DEAD BY DAYLIGHT



更新 16/06/14

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 制作/販売: Behaviour Interactive / Starbreeze Studios          公式サイト       STEAM
    デモのサイズ 7.85GB              発売予定: 16/06/14(現地時間)            日本代理店: 未定
概   要
 制作のBehaviour Interactiveはカナダの制作会社で、1992年から名前を変えたりしながら活動している。大半がコンソール用で且つ大手の依頼を受けて作るというタイプの会社であり、多数の作品名を見ても特にメジャーな物は見当たらない。今作は珍しく自分達によるプロジェクト作品で、Payday 2等で有名なStarbreeze Studiosが代理店となっている。

 一人の殺人鬼 vs サバイバーチームという1 vs 4人形式の非対称型対戦マルチプレイだが、これと同じ「一対多」, 「殺人鬼対サバイバー」形式のマルチプレイゲームとして“Friday The 13th: The Game”, “Last Year”という二作品が今年中に発売予定となっており、その似た設定のゲームの中では先陣を切っての発売作品となる。当然ご存じない方は「なんでそんな似たゲームの開発がかぶるの?」と思われるだろうが、その辺はまたブログの方とかで書ければと考えている。なおほぼ無名のゲームではあるが、やはり同じ形式の対戦マルチプレイでDamned(2014/10発売)という物も既に存在している。

 プラットフォームは現時点ではPCのみ。Mac, Linux版、或いはPS4, Xbox One版の開発も候補には入れているそうだが、まだ具体的な計画は手付かずの状況である。PC版でバランスなどを詰め安定したバージョンになった段階で改めて検討するとしており、そこには評判や売り上げも関わってくると考えられる。

 ゲームは近日発売予定で、日本での価格は\1980。現在予約販売で10%オフ。Payday 2の所持者には更に10%オフのセール中。

 DLCなどはまだ具体的な話になっていないが、ホストさえ持っていればそこに参加可能という形式にして、所持者同士でしか遊べないというコミュニティが分断する様な仕様は避けるとコメントしている。


 デラックス版の予約購入者にはベータ版参加用のキーが3個配布され、キー所持者は5/31からベータ版でのプレイが可能になっている。私もフレンドからキーを頂いたのでベータに参加してみた次第で、その内容に関するレビューとなる。

 マルチプレイ専用。AI(bot)は無しで導入予定も無し。オフラインでの練習や人数が揃わない際の穴埋めなどには対応していない。


 <重要>  現在コミュニティで論議となっているある重要な仕様に関して目立つ様にここに書いておく

 現在のバージョンではランクマッチにフレンド同士でのパーティーチームは参加出来ない。詳しく書くと、パーティープレイとはSteam上のフレンド同士2〜4人で組んでゲームに参加する事であり、このDbDにおいてはゲーム形式上サバイバーチームとしてのみ可能である。しかし現時点ではフレンド同士のチーム編成はフレンドリーマッチでしか許可されておらず、こちらではプレイしてもレベルアップの為の経験値が入らない。経験値を得るにはランクマッチに参加する必要があるが、そちらはフレンド同士のチームでは禁止されている。よって2〜4人のフレンド同士で購入して一緒のチームでプレイしようなどと考えている方は注意。(二人が同じチームに入るまでオートマッチングのロビーに出たり入ったりするというやり方なら可能だそうだが非常に時間が掛かる)。

 この件についてはゲームの内容を差し置いて一番騒がれている話題とも言える状況で、開発側も「パーティーシステムを導入するつもり」とは言っている。ただし現段階では絶対的な確約ではないし、また導入される時期についても未定である。それと5人のフレンド間での4vs1形式のランクマッチには対応予定は無し(より正確にはランクマッチでは、殺人鬼役のプレイヤーとフレンド関係にあるプレイヤーはサバイバー側チームには決してアサインされない)。なのでパーティーでプレイしたいと考えている方は、導入とその仕様が判明するまでは購入を保留するべきである。なお何故こういった仕様なのかについては別項にて記す。

動作環境
  必要環境 推奨環境
OS  Windows 7/8/10  64bit版OS要
DirectX 11以上要
CPU Intel Core i3-4170 or AMD FX-8120 Intel Core i5 4170 or AMD FX-8300
MEMORY 8 GB 同左
VIDEO DirectX 11互換, VRAM 1GB
GeForce GTX 460 or AMD HD 6850
DirectX 11互換, VRAM 4GB
GeForce 760 or AMD HD 8800
SOUND DirectX 11互換 同左

 製品版はベータ版とは異なるビルドらしいので、ここでは既に終了に近いベータ版での問題については言及しない。とりあえず掲示板を見る限りでは、安定動作に問題を抱えているとか、パフォーマンスが非常に悪い(重い)とかのハードウェア関連の大きな問題は発生していない模様。私の環境でも安定していた。対してゲームプレイ関連のバグはベータなので当然ながらかなり出ている。


・コントローラーでの操作をサポート
・製品版でもそうなのかは不明だが、操作キーの自由なアサインやマウス感度の設定は出来ない。明るさの設定も無し。


仕  様
 ゲームのモードは2つ。標準モードはキラー(殺人鬼)1人 vs サバイバー4人形式のランクマッチで、プレイによりレベルアップやアイテム入手用の経験値を得られる。このモードは5人居ないとスタート出来ず、ロビーに集合してメンバーが揃った時点でカウントダウンが始まりスタートする。待ち時間は1分だが、全員がReadyを押せばすぐに開始される。

 もう一つは“Kill Your Friends”モードで、フレンド同士でプレイ可能なプライベートマッチ。2〜5人まででプレイ出来るが経験値は入らない。ただしランクマッチで入手したアイテムやPerksは使用可能。なおサバイバー側が4人に満たないケースではバランス調整が自動的に行われるそうだ。

 途中でプレイヤーに回線断が発生して人数が減った際には人数に応じてバランス調整が行われる。ランクマッチへの途中Joinはそのケースでも不可。

 ネットワークはP2P形式でDedicated Serverには対応していない。マッチングにリージョン制限は無し。常にホストにはキラー役のプレイヤーがアサインされる方式なので、もしキラー役のプレイヤーが回線断になるとゲームが強制終了してしまう。


 用意されているキラーは現在三種類(ベータ版ではTrapperのみ)。Trapperは罠を仕掛ける事が出来て、他の二人は詳細な能力はまだ不明だが、Wraithは姿を透明化させる、Hillbillyはチェンソーダッシュが可能とされている。

