RAINBOW SIX: LOCKDOWN

                                 06/01/24

           532MB  Ubisoftより2/8発売


  公式サイト


<概要>

 Raven Shieldに続くシリーズ4作目。開発はRed Storm Entertainmentが担当。これまではPC主導で開発されていた同シリーズだが、今回からコンソールをメインのターゲットに移しており、既に昨年にPS2, Xboxでは昨年9月に発売済み。PC版は一時キャンセルの噂も出ていたのだが、PC用に調整したバージョンを出すという事から延期されていた。
 しかし昨年末辺りからPC版への要望を募っていた割には、既にゲームは完成という事になっており、PCユーザーの要望がPC専用バージョンに反映されているとは現状では言い難い。今後要望をパッチで順次実現してくれるならば話は別だが、そこまではやらないだろうという声が多数である。今回のデモも完成版に向けてユーザーの反応を見るというタイプではなくて、出来上がった製品版の宣伝の意味合いが強い物と考えられる。

 なおコンソール版のLDは各プラットフォームにてそこそこの出来といった評価に終わっており、既に半値で売られているといった状況。コンソール市場にシフトはしてみたが、結果としては失敗という感じになってしまっている。

 このデモはシングルプレイ用のミッション1個とマルチプレイのマップを1個収録しており、マルチプレイではCoopも可能。製品版は北米では$49.99の価格で、日本語マニュアル版も同日Ubi Japanより発売予定。


<動作環境>

HARDWARE 必要環境 推奨環境
CPU Pentium 4 processor 1.5GHz
MEMORY 512 MB
VIDEO VRAM 64 MB以上 AGP or PCI-Express
SOUND DirectX9-compatible

対応OS: Win 2000/XP
Direct X 9.0c以上要


 推奨環境は記載無し。ビデオカードについては"supports pixel shaders and vertex shaders"の注意書きがあり、これはおそらくHardwareレベルでのサポートが必要と考えられる。つまりGeforce 4MXやIntelの様なオンボード系のチップセットでは動作しないだろう。Geforce 3, Radeon 8500が最低ライン。

 私の環境では一回落ちただけで動作は安定しているレベル。ただ照準(Reticle)が時々消えてしまうという問題が発生した(OptionでONに設定しても発生する)。どうも一度アタッチメントとしてScopeを装着すると直るようだが、ゲーム側のバグかも知れない(マルチプレイではサーバー設定でOFFなら表示されないので注意)。

 問題として多く取り上げられているのがサウンドが正常に再生されないという障害。これはdataフォルダの中の"options.xml"をNotepad等で開いてやり、audioセクションの useWinMM = "0" を"1"に変更してやるという方法と、EAXを切ったりサウンドの設定を下げるという方法が効果が有るという報告が挙がっている。


<GAMEPLAY>

 実は既に今年に入ってからゲームサイト等にPreview用の評価バージョンが出回っており、そこでのPreviewやゲームプレイ・ムービーから内容については或る程度の情報は得ていたのだが、実際にプレイして見るとやはりこれまでの同シリーズとは別物という感が強い。Upcoming Gamesの記事ともダブるが、再度変更点を整理してみる。

*部隊は1つのみで4人固定。参加メンバーの選択も出来ない。
*操作するキャラクタはリーダーのChavezのみで切り替え不可(製品版ではSniperを操作可能)。Chavezが死ねばゲームオーバーとなる。
*ゲーム開始前のプラニングは無し。全体マップが参照出来るのみ。
*メンバーの能力パラメータが無くなっており個性が無くなった(全員が同じ能力なのか?)
*装備は選択出来るが、AmmoのタイプやArmorの種類の選択が無い等簡略化されている
*RoEはAssaultとReconの切り替えになり、Infiltrateは無くなった(ステルス要素の低下)

 以上の様に仕様からして既にR6シリーズ物とは言えないゲームに変貌している。特に個人的にはプラニングのフェイズが無くなったのが問題。これを使うかどうかは人によるだろうが、この特徴がR6シリーズを他と差別化していたのは事実。最低限マップ表示からリアルタイムで行動がアサイン可能(Ghost Recon等)というレベルにはして欲しかった。ただし後でも述べるが、マップの構造からしてプラニングに大して意味が無いというのも確かである。
 キャラクタも能力パラメータや疲労・成長要素が無い上に選択も出来ないので、部隊構成の面白味も無くなってしまった。用意された隊員は限定されているようなので、プレイ中に倒れてもおそらく死ぬ訳では無いと思われる(後のミッションでは復活する)。


 次にゲームプレイの観点から特徴を挙げてみよう

一発被弾すればほぼ即死ではなく、三段階のヒットポイント方式が採用されている(回復パックは無い)
*高速で走り続ける事が可能であり、スタミナの概念も無い
*Leanは可能(RvSのアナログ式では無くなった)。撃てるが動けない。
Quick Save/Loadが可能。通常Saveもおそらく製品版では可能と思われる。
*マップは単体ではなく、チェックポイントにてLoadするという複数の物から構成されている。逆戻りは出来ない。

