DARKEST OF DAYS

                                   09/08/26



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  デモのサイズ 784MB   ダウンロードサイト一覧


 製作・販売: 8monkey Labs / Phantom EFX
 発売予定: 09/09/08
 日本代理店: 無し




 ※09/08/26更新
 最初にリリースされたデモ(741MB)の中に試用期間限定のコード(おそらく何等かの開発ツールの試用版)が含まれたままになっており、
8/22 12:00の時点をもって起動出来ない状態になっていたという謝罪文が掲載されている。よって起動しなかった方は、新しいバージョンの方を
上記のリンクから落とせば治る。(その他の原因の場合には不可)。

概  要
 Phantom EFXは1998年に設立された、カジノ(スロットマシン)系のカジュアルゲームを制作している会社。このジャンルでは業界No.1の人気を誇っている。元から社長はアクションゲームのファンでその手の会社を作りたかったのだが、当時は資金的な面から断念。代わりにカジュアルゲームの会社でスタートさせたところこれが大当たり。そこで儲けた金を使って念願のアクションゲームを作ろうと決めて、2006年から制作していたのがこのDoDである。

 制作担当は8monkey Labs。以前の紹介記事ではこのゲームを作る為に設立した子会社と書いたがそれは誤りで、2005年に興されたこの会社が制作していたゲーム制作用のエンジンが、このゲームの目的に唯一適う物という観点からスカウトされたというのが実情らしい。

 シングルプレイ専用でマルチプレイは無し。PC, Xbox 360で北米では09/08に発売される。


 デモでは日本語表示を選択可能。日本代理店の話はまだ聞かないが、日本語版発売も予定されている可能性が高そうだ。ただし日本語訳の質には問題もあり、字幕表示の端が切れてしまうと行った障害も見られる。

STORY
 時代設定は150年ほど先の未来。KronoteK社の経営者であるDr. Koellは、研究の末に遂にタイムマシンの開発に成功する。機能的には過去にのみ行かれるタイプ(或いは現代に戻るかのみ)。しかし過去の改変は歴史に重大な影響を及ぼす危険性がある為に、過去の出来事を第三者視点から観察するという純粋に学術的な研究に限って使用可能と法では定められる。

 ところがその研究の最中に、他の何者かが歴史を改変する違法行為を行っているらしいという痕跡を発見。更にはその調査中にDr. Koellが謎の失踪を遂げるという事件が発生してしまう。そこで博士の共同研究者(正体は誰も知らない)である通称“マザー”は、過去から事件の調査に当たらせる人材を連れてくる事を提案。それが主人公であるAlexander Morrisで、彼はリトル・ビッグホーンの戦いの最中に助け出され、エージェントのデクスターと共に事件の解決の為に5つの時代を旅する事になる。

 主人公がその役割に選ばれた理由はハッキリしていない。当時の死亡者記録に掲載されていないので都合が良いからという話らしいが、何か主人公に歴史的に重要または優秀な人物という背景があるのかは不明。

動作環境
HARDWARE 必要環境 推奨環境
CPU 2.0 Ghz デュアルコア CPU
MEMORY 768 MB 2.0 GB
VIDEO VRAM 128 MB以上
GeForce 6600 or Radeon 9800
GeForce 8800 or Radeon 3000
SOUND Windows対応 同左

対応OS: Windows XP(SP2) / Vista
DirectX 9.0c以上要


 動作にはNVIDIA PhysX System Software V9.06.16以上が必要。インストールの課程で導入されるが、もしバージョンが低いならば最新ドライバを単体で入れるか、Geforceならばドライバをアップデートすれば一緒にインストールされる。

 そのPhysXは三段階の設定を持っており、ベンチマークを走らせてパフォーマンスを計る事が出来る。ハードウェアをサポートしているので、専用の処理カードを持っていれば高速化が見込める。一方でRadeonではLowを推奨している。


 まだ公式なサポート頁は無いが、公式掲示板からトラブル例を拾ってみる。

*パフォーマンスが悪い
 特にRadeon使用のシステムで遅いという書き込みが多い。現状ではPhysXの設定はLowにして、Ambient Occlusionを切ると改善されるという情報が出ている。Nvidiaならばドライバ側からGPUでのPhysXアクセラレーションを使うかどうかの切り替えを行ってみる。