 サバイバー側は4人のキャラクター(男女2人ずつ)が用意されており、各人毎にレベルアップやアイテムの管理は別になっている。また各人は単なる外見だけでは無く、特定のキャラクターでしか取得出来ないPerkが有ったりと差別化されている。ゲームへの参加キャラクター選択は自由で、同じキャラクターが同一のマッチに何人居ても構わない。


 ゲームへの参加はQuick Matchによるお任せモードと、キラーとサバイバーのどちらでプレイするのかを指定して参加するやり方の二つ。

 ロビー画面において、三種類の中でどのキラーが出現するのかをサバイバー側は知る事が出来ない。ただキラー側のプレイヤーが自由選択可能なのか、ランダムにアサインされて変更出来ないのかは不明。

 サバイバーチームは各人のランク, 外観, 持ち物, 名前等をロビーにて確認可能だが、キラー側のプレイヤー情報を見る事は出来ない。それに対しキラー側はサバイバーチームのランクから持ち物等を確認可能である。

 観戦者モードは現在無し。ゲームに参加したプレイヤーが死亡後に、現在まだプレイ中の人の視点から観戦する事は出来る。キラー側は一人だけなので観戦は出来ない。


 フレンド同士で組んでのパーティープレイは、現在ランクマッチに参加出来ない。経験値の入らないプライベートマッチであるKYFモードでのみプレイが可能である。それとランクマッチにおいては、キラー役のプレイヤーとフレンド関係にあるプレイヤーがサバイバー側にマッチングされる事も無い。

・4人までのフレンドでパーティーを組んでのランクマッチ参加  → 現時点では不可、今後導入される予定
・フレンド間でキラーvsサバイバー形式のランクマッチ対戦 → 不可、導入予定も無し

 つまり将来的にランクマッチにおけるパーティープレイが実現したとしても、最大4人までで且つその4人はサバイバー側に揃う必要がある事になる。このフレンド間でのキラーvsサバイバー対戦が出来ないと言う件は理由に察しの付く方もいると思うのだが、いわゆる“談合”プレイを禁止する為である。短時間で最も経験値を稼げる方法を研究した後に、お互いに真剣勝負をせずに助け合ったり役割交換をしながら、その経験値稼ぎをするプレイに徹して高速レベル上げ(or実績解除目的)をしたりする行為をこう呼ぶ。


 問題はパーティープレイの禁止理由の方だが、これに関連してもう一点議論を読んでいる仕様が存在する。それはゲーム内でチャットが禁止されている事。ボイスチャットは勿論だが、テキストチャットも全面的に禁止されている。可能なのはロビーでのテキストチャットのみ。

 その理由は「本来なら知り得ない情報をサバイバー同士が共有出来てしまう」という件。例えば「サバイバーはどのキラーが出現しているのかを、自らが確認するまでは知る事が出来ない」というルールになっており、この相手に知られていないという事がキラー側にとってはアドバンテージとして働く。それぞれに対して有効な立ち回りが異なるので、ハッキリするまではサバイバー側は動き方が制限されるからである。ところが誰か一人がキラーのタイプを確認した後にそれをチャットで他のプレイヤーに伝えてしまったら、キラー側のアドバンテージが不合理に失われてしまう。或いは現在キラーの居る場所等の各種情報を他のプレイヤーに教える事で相当有利になれるのは間違いない。

 そういった行為を許すのならばその前提でバランス調整を行う事は出来るが、このゲームでは恐怖感が失われてしまうという理由からそれを禁止するという立場であり、それ故に情報伝達の為のチャットは不可という仕様にされている。プレイヤー側にもそのデザインへの理解はあって、それならば他のゲームでも導入事例がある方式として、物理的に一定距離内に居る場合のみ通じる近接チャットシステムや、見える距離に居る相手に対してのハンドサインを可能にするといったシステムが要望されている。


 パーティーシステムに話を戻すと、ランクマッチへの導入を実現する事での第一の問題は、パーティープレイは許可するが(ボイス)チャットは一切不可とした場合、やはり「それじゃあ意味が無い」という抗議が発生するのは間違いないという点。かと言ってチャットを許可した場合、「パーティーでチャットしながら」と「野良でチャット無し」のサバイバーチームの能力には大きな差が付いてしまい、ゲームバランスの調整が困難となる。対戦するキラー受け持ちのプレイヤーからしてみても両チームには大きな能力差がある訳で、情報伝達能力が異なるという観点からチャット有りと無しのチーム別に立ち回り方も大幅に変えないとならなくなる。

 第二の厄介な問題は、仮にチャットを禁止(or近接のみ等の制限)したとしても、PCでは外部の各種ボイスチャットアプリを使用可能という点。これを禁止したり使用を検知したりする事は出来ない為、一律チャット禁止でそれ無し前提でのバランス調整を維持した際に、外部チャットを利用するパーティープレイが大きなアドバンテージを得てしまう事になる。逆にパーティープレイが導入されて且つボイスチャットを有効化した場合、その前提で両陣営のバランス調整を行う事は一応出来る。しかし野良パーティーではチャットを使用するのかは判らないから、チャット有り前提でのバランス調整だと野良パーティーは使用しない際に非常に不利な立場におかれてしまう。或いはチャット有りのパーティープレイであっても、パーティーの人数が2〜4人ではそれぞれ有利さが変わるのでその辺の調整をどうするのかという件もあり実にややこしい。


 第三にキラー側プレイヤーとの人数バランスという問題がある。こちらは有名なので御存知と思うが、同じく4vs1の非対称型対戦マルチプレイとしてEvolveというゲームが在り、ここでは4人までで組んでのパーティープレイが許可されている。だがそれが原因である問題が発生した。4vs1という形式なので、パーティープレイを選択したプレイヤーは決して一人だけのモンスター側にはアサインされない事になる。その結果、パーティープレイを選択していないプレイヤーがやたらとモンスター側にアサインされてしまうという問題が起きてしまう。実際に私が体験した訳では無く情報として知った内容だが、全5種類のクラスに自分がやりたい優先順位を付けて登録出来るものの、モンスター役のアサインを最下位にしておいてもひたすらモンスターにしかアサインされないという事態が発生。つまりパーティープレイをしたいプレイヤー数が多いので、それの相手をするモンスター役が足りなくなり、パーティープレイでは無いプレイヤーがやむなく駆り出されてしまうという状況である。

 ロビーの段階でモンスターにアサインされたのを嫌がり抜け出すとペナルティーが付けられる処置も採られたが、それならとりあえずモンスター役を一度こなす事で連続してアサインされる確率を下げようとなり、ゲームには参加するがやる気なく早目に負けるように立ち回って義務をクリアするという形になり、結果的にパーティープレイ側の方も全然面白くないという不満が募るという負のスパイラル状態。