 射撃については移動しながらの攻撃は照準が大きく開くので難しいが、逆にZoom(Iron Sight)にした場合には非常に集弾性が高くなる。ズームしてセミオートにて攻撃するとほぼ正確に弾は飛ぶという仕様のようだ。フルオートであっても効果が高いという印象。Grenadeも投げ込む軌跡が表示されるという簡単操作。
 コンソール版で問題視されていたMotion SensorはPC版でも登場するが、確かにこれは便利過ぎるだろう。近距離の人間を壁を通してでも検知出来る装置なのだが、Heartbeat Sensorと異なり使用したままで攻撃も可能なのが大きな問題。バッテリーによる使用時間制限は有るが、かなり長時間持つし復活も早い。デモではそれ程室内戦が無いのでまだ目立たないが、完全なインドア戦だと相当なアドバンテージとなりゲーム性を壊してしまいかねない恐れがある。


 敵はHeadshotすれば死ぬという感じでそこはリアル仕様なのだが、一方でこちらはヒットポイント式なので少々の被弾には耐えられる(通常のFPSに比較すればシビアではあるが)。よってこれまでの様な失敗は許されないという緊張感が薄れてしまっており、これがR6シリーズをプレイしている感じがしないという一番の理由だろう。
 難易度はNormalとChallengeの2つで、どうもChallengeにしてもこちらのダメージ体系は変らないようだ。敵の体力が上がって倒しにくくなるようだが、むしろそれが不自然となり、よりアクションFPSという印象を強めてしまう結果となっている。

 隊員へのコマンド体系はRvSと同じQuick Command Interface方式で、対象物に向けてコマンドキーを押すと命令が出せるというシステム。ドアを指定してBreachやFlash&Clearといった命令を出せる。指定したポイントへGrenadeや制圧射撃をさせる事も可能。ただ多くの場合はSpaceキーによるQuick Comandにて事足りる。なお今回はSWAT 4に似たI/Fへと変更されている。このデモではあまりコマンドを使う場面が無く、単に隊員を自分の前へと移動させるのに使う事がほとんど。よってルームクリア時のAI隊員の能力についてはよく分からない。
 味方の隊員の射撃能力は高いしLeanしながらの攻撃も行えるのだが、一方でゲーム性に応じてなのかオープンスペースでの撃ち合いを平気でやってくるという面も持っている。それとFollowさせている時にこちらの前に突然出て来たりするので誤って撃ってしまったりも起きる(FF有り)。

 マップは一本道であり、ルート選択が可能な箇所はほとんど無い。単に決められたルートに沿って順次進行していくというスタンダードなアクションFPS仕様。敵の登場も初期状態で全員が配備されているのではなく、スクリプトで登場するシーンも設けられている。決められた場所を巡回しているというパターンで物陰に隠れて攻撃したりはするが、総じて敵のAIはあまりよろしく無い。真横に来ても一方向を向いたままで反応しなかったり、隊員の横をそのまま素通りしようとしたりと疑問を感じる動きが随所に見受けられる。


 総合的に見てリアル系とアクション系の中間に位置するMilitary Shooterというタイプのゲームとなっている。敵の前に姿を晒してガンガン撃ちまくれる訳ではないが、Saveも出来るしそれ程気を使わずに進められるというバランス。進行ルートに頭を悩ませる必要も無い。一度クリアして出現パターンを憶えてしまえば、後は高速で移動しながらクリア可能という程度の難易度である。これまでのコアなR6のファンに受けるとは到底思えないが、逆に手を出さなかった新しい層への普及というのは考えられる。

 アクションFPSとして見た場合のプラス点としては、まずヘルスパックが無い等の適度にシビアなダメージ体系という物は珍しいという点。相当にアクション寄りか純粋にリアル系かが多いので独自性というのは一応ある。それと個人ではなく決められた部隊で進んで行くという構成でありチームプレイが考慮されている点。隊員のAIには疑問が残る点もあるが、戦闘に関して言えば一応は役に立ってくれるレベルであり、また隊員が倒れればその後が不利になるという要素も出てくる。コマンド体系がシンプルなのもアクション派の人には受けるであろう。
 それとデモには用意されていないが、これまでのシリーズ同様にキャンペーンでクリアしたミッションについてはTerrorist Hunt(30人までのテロリストをランダムにマップ内に配置し、それを全滅させるモード)、Reverse Terrorist Hunt(マップを逆方向からクリア)、Lone Wolf(単独クリア)という別モードでプレイ可能なのでリプレイ性が高い。ただ今回はHostage Rescueは無いようだ。

 マイナス点としては、難易度を上げてもちょっと簡単という印象が強い点。それとこのゲームでは落ちている武器を拾えない・メインとなる武器は1個しか持てないという要素はそのままなので、基本的にクリアまでは同じ武器のみで戦うというケースが多くなり、アクションFPSにおける重要な要素である武器の使い分けというのが無いのは、アクションに期待してプレイする人には大きな欠点と言えるだろう。


