による戦闘要素を含んでいる。ステルス的なプレイを含むのかは不明。


・キーアサイン不可×, マウス感度設定不可×, 明るさ調整不可×, サウンドボリューム調整不可×
・難易度設定無し
・字幕無し
・セーブ機能は無さそう(デモにはゲームオーバーの概念が無いので特に意味は無いのだが)


*一人称視点固定, FOV調整機能無し
*インベントリー画面有り
*照準有り
*スプリント○, 屈み○, ジャンプ×
*コントローラー対応(デモでは未検証)

 現在のオブジェクティブはノートに記載される方式。プライマリーとオプション達成に分かれて自動的に更新される。達成事項のステータス表示もあり。同じくマップも入手すれば参照可能になる様である。

GAMEPLAY  このデモはDay2と5の各一部分をプレイ可能でボリュームとしては短い。内容的には以前リリースされていたプロトタイプと変わらず、これにはちょっと失望させられた。よって以前のバージョンをプレイ済みの方はこれをプレイする意味はほぼ無い。


 インターフェース系はアドベンチャーゲーム風で、インタラクト可能な物にはそれに応じたアイコン(開けられる, ロックされている等)が表示されるので判り易い。インベントリー画面ではアイテム類を組み合わせて新たなアイテムを制作したりが可能。

 気になったのはFPPにおける表示で、リアルな動きを実現しようとしているのだと想像するが、頭部(視点)がやけに派手に動き回るという印象。ここまで大袈裟にしなくてもという感じで、むしろ邪魔である。例えばドアを開けようとすると視点がノブの方に動いてから開けるモーションが入り、中に入ると視点が揺れながら元に戻るという風にして、首をブンブンと振り回しながら移動しているかの様な動きを見せる。ついでに書いておくとその際になぜかローディングが入るという仕様。外に出る時の様にシーンが切り替わるのならまだ解るが、屋内のドアを開けて小部屋に入る際にもこのローディングが発生する。


 最初のマップは叔母の家の屋内とその周囲で特に広くは無いが、クリアには関係の無いエリアにも入れるという設定である程度は自由に動ける。しかし透明な壁で塞がれていたりもありで開放的とまではいかない。

 パズルを解いたりして進める形式になっているが、デモ内ではその数は3つと少ない。純粋なパズル(ライツアウト), 鍵の掛かった扉開けの為のアイテム探し等, 電力計算パズルで、内容的にはそれほど面白い物では無かった。もちろんこれだけでは判断出来ないが、本編のパズルのクオリティがどうなのか心配になるという感は否めない。そもそもテーマ的にこういった「純粋パズル」系の謎解きはマッチしないという気がする。なお全てそうなのかは判らないが、パズル画面にはその内容を説明する一種のヒント機能が付いており、視たければクリックして参照が可能である。

 唯一扉開けはゲームが特徴としている「パズル(障害)の解法が複数存在する」という要素の実例として、デモにおけるサンプル的な意味での評価は出来る。ここの鍵開けは全然違った2つの方法で解決する事が可能。


 二番目のマップは地下世界となり、こちらは単なるイントロ的な内容。数分歩くだけで特に何もせずに終わってしまう。メインはアドベンチャーゲーム的な謎解きで、幾つかのマップではホラーイベントを含むという構成だと考えられるが、ホラー系マップでの行動様式(戦闘メインなのか、追っ手から逃走するタイプなのか)は不明である。



 このゲームで面白い点(このデモにおいては実質そこしか面白くないという点)とはGrey Matter Modeの存在である。ただしより正確には「上手く使えれば面白そうなシステム」というべきか。これは様々な要素を含むので順に解説する。

 まずはビジュアル的なガイド機能。スペースバーを押すとこのGMMへと入り、モノクロ風の画面に切り替わる。使用は無制限で幾らでもオンに出来る。ここではプレイヤーがインタラクト可能な所がハイライトされる上に、緑ならば開けられる、赤なら開けられるが鍵が掛かっている等で今は開けられないといった所まで色別に判別する事が可能。