 以上の様な問題がこのDbDでも発生しないとは限らない。少なくとも常に20%はキラー役が居ないと困る訳だが、パーティープレイが目的で購入した人は一切キラー役をやらない可能性もあるので、キラーとサバイバーを切り替えながらやるというプレイヤーが普通だとするなら、平均して20%前後では一時的にまたは恒常的にキラー役の不足という状況が発生しかねない。パーティープレイをする為にロビーで待っていても一向にキラー役がマッチングされないとか、単独での野良プレイでサバイバーを選択してもキラー役に人がマッチングされず、それではとクイックマッチを選んでみると常に人不足のキラー役にしかアサインされないといった問題が起きる恐れがある。

 しかもここに同程度の実力同士のマッチングという条件も要求されてくる。大きくランク(実際の能力)が異なるプレイヤーがキラー役にアサインされた場合、プレイは可能だが圧勝or完敗の連続では到底面白いとは感じられないはずで、それを考えるとキラー役の担い手が豊富な状況が理想である。しかしキラー役が好きなので連続してプレイしても構わないというプレイヤーがそれ程多くなるとは想像出来ず、何かキラー役をプレイする際の特典などを設けるとかのニンジンが必要になるかも知れない。

ゲームモード
 まず意外だったのが最も基本的なゲーム形式に関して。情報を持っていない方はこのゲームを一見して、「キラー側が全員を皆殺しにするか、サバイバーチームが協力しあって脱出するか」を競うゲームだと思われるだろうが実はそうではない。キラーはサバイバー4人を全員抹殺する必要は無いし、サバイバー側も全員の脱出を目指す必要は無いという対戦形式である。

 「じゃあどうやって勝敗判定をするの?」とは当然の疑問だが、そもそも対戦の勝敗判定という物が存在しない。通常のゲームであるなら決着が付いた後にプレイヤー全員に対してリザルト画面が表示されて、どちらの陣営が勝利したのかを示すがそれが無い。ゲームの結果は各人に対して表示されて、そこで各人がどの程度上手くやれたのかを判定されるだけである。サバイバー側であれば、脱出に成功したのか殺されたのかの結果画面とスコア。キラー側は4人の中で何人を始末出来たかに応じての結果とスコアとなる。例えば一人だけを殺せた場合は“Petty Victory(ささいな勝利)”、4人全員を殺せば“Merciless Victory(無慈悲な勝利)”等。

 制作チームが平均的にキラー側が何人を殺せるとゲームバランスを想定しているのかは不明だが、少なくとも「50%の割合でキラー側が全滅を達成可能」というバランスのゲームでは無い。「4人中2人を始末し、残り2人は脱出に成功する」のが平均的な結果であるとかそういう印象。よってサバイバー側から見た場合には、2回に1回の割合で脱出成功程度が平均的というバランス設定のゲームと感じられた。


 サバイバーチームの4人は協力する必要が無いというのも意外だった点。他のサバイバーを助けたりすることで高XPを得たりが可能だが、協力する事を強制する様にはなっていない。イメージとしては自分個人とキラーとの1対1の勝負であり、それが4人分同時に行われているので、お互いに助け合ったりしても良いというゲームと言えるだろう。「サバイバーの中で合計X人が脱出成功したからボーナスXP」の様なルールは無く、得られるXPは自分のプレイ終了時に確定する。

 サバイバーは自分が殺されるor脱出に成功した場合、その時点で残りの試合結果を待つ必要は無くゲームを抜けられる仕様。プレイしている他のプレイヤーを観戦者モードで待っていても良いが、即抜けて次の試合を求めてマッチングに向かっても構わない。この点でも他のプレイヤーがどうなったのかは別に重要では無いというデザインである。

 そして協力する必要が無いばかりか、他のサバイバーを犠牲にしても良いという設定になっている。キラーに捕まった他のプレイヤーを助けに行く必要は無く、むしろキラーが離れているのをチャンスとしてXPが稼げる脱出に向けた作業に集中してもOK。捕まっている自分を助けに来てくれたがその為に代わりに捕まってしまったプレイヤーを助け行く義務も無く、そんな奴は無視して自分の脱出に向けての行動に集中しても良し。それによる非チーム的行動へのペナルティなども存在しない。或いはキラーに追われている際に発見した別のサバイバーの方に向かって行き、キラーを押し付けて自分はその間に逃げるという風にも出来る。この辺は開発者自身が、「一緒に居るサバイバーが本当に信用出来るのかを考慮しておいた方が良い」と話しており、自分中心の利己的行動や裏切りOKなのは織り込み済みのゲームとなっている。これはホラー映画で殺人鬼に襲われる連中が協力するとは限らず、むしろお互いに敵対し合ったりするという観点からは正しいデザインとも言える。


 この大胆な仕様には良い面もあれば悪い面もある。先に良い点から。ゲーム性からリスポーンは不可にするしかないが、これでゲーム終了までの待機を強制すると早目に死んだ場合の待ち時間が長くなってしまう。よって自分が死んだにしろ脱出したにしろ、すぐに次のマッチングを求めてロビーに行かれるのは利点。同時にロビーで5人分が埋まるのを待っている側からも、短い待ち時間でゲーム開始出来る可能性が高められる。途中Joinも実現は困難だし、その意味でも待ち時間を減らせるこの設定は大きい。

 悪い点としては、勝敗基準がハッキリしないのでどういう風に行動するべきなのかが判断し辛い。サバイバー側はまだしも、キラー側では何人を殺すべきなのかが規定されていないので特にそう感じられる。XPは成績に応じてであり、4人とも脱出されてもある程度は入手出来るのでそれも基準にはし難い。4人全員を殺しに掛かると相応のリスクを負わないとならず、それを考えると全員は諦めて出来る範囲でとなりがちで、そうなるとサバイバー側には追われる緊張感が欠如してしまう恐れがある(キラーから目を付けられなかったので、脱出には成功したが手応えが無かった等)。

 少なくともどうやったら勝ちなのかをハッキリ示した方が良いとは感じられる。キラー側が3人殺せば勝ち、2人ならば引き分け、1人以下なら負けとか何等かの判定基準を設けるべき。ただし「4人捕まえない限りは負け」というルールにするならば、バランスを一から練り直しとなるであろう。


BASICS
 争いの基準はサバイバー側がエリア内からの脱出に成功するか、或いはその前にキラーが処刑を達成するか

サバイバー側における脱出の為の手順は以下の通り。

1.ランダムなマップが選択される
2.開始時点でランダムな数(最低7個以上?)の発電機が、ランダムな場所に配置される
3.この発電機の場所に向かい修理して稼働させる
4.全部で5個の発電機を稼働させると扉を開く為のスイッチが使える様になる
5.スイッチの場所に向かい作動させる
6.開いた扉から脱出する

