MAFIA II

                                  10/08/14


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 デモのサイズ 1.06GB

 製作・販売: 2K Czech / 2K Games
 発売予定: 2010/08
 日本代理店: 未定




概  要
 2002年に発売された名作の、やっと発売される事になった続編。制作の2K Czechとは2K Gamesのチェコ支社となったIllusion Softworksである。ただし前作の制作チームのメンバーで今回残っているのはプロデューサー兼シナリオ・ライターでもあるDon Vavraだけとなり、実質会社は同じでも制作陣は異なっている。

 対応機種はPC, Xbox 360, PS3で、ゲームプレイに関する内容面では違いは無い。PCでは高解像度のテクスチャの使用と、APEX PhysXの処理が追加されている。

 既にゲームは完成しており、北米での発売は08/24, 欧州では08/27となる。日本語版のアナウンスはまだ無い。また日本語版が出るとしても、PC版がどうなるかは不明である。

 海外では予約した店によって異なる特典を用意。Steamでは$59.99のDigital Deluxe Editionを発売。また通常版を含めて予約したユーザーには前作が無料でプレゼントされて、すぐにでもこちらはプレイ出来る。


 PC版のデモはSteamを通して配信されており、プレイにはSteamのアカウントが必要である。


 製品版はシングルプレイ専用でマルチプレイを含んでいない。少なくとも現時点ではマルチプレイ用コンテンツ制作の予定は無いとされている。

 前作ではかなりの盛り上がりを見せたMod関連については情報無し。ツールがリリースされる事は無いとしても、ファイル構造上改造がし易くなっているのか等は不明。全くの新エンジンなので予測が出来ない状況である。


 既にDLCがアナウンスされており、一つがPS3独占となる『The Betrayal of Jimmy』。本編とは別の主人公でプレイ可能なストーリーで、ゲームの発売と同時にダウンロード可能になる。製品版購入者は無料で、中古版等の購入者は$9.99で別売り。

 もう一点は全てのプラットフォーム向けにリリースされる『Jimmy’s Vandetta』。こちらは有料配信。おそらく2K Gamesという事で、PC版も有料で購入しないとならないのではないかと推測される。

STORY
 前作とはストーリーや登場人物についての関わりを持っておらず。完全に独立したストーリーになっている。(同じマフィア社会の出来事として、ニュース等で見たりする様な事はあるらしい)。

 時代は前作よりもずっと後の1945-50年代を扱っており、舞台となるのは仮想の都市Empire City。主人公Vito Scalettaは極めて貧しい家庭に生まれ育ったハングリーな男で、行く行くは頂点へと上り詰めるという野望を胸に抱いて裏社会へと身を投じる。その後一度は投獄される羽目になったのだが、第二次大戦へと徴兵されて保釈。その彼が戦地から帰還した所から本格的なストーリーが始まる。

 彼を迎えてくれたのは幼い頃からの親友Joe barbaro。彼の手引きで或るマフィアの組織の一因となったVitoは、3つの組織が闘争状態にあるこの世界の頂点に立つべく、再び裏社会での活動に関わって行くようになる。

動作環境
HARDWARE 必要環境 推奨環境
CPU Pentium D 3Ghz or AMD Athlon 64 X2 3600+ 2.4 GHz Quad Core
MEMORY 1.5 GB 2 GB
VIDEO VRAM 256MB
GeForce 8600 / HD2600 Pro
VRAM 512MB
GeForce 9800 GTX / Radeon HD 3870
SOUND DirectX 9.0c 互換

対応OS: XP (SP2 or later) / Windows Vista / Windows 7
DirectX 9.0c以上要


 CPUはマルチコアを念頭に制作されており、デュアルコアが必須でクアッド以上を推奨。Nvidiaのビデオカードでは197.13以上のドライバが必要である。

 ビデオカード自体の必要環境は特別に高くないのだが、このゲームではAPEX PhysXを使用しており、その物理演算をGPU側で行う事を前提にしている為に、APEX PhysXを有効にするにはハイレベルのビデオカードが必要になる。なおAPEX(Applied PhysX Extension)とは、PhysX対応ゲームの開発を支援するソフトウェア群の意味。マルチプラットフォーム環境対応で、より高度でフレキシブルな物理演算を実現する為の開発ツールである。