 次にパズルにおけるヒント?機能。あるパズルではこのGMMを使って表示される必要な情報を得ないと解く事が出来ない。

 主人公の考えがオブジェクトにテキストや画像として投影される機能を持つ。これはそのオブジェクトに関連する独白(心の声)からの情報だったり、現在の心理状況であったりもする。普通だと所持しているノートに主人公の現在の心理や目標が書き込まれて、それをプレイヤーが読んで理解するという形式だが、GMMモードによりダイレクトにそれを読める様になっている。一方でそれが読める場所でオンにしないと見落とす恐れがあるという事になる。

 最後にその場所で起きた過去の出来事らしき残像が見える。そして条件は不明だが、その見え方が変化するケースもあり。


 以上の特徴から主人公の認識機能というよりも超能力的な何かという可能性もある。この辺は何も解説が無いので判らない。そうではないならプレイヤーへのメタ視点からのガイド機能という意味になるのだろう。

 使われ方としては微妙な面も持っており、例として先に書いた二つの解法があるというケースでは、その鍵の部分でその二つの解決法とは何なのか、それ等に必要なアイテムはそれぞれどの辺に在ったかを、主人公のイメージ記憶をそのまま投影するかの様な形で視る事が出来るようになっており、ヒントとしてみるならあまりにも露骨(簡単)過ぎないかという感もある。ヒント機能と割り切るならば使わないという手もあるが、重要な情報を見落とす危険があるとなれば使って行くしかない。この辺はヒントに使うケースではどの程度まで表示するかを設定出来ると良いかもしれない。

 しかし自由にどこにでも主人公の心理を投影出来たりするという機能は使い方によっては面白い演出が可能だし、特にホラー系のシーンではユニークな手法もありそうである。デモの冒頭シーンの様に背景設定などをプレイヤーに向けて解説する際にも役立つ。情報をテキストだけで読ませるのはシンプル過ぎるが、ムービーを見せるというも大袈裟過ぎるというケースで、ゲーム画面のままでビジュアル的により解り易く見せる事も可能になる。あるいは没入感を高める為にHUDレスのデザインにしたいが、そうなると十分に必要が情報が伝えられないというデメリットを自然に解決する方法としても使えるだろう。それとヒント機能にしても、広いマップでどこがインタラクト出来るのかを逐一調べなくても良いというのはある意味では優秀な機能となる(アドベンチャーゲームのコミュニティでも、インタラクト可能なオブジェクト類を表示可能にする機能を用意するかどうかは議論が多い)。

GRAPHICS
&
SOUND
 Unreal Engine 4を使用。クオリティのプリセットは無し。個別設定項目は7項目。

 紹介した通りにクトゥルフ物としては珍しく、明るくカラフルなビジュアルを使用している。特別では無いがインディーズゲームとしては綺麗な部類だろう。問題はブラーエフェクトが強過ぎる事で、設定を下げない限りは視点を動かすだけで周囲の景色がブレるという位に効果が発生してしまう。後は視界がオブジェクトを透過してしまうクリッピングのエラーもよく起きていた。


 ちゃんと3Dサウンド対応なのは良い点。ボイスありでこれも良い部類。全体的に音数は少な目で、これは静かな郊外という設定や、危機的なホラーイベントが含まれないといった観点からしょうがないとも言える。

感  想  クトゥルフ神話を題材にしたゲームは好みなのだが、これはアプローチやデザインがダーク&ホラー面を強調している多数派の作品とは異なっており、その点では大いに興味を惹かれるゲームである。デモだけだとGMM以外は面白いとは言えないが、製品版には期待したいと考えている。ただし全体的にどういった感じの内容なのかは未だに良く解らない状況でもあり、特にストーリーは重要となるがその辺はほとんど情報が無い。

 現状テクニカル的には幾つか問題を抱えているというのは難点であり、視点の激しい移動やブラーエフェクトはともかくとして重さの方は早急に何とかするべき。

 このデモはホラー的な内容はほとんど無いので、(3D系を含めた)アドベンチャーゲームのファン向けとなる。


 現在の完成度: 2017年前半発売予定とあるが、もう既に最後の6月なので本当に出るのか微妙。このまま出しても不味いという気がするし、もっとゆっくり構えても良さそう。

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