BATTLEFIELD:1942

                                  02/07/26

       133MB    EA Gamesより 02/09発売予定


<概要>

 これはシングルプレイ専用のデモで、収録Mapも一つだけになる。またいろいろとファンサイトにて情報を集めてみたのだが、どうもこれは正式なデモではないようだ。海外のあるPC誌に独占と言う形で収録されたバージョンで、それをネット上で配布してもOKという風にした段階の物らしい。つまり宣伝という形でα版レベルの物でも良いからと言われて雑誌に提供した物を、どうせネット上に流れるからという理由?で公開に踏み切ったという事ではないかと推測される。

 この後マルチプレイ用のデモ(+Patch)がリリースされており、動くのかの動作の確認を行いたいのならば、バグが多いこのシングルデモよりもそちらをお勧めする。またどれでも良いなら拡張パックであるSecret Weapons of WWIIのデモ(シングル+マルチ)の方がバージョンも新しいので正確だろう。





<更新>

 7/26 Geforce4MXでゲームを起動させる方法を追加


<動作環境>

 まず注意点として、このデモは現在の内部でのマルチプレイテストに使用されている物よりも古いバージョンの物で、その分かなり動作には問題が多い物となっている。最低動作環境は以下の通り。

Pentium3   800MHz(これは設定を落とせば動く様だ)
Memory    256MB
Video     VRAM32MB以上でHardware T&Lをサポート


 特に問題なのがビデオカードでHardware T&Lをサポートしていないとならない。これはどうやら製品版においてもそうなる様だ。そうなるとほぼnVidiaのGeforceかATIのRadeonシリーズに限定されてくるのだが、更にこのバージョンではGeforce以外のカードは全てサポート外になっている。よってオンボードタイプの統合チップセットPCやVoodoo、Matrox系は起動すらしないか、動いても問題有りという事になってしまう。
 なおGeforce4MXでは問題があって起動しないのだが、一時的な対策としてsettingsフォルダの中の VideoFefault.conを開き、renderer.hWProgramableTransformEnabled 0 という記述を加えてやれば起動するようになるというコメントがDiceから出ている。

 また動作そのものについても不安定でデスクトップに落ちたりというのが何度かあったし、ゲーム上のバグも結構見受けられる。それとエンジン系の最適化がまだまだという感じで動作も重い印象。今後動作環境やサポートするビデオカードに関しては対応を増やしていくという事で、製品版の時点では改善が図られるはずである。基本的に製作側がデモとしてOKサインを出せるレベルの物では無いと考えた方が良いかも。どんなゲームなのか体験出来る程度に思っておいた方が良さそうだ。


<GRAPHIC>

 オリジナルのエンジン使用でアウトドアタイプ。このMapは500m*500m程度ではないかと思うが、Air Unitが登場するものでは2km以上の長さを持った物も存在する。描画距離が長いのが特徴で、確かに遠くまで見渡せるのだがその分重いという印象。他社のエンジンでは自分達の望むような「広いMapで描画距離も長いがそれほど重くならない」物が無い為に自作したと言っていたが、結局自分達もそれだけの物を作れる能力が無かったという事なのか、最適化前だからという事なのか、いずれにしろ若干の問題が感じられる。

 グラフィックのクオリティに関しては特に見るべき物は無い。悪くは無いが、今の時点では普通というレベルでは無いか。兵器系のモデリングに関しては私には出来のほどはわからない。なおバグとしては800*600以上の解像度にすると文字表示が変になる(時々うまく行くが)という物がある。


  フルサイズ画像                     


<SOUND>

 サウンドのクオリティは特に凄いという感じではなく普通の出来。MOHAAなんかに比べると寂しい感じもあるが、これはデータ容量の問題かもしれない。なおサウンドにも問題有りで、連続で発射したりした時等に正常に銃声が再現されないで途切れてしまう。DXの設定からアクセラレータ設定をOFF(一番左端)にすると若干改善されるようではあるのだが、これもまだ未完成という感じだ。