 以下補足。マップは発売時点ではロケーション3つに各4個が存在している。マップ内のオブジェクト配置はランダムでありプレイの度に異なる。

 発電機の位置は頭上に有るライトを頼りに探す。ここで発電機の前にてAction(MB#1)押下で修理開始。その間にミニゲームが挟まる。これはアクティブ・リロードの様なミニゲームで、円周を動くゲージをハイライトの位置でスペースバーを押して止めるという物。通常位置で成功すればやや進行バーを早められるが、失敗すると大きな音を立てて発電機が一時的に止まり、キラーにそこで作業していることを知られてしまう危険性がある。このミニゲームは発生タイミングがランダムで、また停止位置もランダムなので、一般的なアクティブ・リロードに比較すると難易度は高目。特に停止位置が前の方に来る物が反応が遅れたら間に合わないので難しい。なおこの作業は複数人で行うとそれだけ早く進められる。

 扉スイッチは一定時間Action(MB#1)押下。扉は離れた位置に2箇所有るので、キラー側にキャンプで待ち伏せされて通れないという事態にはならない。なお特例としてマップ内のどこかの地面にハッチが有り、残りが最後の一人になった時に限りそこからの脱出も可能となる。


 キラー側の目的はサバイバーの処刑だが、処刑の為の基本システムは以下の様になる。

・攻撃は打撃武器のみで、1回の切り付けで負傷、2回目でダウンさせる事が出来る
・基本的に武器攻撃でサバイバーを殺す事は出来ない
・ダウンしたサバイバーは担いで移動可能で、これをマップ内にランダム配置されたミートフックまで運んで吊り下げる(数は不明だが結構多い)
・吊されたサバイバーは自力での脱出も一応可能だが、仲間が救出するのが基本
・一定時間が経過すると処刑儀式が開始される(Sacrifice)

 処刑儀式は超常現象的なイメージで、どういう背景設定なのかは解らない。鎌の様な多数の腕が生贄を突き刺して殺し、天へと召喚するという風な感じ。

 ダウンしたサバイバーに打撃攻撃を繰り返してもダメージは与えられない。ただしダイレクトにそこで殺せるアイテムというのもあるらしい(レベルアップで入手して装備していれば)。その為にフックに運んで吊すのだが、必ずしも吊さないとならない訳では無く、放置して他のサバイバーを誘き寄せる囮に使うと言う手もある。担がれたプレイヤーはキー連打によるWiggle(体を揺する)が可能で、フックまでに時間が掛かると逃げ出されてしまう可能性もあり。

 吊されるとアイコンの下に流血バーが表示され、これが無くなると死亡。吊された状態から脱出にトライする事は出来るが成功率は5%だそうで、しかも失敗すると大きく流血バーが減少してしまう為におとなしくしている方が無難。バーが少なくなるとスペースバー連打で処刑を遅らせる抵抗状態になる。そして尽きる前に他のサバイバーが来てフックから降ろしてくれれば脱出出来る。ただし2回目の吊り下げで流血バーは半減。3回目で即死する。

 ダウンしたサバイバーは自力での復活は出来ない。表示されるリカバーメーターは復帰までの時間を短縮する物で、これがフルになっても起き上がれる訳ではない。フルの状態にしておけば他人が助けに来た際にすぐに復活出来るというシステム。


 キラー側の基本能力(Trapper)。他のキラーではどうなのか不明。

・一人称視点固定。バランス調整の観点からFOVの変更は将来的にも不可と考えられる。
・スプリント, ジャンプ, 屈み等の動作は出来ない
・武器をスイングすると、当たったかどうかにかかわらず次の攻撃までには少しの間を置かないとならない
・発電機やフックの位置は透過して見る事が出来る。扉スイッチも同様。


 サバイバー側の基本能力

・三人称視点固定
・カメラ位置は自由に360度回転させる事が出来る
・スプリント可能でスタミナ制限は無し
・屈み可能。発見され辛くなるし、高い草の中等に隠れられる。
・ロッカーの中に隠れる事が出来る
・キラーが接近するとその距離に応じて心音が聞こえてそれを知らせる(ただしキラーが止まっている場合には聞こえない)
・キラーに対しての攻撃手段は一切無し
・他の怪我しているサバイバーを治療可能(ミニゲームあり)。メディキット無しでも治療は行える。
・ダウンしている, フックに吊されている他のサバイバーの位置は透過して確認出来る
・フックに吊されているサバイバーを救出可能。罠に捕まっているケースも同様に可能。
・マップ内のアイテムボックスを開けて、中に有るアイテムを利用出来る


 サバイバー側の視点については議論も発生しているが、短時間でのプレイではそれ程の問題は感じられなかった。そのサバイバー側も一人称にした方が良いのではないかという意見だが、これに対しては「長期間の開発において様々なテストを繰り返してきた結果としてこういうシステムになった。サバイバーの三人称視点に関しては良い点も悪い点もあるが、総合的には三人称の方が良いという結論に達している。よって絶対ではないが、視点を変更するという予定は将来的にも持っていない」。同様にしてHUD類を無くすハードモードの類も検討した結果ボツにされており、こちらも導入予定は無し。


 追跡&逃亡のシステム

 直線距離を走った場合、キラーの方がサバイバーよりも若干早い。よって必ず捕まる。その為に障害物などを利用してジグザグに逃げ、自分を見失わせる様にする。スプリントの持続に制限は無いが、スプリント状態では地面やオブジェクトに赤いスクラッチ痕が数秒残り(キラーからのみ見える)それを追跡される危険がある。よって屈んで草の中に隠れる等の作戦も有効。対してサバイバー側では上記の心音による探知の他に、キラーの視線が通っている状態では赤い光が自分を照らすというシステムがあり、これで見られているのかを判断出来るようにもなっている。

 利用出来るオブジェクトとしては立て掛けてある木製パレットがあり、これを倒す事でルートを塞げる。キラーが壊すのには数秒だが時間が掛かるし、ジャストタイミングで倒すとキラーをスタンさせられる。他にはウインドウの様にVault(乗り越え動作)をする場所ではサバイバーの方が速い為、こういった場所を通って差を付けるという手もある。ロッカーに隠れてやり過ごす作戦もあるが、開けられてしまうとそのまま捕まるという危険あり。

