I.G.I・2:COVERT STRIKE

                                  03/01/24


      138MB   Codemastersより 03/02/25発売予定


<概要>

 2000年に発売されたProject IGI(I'm Goning in)の続編。前作は北米ではIGIのタイトルだったのだが、今回は欧州も含めてIGIの表記に統一されるようである。製作は前作同様にノルウェーのInnerloop Studiosが担当しているが、発売元はEidosからCodemastersに移っている。
 前作はある程度のファンからは熱狂的な歓迎を受けたものの、マルチプレイが無かった事やゲーム上の幾つかの問題点、パッチ等のサポート面の不備等から広い範囲での支持は受けられず、売上的にもそれほどでは無かったようだ(個人的には未プレイ)。しかし今作では新たに導入されたマルチプレイにも非常に力を入れると共に、前作での批判された点を修正する形で大きな成功を狙っている。本来ならば発売は2002年の中盤だったのだが延期に次ぐ延期で結局年越しになってしまった。

 マルチプレイ用にも別でデモがリリースされており、現在バランスやバグ等の公開テスト中の段階。このシングルデモでは90%の完成度と画面に出るが、予定通りに発売されるかはマルチの方の完成に左右されそうである。デモでは1つのミッションをプレイする事が出来る。


<動作環境>
 

HARDWARE 必要環境 推奨環境
CPU Pentium or Athlon 700 Pentium or Athlon 1.2GHz
MEMORY 128Mb RAM 512Mb RAM
VIDEO VRAM 32MB video card VRAM 64MB video card
SOUND DirectX compatible soundcard EAX,A3D

対応OS: Win 98/2000/ME/XP
Direct X 8.1以上要


*Supported 3D Chipsets
3Dfx Interactive Inc.: Voodoo 4, Voodoo 5,
ATI Technologies Inc.: Radeon, Radeon 7xxx/8xxx/9xxx
Matrox Graphics Inc.: G400, G450, G550, Parhelia
NVIDIA Corporation: TNT2, GeForce256, GeForce 2/3/4

 ゲームそのものの安定度は高い様で、私の環境ではゲーム中に落ちたりとかは無かった。推奨環境は高いとも言えるが、今後はこの程度は当たり前になっていくだろう。ただEAXを選択するとノイズが入ったりとかでこの部分はまだ未完成のようである。それと敵が動かなくなったりとか、壁を通して検知されると言った現象が出たりもするらしい。現状Radeon系のカードでは描画に異常が出る可能性があるそうで、これは製品版では解決される予定。以下は報告されている主なビデオ系の問題点。

*Geforce系のカードにてnview(マルチモニタ)がOnになっていると起動しない

*Radeon系にて地面が割れたりチカチカと点滅する様に表示される問題が有る場合は以下の対処で直る可能性が高い。これはカードによって変わる。
 方法1:Optionにて"Force software vertex processing"をOnにする。ただしCPUにやらせる事になるので若干重くなる。
 方法2:ドライバをcatalyst2.1まで戻して、上記設定はOff

9700 Pro    特に設定を変えなくても問題は無い
8500,9000系 上記2つの方法のどちらかで修正される
7500      現状描画に問題が有り修正出来ない

 またAntiAiliasを入れるとおかしくなるというのが有るそうで、これはちょっとどのカードとどのドライバの組み合わせなのか詳しく分からない。

*同じくRadeonでTextureが正常に貼られないといった場合は、FilteringでAnisotropyを使わない、Detailを落とすを試す



<STORY>

 主人公は前作と同じでDavid Jones。元英国の特殊部隊SASの一員で、現在は別の組織に属して極めて高度な機密性を持つ仕事を請け負う特殊任務に従事している。なおこれに関連して現実のSASメンバーであった人間が、ゲーム開発のアドバイザーとして加わっているのが大きく宣伝されているのは御存知の方も多いだろう。製品版では全19ミッションで舞台は世界各地に渡り、やはり世界を脅かす様な陰謀に対しての極秘捜査というスタイルになっている。

<GRAPHIC>

 まずかなり軽いという印象。広いアウトドアMapをストレス無く描画という前作からのエンジンの特徴は受け継いでいる。インドア系も悪くなく、この手のエンジンに有りがちなインドアになると急に重くなる&汚くなるという面も無いようだ。ただし描画にはVertex & Pixel Shadersを採用しているので、これを持っていないビデオカードでは重くなるかもしれない。キャラクタのモデリングやアニメーションもそれほどカクカクとしておらず水準以上ではないか。影はBlobではなくちゃんとした形状の物が付けられるが、若干描画が変な感じの個所も有った。草木の表現は良く出来た部類。
 
 エフェクト系では爆発のエフェクトは旧来の物なのかあまり綺麗ではない(Particleは使っていない様に見える)。また水面の描画は今となっては平凡な部類。このデモだけでは何とも言えないが、それほどエフェクトに凝った作りでは無さそう。

   フルサイズ画像            


<SOUND>

 現在未完成のようで3Dサウンドの出来はまだ不明。銃器系の音は結構良い感じである。基本はしっかりしており、弾が当たった場所や自分が歩く場所によって音がちゃんと変化する等細かい所まで作り込まれている。



