☆ WISHFUL LIE ☆

14/12/29 更新 目次          HOME
製作/販売 Player 1 Games        公式サイト      STEAM     ダウンロード
配布状況  2012/01/31にリリースされた FMNA-Gold(427MB) が最新バージョン。公式サイトは現在機能していない様なのでfacebookの方をリンクしておく。だがこちらも2014/03以降は更新されていない。

 更新頻度: 初回リリース後にパッチを適用した物がGoldバージョンで、以降は更新されていない。

 Steam Greenlightにて既にGreenlitに到達している。現時点ではプロトタイプとなる無料デモしか存在していない。

概  要  Vancouver Film School Game Design programに属する4人が学校内でのプロジェクトとして共同で制作し始めたゲームで、最初のタイトルはForget Me Not Annie。2012/09にタイトルを現在の物に変更している(権利関係の理由から)。

 プロジェクトのスタートは2011年と結構前であり、リリース後数ヶ月で10万を超えるダウンロード数という好評なリアクションを受けた。そこで製品版として完成度の高い長編物に作り直すとして、2012年中にはゲーム会社を立ち上げての活動が始まっている。しかし理由は不明だが2013年にはほとんど音沙汰が無くなり、ようやく2014年になって活動を再開。Kickstarterにて資金募集を行うが大きな失敗に終わり、その後別の資金集めルートを模索中という所から再びアナウンスが途絶えている。

 完成時にはSteam等で販売するが、コストは$10以下と安く抑えられる予定。



動作環境 Operating System: Windows XP / 7
Processor: Intel Core 2 DUO / AMD Anthlon 64 x2
Memory: 2GB
Video Card: DirectX 9.0c compatible (from NVIDIA 7900GT)

 このデモはUDKを使用。制作中の製品版ではUnityを使用しており、Windows, Mac, Linuxのマルチプラットフォーム対応になる。

 
BASICS  ここで紹介しているデモは2年前のプロトタイプなので、先に現在制作中の製品版の内容について公開されている範囲で説明しておく。

 主人公はリリーという名の少女で、強度の精神障害という認定で精神病院に入れられている。舞台となる1920年代はまだ薬による療法が確立されておらず、現在から見ると非常に残酷で暴力的、もしくは異常性を感じさせる治療も行われていた時代でもあり、ゲーム内の雰囲気は陰惨でダークな物となっている。彼女が行動するのは精神的な幻覚世界がメインとなり、病院だけではなく街などのロケーションも登場するし、過去の記憶の中の学校や自宅なども訪問する事になる。精神世界なので超常現象の類が発生したりするし、モンスター等の敵も現れたりする。

 ホラーゲームではあるが突然驚かせるビックリ系の要素は控え目となり、サイコロジカルホラーとして精神的, ストーリー的な恐怖感を重視する姿勢。当時の精神病院内での残酷な治療風景もそれに含まれるし、探索を進めるに連れて過去の彼女にまつわる恐ろしい真相が徐々に明らかになっていくという構成。進行時の選択に応じてゲーム内世界が変貌するという要素も持っている。

 最大の特徴は操作可能な主人公が二人居るという点で、リリーの他に彼女のぬいぐるみであるハワードを操作する事も出来るようになっている。ハワードは精神世界内では人間大の大きさにもなるちょっと不気味なデザインのテディベアで、リリーと会話したりも可能。そして状況に応じて操作対象を切り替えられる。例えばモンスターに襲われた際に、リリーだと逃げる能力に長けているのでそれを使っても良いし、ハワードは戦闘能力を持つのでそれで戦って倒しても良いといった具合。ただし逃走(ステルス)ゲーの色が強いそうなので、切り替えはシーンに応じて制限されていると考えられる。

 パズル要素も相当強く、能力の異なる二人を切り替えながら障害を乗り切るというケースが多々用意されている。プレイ時間としては10時間程度のボリュームを予定。


 次に以下ではForget Me Not Annieのデモ版の方を紹介していく。名称の通りにこちらでは主人公の少女の名前はアニー。ハワードは登場するが、上記の新システムは導入されていない。

・キーアサイン不可, マウス感度設定不可, 明るさ調整不可, サウンドボリューム調整不可
・難易度設定無し
・字幕は無し(チュートリアル説明文のみ表示)

 メニュー画面上にマウスカーソルが表示されず、更に各項目への切り替わり表示がやや判別し辛いため、カーソルキーで行った方が確実。キーのアサインは不可だが、コントローラーとの操作切り替えは可能。操作キー一覧はCTRL押下で画面に表示される。