 様々なインベントリースロットへの装備アイテムが用意されており、例えばフラッシュライトはキラーを照らして一時的にスタンさせ、担いでいるサバイバーを助けられたりする。ツールボックスはフックや罠などを使えない様にしたり、作業関連に掛かる時間を短縮出来たりする優れ物。


 ベータ版でのTrapperはサバイバー側への対抗手段として罠を仕掛けられる能力を持つ。罠は1個だけ持ち運びが可能で、これを任意の場所に仕掛けられる。仕掛けるには数秒の時間が必要。無くなったらマップ内に置いてある物を回収して別の場所にまた仕掛けるという風にする。全体数は結構多いはず。引っ掛かれば外すまでには時間が掛かるので、その間に回収に向かえば良い。

 発電機は修復中に失敗した場合、或いは成功して稼働した瞬間に大きな音を立てて知らせるので、その時はサバイバーを捕まえるチャンスとなる。不慣れなプレイヤーならば直線的に追っても捕まえられるが、ジグザグに逃げながら窓枠やパレットを利用されると厳しい為、直接背後を追い掛けずに移動を予測して回り込む様なスタイルで追い掛けたりしないと難しい。

 ロッカーの中に居るのを発見出来ればそのまま捉えられるが、開けて確認するモーションに数秒掛かるので居なかった場合は貴重な時間を無駄にする事になる。この辺はお互いの読み合いとなる。


 <オマケ> プレイしてみてのアドバイスを幾つか(キラー側)

 早目に両陣営を体験しておくべき。相手側の立場にならないと解らないシステムが多い。例えばサバイバー側では心音で接近を判断出来るとか。キラー側で最初プレイしていたので、何故こちらに気が付くのかが理解出来なかった。

 マップは広大ではないが、4人を追い回すには広過ぎて手に負えない。よってトラップを仕掛けるのが重要事項となる。追い掛けるだけで4人を捕まえるのは無理ゲー。

 発電機の爆音にはすぐに近付かない。遠くから眺めてサバイバーの移動方向を把握し、それからそちらの方向へと移動して追跡する。

 トラップは大変に有効。パレットの地点やウインドウの箇所などは特に引っ掛かり易い。三人称だとキラー側で想像していたよりもトラップに気付き難い。カメラを360度回せるので足下が反って見辛いから。

 サバイバーが近くを通過した際にカラスが飛び去るのでその音でも把握出来る。またロッカーに隠れている場合にはその近くにカラスが移動するという情報も有り。

 フックの近くにトラップを仕掛けて救助に来たプレイヤーを捕らえるという作戦は定番だが、仕掛ける際に視点固定で時間が数秒掛かるので、その瞬間を狙ってフックから外しに来るという作戦があるので注意。


成長要素
 Blood Webと呼ばれる経験値による成長システムを持つ。試合終了後に各プレイヤーはその成績に応じてBlood Pointsを受け取り、これを費やしてレベルアップを行える。このポイントはキラーとサバイバー側で共通で、そのレベルを上げたい陣営や該当サバイバーでプレイしないとならないという制限は無い。

 基本能力を上げるというシステムは存在せず、大量に用意されているPerksやアイテム類をアンロックし、その中から選択した物を装備して能力を上昇させるという方式

 蜘蛛の巣状のスキルツリーが各人毎に用意されており、ここにポイントを割り振って獲得していく。取得可能なのはPerks, アイテム, アドオン, Offeringの4種類。このツリーはランダム生成され、項目自体にも「取得するまで中身不明」という物が用意されている。全ての項目を取得するとレベルアップし、新たに次レベル用のスキルツリーが生成される仕組み。5レベル単位でサバイバー4人各人に固有のユニークなPerkがボーナスとしてアンロックされるそうである。


 Perksはもうお馴染みの要素と思うが、特殊な能力を付加する物である。48種類存在しておりそれぞれが3段階のレベルを持っている。

 アイテム(Equipments)はメディキットやツールキット等の道具類。これ等は使用可能回数に到達すると消滅する他に、サバイバーがそれを持ち込んだ試合で死亡して脱出に失敗してしまうと、耐用回数が残っていてもインベントリーから消え去るというルールになっている。

 アドオンはアイテム類の能力を高める物で1回限りの使用。Offeringも同じく一度使うと消えてしまう。

 外見のカスタマイズアイテムも有り。

 ベータ版のレベルやアイテムは製品版には持ち越されずにリセットされる


 経験値によるレベルアップは既に当たり前の様になったシステムであり、このゲームでもそれ等と同様の利点と欠点を抱えている。欠点としては、どれだけ負け続けてもプレイを続けてさえいればポイントを貰えてレベルアップ出来るので、勝つ為の努力を怠るプレイヤーが出て来てしまうこと。ベータ版ではアッサリ殺されてもそれなりに経験値は貰えるという印象で、また即次のゲームに参加可能なのでそれの繰り返しも効果的と思える。レベルが上がっていくとそう簡単にはレベルアップが出来なくなるのかも知れないが、少なくとも初期段階では敗者には厳しくというバランスには感じられなかった。

 一方で利点はプレイヤー人口の確保に有利という件で、これが非常に大きいので大抵のゲームで採用されるようになったと言っても過言ではない。どれだけ面白いと評価されていようが、プレイヤー人口が減って過疎になればそのマルチプレイゲームは死亡する。よってプレイヤー人口を確保出来るシステムは最優先に導入されなければならない。なので問題があってもこの方式が広く使われているという事情がある。

 敗戦を続けるプレイヤーには経験値を与えないという風にして、欲しかったらもっと努力してスキルを上げないとならないというシステムにした場合、それなら結構とプレイヤー中で最下層の順位に居るプレイヤー達がゲームを止めてしまう。そうすると今度はそのすぐ上に居たスキルレベルのプレイヤー達が最下層へと落ちる為に経験値を稼げなくなって減りだすという風に、加速的にプレイヤーがゲームを去って行ってしまう。そこでゲームを続ける為のモチベーションとして、常に経験値を与えて継続的なレベルアップを全員に可能にするというシステムがエサとして有効に働くという事である。それと結局は両チームの勝つ確率が50%なのが理想であり、その意味からはむしろ弱いプレイヤーに対して強大な力を与えた方がバランスは取れるというのもある(負け続けるほど有利になるというゲームもある位だし)。

 デメリットとして全体のプレイヤースキルのレベルは下がるというのは問題だが、長き期間にわたるプレイヤー人口の維持というのがやはり一番に優先されるべき事項なのは確かであり、そこは我慢しないとならないのではないか。