<MULTIPLAY>

 マルチプレイはUbi.comを通さないとプレイ出来ず、これは製品版ではどうなるのか不明。問題はUbi.comが安定していれば良いのだが、ここはFar Cryの時もそうだったように負荷に弱いというか能力が高くない。接続しようとしてもちょっと混んでいればはじかれてしまうし、マスターでのサーバーリストの更新も遅れているようで接続した時にはサーバーがもう無かったりする。それとやたらとセキュリティが堅いというのか、Firewall系のソフトを使っていたり、ルーターを通していると接続不可だったりするようだ。製品版ではどうなるか分からないが、以前より「Ubiに改善を求めても無理だろう」といった声も見掛ける(フランスの顧客サービスの悪さは有名)。

 マルチプレイはTDMとCoopが可能であり、メインとなるRivalry Modeは残念ながらプレイ出来ない(これが売りなら入れるべきだと思うのだが)。パフォーマンスについてはデモはDedicated Serverに対応していないので何とも言えないが、比較的ネットコードは良好という印象を受けた。

 対戦モードではRespawnがOn/Offになったのが大きな変化になる。ただこれによって他のアクションFPSのマルチと同じ風になってしまい、特徴的な面が薄れてしまった感は否めない。実際にゲーム自体はクラス制を採用しているが、このTDMでは本当に普通のFPSと同様という印象で、このモードを売りにするのは難しいだろう。
 それと大きな問題なのはJoinしても進行中のゲームには入れないという点。これまでなら復活が出来なかったので1 Roundの時間自体が短く、ロビーでの待ち時間が少なかったので問題は無かった。しかしRespawn有りで設定時間が長いと相当待つ事になる上に、その間プレイ中のゲームをSpectateする事も出来ない。Respawn有りならば途中参加してもそれ程問題は無いし、これは直すべき点と思える。なお死亡後のDeath Cameraも無い。

 Coopは4人までの制限有りで復活も設定で可能となり、この場合復活地点は自動的に移動していく方式。ただしミッションのCoopはやはり人間が集まると簡単過ぎる。製品版ではTerrorist Hunt及びReverse Terrorist Huntが選択可能に加えて制限時間設定が可能になっているので、或る程度のリプレイ性は期待出来るはず。問題はCoopも途中参加が出来ない点で、せめてマップ切り替え時には待機している人は入れるようにしてもらいたい。


<GRAPHIC>

 グラフィックは独自のエンジンだが、軽い割には綺麗となかなか優秀な部類。自分自身の影を表示したり、反射の表現も細かい。HDR機能も装備しており、アウトドアの光の表現にはリアリティを感じさせる。一方でBloodは当たった時に表示させるだけで死体には付かないと不満な出来。爆破のエフェクトも今一つ。Flashbangを受けた時の画像表現も後退している。

 物理エンジン(Ragdoll)は前作の様な不自然さは感じないが、出来としては地味という印象である。マルチプレイでは採用されていない様で、オブジェクトを撃っても移動や破壊は出来ない。

<総合>

 アクション寄りのFPSとしては悪くないが、これまでのシリーズを期待していた人からすると期待外れの作品と言える。これはこれで一つの作品では有るが、それがRainbowの伝統を踏まえた新作が出ないという事実の穴埋めとは到底ならない。その意味では失望感の大きなデモである。
 公式Forumでもこれなら買わないという人の方が多数派となっており、新しい層にも大して売れないとなるとマルチに人も集まらずに総崩れになる恐れもある。またそれよりも心配なのはシリーズの今後の行方の方だろう。今回の失敗を考慮して元のコアなPC路線に戻るのか、或いは最悪のケースではPC版は今後見限るのか?

 R6物ではない純粋な作品として見た場合、ポイントとなるのはミッションのバラエティさになるだろう。デモだけなら確かに面白味はあるが、これがずっと続くとなると飽きも来るし、この路線(皆一本道)で全16ミッションにさほど変化が無いとなると厳しい。Terrorist Huntというリプレイ性はあるものの、武器が自由には切り替えられないのでその分マップの構成に凝らないとならない。逆にマップが面白ければアクションFPSのファンにも受けるというポテンシャルは持っていると思う。後は難易度にも一考の余地有り。
 Rivarly Modeがどの程度の物なのかも一般ユーザー獲得には重要となるはず。解説を見る限りでは何ともプレイ感が伝わってこないので、これはデモに入れてもらいたかった。その他ではMod関連をどれだけサポートするかも大きなポイントとなりそうだ。これについてはどうなるのか現時点では不明である。


 購入するかどうかはちょっと微妙で、少なくとも発売後すぐというのは無さそう。いっその事Rsinbowのロゴを取って売ってくれた方がマイナスイメージも無くて素直に見られると思うのだが、どうにもネガティブな印象が強くなってしまっているのが実際の所。Coopは出来るが途中でJoin出来ない難点を考えるとマイナス面も多い。


 最後に装備をいじらない様な人向けにも売りたいのであれば、初期装備のデフォルトはもっとちゃんとしておくべき。デモのマップではShotgunはほぼ無用なので、これを持っている隊員は役に立たない。全員にSub MachingunかAssault Rifleを持たせた方が良い。誰か一人にHeavy Machigunでも良いだろう。



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