<GAMEPLAY>

 ゲームプレイはステルスが基本だが、戦闘というオプションもOKという今流行の形式。目的達成の為にはルートが多数存在し、自由にそれらを選択していけるという事である。このデモにおいても最終的にエレベーターにて地下の施設にアクセスすればクリアなのだが、そこに至るまでのルートは数多く用意されていて自由度はかなり高い。その意味で製品版でも一度全体を通してプレイしてクリアする面白さよりも、繰り返しいろいろなやり方でトライしてより好成績でクリアする方法を探す事に面白さの重点を置いている、リプレイ性重視のゲームとなっていると想像出来る。
 実際に各種システムは同じゲーム性で先に出たHitman 2にかなり似通っており、各要素に付いてどちらが先という事は分からないが後に出る分影響を受けているという面は多少有るだろうし、そういう風な目で見られる可能性の有るのは仕方が無いだろう。

 まず最初に注目していた点のSaveについて解説しておこう。前作では一切のSaveが出来ずにこれが批判の元となったのだが(個人的にもプレイしなかった大きな原因の一つがこれ)、今回はSaveが可能となっている。これについては開発のInnerloopでは「緊張感を保つ為にはSaveが有っては意味が無い」という立場を取っていたのだが、金を出す立場のCodemastersからの指導が有ったのか、割と早い段階にて今回はSaveを限定で組み込む事を発表。しかしその時にEasy:Normal:Hard=3:2:1とされていた回数はその後のインタビューでは2:1:0と減らされており、やはり厳しい路線へと変更されるのかと心配していたのだがこのデモではそれぞれが5:3:0になっており、前作のNo Saveが好きな人には同様にSave無しでプレイ出来るが、そうでない人は回数が増やされておりやり直しのストレスが減少するというバランスとなった。心境の変化なのかCodemastersが強制的にそうさせたのかは定かではないが、いずれにしろこれは評価出来るポイントと言える。

 ゲームの基本部分に関しては以下の様になっている。
*Visible Meterが装備されており、これにてどの程度発見されやすいかが視認出来る
*メーターは3つの姿勢、Run/Walkの状態、音を発しているかどうかにて変化する
*体力を回復する手段は無いが、Healthが減っても移動等には影響は無い
*何等かの作業をする場合にはバーが出て進行具合を表示する。この間はそれを停止しない限りは何も出来ない
*武器はPrimary、Secondary、Grenade系とKnifeという構成で、同じ種類を複数は持てないが敵の物と交換は可能
*ミッション開始前にGear系の選択は出来ない
*双眼鏡とTheamal Goggleは標準装備
*GPS機能にてMap全体の敵の配置や移動ルートは非常に細かく確認可能(敵自体が見えるまで拡大も出来る)。H2と違って最高難易度でも敵はちゃんと表示される代わりに、インドアでは敵を確認する事が出来ないというリアル志向。


 ステルスと戦闘のバランスに関して言えば、H2に比べると若干戦闘面に力を入れているという感じを持った。この点はプレイヤーの嗜好によって利点とも欠点とも成り得ると言えるだろう。このステルスと戦闘を両立させるという難題(ステルスをやり易いように敵の数を少なくしたりAIの反応を鈍くすると、戦闘で行った時に簡単になってしまう。敵を増やして反応を良くすればその逆になる)に関しては、戦闘重視で行ってアラームを鳴らされると(それと連動した)建物内に待機している敵が出てきてしまうという方式を取り入れている。つまりステルスで行けば最小限の敵しか姿を現さないが、戦闘で行くと敵が増えるのでその分難しくなるというシステム。

 まず個人的に言えばゲームのバランスには結構好印象を受けた。その第一の要因はこのゲームはFPSであるという点である。例えばH2は非常に良く出来たゲームであるが「あくまでも三人称視点主体」「戦闘でも行けるがバランスはステルス寄り」という面があった。つまりステルスで行った時に最もゲームを楽しめる様にバランスが成されており、敵AIに関してもその方向で行動が設定されている。よって戦闘になった場合に三人称視点故のやり難さ(或いは一人称視点の出来が余り良くない点)と、戦闘時の敵のAIが単純という点にやや不満が残るゲームである。一方でこのIGI2はFPS視点なのでゲーム中の感覚がやり慣れた形式と同じであり、行動&戦闘が非常にスムースでやり易い。またこれも前作の大きな批判となっていた敵AIに関しても改善が成されており、ちゃんとしゃがんだり伏せたりといった事をしてくるし、こちらへの視認性や反応速度、銃の命中率もかなり現実的で良い具合になっている。更にGrenadeを投げてくるので油断出来ずかなり手強い。こちらを探索するルートでも、分かるはずが無いのに見付けられてしまうといったおかしな面はないようだ。
 ベースとしてはガンガン撃ち捲くれるゲームではなくて、ダメージの少ないEasyでも正面から近距離戦を挑むのには無理があるというバランスになっており、あくまでも敵の背後に忍び寄って有利な立場から倒していくか、上手いポジション取りで優位な状態から敵を狩っていくかという風に頭を使わないとならないゲーム。総じて戦闘に関してはAIの出来も含めてかなり面白いと感じた