<DESIGN>

 取りあえずこの「デモ自体(このバージョン)」の出来はさておいて、まずはゲームを実際にやってみての感想から述べよう。既にβテストに参加している人間のレポートは多数の海外ゲーム情報サイトにて見る事が出来て、そこではすこぶる評判の良かったゲームなのだが、正にその通りでこのBF1942は非常に面白い。マルチを体験した訳では無いしこのシングルデモも不完全ではあるのだが、それでもゲームのもっているポテンシャルは伝わってくる。

 ゲーム性としてはC&C:Renegadeに近いと思うのだが、歩兵戦がちょっと物足りなかったそれと比べると操作感が普通のFPSに近くて良い。キャラの移動速度も標準的なので移動にそれほどのストレスも無いし、Mapをもっと広大にして舞台をWWIIに持ってきた物と捉えられるだろう。ある程度リアリティも考えているが「面白くなるならば改造」というスタンスの造りであり、アクション性重視というゲームと言える。WWIIの雰囲気と史実がどこまで再現されているかを重要視するプレイヤーにはどう映るのかわからないが、3DFPSの面白いゲームを探しているのならばこれは間違いなく”買い”ではないだろうか。実際マルチは相当面白そうで、会社も同じEAのWWII物として存在するMOHも拡張パックをリリースする事になっているが、そちらは新モードを一つ入れるのと追加Mapという事で大きなゲーム内容にへの変更は無い様だし、先にリリースされる予定のこっちに現在のプレイヤー人口の多くが流れてしまうのではないかという気さえする。個人的には未だにピンと来ないMOHに比べると、こちらは初めてRTCWのマルチにハマッた時と似た感触があって、もしかするとRTCW並の大ヒットゲームとなる可能性もある。

 このデモでは航空、海上系のユニットは登場せずに陸の武器のみとなっており、歩兵クラスは5つ全てが選択可能である。プレイできるモードはConquestのみでMapは北アフリカのTobruk。もっともこのゲームはこれ以外のTDMとCTFはオマケ程度の扱いなので問題無いだろう。ルールはMap上に存在するControlポイントを取り合って、全てを自軍の物とすれば勝利となる。また出来るだけ長く保持する事により相手のTicketを減らして0にしても勝利であり(CP保持数により時間と共に減っていく)、このTicketはそれぞれのプレイヤーが死んでも減少する。

 操作は一人称と三人称の切り替え式なのだが、視点が4つある上に前方から見た物があってちょっと戸惑うし面倒でもある(自由に切り替えられない)。姿勢はCrouchとProneで、Crouchは押している間だがProneはトグル方式。姿勢による弾の正確性やRecoilについてはまだ詳しく調べていない。5つのクラスの能力についてはここでは省くが、Respawn時に自軍の状況を見て好きな様に選択は可能である。Respawnは待ち時間制でこのMapでは最大でAllies:20秒、Axis:10秒となっている。戦車は一人で運転しながら攻撃も出来るが視点をどっちにしても何かが犠牲になるので、多数の人間で操作を分担する事も可能でありポジション変更はワンキーで可能。

 リアル系の設定としてはまず砲弾が重力の法則によって落下するというのが挙げられる。この為に近距離から狙う場合以外は重力を計算に入れて撃たないと弾が当らないし、移動中の相手ならば砲弾のスピードをも計算に入れて撃たないとならなくなる。それと戦車の小窓から撃つ場合は姿勢によって画面が揺れたりとか、発射の度に振動が来るのでそれほど狙うのは簡単では無い。また固定式のマシンガンはオーバーヒートまでの時間が早く使い難い。歩兵の武器系は撃つと実際に反動でブレるタイプであり、またRifleでは連射が出来なかったりもする。
 逆にアクション系の要素としては、拠点に行けば体力の回復が容易だし、Respawnにも制限が無いので死に対するペナルティはそれほど高くない点(ただしTicketは減るが)がある。ロケットを担いでいても普通に走れるし、弾の補充もポイントに行けば可能なので死にさえしなければ相当撃ちまくる事も可能になっている。
 兵器系もエンジニアが修理出来るし、破壊されても一定時間経つとまた補給されるシステム。ユニットの破壊によって敵のTicketを減らせるのかは不明だが、それほど敵の資源を削るという意味合いは持っていないゲームデザインとなっている様だ。



