CONFLICT:DESERT STORM

                                   03/07/14


             72MB   SCiより発売中


<概要>

 2000年初頭にUKにおいて大々的にアナウンスされた作品がこのCDS。湾岸戦争をテーマにしたSquadベースのTactical Shooterとして、その高度なグラフィックも含めて当時発売されていたDF3H&Dのミックス型作品としても注目の高かったゲームでもある。しかしその後情報が途絶えてしまい、2001年末に新たに目にした物はXbox、PS2とのマルチプラットフォーム作品、それもPC主導では無くコンソール主導の作品としての姿であった。この辺の経緯に付いては触れている資料が無いので不明だが、どうもMSがBungieのケースの様に出資してサポートする事でXbox中心のタイトルとして発売する事を働きかけたという事のようだ。

 ゲームは既にUKではPCを含めた各機種にて発売中。USでも近日発売される事になっている。各機種別の変化は特に無いが、PC版はインターネットでのマルチプレイに対応。


<動作環境>

 最低環境はP3 450MHz以上、128MB RAMだが、ビデオカードは最低でも32MB要。Direct Xは8.1以上要。推奨では1GHzのCPUとなっている。プレイ中は安定しているものの、どうもキー設定中にハングするといったバグも有るようだ(よってゲーム中にやるのはお勧め出来ない)。製品版発売とほぼ同じ時期に出たデモだが、どうも製品版では解決されているバグが残ったままという感じらしい。


<GRAPHIC>

 アナウンス当時より高度なグラフィック機能を特徴の一つとして挙げて、NvidiaのGeForceのバンドルソフトとしてリリースされると宣言されていたゲームだが、残念ながらコンソール主導という事からなのかそのレベルのクオリティは実現されていない。PC版ではGF3以上の新世代ビデオカードを推奨と有るが、実現されているレベルは”新世代”とは言い難いレベルである。
 Xbox版のアピールポイントとして常時60fpsのスムースさというのを挙げているが、PC版もその方向性で調整されてしまった感じである。つまり「Draw Distanceの長い広大な地形」「敵が出てもフレームレートが落ちない」といった点は確かであり、実際に1024*768*32で最高設定にしても非常に軽いのだが、その分クオリティ自体は押さえ気味という結果になってしまっている。キャラのモデリング精度、或いはTextureの質に関しては悪くは無いが驚かされる点も無しという印象であり、もっとパワーのあるマシンでは高度な設定が可能にしてもらいたかった所。アニメーションの細かさやパターンについては単調な感じでやや落ちて水準クラス。総合的にこのクオリティでこの軽さというのは評価出来るが、今出るゲームとしてはグラフィックを売りとするのは厳しいレベル。

      フルサイズ              



<GAMEPLAY>

 ゲーム性に付いては基本的にはアーケード寄りのシューティングという位置付け。製品版のあるレビューにGhost Reconをもっとアーケードに寄らせたようなゲームとあったがそんな感じもする。コンソール主体という事もあるのか、シビアでリアルさを重んじたゲームでは無い。ヘルスメーターがあってMedikitにて回復可能だし、0になった場合でも一定時間内であればその味方に対してMedikitを適用する事で生き返らせる事が出来る。射撃に関しては姿勢によってちゃんと命中率は変るが、照準が揺れるのではなくて命中率が変更されるシステムである。武器やアイテムも制限無しに何種類も運んで使えるタイプ。
 このデモでは2人までだが、最大で4人までの部隊を操る事が出来る。操作は切り替え式で全ての隊員を操作可能な方式。或いは各人に対して細かな指示を与えて作戦行動を取る事も。最低でも一人生き残ればミッションはクリア出来るが、生き残った人間はパラメーターが上がって以降も使う事が出来るというRPG要素を取り入れている。