*マウスの動作が変
 突然加速したりといった感じで操作感が悪いという問題。出る人と出ない人がいて原因はまだ不明。垂直同期の設定を変更するというテストも行ってみる

*起動しないで落ちる
 サウンドカードのドライバ更新で治ったという情報在り。OpenALのドライバも更新を要求される。

BASICS
 少なくともFPSの分野ではマイナーな会社からのゲームという事で、ゲームに関する予備知識が無いという人も多いと思うので、基礎的なデータを簡単にまとめておく。(内容的にはUpcoming Gamesとかぶる点も多い)。


 ゲームが扱っている時代は以下の5つ。タイトルの意味である「大量の死者が出た暗黒の日々」の通りに、記録的な死者数で知られる歴史上の出来事がテーマになっている。

*ポンペイ
*南北戦争 (アンティータムの戦い)
*リトル・ビッグホーン (米軍対インディアンとの戦争)
*WW I (タンネンベルクの戦い)
*WWII (ドイツ軍によるソ連兵捕虜強制収容所)



 ゲームの進行は時代別にリニアに進めて行くのではなくて、5つのキャンペーンは複数のミッションから構成されており、Call of Duty 2の様にある程度はプレイヤー側が自由に進められるようになっている。因果関係から順番が決まっている物も在るが、そうでない場合には次にプレイする時代を選択可能。ほとんどの場合には、少なくとも2つの時代から選択可能になるとコメントしている。

 他に過去の歴史事実の改変が未来に影響を及ぼすという要素も加わっており、過去のミッションの結果によって未来のミッションの内容に変化が生じるというデザインになっている。


 主人公は敵組織の犯罪行為を防ぐ為に歴史を変えないとならないケースもあるのだが、歴史を変える事はどんな理由でも許されてはいないので、変えた歴史をちゃんと元に戻さないとならないという制約が存在している。例として史実ではドイツ軍が勝利したタンネンベルグの戦いでは、プレイヤーは最初ソ連軍に加担して目的達成の為にドイツ軍を倒さないとならない。しかしこれでは歴史が変わってしまうので、目的達成の後は自分の活躍の為に劣勢になっているドイツ軍側に今度は加わり、そこからロシア軍に勝利して歴史を元に戻す必要が出て来る。こういったシチュエーションはほぼ全てのキャンペーンで発生するそうだ。


 各ミッションではプレイヤーの成績に応じてポイントが与えられ、これを消費して武器のアップグレードを行える。リロード時間短縮, マガジン内弾数増加, 正確性の向上, 連射速度のアップ等。

GAMEPLAY
 デモはゲームの導入部からチュートリアル、そして最初のミッションが途中までプレイ可能。時間的には30分程度とあまり長くはない。


*銃は同時に2個まで携帯可能
*照準は走ったり左右に振ると広がる
*アイアンサイトを装備
*スプリント可能
*左右へのリーンやカバーアクションは無し
*打撃攻撃あり
*ヘルスは自動回復
*オートセーブ方式。各チェックポイントは履歴として記録される。


 リロードにはGears of Warで御馴染みのアクティブ・リロード方式を採用。リロードの進行メーター上の特定ポイントにてピタリと合わせられればその時間が短縮されるが、誤って外すと銃がジャムって余計に時間が掛かる様になる。そのままに任せれば標準的な時間で完了する。

 HUDはオレンジ色でやや薄くて、字幕等の文字は見にくい。この色は変えられるがどれにしても同じ様に見にくいという印象。透明度の方に問題があると思われる。


 登場する銃器類は製品版では2ダース以上と話しているが、このデモでは少ない。単発で弾込めにやたらと時間が掛かるマスケット銃が珍しい存在と言える。ここまで遅いとアクティブリロードの意味も出て来るという位に遅い。他には未来の武器も使う事が出来る点が特徴の一つである。なお理屈は分からないのだが、当時の人間はプレイヤーが持っている未来の武器を認識出来ない模様。

 銃器はアイアンサイトにしなくても結構当たるという感じでアクション寄りのデザイン
。また比較的ダメージへの耐性も持っている様で、死ぬまでには結構余裕がある。ただしこれは武器の威力が低い時代だからかも知れない。


