GHOST RECON
      ADVANCED WARFIGHTER 2

                                   07/07/09



  公式サイト


  目次




 製作・販売: GRIN / Ubisoft
 発売予定: 2007/07/13(Euro), 07/17(NA)
 日本代理店: イーフロンティア






<概要>

 今回紹介するのはシングルプレイ用のデモで、そのサイズは1.77GBと巨大。インストールにもかなりの時間が掛かるようになっている。Xbox 360版が既に先行リリースされており、PC版は6月中の予定から再度延期されたがもう発売も間近に迫っている。日本代理店版は日本語マニュアル付きで7/27発売の予定。

 実質的にはGRシリーズとしては4作目(PCでは2が出ていない)。前作のGRAWがXbox 360においては大変に好評だった為に、サブタイトルを変更せずにAdvanced Warfighterという名前のままの新作とされている。PC版は前作同様にスウェーデンのGRINが製作しており、既に発売されているXbox 360版とは内容が異なるゲームとなっている。


 マルチプレイ用のデモは別にリリースされている。マルチプレイ関連にについてはここでは触れないので、一応以下に主な点をまとめておく。

*基本的なモードとしてDeath Match, Siege, Team Deathmatch, Hamburger Hillを用意

*PC専用としてRecon versus Assault modeを持つ
 これはGhostチームとメキシコのゲリラとのチーム戦。Ghost側が対空兵器を破壊する側に回り、ゲリラ軍はそれを防ぐという対戦になる。双方の能力や仕様が大きく異なるチーム同士の対戦というのが特徴。

*Coop
 GRAWと大きな違いはなく、4人でのシングルプレイのキャンペーンをプレイするモードと、OGR Coop(Original Ghost Recon)と呼ばれる12人までが参加可能なGR1と同じ様なルールでのCoopが含まれている。前作ではキャンペーンモードはリーダー役が死亡すると終わってしまうという問題が有ったが(途中でパッチにてそのまま続行は可能な様に修正された)、今回はサーバーの設定でRespawnが可能になっている。

*発売時点でスタンドアローンのDedicated Serverを用意。
 これは前作にて大きな弱点とされた点だが、今回は最初からプログラムを提供する。プログラムを手に入れれば製品が無くても、それ程性能が高くないPCでも専用サーバーを建てる事が可能。admit用のツールとリモート操作もサポート。

*アンチチートには自社製作のツールを提供



<STORY>

 ストーリーは前作終了後の数日後の時点から始まる。メキシコのゲリラ部隊は戦闘地域を米国との国境地域へと移し、情報から米国本土を直接核兵器にて叩くという計画を持っているらしい事が判明する。プレイヤーは前作同様にScott Mitchellをリーダーとした特殊部隊Ghostを率いて、メキシコのJuarezから本国のテキサスに到るまでを戦い、72時間という発射リミットまでに敵の野望を阻止しないとならない。


<動作環境>

HARDWARE 必要環境 推奨環境
CPU Intel or AMD, 2 GHz Intel or AMD 2.8 GHz
MEMORY 1GB 1GB
VIDEO VRAM 128MB
GeForce 6200 or Radeon 9700
VRAM 256MB
SOUND DirectX 9.0c互換 EAX対応

対応OS: Windows XP/Vista
DirectX 9.0c以上要


 必要環境は前作から変化が無いようだ。Shader 2.0以上のビデオカードが必要だが、パフォーマンス的にそれを満たしているだけでは不可となっている。メモリも1GB以上必要だが、1GBではあまり設定を上げられないと思われる。

 AGEIA PhysXに対応しており、専用のPPUカードを持っていればその効果を最大限に発揮可能である(オプションで選べる選択肢が増える)。持っていなくても起動は可能だが、ソフトウェア的に使用するのでPhysXのドライバの最新版をデモと同時にインストールする事は必要である。



<SYSTEM>

 GRAW2とはどんなゲームかを最初から説明するのは大変なので、それは別の項目を見てもらうとして(GRAWの方のFirst Impression等)、今回はGRAWとの違いという点を中心に解説をして行く事にする。

◎ミッション前の作戦行動のフェーズを追加
 ミッションがスタートしてから状況を判断するという感の有った前作に対して、今回はミッションの前の計画フェーズが加わっている。開始前にロケーションの全体航空写真を見て重要拠点等の位置関係や現場の地理を把握し、プレイ前に進行ルートの計画を立てられるようになった。Insertionの場所を選べるミッションも存在している。

◎隊員選択
 連れて行く隊員をリストから3人まで選択が可能。ただしデモを見ると事前情報では有るとされていたGR1での能力パラメータの要素が無いようで、クリア時点で生き残っていれば成長させられるというのも無さそう。隊員の種別によって選択可能な武器が変るだけで、同じクラスなら能力は一律で一緒という事のようだ。

 隊員に死亡の概念はなく、倒れた場合には"incapacitated"の状態となって後で救護班が助けに来る。救出された隊員は療養の為に次のミッションに関しては参加不能というペナルティ有り。

