IRONSTORM

                                  02/10/20


   196MB  DreamCatcher Interactiveより10/21発売

  公式サイト


<概要>

 フランスの4x Studio製作の3Dアクションゲーム。配給はUS&カナダへドイツやフランス産のAdvertureゲームを紹介している事で有名なDreamCatcher。ラインアップのほとんどがADVの同社だが最近は他の分野へも積極的に進出しており、FPSタイトルとしては先に発売されたGoreに続く物となる。

 最初雑誌に収録されていた物か何かがデモとしてリリースされたが、今回の評価対象とするのはその後に出た正式版(USA版)。シングルプレイのMap2つとマルチプレイに対応しているが、その為かサイズがかなり大きいので注意。公式サイトからDownload可能なサイトは探せるが4Gamerにもある。Online Player誌Vol.12にも収録されているが、これはサイズが小さいので古い方かと思われる。


<STORY>

 簡単に説明すると歴史のIF物で、第一次世界大戦が終了せずにそのまま50年以上続いていたら?という世界設定。強大な力を持ち世界征服を企む独裁者率いるロシア・モンゴル帝国と、アメリカ他西側諸国の形成する多国籍連合が戦争を続けており、その境界線となるドイツは中央で完全に分離された状態となっている。プレイヤーはその境目となる激戦地域Wolfenbergで生まれた主人公のAndersonとして、独裁国家を倒して戦争を終結させる為に戦う事になる。


<動作環境>

 Direct X 8.1以上要。最低スペックはIntel Pentium III 600MHz、256MB RAMとメモリの要求が高い。ビデオカードはGeforce2以上を推奨。デモではVoodooやTNTといったカードにおいては安定して動作しなかったり、Radeon系でも問題があるらしい。これが原因とは限らないが起動すらしないといったケースも多いようなので、リファレンスとしているGeforce以外のカードの方は注意した方が良いだろう。



<INTERFACE>

 オーソドックスな操作ではあるが、三人称視点との切り替えが可能となっている。三人称視点でもある程度は狙いは付けられるし(NormalまでならAuto設定が可能)、この方が周囲が見渡せるので一人称で乗り切るという感じのゲームでは無い。必要に応じて切り替えないとならないだろう。LeanはLeanのボタンを押しながら左右移動キーというスタイルでちょっとやりにくい。またUSEキーで作業を行うのに、武器やアイテムはそれでは取れないというのは非常に面倒であり改善が望まれる(実際にその上を通過するとかしないとダメ)。それと姿勢の変更は一時的なキーとなっており、その状態を維持するにはStanceキーを別に使う方式。Option設定のキーバインド変更はダブルクリックで行うので注意。

 SaveはAutoの他に任意にQuickが可能。また以前聞いた台詞や情報をPlaybackする機能をメニューに持っているのは便利だ。


<GAMEPLAY>

 ゲーム性としてはMedal of Honorの様にスクリプトイベントが多いストーリー方式で、かなり多彩なミッションをこなす物になるという事なのだが、このデモのミッションはMap1がスナイパー等の排除、Map3がシンプルな戦闘と割と普通に戦う物になっている。

 ゲームの一つの特徴は開発元も述べているようにその難易度となる。地元フランスは聞いた話では非常に難しい(アクション)ゲームが好まれるお国柄であり、多くのプレイヤーはまず最高難易度からゲームをスタートさせて、自分にはクリア出来ないと納得した時点で初めて難易度を落としてプレイし直すそうである。その意向を汲んでこのIronStormは意図的に難易度を高く設定しており、相当この手のゲームをやり慣れたプレイヤーでもキツイと感じるレベルのバランス調整がなされているそうだ。
 具体的にデモでいうと(Normal難易度)、まずはダメージが非常に厳しい設定になっている。ライフルでHeadshotされると即死だし、Shotgunを近距離で撃たれたりGrenade(何種類かあるが非常に強力)でもほぼ即死になる。その割にはヘルスパックは少ないので厳しい。敵は固定式のマシンガンで攻撃しても来るし、ブービートラップが仕掛けられている個所もあって相当回数死ぬ事になるだろう。

