BREED
              HOMECOMING
                                   03/06/14


   142MB  CDV Softwareより 03/08発売予定  公式サイト


<概要>

 開発は新進のソフト会社Brat DesignsによるTactical Shooter。発売元がドイツ拠点のCDVでドイツ版を先行発売という事からてっきりドイツの会社と思っていたのだが、どうやら英国に存在する会社のようである。
 製品版は昨年末の予定から何回も延期されている上に、一時5月にドイツで発売される事がアナウンスされたがそれもまた取り消しとなった。未定だったUSでの発売もCDVが行う事が決まったものの、発売時期に関しては今後も不安を感じさせる。最近知ったのだがこのBrat Designsは社員が10人しかいないらしく、現在の水準だとインディーズ系と言ってもいい規模であり、これが遅れの最大の原因では無いかとも思われる。

 今回のデモに関してはBeta版という位置付けであり、内容的にもシングルプレイのみでマルチプレイには対応していない。予定では出来るだけ近い内に正式なシングル用デモと併せてマルチプレイデモをリリースするというコメントが出ている。


<動作環境>

HARDWARE 必要環境 推奨環境
CPU 600 MHz CPU 1.5GHz CPU
MEMORY 128 Megabytes of RAM 256 Megabytes of RAM
VIDEO VRAM 32MB Hardware T&L対応 VRAM 64MB Hardware T&L対応
SOUND Direct Sound compatible 同左

対応OS: Win 98/2000/ME/XP
DirectX 9.0以上要


 DirectX 9.0以上が必要で、入っていないと最初のチェックで引っ掛かる(d3d9.dll)。またHardware T&L対応のビデオカードが必要であり、専用のビデオカードを搭載していないPCの場合は動かない可能性が高い(Unable to create depth buffer)。

 Betaという事も有って若干不安定な感もある。私の場合は一部地形の描画が変になったりする事が有った。起動前にSETUPで各種Optionを変更可能なので、起動に問題が有る場合はここでテストが可能である(Audio関連を切る等)。
 それとマウス動作にラグを感じる場合は設定を落とすか、USB使用ならばPS2に切り替えると解消されるという情報も有る。



<GRAPHIC>

 Nvidiaとも技術提携しており以前よりグラフィックには自信有りといったコメントを見て来たが、少なくともこのβ版を見る限りはそれほどハイレベルでは無いという印象。アウトドアの地形は確かに起伏等も含めて複雑な形状を広範囲に渡って作成しているが、旧来のカクカクと折れた形状の個所も散見されるし、インドア描画やキャラクタのモデリング及びアニメーションについては(今の水準では)並のレベルという感がある。Textureもそれほどクオリティが高いという感じでは無い出来。このゲームもまた”予定通りの時期に出ていれば”というゲームの一つと言えるかも知れない(例えばUnreal 2をプレイした後にこれを見せられてもインパクトが薄い)。
 武器のエフェクトはレーザービーム系も多かったりするがこれは標準的な出来。爆発系表現はシンプルでもうちょっと派手でも良いと感じた。Shadowはちゃんと描画されるがあまりリアリスティックな感じでは無いし、太陽も含めて空の描画は物足りない。

 このオリジナルであるMercuryエンジンの一つの利点としてはグラフィックの質の割にはかなり軽いという面が有って、これはシングルはともかくとしてマルチプレイにおいては大きな利点として働く可能性がある。

   フルサイズ               製品版ムービー


<SOUND>

 サウンド関連はまだ未完成という事らしく、ゲーム中にはずっとBGMが流れたりする訳ではないシンプルな構成。武器の音も普通という感じ。気になったのはボイス関連で、味方のSquadはともかくとしてTutorialにも出てくる指揮官の声は非常に耳障りな感じで評判が悪い。この辺は製品では直してもらいたい物だが。