<GAMEPLAY>

 このゲームのシングルプレイは自分以外は全てbotという構成でConquestを戦う方式になり、デモでプレイ出来るInstant Battleは難易度設定によってお互いの軍備が変化する。Campaignでは規定のシチュエーションで16MAPを連続してクリアして行く物となるようだ。
 ゲームはお互いが均等な戦力を持って戦い合うという物では無く、双方が異なった戦力と状況からスタートする。Axisは戦車部隊を率いての戦闘となり、対するAlliesは防御側としてCPを守る形態。Alliesの方が戦車系は少なく歩兵が中心になるのだが、お互いのスタート地点以外の中間地点にある5つのCPは全てAliiesが押さえている状態で始まる。ユニット数や兵士の数は難易度によって変化するので、同じ設定にしてプレイしてもサイドが変れば配備数は変ってくる(基本的にプレイヤーに不利となる)。

 ルールに関しては兵士の数が少なくメニューからも変更出来ないのだが、\Settings\Profilesの中の自分の使っている物を開いてやり、GeneralOptions.conの中のgame.setPercentageOfBots を変更すれば数を増やせる。200%にすると16vs16程度(Easy)になるので、この位が適当だろう。これ以上も増やせるが24人までのようだし重くなる。

 このMapにおいてはどちらを取るかで相当な差が有って、Axisはまあ良いのだがAlliesはNormalでもかなり辛い。Hard以上ではどちらも相当な難易度となる。Axis側は戦車部隊で侵攻して敵の拠点を奪って行けば良いのだが、botが比較的ちゃんと動いてくれるのでそれほど難しくは無い(対する敵のbotは作戦が変)。敵の陣地まで入り込んで全てのCPを押さえての完全勝利も十分可能である。
 一方Alliesはとにかく敵の侵攻を遅らせて、最初の3つ並んだCPをどれだけの時間防御出来るかに掛かっているのだが(遅らせた分敵のTicketは減っていく)、その為に有効な作業をbotがやってくれないので苦戦は必至。Ticketが同数かややこちらリード程度の段階で取られるとほぼ絶望的になる。基本的に「Anti-Tankでロケット攻撃」「こちらも戦車で対抗」「Engineerで地雷とTNTで破壊」「ScoutでのArtillery」の4つで対抗するのだが、botがやってくれるのは最初の2つ位のようだ。ロケットだと戦車を破壊するには何発も当てないとならないので決して効率は良く無いし、戦車の能力はこちらの方が低いので押されてしまう事が多い。EngineerでTNTを使って起爆すれば一発で破壊出来るし(ただし接近しないとならないので危険を伴う)、地雷をうまく置いてやって破壊する事で大きな足止めも可能なのだが。それとArtilleryを呼んでも反応が鈍くて正常に機能しているのかわかりにくいのと、自分が乗り込んで撃つ側に回ってもbotはリクエストをくれないので攻撃が出来ない。これらの点からプレイヤーが一人で相当頑張らないと勝つのは難しいバランスとなってしまっている。


<Bug&Bot>

 さてこのデモ自体の出来に関しては結構問題があって、ちょっとストレスの溜まる物となってしまっている。先に書いた様にちゃんとしたら非常に面白そうなのだが、この配布されたバージョンは現在のテスト版よりも古い物という事で難点が目立つ。