 対して将来の過疎状態でのレベル差問題に関しては、能力選択方式なので大きな問題にはならなさそうではある。これは何かと解説しておくと、そのゲームが過疎になってプレイヤー数が非常に少なくなったら、セール時等に新規プレイヤーがやって来る位しか期待が出来なくなる。だがその際に残っているのは熱心なファンである古参プレイヤーだけとなり、当然彼等には経験という大きなアドバンテージがあるので強い。ところがここでレベルアップというシステムが存在していると、ただでさえ強い古参プレイヤーが最高レベルの能力を併せ持っている為に、全く相手にならない新参プレイヤーがガッカリして去って行ってしまうという事態が発生する。結果的には過疎状態が一向に解消されない。だがここでレベル1の新キャラ作成機能, レベルリセット, 周回モード等が有れば、装備品やキャラクターの能力差問題は解決可能となる。その点でこのゲームではアンロック品を装備して有効化するというシステムなので、大量のアイテムを持っていても全部外してプレイするという方法が採れるから、新参者との差を最小限に調整可能である。

GAMEPLAY
 キラー対サバイバーにおけるゲームのバランスについてはベータだし特には言及しない。そもそも最初からキラーの種類が判明しているベータ版の状態と、製品版ではキラーの種類が判らないという設定からして大きな差がある。

 一応書いておくと、「キラー側が簡単過ぎる」という人も居れば、「サバイバー側が有利過ぎる」という人も居て意見は様々。ただざっと掲示板を見た感じでは、サバイバー側有利という意見の方が多そう。ただしこれは「4人全員の処刑達成するのが難しい」という観点からの意見という可能性もある。


 キラー側は最後のサバイバーに対して決着が付くまでプレイする事になるが、おおよそ1回のプレイ時間は10〜15分程度。サバイバー側では死んでも脱出してもそこで終われるので、早ければ5分も掛からないケースもあった。

 クイックマッチだとキラーにアサインされる可能性が高い(最初の3回は全部キラーだった)。キラーがホスト役でそれが基準だからなのかも知れないし、キラー役を決めてからマッチングを行う方が簡単だからという理由なのかも知れない。或いはキラー役不足なのか。よってサバイバー側をやりたいならその指定から行った方が良いだろう。

 マッチングのエラーは結構多かった。クイックにしろ陣営選択にしろ、数秒するとマッチングエラーで弾かれてしまう。その内に可能になるので大きな問題では無かったが、マッチングの演算を行うサーバーの処理能力が足りずに発生しているのならば、発売後にプレイヤー数が多い状態では問題となる可能性はある。

 途中でゲームを抜けてしまう反則行為(萎え落ち)に対する罰則は今の所無し。大きな問題となってきたら考えるとあるが、既に問題も発生している。キラー側が落ちるとホストなのでゲームがそこで終了してしまうが、その際に生き残った時のみ維持出来るアイテムが消えてしまうという状況。


 他項で書いたレベルアップのシステムにおける別の欠陥として、時間を掛ければレベルアップが可能な為に、レベルだけを見てもそのプレイヤーの真の実力が判定出来ないという件がある。よって同レベルでマッチングさせるというのは適切では無い。戦績とか他のデータを参照するマッチングシステムを別に持っていないと実力を合わせられない事になる。

 そこでDbDではランクという成績を使用しており、これがマッチングの基準として使われている。正確なシステムは不明。同時にPingの値を重視するというゲームは多いので、ここでも一定値を超えたらPingの方が優先されるという可能性はある。

 ランクの上下動のシステムは解説が無く、私も説明してくれる人の記述を見るまでは良く理解出来なていなかった。まずランクの値はスタート時点では20、そこから数値が低くなっていく方式で最高ランクは1となっている。

 最終的に得た経験値ポイントが分野別に表示されるが、この際にPip(ひし形の印)が付いた水平のバーが出現する。ここで得た合計ポイントに応じてバーが伸びて、それが赤色のPipの場所を超える毎にランクアップ用のPipを1個受け取れる(この例では最大で3個入手可能)。入手したPipはランク表示の上にある○印の中に埋め込まれ、全部が埋まると(この例では2個)ランクが上がるという仕組み。逆に黒いPipの位置が最低ラインとなり、ここを超えられなかった場合にはPipが没収されてしまう。Pipが一つもない状態でそうなったらランクダウン。つまりランクは上がるだけでは無く下がる事もあり、現在の実力を量るメーターとなっている。


 特徴として両陣営共に「何が出来るのかという知識」と、「どういう風に立ち回るべきかというストラテジー」が非常に重要であり、これがどう出るかというのはなかなか難しい所である。誰が考えても明白だが、このゲームで重要な点は両陣営のバランス調整である。片方が大きく有利になったりしてはならない。ところがこういった調整は、参加するプレイヤーの知識&ストラテジーのレベルが揃っていないと困難である。

 例えば知識と各種戦法をほぼ把握している上級者レベルにおいて、「現段階ではキラー側が有利である」という意見が強まったとしよう。ところがプレイヤー数からしたらそのレベルの上級者は2割程度に過ぎず、残りの8割となる一般プレイヤーの間では「サバイバー側の方が有利」という意見が大勢を占めているとする。上級者側からすると、そういった結論になるのは知識が無い&戦法が未熟だからとなるが、ではその8割のプレイヤーに同レベルの知識と戦法を教え込めるのかとなるとそれは非常に難しい。結果的に開発側からすると多数派に楽しんで貰う方を優先せざるを得ず、この例ではサバイバー弱体化の調整が導入される。しかし上級者レベルでは逆の判定なので、益々キラー側が有利となってしまい、上級者同士の対戦ではバランス崩壊して詰まらなくなるという状況に....といった問題が発生してしまうのである。

 一般的な対戦マルチプレイのアクションゲームでは、あくまでも重要なのは戦闘時のスキルであって、それに比較するとゲーム内での知識やストラテジーの重要度は相対的に低くなっている。だがDbDではそれを実際に行うというアクションのスキルはあまり重要では無く、知識とストラテジーに長けているプレイヤーの方が強いというゲーム性である。その戦略の奥深さこそが面白さの源でもあり、シンプルなアクションゲームとの差別化要素でもあるのだが、それ等を出来るだけ多くのプレイヤーに理解して貰うのにはどうやるかという課題が立ちはだかっている。