 インタビューではこの手のゲームに多いスクリプト多用のデザインを否定しており、「出来る限りカットシーンやスクリプトイベントを減らして、プレイヤーが実際に自分の考えで動いているという印象を持たせたい」として、かなり自由にマップ内を移動出来ると聞いていた。しかしこのデモでは最初だからという事なのかそういった感じはなく、進む方向は一本道だし、脇道に逸れようとしても透明な壁でブロックされてしまう箇所も多かった。この点は製品版を見てみないと何とも言えないので保留。


 一つのユニークな要素として、後の歴史に影響を及ぼす重要人物は殺してはいけないという制限が設けられている。そういった人物には青色のオーラが表示されるので見分け自体は簡単(味方はオレンジ)。どうやって扱うのかというと、まずは手や足を撃って負傷させるというのが一つ。もう一つは主人公はChasersと呼ばれる小さな光る玉を持っており、これを投げると個々の玉が近くの人間に対して衝撃波?の様な攻撃を加えて気絶させてくれるので、これを投げて処理するという方法もある。玉は一定時間が経過すると自動的に手元に戻る。

 もし仮に失敗するか意図的に殺してしまうと、その瞬間に周囲の時間が停止してタイムパトロールがその場に出現する。時間の制止した世界の中で彼等を全員倒せれば、その瞬間に凍り付いていた時間は元に戻ってゲームは再スタートする。しかしこのタイムパトロールの銃器は当然未来の物なのでかなり手強く、また何か識別可能なオーラとかが見えるのか草に隠れたりしても的確に当ててくるし、逃げてもテレポートで追い付いてくるので相当厄介。また青いオーラの人間を殺してしまうとクリア後の成績から減点されるので、武器のアップグレード面でも不利になるという面を持つ。唯一このデモでは、最後の一人を倒して時間が元に戻る前にパトロールの落とした武器を拾えれば、それは役に立つという利点は持っている。よって製品版でも敵の持っている武器によっては、わざと呼び出して倒す意味は出て来るのかも知れない。

COMBAT
 最大の売りとしているのが300人以上を同時出現させられるという点で、その為に既存のエンジンには頼らずに一から作られている。しかも単に画面上に出せるというのではなくて、各々がちゃんとAI制御によって動く為に、これまでには実現出来なかった大規模戦場の雰囲気を再現出来るとしている。実際にデモにおける移動中の多数の兵士達を見ると、多少ブレて動いたりと完全に決められたパスをスクリプトとして通っているのでは無いようだ。その意味でリアリティは感じられる。

 しかしながらこの最大の特徴に大きな問題在り。多数の敵味方が遭遇して戦闘するシーンでは、結局のところ限られたCPUパワーを分け合わないとならない。Unreal Tournamentの様にbotの数をコンソールから増やせるゲームでは、その数が多くなり過ぎるとfpsが5以下に落ちてゲームにならなくなったりもするが、そういった状況は避けないとならない事になる。そうすると数が多い分AI兵士の思考回路は単純化しないと負荷が高くなってしまうから、その動きのパターンはシンプルになるし、結果的に多数の兵士が機械的に同じ動きをシンクロさせてしまうケースも見られる。
 更にそれだけでもCPUパワーは足りないらしく、全員に1サイクル(ターン)分の制御が行き渡るまでに結構な時間が掛かる様だ。次にCPUを使える時間が回ってくるまでは各AIは待ち状態になるが、一般的なFPSではその時間が不自然ではないレベルに抑えられているのに対し、DoDでは目に見えてその遅れが分かるレベルになってしまっている。完全に止まっていて、少し時間が経つとアクションを開始するというAIが見て取れる。

 次にスケーリング(段階的処理)の問題。多数のAIをマップ内に同時出現させる場合、例えばS.T.A.L.K.E.R.の様にプレイヤーに近いAIほど多くのCPUサイクルを割り振って、離れている直接は見えない場所のAIほどそれを低くしてやるといった自動調整が行われる。遠くのAIは止まったようにもなるのでマップ全体を見ると不自然だが、ゲームとしては近場の戦闘中のAIは高度に出来るのでその方が良いという話になる。
 このゲームでも戦闘エリアの人数が10〜20人程度と普通になるとAIの動きはよりダイナミックになる。しかし人数が減ってもあまりAIの動きは良くならないという印象で、単純に突っ込んで来たり、何があろうと目的地点まで走ろうとしたりと原始的である。律儀にマップ全体でのAI処理を行っているからこの場合でも思考が単純なのか、単にちゃんとしたAIを作る能力がないのかは分からないが、プレイヤーが体感する限定されたAI数での戦闘シーンを面白くしないと、幾ら人数が多く出せるとしても意味が無い。