 APEX PhysXの設定はOff/Medium/Highが選択可能。Offでも物理演算が行われなくなる訳ではない。その必要環境は以下の通り。

*Medium: 必要(GeForce GTX 260 + PhysX処理専用に9800GTX以上), 推奨(GeForce GTX 470以上)
*High: 必要(GeForce GTX 470 + PhysX処理専用に9800GTX以上), 推奨(GTX 470 + PhysX処理専用にGTX 285以上)


 以上の様にPhysXの処理専用にサブのビデオカードを使用する事を推奨しており、単体のビデオカードで高い設定にするのは難しいという位に重い。デモにはベンチマークが付属しており、数分間のテスト後に平均FPSやランキングを表示してくれる。ロシアだが詳しいベンチマークの結果を載せているサイトがあり、それによると(1920х1080 APEX high)でのテストではGTX480でも60fpsまで達していない。30fpsを超えているのはGTX465以上という結果で、PhysXの恩恵を受けられないRadeonではHD5870でも16fpsである。


 この大きな負荷の調整については既に分析が始まっており、解説はこちらのサイトに詳しい。要点だけ記載すると、最も負荷が掛かるのはコートやスカート等の布の動きをシミュレーションする処理で、結果としてNPCが多数登場する街中のシーンで非常に重くなる。設定をオフにすれば処理がカットされるので当然軽くなるが、同時にその他のエフェクト系処理もカットされてしまう。そこでこの布の処理だけをカットする方法が紹介されている。

 \Steam\steamapps\common\mafia ii - public demo\edit\APEX を開いて、その中のClothフォルダを削除(移動)させる事で処理がカットされる。その際に主人公の服の処理だけを残したい場合には、“VIT“で始まる全てのファイル, “m2skeleton” , “ClothRemapTable“だけを残して、それ以外のファイルを削除(移動)させれば良い。レポートの環境では20-25fpsだったのが60fps越えまでにパフォーマンスが改善されたそうだ。


*物理演算処理に問題がある
 初回起動時に自動的に最新のPhysXドライバ(9.10.0512)がインストールされるのだが、この処理が上手く行かずに終わってしまう事があるようだ。(このドライバはNvidiaから単体で提供されているバージョンよりも新しい)。またある時点から更に新しい修正版(9.10.0513)がダウンロードされて、これもまた自動的に適用される。もし更新が上手く行かない場合には、\Steam\steamapps\common\mafia ii - public demo\3rdフォルダの中に入っているので、マニュアルで起動してインストールすればOK。


*初回起動時に止まる
 必要なソフトウェアのインストールを行うが、ここで止まってしまうという障害がある。やり直せばちゃんと動作するが、上記の様に必要なプログラムが正常にインストールされない恐れがある。

OPEN WORLD
 まず初めにMafia IIがどういうタイプのゲームなのかについて書いておこう。一作目も近い時期に発売されていたGTA IIIとの比較論議があったのだが、既に期間が経過しており当時の事を知らないプレイヤーも結構いるだろうから、今度は「これはGTA IVみたいなゲームなのか?」という話がまた蒸し返される可能性がある。そこでこのMafia IIというゲームについて予備知識を持たない人の為に、重要な点を先にお知らせしておく。