◎Rules of Engagement
 トム・クランシー物のシリーズでは御馴染みのモード切替が可能になった。オーダーのメニューからは1と同じにcover, moveといった命令が出せるのだが、その上の階層として"Assault"と"Recon"の切り替えを設けている。Reconにすると隊員はステルスモードで行動するようになり、体勢を低く保ってスピードよりも気が付かれない事を優先し、よりカバーを多用して慎重に動くようになる。倒せる範囲に敵が居ても発砲はせず、敵に攻撃されて撃ち返さざるを得ない状況以外では発砲はしないようになる。また発砲時はステルス用のサイレンサー付き武器に切り替えて(持っていればだが)、出来る限り騒ぎを大きくしないようにして戦うようにもなっている。これによって必要とされる時以外では戦わずにエリア内を通り抜けるという作戦も取れるようになった。前作の様に基本的に戦うしかなかったのに比べると、より現実的に無駄な戦闘を避けるというのが可能である。

◎Cross-com 2.0
 各人のカメラ視点から直接オーダーを出す事が可能になっている。これはミッションによって登場するサポートチームにも同様に行えるそうだ。指定した隊員のカメラを全画面表示に切り替えるとモノクロのレンダリング画面になり、ここで直接その隊員の視点からCross-Comを使って各種命令を出せるようになった。このシステムにより自分は一切動かずにCross-comを通しての命令だけでミッションをクリアする事も可能(特殊な仕事を除く)という、リアルタイムストラテジー的な色合いが強くなっている。

◎新サポート部隊
 MULE(Multifunctional Utility/Logistics and Equipment)と呼ばれる随伴用の車両が加わっているのが目を引く。これはリモート操作が可能な運搬用の車両で、各種武器や弾薬を運ぶ事が出来るので途中で武器を持ち替えたりが可能になる(戦車が現れたら対戦車砲等)。また装甲が堅いので、カバーとして置きたい場所に移動させてやり盾として使う事も出来る。カメラが付いているので単独で進ませて先の状況の偵察も可能。

◎AGEIA PhysX
 前作では対応していたもののむしろフレームレートが低下するとして問題視されたが、今回はエンジンの方も最適化されて専用ボードの能力を発揮出来るようになった。"Ageia Island"と呼ばれる専用ボードが必須の特別なマップが収録されており、そこでは大量のオブジェクトが破壊可能で、かつ破片もちゃんと残るようになっている。



<GAMEPLAY>

 まず最初に書いておくと、デモでプレイ出来るのは一番最初のミッションであり、マップも狭いし内容的にもシンプルである。マップは広大とされていたが実際には平均的にどの程度なのかも分からないし、ゲームの手応え(難易度)についてもこれだけではよく分からないというのが正直な感想。前作未経験者の事を考慮したのか、新しいシステムに慣れるには簡単な物が良いという考えなのかは不明だが、あまり面白いというマップではないのは確かだ。
 味方を全員生き残らせてじっくりと攻めれば1時間位は楽しめるが、一気に攻めれば20分程度のボリューム。Normalなら隊員を置いて単独で行っても結構やれる程度の難易度というか敵の数である。複雑な作戦を立てなくても何とかなってしまう感じであり、本編同様のゲーム感を味合わせてくれるのかについては疑問が残る。

 本質的な操作感覚はほとんど変っておらず、前作をプレイ済ならばすぐに慣れるだろう。逆にこれが初めてという人だとシステムを憶えるまでは時間が掛かるかも知れない。しかしGRAWのデモよりはずっと簡単なので練習用にはこちらの方が向いているとは言える。このデモではそこまでする事もないが、上空からのTactical MapやDroneを飛ばしての偵察によって先に出来る限りの敵の位置を知り、戦闘も有利にしてから実際に戦うというのが基本である(偵察で発見した相手には赤いタグが付くので壁越しでも位置が判る)。情報を踏まえてどう攻めるのかの計画を立てるというスローテンポなゲーム性であり、部下を引き連れてドンドン未知のエリアへと走って行って敵が居たら即戦うといったゲームではない。開発側の話では今回は前作よりも更にゆっくりと進めて行くゲーム性を狙っているそうだ。

 新要素の評価としては隊員の選択は思っていたほど複雑ではなく、成長要素も無さそうなのにもガッカリ。これだとあまり生き残らせないとならないというモチベーションが上がって来ない。複数のInsertionにしても、このマップではあまり意味を成していない気がする。また隊員選択画面が広がった関係なのか武器がアイコン表示になってしまったので(拡大画像が出ない)、武器に詳しくない身としては名前だけだとどんな銃なのかがイメージ出来ないというのも問題に感じた点。武器の性能もやや見辛い。Defaultの武器装備もAssault用とRecon用を分けるべきではなかったか。事前にマップ全景が確認出来るのは良い改善点である。