 3Dサウンド系はちゃんと効いているのだが、味方の足音が無い等でそれほど効果を感じられる個所が無い。



<GAMEPLAY>

 ゲームの概略は進んだ文明を持つ機械型エイリアンBreedと地球人との戦争をテーマにした物で、未来が舞台で乗り物の利用を大きくフィーチャーしている事からHaloに似ているという事で話題になったゲーム。西暦2610年地球の或る殖民惑星が突然Breedと呼ばれるエイリアンに襲われる。長く続いた戦争に何とか勝利した人類だったが被害は大きく、唯一残された宇宙船Darwinによって一時地球へと帰還する事に。しかし彼等を待っていたのは既に地球を壊滅させて支配下に置いた巨大なBreedの軍隊であった、という設定
 ゲームはプレイヤーの帰還した宇宙戦艦USS Darwinを起点として行われ、ミッション毎に許された範囲内での部下の隊員構成(Soldiers, Medics, Engineersの3種)やVehicleを決めてから地表に降下してスタートとなるシステム。ストーリー性を重視しているが、ミッションの遂行に関しての自由度は高いというデザインであり、あるミッションを達成する為の方法は数多く存在している。同様にミッションの成果によって手に入れた武器や兵器を使えるようになるという成長要素も含まれている。ミッション数は全18個。Mapは非常に広大でその為移動用の乗り物が重視されており、その乗り物はSpace fighters, Dropships, APCs, Motherships, Bike speeders, Tanks, Giant Robo-Suits等20種類以上。
 基本的なゲーム性としてはHaloでは無くOepration Flashpointに近い感覚とあり(ストラテジー及び部隊コントロール重視という意味から)、これを未来世界に持ってきてアクションFPS風にしたゲームとBrat側ものプロデューサーは述べている。


 まず最初に言っておくとこれは本当にβという感じのデモであり、安定度はまあ問題無いとしてもゲームプレイ自体にはいろいろと問題が感じられる。例えばミッションに関してはMap全体がプレイ出来る訳ではなく、最初のWaypointに到達した時点で終わってしまう(島の一部分しか使われない)。それにゲームが売りとしている陸・空の多彩な兵器に乗れないというのは大きな弱点と言える(厳密に言えば戦車は有る)。
 MapのデザインとしてもSniperがまず危険な個所をクリアしないと進めない様になっており(戦車が有ればそちらも使える)、その後陸上の敵を倒しては次のポイントまで進むという繰り返しで単調な感じを受ける。敵の種類も通常型と小型の2種類のみで、どちらも大して強くないので戦闘の面白味にも欠けている。

 また情報によるとAIのコーディングが完成していないと言う事でAIの行動パターンにも問題が見られる。時々上手く付いて来れずにスタックしたり、障害物を上手く使えなかったり。ヘルスパックは危なくなると自分で使う事が出来るが先を考えないし(ヘルスは自動的にゆっくり回復するので無駄使いはしない方が良い)、行動がアグレッシブで危険になっても自分からは逃げないで死ぬまで戦ってしまう感が強い。射撃に関して言えば狙いが正確過ぎるという面が有る一方、Sniperは自分の役割を果たす事が出来ないようである。ただゲーム性としては操作する隊員は自由に切り替えられる方式であり、またミッションは誰かが生き残ってさえいれば続けられる様なので(隊員はミッション毎に使い捨て)それほどストレスにはならないとは思われる。この辺はデモではコマンドメニューが未完成で、製品版ではもっと大人数のSquadに細かい指令を個別に出せるという話なので改善に期待したい所。

 次にこれは不満が多く出ている個所なのだが、キャラクタの操作感が独特である。まず移動中に変な風に揺れるし移動感もカクカクとした感じの独特の物。特にハシゴを上る時の揺れは極端な上に変な降り方をする。Leanした時の表現も風変わりだし、側転すると実際に画面が一回転する。視点変更も出来るが普通に3人称ではなく、変な位置にカメラが配置されるのでやりにくい。あと画面中央に円形のHUDが常に出ているというのも珍しい。デモではこれらHead Bob等の設定を変更やOFFにする事が出来ず、製品版では修正して欲しいという要望が多く出ている。
 その他仕様としてはQuickSaveは無限に可能だが普通のSaveは出来ない形式で(製品版は不明)、変な場所でSaveしてしまうと不味い事になる可能性も有る。何故か未来設定にも関わらずAIへの伝達形式は無線ではなく音声形式を使っている模様(距離が離れるとコマンドが届かない)。操作関連についてはホログラム表示される詳しいTutorialが付属。


<MOD>

 欧米のFPSゲーム市場を支えるファンの中には、ほぼマルチプレイしか遊ばないという層が結構な割合を占めているというのは御存知の通り。それと絡んでそのゲームが「如何にMod Friendlyであるか」が製品の人気と寿命を決める大きな要素というのが常識となっている。各種EditorやSDKが優秀で使い易いか、ソースコード等の情報公開がどれだけ行われるか、ゲームのファイル構造やメニュー形式がModの組み込みに適しているか、といった点が重要視される。Half-Lifeは最もModで成功したゲームと言えるが、上記の条件を兼ね備えていると言えるだろう。
 実はこのBreedもかなり改造には適したゲーム構造らしく、既にScriptを変更してデモの内容を変えてしまうという件でForumはかなり盛り上がっている状況である。上で書いたようにオリジナルのデモの内容は大した事が無いのだが、Script変更によって違う物として遊べるようになっており、Mod Friednlyである事が如何に重要であるかという一例と言えるし、製品版が人気を呼ぶ為の重要なプラス要素として今から期待出来ると認められたとも取れる。