 セーブ機能は無し。メニュー画面から各チャプターを選択して始められるのでそれでリプレイする形式。


*一人称視点固定
*インベントリー画面は無し
*スプリント, ジャンプは出来ない。屈みは可能。

GAMEPLAY  どれだけパズルで詰まるかにもよるが、1時間程度はプレイ出来るだろう。

 デモにはホラー要素はそれ程含まれていない。そのホラーではビックリ系がたまに出て来るが、それよりもストーリーの怖さや雰囲気の不気味さを重視している。そしてその怖さという面では成功しているという印象。特に一見すると頼りになる味方に見えるハワードのキャラクターが秀逸。彼は本当に彼女の味方なのか? このデモではハッキリと結論は出ずに終わるが不気味な存在となっている。なお制作中の新バージョンでも在り来たりなビックリ系をメインとする様なゲームにはしないとコメントしているので、このストーリーや雰囲気で怖がらせるという傾向は引き継がれるはずである。


 大半の時間を費やすと思われるのがパズルの方で、このデモはある種のルールに則ったパズルゲームと言っても良い位である。基本としてアニーは精神世界内では念力を使える設定で、LMBでアイテムを掴んでホールドし、マウスホイールで位置調整を行える。投げたりは出来ないが、このホイールによる調整で置く位置を正確に決められる様にされている。ただし距離は無限に伸ばせる訳では無い。各パズルのゴールは謎の部品の様な物を、付近に設置されている青い色のホールに差し込む事。

 当然そこには障害も有り、プレッシャープレートで開く扉, 箱, ジャンプ台, レバー等を操作して目的を達成する事になる。ユニークな要素はハワードの存在で、アニーはハワードを同様に掴んで操作する事が可能。そしてスワップコマンドで両者の位置を交換する事が出来る。(上で説明した二人の操作切り替えは導入されていない)。ハワードは実体なのでオブジェクトを透過させて動かす事は出来ないが、持ち上げられるのでそれで障害物の向こう側へと移すのは可能(その後スワップで障害物を越えられる)。なおハワードをいったん回収する事も可能だが、これは一定距離内にいないと行えない。

 以上のルールの下で、普通には到達出来ない場所に有る部品をどうやって取るか, 箱やハワードを使ってどのプレッシャープレートを押した状態に保つか, どういう順番にメカニズムを操作していくかなどを考えて行く。付け加えると落下ダメージは無いが、地面の無い所にて落下死はあり。アイテムやハワードは落としても無限に再生する。

 このパズルは出来が良くて楽しめた。特にチャプター2での複数のプレッシャープレートを操作する物が一番良く出来ている。入れ替わり自体は単純な要素なので、他の障害のバリエーションをどれだけ増やせるかがポイントだが、更に面白くなる可能性を秘めていると言えよう。


 バグとしてはオブジェクトへの引っ掛かり(ハマり)が数回発生した。だがハワードとの入れ替わりで脱出出来るので大きな問題では無い。

GRAPHICS
&
SOUND
 メニューにて解像度等は変更出来ない。変更したいならサポート頁のUDKの項を参照。

 グラフィックスはそれ程良くないのだが、逆にそれが奇妙な味を出しているとも言える。制作中の新バージョンでは遥かに高度なグラフィックスとなる予定だが、その辺の奇妙な味が保てるかどうかは重要となるだろう。


 3Dサウンド対応。アナログ出力でも3D化される。

感  想  バージョンアップした製品版が期待出来る作品。問題点はパズルのシーンに来てそれに集中してしまうとホラー要素が完全に消えてしまうという点になるだろう。じっくりと考えるタイプのパズルとホラーは相性が悪く、パズルシーンで恐怖感が一度完全にリセットされてしまう。その意味でホラー面ではストーリーや雰囲気の方に力を入れるというのは正解。

 ホラー要素がよっぽど苦手でもない限りは、Portal等の「一定のルール下で特殊なシステムを使いゴールを目指す」タイプのパズルが好きな人にもお勧めである。


 現在の完成度: しばらく音沙汰が無いので予測がつかない状況。既にGreenlit状態なので、とりあえず借金してでも完成させて売る段階まで持ち込んで回収という手法も可能だし、販売すれば知名度が高いという点でも有利。しかしKickstarterでの反応のあまりの低さを見ると、ゲーム名を変えてしまった点がマイナスに働いている感じもする。そして関心の低下は長引くほど悪化するのが確実なので、早期に活動を再開して欲しいところである。

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