 Reconの追加は非常に有用で、不意に出会い頭に戦闘が始まってしまうというケースが減らされる事になる。味方を配置させてから攻撃に移れるので、作戦行動を重視するプレイヤーには良い改善である。クリア後のスコアでステルス度合い等の成績が表示されるので、出来るだけ敵を倒さないで目的を達成するというプレイ方法で楽しむという人も増えるのではないか。ただAssaultとReconの切り替えがワンキーで出来ないのは改善してもらいたいところ。プレイしていて一番の改善点と感じたのはCross-com 2.0による隊員視点からの直接操作で、試しに一人だけで敵陣に命令だけで進ませても結構やれるという印象。これをTactical Mapと場合に応じて使い分ける事で隊員操作がし易くなりそうだし、面白くもなりそうである。


 クイックセーブ機能の追加については賛否両論有ると思うが、戦闘が起きていない状態ならば(この判定がどういう基準なのかちょっとよく分からないという印象は受けたが)幾らでもセーブする事が可能になっている。履歴は3個まで保存される形式で、チェックポイントのセーブはまた別に自動的に行なわれる仕様。このデモ程度の短さと内容ならば特に必要は無いという感じだが、前作は非常に難易度が高い事で知られたゲームであり、その大きな原因となっていたチェックポイントのみのセーブという仕様が変更されたのは、GRAWの平均的なミッション並みのボリュームと難易度をこの2も持っているのならば、ストレスの軽減に大きく役立つと思われる。
 個人的にはセーブしてからいろいろと試してみてAIの行動限界や欠点を探って行くようなプレイを好むので、戦闘を仕掛けたりする前にセーブしておけるのには賛成である。1でのAIの妙な動きで作戦失敗して結構前からやり直しというストレスが大幅に軽減されるだろう。AI自体の能力を高めてもらうのが一番の理想だが、ダメならダメでプレイヤーにとってAIがストレスに感じられないようなシステムを導入するというのは悪い判断ではない。「リアル系のゲームなのだから、AIにどれだけ問題があろうが自由にセーブはさせない」といった意地を張られてストレス満載のゲームになるよりは数段マシである。

 デモにおいて最も問題と思えるのが敵のAI。今回はReconを選択出来るようになったので、それに合わせて敵の検知能力を落としているというのは考えられるが、それを考えてもこちらを検知する能力が低いような気がする。1では迂闊に敵を見逃してエリアに踏み込むと撃たれてしまうという感じで、敵のAIの感知距離が長いという設定だったが、それに比較すると明らかにその距離が縮められているように思える。またSniper Rifle等で遠距離から射撃すると、隣の味方が倒れても反応しないというのも気になった点。もし見晴らしの良い場所を確保出来れば、そこから一気にエリア内の敵を削れてしまうのではないか?と危惧している。
 味方についてはマシになったような気もするが、Reconの状態だと撃たれても反応しなかったりと問題も見受けられる。射撃の能力は高いのだがDF面についてはまだまだのようで、危ないのに馬鹿正直にオープンな場所で戦い続けて倒れてしまうというのはやはり発生するようだ。



<GRAPHICS>

 エンジンは前作をバージョンアップした物となり、最適化が進んでいるので重さについては改善されているようだ。ただしエンジンの仕様としてアンチエイリアスはやはり使えず、edge-smoothingという近辺のみに使われるだけの簡易型しか選択は出来ない。私のマシンだと最高レベルには出来ないので何とも言えないが、キャラクターのモデルについては改善されたように見える。

 現在Geforce 8800系のカードにおいては、ドライバとの組み合わせによっては影が描画されないというバグが有るようだ。


<総合>

 ゲーム性はほぼ前作と同じで、不満として挙がっていた点を修正したゲームという印象。クイックセーブの導入も含めて「あまりにも高過ぎる」という批判を受けた難易度については特に改善を図っているようで、それが成功しているならより一般のプレイヤーにも受ける余地が広がるだろう。1はNormalでもそもそもの難易度が非常に高い上に、そこに独特の部隊操作やTactical Mapを使用させるというゲーム性だったので、この手のゲームの初心者には敷居が高過ぎたのは確かであり、バランス的にはもっと易しくするという方向性には賛成である。高い方の難易度を好むプレイヤーにはそういった難易度を設ける事で対応すれば良い(ただしデモのミッションでは最高のHardcoreでも簡単過ぎるという声が結構あるようだ)。

 ルートの自由度については一応デモにおいても存在はしているが(目的以外のエリアをパスする事も可能)、もっと広いマップに多彩なルートが用意されるのを期待したい。隊員選択では成長要素が無いのならば、GR1の様な特別な武器を持ったSpecialistsの登場を期待したいところ。MULEは実際にどんな物か見たかったのだがそれは適わなかった。ただ用意されたミッションでは戦闘の幅が大きく広がりそうな感じがするので楽しみである。

 心配は上にも書いたが敵のAI。戦闘が始まってしまえばちゃんと動き回るが、こちらに気が付かない時点では棒立ち気味なのはやはり味気ないので何とかしてもらいたい。難易度を上げても検知能力が上がる訳では無いようなので、このままだと大きな問題になりそうな気がする。検知能力を上げるとプレイヤー側がReconで行動し難くなるというのは確かにあってそこは難しい問題とは思うが、かなり重要な要素なのでバランス調整をしっかりとして欲しいと考えている。



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