 難易度に関しては変っているというか、ちょっと奇妙な感じである。まずEasyでは結構撃たれても大丈夫だし簡単なのだが、このゲームは操作性が特殊であり、慣れるまではその操作が難しくて死んでしまう可能性がある(詳しくはI/Fを参照)。操作とゲームに慣れればMediumが妥当な難易度なのだが、このゲームは4人で行動する似た構成のゲームであるH&DやDeadly Dozenに比べると、(デモを見る限り)ミッション自体は簡単な代わりにSaveが出来ないのでその点は難しい(製品版ではミッション中に2回まで可能との事)。それとこの難易度からは撃たれると死に易くもなるのだが、一方では使い切れ無い位のMediKitが存在しており、これの適用も1個でかなりの回復力がある代わりに全てが適用されるまでには時間が掛かるという面を持っていたりする。

 ミッション自体は最初の物と思われ単純ではあるのだが、クリア手順や作戦に関する自由度は確保されており、プレイの自由度は特徴に挙げられているように結構有るゲームの様だ。ただMediumだといきなり強行突破は難しいバランスで、ステルスは重要な要素となる。だがステルスに関しては音ではなくてフラグで管理しているのか、デモではサイレンサーの銃の効果が見て取れなかった。

 肝心のゲームの感想だが、これは良い点と今一つの点が混在している。まず味方のAIはかなりしっかりしており、射撃も上手くて頼りになる。特に2人組になるとかなりの攻撃力となる。移動パスの問題も無かったし、敵が現れるとそっちへ突っ込んで行ってしまうという傾向も無い。自分の持っているMedikitを自己判断で適用してくれるのも優秀と言える。姿勢の命令は自分とは独立して可能だし、Followだけでなくある場所への移動指示も出せる。または高台の様な場所に配置しておいてHold Fireさせておき、Goサインと共に2方向から攻撃を仕掛ける作戦も取れるシステム。
 一方で敵のAIは単純と言うかあまり目を見張る点が無い。こちらへの気付き等の認識度や射撃の精度に関しては納得の行く物では有るし、警報が鳴った場合の移動可能範囲もかなり広い。ただ戦闘自体に関しては非常に単純と言うか扱い易いレベルであり、逃げて待ち伏せしてやってきた所を攻撃という手段が有効となってしまう。それと引いたりとか遮蔽物を上手く利用したりも無い感じである。通常の移動パスも固定されている様で、こちらがアクションを起こさない限りは同じパターンで倒せてしまう。

 問題点としてはMapが見にくいのと、Map上で移動指示を出せない点か。よって自分が見れる範囲までしか移動指令が出せない。また一人称にしないと攻撃が難しいのだが、一人称で通すのは難しいゲームである事は書いておこう。ちょうど似ているとしてあげたH&Dと同じで、一人称の画面は視点が一人称になっているだけで自己視点では無いのである。つまり普通一人称と言うのは「自分の目で見ているように見える視点」の事を指すが、そうではなくて”カメラが一人称になっているだけ”で自分の目で見ている画像とは微妙に感覚が異なっているという意味(コンソールのゲームに多い)。
 それと非常に大きな欠点としてこのゲームではCoopが出来ない。コンソール版では2人の画面分割Coopが出来るというのに、何故PCではマルチプレイを導入しながらCoopが無いのか? この手のジャンルでCoopが出来ないゲームの方が希少であり、早急にパッチ等での対応をお願いしたい所だ。そうなればかなり見方も変って来る。



<INTERFACE>

  まず第一にバグとしてマウスの感度調整が起動する度にリセットされてしまう。更にマウスの感度が一人称視点にておかしな感じで、アクセラレーションをONにしないと遅くてダメで、逆にONにすると急過ぎて照準が飛んでしまう事がある。それと何故か私の環境ではShiftにアサインしても歩く事が出来ない。