 “オープンワールド”と呼ばれるジャンルが確立しており、これは定義としては概ね「マップとして大きな都市や街が存在しており、プレイヤーは自由にその中を徒歩以外にも車等の乗り物を使って移動可能なゲーム」となる。その意味ではGTAシリーズもMafiaもこのジャンルに属する。ただし通常このオープンワールド形式のゲームを指す場合には、その広大なマップを活かしたコンテンツが含まれているゲームという意味で取られる事が多い。具体的には本編のストーリーとは別に、そのマップ内を自由に動き回る際に、自由に受けられる多数のサブミッション, 多彩なミニゲーム(チャレンジ), 様々なアイテム収集要素, 各種乗り物のアンロックや改造等が用意されていて、それだけでやり込めば30や50時間はプレイ可能という物である。実際にこのタイプの(時にGTAスタイルとも呼ばれる)ゲームでは、こちらのオプションとなるコンテンツがどれだけ充実しているかがゲームの評価に大きく影響したりもする。

 ところがこのMafia IIでは、一つの都市が精巧に作り上げられてはいるものの、上記の様な本編から離れたオプションのコンテンツはあまり含まれていない(重要視されていない)。ミニゲームにチャレンジ出来るとか、アイテム収集の要素は大して無いゲームである。よって本編のミッションの他に、どれだけ広大なマップ内でいろいろな事が出来るのかを重要視するプレイヤーに対しては、その点では失望を与える可能性が高い。

 これはかなり風変わりな設定であり、何故なら広いマップ内でいろいろな事が出来ないのならば、わざわざ精巧に作られた広いマップを用意する必要が無いと考えられるからだ。そこをMafia IIではプレイヤーが実際にその世界に存在しているかの様な雰囲気を味わえるようにする事を目的として、マップを作り込んで且つその中を自由に行動出来る様にしている。


 そして本編からは離れたオプションのコンテンツを含まないのには理由がある。一つ目はストーリーを最重視しているから。ストーリーを魅力的に見せるには内容は勿論の事、進行や展開のペース配分が重要になる。しかしミッションの合間に何時でもプレイヤーが好きなだけメインルートから離れても構わないという風にしてしまうと、そのペース配分が制作側から計算出来なくなる。例えばストーリーを離れてオプションのコンテンツの方を10時間位続けて遊んでしまい、「そろそろ本筋に戻るか。ところでストーリーって今どんな状況だったっけ?」といった事態に成りかねない。そこでプレイヤーが長時間本編から離れられないように、オプションのコンテンツの方は充実させないという事にしている。

 もう一つは主人公のイメージの問題。一般的にこの手のゲームのオプションとなるミッションやミニゲームでは、(悪い意味だけではないが)馬鹿げた設定の物が多い。言い換えると主人公がぶっ飛んだ性格の持ち主(或いは絶対悪)でもなければ、そんな事はしないだろうという物が多い。だがこの作品の主人公であるVitoは冷静で頭が切れて、また“悪の組織の中の正義”というキャラクタとして位置付けられており、確かに悪事は働くが無軌道に残虐行為を働くような男ではないと設定されている。彼は通行人を引っくるめて突然街中で無意味な虐殺行為に走るような事はしないし、かといって悪事とは異なるノンバイオレンスなお使い系の仕事にも興味を示さない。なので街中で起きるサブミッションやミニゲームを作ろうにも、彼のそのイメージを保つには「Vitoはその様な事をする人間ではない」と考えられる物は入れられないので、あまりオプション系のコンテンツを作れないともコメントしている。

BASICS
 プレイヤーが操作するのはVitoだが、実質的にゲームの主人公はVitoとJoeの二人とされている。二人の主人公と言える位にJoeがゲーム内で果たす役割が大きいそうだ。JoeはVitoとは反対に直情的な暴れん坊という設定になっている。

 ゲームの最重要テーマは優れたギャング映画の様な体験を味わえる濃密なストーリーであるという点は前作と変らず。マルチエンディングという話だが、ストーリーを重視するとなると「多数の分岐を作ってそれぞれが全て面白い結末」にするのは困難であり、あまり劇的に変化はしないのではないかと推測している。