 一方でステルス面に関してはやや物足りない出来(少なくともこのデモでは)。敵の反応はやや鈍くなっており、比較的動き易いし音にもそれほど敏感ではないようだ。またずっと同じ場所を動かない者も多いし、移動も同じパターンでループしているだけなので切り抜け易い感がある(GPSにて動きは見て取れるし)。監視カメラを掻い潜る&行動はマルチルートで多彩という要素は有るものの、どちらも新しい要素では無いしそれだけではインパクトが薄い。特にこのゲーム独自の何等かのユニークな特徴が無いのが痛い。例えばH2では変装によって敵の内部に潜入するといった要素&敵を引き摺って隠すという要素が有り、NOLF2ではHidingによって隠れられるという点&敵の移動パターンが読めない&敵が周囲の状況に対する記憶を持っているという点が面白さを生んでいるのだが(詳しくはNOLF2のレビューのAIを読んで欲しい)、そういった要素がこのゲームには無い。よってこれらのゲームをステルスで楽しんだ人にはIGI2のステルスはストレート過ぎて食い足りない感が残る可能性がある。ただ製品版では分からないが、難易度を自由に変更してリプレイ出来るのは便利。

 H2に比べると戦闘面でのAIが強化されていてそこは面白い分、ステルス面では単純に敵の配置を見てかわして行くという方式なのが見方によっては欠点と言う事である。私としてはこういう”ステルス・アクション”といったバランスは嫌いではないし、H2と同じ物を作ってもしょうがないという事もあるので良いと思うのだが。だらか宣伝文句で「とにかく徹底したステルスが中心でそこが魅力」という風な押しは好ましくないかも。そこまで言うならもっとユニークな特徴か、ステルスに優れたAIが欲しい所である。或いはクリアの為のマルチルートの選択性が非常に良く出来ている、クリア後のランキング表示に面白さが合ってリプレイがより白熱する、といった面で対抗するしかないだろう。これはデモだけでは何とも言えない。



<INTERFACE>

 移動及び戦闘に関しては、普通のTactical系シューターに比較するとノーマルなFPS寄りなバランスという印象。移動速度は速いしこれは伏せたりした状態でも速い部類。姿勢の切り替えが一瞬で出来るのはちょっと変な感じもするがストレスは無い。LeanはLeanキーを押しながらマウスの左右移動という方式でやややり難い。Lean中は何も出来ないが相手からは見えないという仕様のようだ。武器は移動中は照準が広がるし、フルオートで撃つと実際に跳ね上がるという方式である。Reloadはそれほど時間は掛からないしクリップごと捨てたりも無い。

 Saveは携帯しているLaptopツールから行う形式で、本部へデータをUpload(Save)、Download(Load)するという方式で行う。先に述べたように回数限定でこれはバッテリーの減り具合で確認。注意点としてはSaveが完了するまでには時間が掛かるので安全な場所を確保した状態でないと行えないという点。この間リアルタイムでゲームは進行している上に画面は見えなくなるので戦闘中にSaveとかは出来ないようになっている。

 あと気が付いた点としては、LOGにてこれまでの経緯をテキスト表示で見れるのは便利。HUDもスッキリしていて見易い印象。


<総論>

 マルチプレイに関してはまだ未知数だがシングルに関しては面白そうである。Saveも可能でそれほどのストレスも無さそうだし緊張感という意味でもバランスは良く取れている。AIも良い感じだしFPSでプレイ出来るのはやはりやり易い。元々買う気は有ったゲームだが、このデモでそのポイントがやや上がったと言える。

 ただしこのゲームの抱える問題点というか泣き所は、発売が遅れたという点に尽きると思う。PCゲームの世界では技術の進化に伴って発売時期というのがかなり重要であり、開発の遅れのみならず代理店との契約の関係で発売が大きく遅れたばかりに本来受けるべき評価を得られなかったゲームというのが存在している(最近ではCodename:OutbreakBlade of Darkness、古い所ではChasmとか)。このゲームも当初の予定から大きく遅れた分Hitman 2NOLF2には先を越されてしまったし、何より厳しいのが現在の予定では(テーマ的には同じステルスアクションであり、昨年のXboxのベストゲームで今年のPCのベストゲーム候補と既に評判の)Splinter Cellよりも後に出る事になっており、これは物凄く痛いと感じる。私もこのIGI2を気に入ったといっても、Splinter Cellのハイテク・ステルスに光と影の高度なグラフィックを体験した後では相当インパクトが弱くなるのは確か。同じ様にSplinter Cellに比べるとインパクト不足を感じる人は多いかも。
 遅れの原因はどうしても成功には必要とされたマルチプレイの開発に注力している点が大きいのだが、これで出してみたらマルチが大して受けずに売上につながらず、シングルはSplinter Cellといったタイトルと比較してどうこうと良い評価を受けられず、これなら最初からシングルのみに注力して早く出しておけば......という最悪のケースは避けたい所であるが。



 目次