 確かに同時に大量の兵士が撃ち合ったりするというデザインは面白いのだが、実際には丘の上とかの俯瞰視点からでないとプレイヤー側にはそれは実感出来ない。視点が水平レベルまで落ちてしまうと周囲の見える兵士数は少なくなるので、実際には100人以上がAI制御で戦っていたとしても分かり難くなる。そして周囲の兵士のAI処理にCPUパワーを割く分、プレイヤーの近距離に居る兵士のAI処理が劣った物になっては本末転倒と言わざるを得ない。典型的な例として、Call of Dutyシリーズでは遠くに見えている兵士は実際に考えて戦っている訳では無く、単なる風景(アニメーション)として時々撃ったり死んだりしているだけである。プレイヤーの周囲の限定された敵味方だけがちゃんとAI制御による動いているが、CPUパワーを使える分AIの能力も増してゲームとしても面白くなる。その意味では全ての兵士をちゃんとAI制御で動かすのは技術的には凄い事なのだが、現在のCPU能力から判断すると、ゲーム的には近場の敵味方のAIの処理能力を優先した方が良いという結論になってしまう。


 続いてサウンドの出来が良くない。CoDやMedal of Honorシリーズでは、とにかくサウンドが重要であると開発サイドは話して実際に力も入れられているが、このDoDでは全体的に迫力が感じられない。3Dサウンドには対応しているが、周囲の広い範囲で絶え間なく音が鳴っているという風では無いし、大群の移動中にそれを感じさせるような足音も出ていない。いざ向き合って撃ち合う際の銃声も臨場感を感じられないレベルである。時代的に銃器の迫力が低いという可能性もあるが、アサルトライフルの音も良いとは思えないので製品版でも心配な箇所である。とにかく大人数が存在しているのならば、それを感じさせるだけのサウンドも用意しないとプレイヤーには実感として伝わらない。


 銃撃戦にも欠点が存在する。このゲームでは大量の兵士が参加しての撃ち合いをテーマにしているが、実際にはあまりそれ自体が面白く無さそうという印象を非情ながら持たざるを得なかった。FPSでの戦闘の基本はあくまでも一対一であり、敵味方入り乱れての集団戦でも、一人また一人と撃ち合って倒して行くのが普通である。ところがこのデモの撃ち合いでは、撃たれたマークが出た方向に銃を向けると、そこには10人程度の敵が固まっており、「どの敵に今自分は撃たれたのか」が分からないし、反撃しようにも「その中の誰をまず撃ったら良いのか」が明確ではない。よって誰と戦っているのかという戦闘の焦点がボケて定まらないという感じになって、撃ち合っていても面白くない。他のゲームで例えるならば、障害物の背後に敵が1,2人居て撃って来るとかならまともだが、その数をビッシリと並べて10人にしても別に面白くなる訳ではない。むしろ見た目が妙だし全員倒すのが面倒臭いともなる。

 Serious Samの様に敵がモンスターで、固まってやって来る敵対策に広範囲ダメージや大量破壊系の武器が使えるならばゲームとして成立するが、人間タイプの知能を感じさせる必要がある敵だと、あまりに数を増やして狭い範囲に固めても面白くならないように思える。グレネードやロケットランチャーで固まっている敵を吹き飛ばす際に、それが“3人まとめて”から“10人まとめて”に変わっても特に面白くなる訳ではないという意味。多人数の兵士を俯瞰視点から部隊として動かすRTSの様なゲームであれば、同時動作可能なAI数が数十から数百に増えるというのは意味があるが、FPSだと狭いエリア内にAIが増えてゴチャゴチャするのは反って撃ち合いを詰まらなくする恐れがある。