 ここで紹介するのは数人の作成したScriptをまとめたShooter2という物で、以下の様にオリジナルを改造している。

*宇宙船DarwinからDropshipで地表まで飛行出来る(攻撃も可能)
*小型戦闘機Fighterが地上に用意されており、これに乗って攻撃可能
*隊員が4*3+αで12人以上用意されている。最初から地表にいるグループに切り替えてプレイを始める事も出来る。
*戦車が地上のスタート地点付近に2台。Darwinに搭載して運べる物が1台用意されている
*敵の配置を追加
*Waypoint1では終了せず、その後Mapの他の個所を使ってWaypoint3まで進めるようにミッションを変更


 残念ながらデモには敵の兵器が収録されておらず、戦車を使うとこちら側が強くなり過ぎてしまう感が有る点、それと重力計算処理が省かれているので飛行機の着陸等が上手く行かないという点はあるものの、デフォルトの状態よりはかなり楽しめる物となっている。
 なお飛行機の着陸はメニューには無いが0キーがエンジンOFFになっているので、地表になるべく水平に近付いて速度を落とし、エンジンを切って速度0の状態にしてから飛び降りるという方法を使う(運が良ければ乗っている仲間も助かる)。着陸後は重力が無いので地面を滑ったりとか揺れたりとかで近付くと危険。戦車については進行方法指示や攻撃指示が含まれていないので複雑な命令は出来ない。自分が運転してCannonを操作し他の2人には勝手にマシンガンで攻撃させるという手法になる。

 インストール方法は、03_contaxt.txtを\Breed Demo\SCRIPTS\missionsフォルダの中の同名ファイルと入れ替え、vehicle_def.txtを\Breed Demo\SCRIPTS\objectsフォルダの中身と入れ替える。この際にオリジナルは03_contact.bakの様に拡張子を変更するか、全く別の場所に移動させる事。.txtで収録されているファイルは全て読み込んでしまうそうなので、ファイル名を変えておくという方法では上手く動作しない。



<総論>

 シングルプレイのクオリティに関しては何とも言えない段階だが、やはりこの手のゲームの場合はマルチプレイのクオリティがどの程度になるかが成功への鍵となって来る。同じSF系としてはHalo、そしてUT2004のOnslaughtモードがライバルになるだろうし、或いはSF版のBattlefiled 1942としても注目されるだろう。この辺りについて分析してみると、利点として考えられるのは以下の様な点となる。

*今の予定ではHalo, UT2004よりも先に発売されるので、先にファンを獲得出来るチャンスが有る
*最大プレイ人数は32人を予定でこれはHaloの16人に対しては優位
*空中戦用兵器が大幅に取り入れられており、戦闘機同士の派手なバトルはBF1942には無い要素
*一人乗りのホバーバイクや乗り込んで操作可能なロボットといったユニークな乗り物が存在する
*Modによる改造が簡単に出来そうなのは大きな利点
最も大きなMapは16*16km四方という巨大な物で、これは上手く使えれば他のライバルに対して有利
*グラフィックエンジンはかなり軽そうな印象

 一方で不安点としては

*ネットコードの軽さについては全くの未知数
*巨大なMapでも重さに変化は無いのかどうか
*グラフィックのクオリティという面ではHaloやUT2004に比べると落ちる感が有る
*最大でも32人程度というのは大規模戦闘の再現には不利
*根本的なFPSの戦闘感覚についてはUT2004(2003)に比較すると弱い(Haloは未知数)。(ただBF1942でも分かる様にこれは成功への必須要素ではなく、兵器系の充実でカバーは可能)。
*発売時期が更に延期にならないかどうか、或いは出てもバグだらけという風にならないかどうか
*マルチプレイのベースは人間同士ではなくてHuman VS Breedチームとなっている点が受けるか?

 ここへ来てCoopに関しては最大で4人まででLANかブロードバンドクラスのみといった発言も出て来ており、これが敵を数多く配置すると重いというのなら良いのだが、乗り物系が沢山出ると重いという理由だとするとネットコードには不安が残る。また当初16人までと言っていたのを32人までと変更したという経緯があり、この辺も軽さについての不安要素である。Scriptによる改造が簡単に出来るならば多少の問題点が有っても対応可能と思うが、地形Editorといった物がどうなるかはよく分かっていない(Mission EditorはOFPの様な物が付属する予定)。

 マルチプレイのデモが出たらまたレポートしたいと考えている。


   目次