 パッドでの操作性をそのまま移植したのか(しかしパッドでは操作出来ない様だ)、それともこれが便利だと考えたのか知らないが、コントロールに関しては先に書いた様に物凄く変っている。慣れるまでに結構掛かるし、人によっては拒絶反応が有るかもしれない。
 問題は基本的な部分が自由にアサイン不可能となっており、独特のシステムを受け入れるしか無い点。それはほとんどの操作をショートカットにて行うという点である。左手の近場にあるキーで操作を行えるようにという考えなのだと思うが、各種操作を単独のキーに割り振る事が出来ずに、ALTやCTRLと組み合わせてやらないとならないのだ(コンソールのパッド操作で言う所のSHIFTボタン+通常ボタンが基礎となっている)。H&Dも奇妙な操作性で有名なゲームだがこれはまた別の意味で変であり、ここをどう感じるかはやってみてもらうしか無いだろう。またスタンスの切り替えがワンキーで、ちょっと押すと一つ切り替わるが0.5秒ほど押すと伏せるに一気に切り替えられるというやり方も変っていて、肝心な時に間違えてしまったりも。

 武器とアイテムは同じ扱いで選択にはアイテムキーを押しながらマウスでスクロールさせる、武器やアイテムを単独で呼び出すショートカットを設定出来ない、武器モードの切り替えはアイテムキーを押しながらUSEキーでReloadはアクションキー、隊員への指示はSquadキーを押しながら更にSquad指示キーを押した状態で該当の指示キーを更に押下等々、こうして書いていてもこんがらがって来るようなシステムだ(@_@;) それとライフル所持時は一人称視点にするとスコープモード以外に出来ないし、これらキーアサインをゲーム中に変更した場合にゲームに戻るには何回もESCを押さないとならないのも改善して欲しい点。

 最後にマニュアルには記載されていない点や、どうやるのか分かりにくい点に付いて解説。

*アイテムや武器の受け渡しはGiveの文字が出る地点まで近付いてから、その物を選択してSquad選択キーを押し、次にActionキーを押しながら武器かアイテムそれぞれのTransferを行うショートカットキーを押す。
*Zoomはホイール及びテンキーの+、−にて行う
*味方の隊員を特定の場所に移動させるには、Advanceのショートカットを入れてやるとカーソルが変化するので、ここで再度Advanceにて指している場所へと移動する。



<SOUND>

 デモでクオリティが落としてあるのかもしれないが、印象的な個所は特に無かった。武器サウンドも寂しいというか迫力不足の様な。


<総論>

 微妙と言うか何と言うか、実はこのゲームのフルレビューがXbox版・PS2版含めて出始めているのだが、そこでは全体的に高評価であり売上もかなりのランクらしいのである。問題はそれらのレビューを見ると自分のデモをやった感覚とは結構違っており、敵のAIが良いとかサウンドが素晴らしいとか(これはXbox版では5.1だからかも)ズレがあるのだ。上で書いた一人称でのマウスのやり難さも製品版では全く無いとの事だし。要するにこのデモと製品版ではバランス調整(修正)が違っている可能性が有り、そうなると購入に関する可能性も変って来る。

 良く出来た部類のValueSoftという軽いイメージもするゲームではあるものの、味方部隊に関してはAIも優秀だし面白そうな面もあり、その辺が楽しめるならば総合的にH&Dには劣っていたとしても、それはそれで一つのゲームとして成立するのではないかいう感もある(明らかにAIはH&Dより優秀だし)。後はミッションの面白さがどうかだがこれはやってみないと何とも。
 UKでは通常の新作と同じ値段だが、米ではやや安い$39.99という価格設定で販売されるらしく買うかどうかは微妙な所だ。これからFPSでは注目作が多いし、値段が下がるかパッチでCoopをサポートすれば買いそうかな。

 追記:結局Coopはサポートされず、またこの後出た製品版のレビューでの評価もデモと同じ程度で、優秀なTactical系ゲームの多いPCユーザーにとっては満足の行くレベルの製品では無かったようだ。


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