 また大人数の集団戦では完全に決着が付くまで戦うのではなく、片方が退却するまでの戦いとなる模様だが、そうなるとエリア内の敵をクリアしながら進める一般的なタイプに比べて勝利の満足度が低くなる。そもそもこのデモだと、こちら側が勝ったようには見えない程度のダメージで敵が一斉に退却してしまう為に、更に勝利感が薄いという問題在り。製品版ではどうなのか分からないが、こういう形で処理する事が多いようだとマイナス要素になるし、折角の大規模戦が効果を発揮しない。ただし大人数で戦わせて全滅に近いレベルにまで追い込まないとならないという設定だと、味方軍が決して負けないように援軍が続々とやってくるようにしないとならないし、決着がなかなか付かずにダレる危険性もあるのでそれはそれで難しいとは言える。


 同じく過去の時代に未来兵器を持ち込んで戦えるという要素だが、これも想像していたよりは詰まらなそう。実際に使ってみると敵より圧倒的な性能の武器で勝っても満足度が低く、戦闘の面白さに繋がっていない。有効にするには敵の数が飛躍的に多いというシチュエーションでもないと釣り合わないと思われる(実際にそういうシーンも在るそうだが)。

GRAPHICS
 自社開発のMarmoset Engineを使用。同時に数百人のAIを制御する事が必須条件だったので、ライセンスではなく自社開発にしたそうだ。グラフィックス面では草木の描写やエフェクト等に良い点は見られるものの、キャラクタのモデリングやアニメーションの様に改善の余地ありという点も目に付く。

 死体は長い時間消えないでちゃんと残るようだが、オブジェクトはあからさまにポップアップするのが見えるという問題あり。

 PhysXをハードウェアでサポートして大幅に使用しており、設定から三段階に切り替えられる。Cryostasisと同じくNvidiaのビデオカードの方が有利で、専用に別のビデオカードを物理演算処理用に挿しておけば更に優位となるのだと思われる。具体的な効果としては葉っぱが風に舞うシーンの計算に使われているのが印象に残った。


 必要動作環境は現在としてはやや低めで、PhysXを下げればかなり軽くなるし、全体的には高度なレベルよりは軽さを念頭に置いたエンジンの様に思える。カジュアルゲームの世界では非常に有名な会社なので、その辺の層をターゲットにしている為に軽目に設定しているという狙いかも知れない。

総  論
 数百人のAIの同時制御というのをメインの特徴として売り出しているゲームで、そのコンセプトは面白いと思えるが、実際の内容がその狙いに追い付いていないという様に見える。多くのゲームでは発売前に宣言していた内容が、「技術的に困難で達成は無理と判断」とか「実際にやってみたら想像していた程面白くなかった」といった理由でカットされる事もあるが、デモを見る限りではその「問題あり」というレベルの完成度にしか思えない。しかしこのDoDの場合にはそれがメインの要素なのでカットする訳にも行かず、妥協してこのレベルでやむなく押し通す事になったという話ではないだろうか。

 多数のAIを同時に動作させるには並列処理の方が向いており、シェーダーユニットを多数持つビデオカード側での演算の方が適している。実際にNvidiaとAMDはビデオカードの一部のシェーダーユニットを使用してAIの演算を行わせる為のミドルウェアを2010年中には発表するとしており、その後には実際に100人以上のAIが同時に高度なAIで動作可能なゲームが出て来る事が予想される。その意味では早過ぎたアイディアと言えるかも知れない。


 このデモでは実質マップが一つだけなので、具体的なゲームのプレイ感覚が想像しにくいという感想。もう一つ位別の時代での戦闘シーンを入れて、ゲームの実際のプレイ感を味合わせて貰いたかった。しっかりとした実体が掴めないので手応えが無いという感を受けてしまい、それがマイナスに働いているように思う。

 FPSゲーマーには無名の会社に近く、マルチプレイも無いし大幅な宣伝も行われていない。それでこのデモの印象となると商業的な成功は難しそうである。$39.99という価格でも厳しそう。後はタイムトラベルに絡んだゲームのシステムの方でどれだけ挽回が出来るかに注目したい。一応コンセプトとしては面白そうな面を持っているので、リリース後の具体的なゲーム内容の評価については追ってみたいと考えている。

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