 掲示板で熱心に議論をしたり、またはコミュニティにてガイド頁を作成してくれる有志はいるが、そもそもそれを皆が見てくれるならば問題は無い訳で、単に一部の熱心なプレイヤーの知識レベルを高めるだけである。基本的には「とにかくプレイして憶える。それでも自分が弱かったらそれはゲームが悪い。」という人が多いのが現状。そうなるとチュートリアルを充実させる位しか方法は無い。ベータ版では数本のビデオチュートリアルが用意されており、テキストでの説明に比較すれば解り易くて評価出来るが、これを大量に増やした所で全部視てくれる人は少ないだろう。となるとゲーム内ガイドを充実させる方が有効か。プレイヤーの行動を観察して、解っていないと思われる知識があるならそれをテキストでガイド表示。失敗したら様々なストラテジーを少しずつ教えて行くといった、判断能力を持っているレベルのガイド機能が理想である。とにかくプレイヤー間の知識差を出来るだけ解消しないと、バランス調整が困難という不味い状態が続いてしまうので何等かの早急な対策が望まれる。


 続いてはゲームの売りである非対称型の4vs1対戦も、そのユニークさの代償として大きな問題を引き起こす可能性を抱えている。プラス点については、事例が少ない「全く異なる陣営同士での4vs1対戦のユニークさ」は言うまでもなく、テーマをホラー映画風の世界観にしたという面でも新鮮さを感じさせる(同類ゲームが制作中なのと先例は既に在ったりはするが)。だがその4vs1というシステムが問題になるかも知れない。

 昔の個人戦に比較して、ここ10年以上は対戦マルチプレイでは多人数対戦のチーム戦が盛んである。その一つの利点として、チーム戦では各個人の責任が相対的に低くなり、一人だけスキルレベルが落ちるプレイヤーが混じっていても影響が薄くて済むという件がある。4vs4のゲームであっても、その対戦が面白くなるのかという各人の責任は1/8であり特に高いとは言えない。ではこのゲームでは各人の責任は均等に1/5なのかとなるとそうではない。キラー側を受け持つプレイヤーの責任は50%であり、残りの50%をサバイバー側の4人で分けるという形になる。つまり対戦が面白くなるのかの少なくとも半分はキラー側を担当するプレイヤーに掛かっており、しかも一人だけなのでカバーしてくれる仲間が居ない。サバイバー側ならば初心者がいても、それを他のサバイバーがカバーしてあげたりも出来るのだがそれが不可能。よって個人レベルでの対戦能力が要求され、ゲームを面白くするという目標に掛かるその責任は重い。

 対戦マルチプレイは勝つ為にプレイするし、実際に勝った方が面白いに決まっているが、もしサバイバー側で10戦程度プレイした結果として7,8戦は楽勝で生き延びられたとしたら、それはポイントが稼げて楽しかったという感想になるのだろうか? おそらくならないであろう。何のスリルも感じられない対戦相手ではもうプレイをしたくないという風になりかねない。

 まとめると、その対戦が面白くなるのかにおいてキラーの責任は少なくとも50%と重大なので、レベルの高いキラー役を数多く育てないとならないという話になる。根本の背景設定からしてもそうなのだが、キラーに脅威(怖さ)を感じないケースでは詰まらなくなるという理由もあり。問題はそれだけのキラー役を揃えられるだろうかという点。数的には全体数の20%がキラー役をやってくれれば良いようにも思えるがそうではない。マッチング時にランク(実力)を揃えないとならないから、満遍なく揃えようとなると実数はもっと居ないと足りなくなるだろう。そこでキラー役を率先して請け負ってくれるプレイヤーには経験値の特典を与えるとかにして数を増やそうとするのも一つの手だし、別の手段としてアンバランスな位にキラー側の強さを上げるというシステムも有効かも知れない。例としてサバイバー側に見合ったランクのキラーが居ない場合、低ランクのキラーをアサインしてその時に限り大幅にパワーアップ可能なアイテムやOfferingを与えてバランスを採るとか。どうしても足りないという状況が続くのならば、キラーの方が有利というバランス設定にしてしまい希望者を増やすという手段も有り得る。

GAMEPLAY(続)
 ゲーム内で一番失望した所はマップの自動生成機能。かなり前面に推し出していたので結構優れた物なのかと期待していたのだが、あまりにも変化に乏しいという感想。確かにオブジェクト類の位置はその都度変わったりはするが、マップの全体像は変わらない為に単調なイメージを受けるし、ランダム性で大きく面白さが増しているとも言い難い。ベータでは全3つのロケーションの内で一つを使っているが、この程度の変化しか持たないロケーションがあと二つだけでは問題となりそう。ランダムな変化を減らしてでも、もっと別のロケーションを増やすというやり方の方が良かったのでは。

 発電機を作動させるというオブジェクティブもそれだけでは単調。過去記事にて様々なオブジェクティブを追加していくというコメントを見たが、製品版では全部一緒だとするなら更に単調さが増す。


 パワーアップ用のアイテム類にも問題を感じる。まずアイテムの種類が多過ぎてシステム理解の妨げになっている。ゲーム内で行った事が上手く行かなかった場合、それは誰かが使用したアイテム効果なのか、単に自分の操作が失敗しているのか判断が出来ない。例として吊り下げるフックを使えない際に、それを壊す事が出来るアイテムが存在する事を知らないと何かの操作ミスだと勘違いしてやり続けてしまう恐れがある等。

 次に上手く使われるとバランス崩壊するレベルのアイテムやPerksが有るという印象。両陣営が持っているならバランスがとれるとも言えるが、それにはマッチングが適切でないとならないというハードルがある。同じく強力なアイテムが存在するのはともかくとして、それを複数持ち込めるようになっているのは問題。サバイバー全体で一つだけとか数量制限が必要と感じられる。


 結構な問題と化しているのがキラー側のフックでのキャンプ問題。これはキラーが最初のサバイバーを捕らえた後に、それをフックに吊してからそこで死亡するまでキャンプを続けるという状態の事。それをエサにして助けに来たサバイバーを捕らえようとするのは作戦の一つだが、そうではなくて単にその一人を殺す事に集中するという件を指す。当然ながらこうなってしまうと他のサバイバーは余裕で別の場所の発電機にて作業が可能になる。それは有利な事ではあるのだが、そんな状態がゲームとして面白いのかとなると別の話であり、単なる発電機を動かすミニゲームとなってしまって全く詰まらないという抗議が起きている。フックから外すのは2秒程度しか掛からないので助けられる可能性はあるのだが、フックの場所に突っ立って居られると危険の方が大きくて見捨てるしかないという姿勢になってしまう。

 理由としては別に書いた様に、サバイバーを全員捕らえないとならないというルールではない。そして一人を吊した後に別の者を狩りに行くと、吊している者を助けられてしまう可能性があり、またかなりの高確率でそうなってしまう。それを考えると全員を捕まえる事は最初から諦めて、一人ずつ順次確実に殺していこうという発想に傾いていく。欲張って4人を追ってポイントを失うよりは、確実に殺してポイントを確定させた方が安全という観点で、最終的には2人も殺せればOKというスタンスである。。そしてその副次作用として、「フックに引っ掛けられたらもう助からない」と考えるプレイヤーが増えだしており、引っ掛けられた時点で萎え落ちしてしまうと言うケースも増えている。