 次に敵のAIが強過ぎる感がある。Reload時はちゃんと隠れる、隠れるとGrenadeを使って来る、集団で攻撃してくる等AIの出来そのものは悪くない。このAIを活かして普通にゲームを作るのならば、ダメージスケールを下げるとかヘルスパックを増やすとかすれば面白くなると思うのだが、最終的なバランス調整が厳しくなっており辛い。
 まずは索敵能力が非常に高く、最初どこから撃たれているのかわからないケースも多かった。グラフィック的にも敵が識別し難いのだが、敵は逆に高度な感知能力を持っており、その上射撃はかなり正確である。例えば最初のMapでは周囲にいる敵を倒すというミッションなのだが、その個所に行くといきなりHeadshotされて即死、どこにいるのかとゆっくりと周囲を見渡しながら動いていると撃たれて即死、といった感じで何回も殺される。MOHAAをやった人ならあの悪名高いSniperレベルを思ってもらえるといいだろう。Tracerが無いので敵を発見するには撃った時のフラッシュを頼りにするしか無く、しかも敵が見える範囲に入った場合にはすぐに敵がこちらに気が付くという位の反応速度。よって何度も死にながら敵の位置を知るまでやって、それから初めて倒しに掛からないとならないという感じになっている。Map3ではそれほどでも無かったので全体的にはどうなのかわからないが、敵がこちらに気が付く速度は非常に早いのは確かだ。
 Leanは出来るがその状態からでは撃てないのも厳しいし、武器の持ち替えはワンタッチでは出来ないのも激しい戦闘時に不便(持ち替え速度も長い)。QuickSaveは幾らでも出来るので異常に難易度が高いという感じはしないが、憶えゲー的な側面が強いのにはちょっと不満を感じる。

 味方のAIに付いて言えば、MOHAAと違ってFollowとStopの指示は出せる。しかし動きが単純であり、またダメージが大きいので、敵に向かって行って一発受けただけで即死という事が多くそれほど頼りにならない。武器を投げて持たせる事は出来るのだが、それをちゃんと使ってくれるのかは未確認。Grenadeは敵同様に使えるようなのだが。

 最後に大きな特徴として挙げられていた武器について。「ゲームの時代は過去だがSF設定なのでオリジナルの独特な武器が登場する」という事だったが、特に面白い物は無いという印象。普通のShotgunやMachinegun,Rifle等が出てくるのみ。



<GRAPHIC>

 オリジナルのエンジン使用で、アウトドア画像のレベルは結構高くて綺麗な部類。そしてかなり軽いと思う。逆にインドアはデモで見る限りはあまり良くない。これは時代に合わせて雰囲気作りという事なのか、鉄とかコンクリとかに”汚し”みたいな要素が加えられており、汚いグラフィックというイメージが強い(クオリティでは無く表現そのものが)。黒と茶系がほとんどでデザインされているので重く沈んだ感じが漂っており、その分クオリティが落ちて見えるという面はあるかも。Textureのクオリティは普通で、これも最近のゲームに比べると落ちると言っていいだろう。エフェクト系は普通であり、影は付かないようだ(付いているSSも見たことがあるのだが)。砲撃を受けた時に画面が激しく揺れるというエフェクトは派手。

 一方まずい点はモデリングとアニメーションだろう。ゲームの雰囲気はMOH風と言ったが、キャラクタのモデリング具合はそれに遠く及ばない出来。モデルに使われているTextureは特に質が低い感じで悪印象、また使われているモデルのパターンも少ない。アニメーションもぎこちなくカクカクしており、撃たれた時の死のアニメーションは物理特性を無視していて滑稽でさえある。

  フルサイズ               


<SOUND>

 特別な印象は無し。もちろんMOHレベルでは無い。


<MULTIPLAY>

 取りあえずやってはみたが本当に普通という感じで付け足しといった感が強い。Goreがマルチ中心でシングルは付けたしだったように、こちらはシングル中心でマルチはオマケといった感じでは無いだろうか。シングルには出て来ない武器を何種類か使用することは出来るが、これもまた特にオリジナリティは感じられなかった。Serverがほとんど無いのでPingの高い所でしか試せなかったので、ラグに関しては何とも言えない。

 なおプレイにはGamespyが必要。ゲーム内のブラウザからも見えるのだが、私の環境ではGamespyから検索して入らないと接続出来なかった。


<総論>

 ちょっと周囲からは面白く無いといった感想を聞いていたのだが、やった感じではゲーム自体はそんなには悪く無いかなという印象を持った。残念ながらこのデモではミッションが単調なのだが、ストーリーベースで多彩な種類の物が用意されていれば楽しめるのでは。これについてはもう発売されるので、今後出てくるレビューを参考にしようと考えている。ただしグラフィックや操作性には不満が残る出来だ。

 価格的には$39.99と若干新作FPSよりは安く出るようだが、Goreの時の様に$29.99で出ればちょっと考えても良いかも。DCはかなり大胆に価格改定をする所なので、来年とか新作系が減った時期に安くなったら購入するかもしれない(^^;)


   目次