 まずはバグ関連で突然落ちたりする点が困るし、設定を軽くしてもアニメーションシーンが正常に表示されないという事が時々起きる。撃たれたシーンが表示されないままいきなり死んだ状態になっていたり、武器の発射にラグが生じたりする現象も発生する(特にRifle)。それとゲーム中に復活出来なくなるという問題も抱えている。後者はどうやらRespawn機能がうまく働いていないようで、このゲームでは復活時に自軍のCPから復活地点を選択出来るのだが、一度選択してしまうと変更出来ないシステムなので、選んだ後にそこが自分の拠点で無くなってしまうとそのままゲームに戻れ無くなってしまう。テストしてみるとカウントが行われている間はOKを押さずに、0になってから選択して復活という方法で回避は出来る様だが早急に解決して欲しい点である。

 次にルールの詳細がわからないので、どうも動きにくいし作戦行動が取り難い。何か変な状態のときに、これはバグなのか何等かのルールでそうなっているのかがわからないという意味になる。例えばCPを押さえるには通常は旗のマークが出る地点まで近付いてやれば5秒ほどで自軍の物に変るのだが、時によっては長時間(2分位掛かる事もある)頑張って押さえないと変化しないケースがある。上記のRespawn地点についても、自軍の物なのに選択出来なくなるケースがあったりとか。

 botについても改善の余地は大いに有り。時々見掛ける本当にいるだけというレベルの物から比較するとまあ動いてくれる方だが、かなり調整しないとシングルプレイが面白くならないだろう。製品版では組み込まれるbotへの命令コマンドも一切使用出来ないので完全に自由行動になる為、余計に不備が目立ってしまう形になっている。

*同じ所でグルグルと回って動かない事がある
*初期動作の判断が鈍く、しばらくRespawnしてからその場に留まっている者が多い
*Classの配分の判断がよくない
*EngineerとMedicでは役割や特殊技能を発揮してくれない
*異常に目が良くて全く此方からは判別出来ない距離からこちらをすぐに発見してしまう
*視点が段差を透過しており、山になっている部分を通して向こうを見れてしまう。よって段差があるのにそこに向かって撃っていたりする。

 戦車を使っての動きはまあ見られるのだが、歩兵の動きにはかなり疑問符が付く物が多くて頑張って修正してもらわないと辛い。特に異常なくらい早く遠くからこちらを見付けてしまうので、Respawnした途端に撃たれて何度も繰り返して死亡という事態も起きてしまう。それと兵器についてはプレイヤーが乗ると他の者が降りてしまうケースが多く、コンビネーションで攻撃するのが難しいというのも問題だ。人数が多いとなると負荷も掛かるはずだが、OFP並とは行かないまでも不自然さを感じさせないレベルまでには持っていってもらいたいところ。



<総論>

 このゲームはヒットしそうな予感。マルチのネットコードとか、最終的にシングルでbotがどの程度やれるのかとか不明な点も多いが、非常に期待出来るタイトルとなるであろう事は間違いない。発売を出来るだけ早くする方針らしく発売後しばらくはSDKの配布が出来なくなる様だが、Mod無しでも結構行けそうな感じもある。リアルさ重視では無いとは言え陸海空の多数のユニットを操縦出来るというのは非常に魅力的であり、かなり似たシチュエーションを扱ったMOHAAに取っては相当な強敵となるだろう。現状重いとはいえ広大なMapを扱えるのも強みであり、MOHAAのシンボルともなっているオマハMapについても遥かにリアルな戦闘を提供出来ると述べているし、次期デモや製品版への期待が膨らむ。それとこれだけ広いと、インドアが多くて狭い為にロケットや手榴弾が問題となってしまうMOHAAに比べて豪快にプレイ出来る(悪く言えば大雑把)のも個人的には好みのバランスである。

 後は最近あまり無いCoopに最初から対応しているゲームと言うのも魅力的だ。多数のbotを入れるには相応のマシンが必要となるだろうが、これについても非常に期待している。



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