 抗議としては、「罠を仕掛けたりして上手く立ち回れば全員を処刑する事も可能」とは言う人は居るのだが、それは出来るだけのスキルを持ったプレイヤーの話であり、立ち回り方が解っていないのならば逃がされ続けるから、当然それは無理だと判断してしまう事になる。そして別項で書いたように、それを解消する為の方法を探そうとか考えるプレイヤーは一部しか居ない。よってどうやってプレイヤー全体のストラテジーのレベルを上げていくか?という話に戻ってしまう。またそもそも4人全員を処刑するのは難しいという設定だと思われ、仮に二人処刑達成が標準的なバランスだとするなら、キャンプによる確実な処分作戦はあながち間違ったやり方とは言えない。止めさせるならば全員処刑しないと大幅減点にするルールに変えるという手もあるが、それだと今度はゲーム全体のバランスを考え直さないとならない。


 他にガッカリしたのはホラー映画っぽく無い所。制作側もホラー映画の大ファンと話しているので、そのホラー映画での殺人鬼による虐殺シーンのイメージをどれだけ再現出来るのかと考えていたのだが、実際にはそれをテーマにしただけのゲームという感が強い。ホラー映画の雰囲気再現という観点からしたら、キラー側が絶望的に強いという設定が好ましい。例えば同ランク同士の対戦であるなら4回に1回だけ脱出が成功する程度で、後の3/4回は全員虐殺されて終了といったバランスのゲーム。サバイバー側から見ると、せいぜい1/4程度しか脱出成功確率は無いという感じ。だが実際のこのゲームにおける脱出確率は高過ぎると思え、それだけキラーに対しての恐怖感は減少してしまっている。

 勝敗結果がアンバランスでも、元々そういう設定の映画を再現しているのだから構わないはず。プレイヤーからしても獲得XPが釣り合いさえすれば特に問題は無いだろう。同じランク同士の対戦にて、サバイバー側が全滅しても平均獲得XPではキラー側とサバイバー側は公平となれば良いという話。

GRAPHICS
 Unreal Engine 4を使用。ベータ版では設定は全体変更の4段階のみ。フルスクリーンはボーダーレスウインドウであり完全なフルスクリーンでは無い。

 これはグラフィックスというよりはシステム的な問題とも言えるが、惨殺シーンの類はほとんど含まれていない。よってグロさや残虐性は想像していたよりもずっと低目である。キラーが直接サバイバーを殺す事は出来ないし、殺し方はミートフックに吊し上げる方法だけ。その処刑シーンも特に残酷という感じではないし、その点では拍子抜けという感想。

 純粋なグラフィックス面では全般的に水準レベルではあるものの、キャラクターのアニメーションには改善の余地あり。違和感のある動きが幾つか見受けられた。


 音量調整は全体でしか出来ず、ミュージックと効果音を独立調整したりは出来ない。これは意図的なデザインなのか不明。意図的とは、サウンドの聞き分けが重要な役割を担っているが、その際にBGMを切って効果音を聞き易くしようという様な設定を許さないという意味。ホラー映画的なゲームとしてキラーの接近BGMなどを重要と考えるなら、それをオフに出来ないようにするという立場は考えられなくも無い。

 3Dサウンド対応。これは非常に重要なので、出来ない環境にあると不利になる。しかし一方でヘッドフォンにした方が些細な音を聞き分け易いとも言え、3Dサウンド性能が低いヘッドフォンと、3Dのポジショニングには強いスピーカー環境ではどちらが有効なのかは検証が必要だろう。

総  論
 こうして書いてみると不安の方が多いが、それは新しいタイプに挑戦しようとすると仕方が無い事でもあり、上手く行けばそのユニークさによって大きな人気を博する事も出来るだろう。

 ただしまだベータなんだしという人も居るが油断は禁物。ベータを実施するのも一長一短であり、ベータを体験した人が面白いとして予定には無かったが購入してくれるケースも在れば、評判の良いレビュー記事が出回れば売り上げにも貢献される。一方で詰まらないと感じて予定変更して買うのを止めてしまう人も居るだろうし、そこから悪い評判を立てられるという恐れもある。Steamのレビュー&返金システムなどは、こういったある程度の時間を費やさないと評価が出来ないゲームにとっては不向きである。

 Steamchartsでのプレイヤー数はピーク時に4500人程度と、少なくは無いが特に多くも無い。ベータキーは最大で2人までに配布出来るが、それを受け取ってプレイしていた人がどの程度混じっていたのか、そしてその中で即購入してくれる人がどの程度居るのか。ベータ版参加者が居なくなってしまうと結構な人口減少に繋がる可能性もある。反対にベータ版などは無視して製品版からスタートという人も多いだろうし、飛躍的に人口が増えるという方にも期待が持てる。

 価格が低めの設定なのは利点だが、それに比例してマップ数が少なく、且つ上記の様にバリエーションに乏しいとなると大きな売りとはなり難い。


 バランス調整は本当に大変だろうなという気がしている。これから新規ユーザーがドッと流入したりもする訳で、そうなるとこれまでのプレイヤーとの間により一層のスキルギャップが生じる(上位者と下位者の能力差が広がる)。しばらくは各人の学習度合いと成長度合いを観察したい所なのだろうが、あまりゆっくりしているとバランスへの文句が増えたりして人口の減少にもなりかねない。よって早期に手を打たないとならないが、上位層と下位層を両方納得させる様なバランス調整は非常に難しいはず。

 それに加えてパーティープレイの実現要望が本当に難物。パーティープレイを全面禁止にすれば外部チャットを利用される可能性はほぼ無いので、開発側としてもそれが理想だしそれ故にそういうデザインにしたのだろうが、ここに来て猛抗議が起こった為に望まない対応を余儀なくされているという状況である。しばらくは通常モードでのバランス調整に忙殺されるだろうし、それが済んでからパーティーモードの調整やテストに入りたいのだろうが、あまりに遅れるとまた文句が増え出すしレビュー欄が荒れかねない。


 個人的には興味は惹かれたし購入予定ではあるのだが、すぐにプレイを始めたいという程では無かった。現在先にやりたいゲームもあるので、しばらく待ってバランス調整などが進んでから購入&開始という事になるだろう。しかしあまりに遅れて人口が減り出したりしてしまうとアレなので、状況は定期的に観察していかないとならない。

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