 舞台となるEmpire Cityのマップサイズは前作Lost Heavenの約2倍で10平方Km程度の広さ。内部設計はマンハッタンをベースにしており、40-50年代の雰囲気を完璧に再現するべく細心の注意が払われている。家具類・衣装・看板等、細かい部分に至るまで当時実際に存在していた物と同じ様に作り込まれている。それと今回は1945年から57年までと期間が長く、それに連れて走っている車のモデルや人々の服装等もちゃんと変化する。


 先に書いたようにこのゲームではメインのストーリー以外の、街中での自由なプレイという点には力を入れていない。しかしそこに力を入れた「多彩なコンテンツによって自由度が高く、プレイ時間がたっぷりとある」というゲームが現在人気なのは確かであり、その欠如から売れなかったり評価を落としたりする恐れもある。そこで今回は前作とはちょっとスタンスを変えている。

 前作のストーリーモードでは、メインのミッション以外にはほとんど出来る事が無かった。そこで本編とは別に起動してプレイするFree Ride及びFree Ride Extremeというモードを設けたのだが、FRはコンテンツ不足で特別に面白いという物では無く、FREの方も難易度が高い上に本編の雰囲気とは異なる相当奇抜な内容であるという問題を持っていた。

 そこで今作ではFree Rideの様に独立したモードを無くしてメインのキャンペーンに統合し、ある程度はストーリーの合間にプレイヤーが街中で自由に行える要素を含んでいる。金を稼いだり出来るという概念を導入し、それを使って車の購入や改造、または衣服の購入等が行える。街中を自由に探索したりして、そこで受けられるサブのミッションもある程度は存在している。

 後はそういった自由度の高いオプションのコンテンツは、DLCによって有料で提供するという方針と見られる。既にアナウンスされているDLCは別の主人公が用意されており、こちらは根っからの極悪人という設定だそうで、それだとイメージを気にせずに街中でメチャクチャな事をするサブのミッションも作り易い。ただしPCユーザーに対しては、有料コンテンツでの提供という点は反発を招く可能性もあるだろう。


 前作には難易度設定が無く、パッチで特別に難しいレースのミッションでは難易度を選択出来るようになったが、セーブポイントが少ないというのもあって、それ以外にも相当難しいミッションが存在していた。今回は難易度選択をちゃんと設けており、チェックポイント方式のセーブ箇所も極端に長くならないように考えられている。ただしこのデモでは難易度選択は不可で、おそらくMediumではないかと思われる。

 ラジオ局は3つと少な目だが、楽曲はフルではないのも入れると120曲以上と相当な数を揃えている。

GAMEPLAY
 このデモは大きく分けて2つのパートに分かれており、前作同様にミッションが行われる場所まで実際にプレイヤーが街中を車で移動するというパートと、その場所で起こる戦闘シーンのパートである。

 移動パートでは街中にデモの制限用に壁が作られているのでアクセス可能なエリアは限られており、また目的地点まで移動するのに10分間というタイムリミットも設定されている。このリミットを外す方法は既に見付かっているが、公式掲示板ではかなり強い姿勢で解除方法の書かれた場所へのリンクを禁止しているので、ここでもそれを尊重して方法は記載しない。

 ただ10分が経過すると強制的に次のパートに進んでしまうのではなくて、死んだりすればデモを再起動せずにリプレイ可能である。また確か2回死んだ後に制限時間が12:30まで延びて、そこから死んでもまた12:30という設定になっていた。なので取りあえずいろいろと試してみるだけならば、特に10分という制限時間は問題ではない。なおこの時間制限の設定だが、先に書いたように現場でミッションに入る前にあまり長い時間街中で勝手な事をされては困るという考え方なので、移動パートにはこういった時間制限が設けられているケースが多いのかも知れない。


 視点は三人称固定で特に不自由はないが、カメラ位置の調整は出来ない。狭い場所に入るとカメラの位置が近くに寄るので周囲を見辛くなるのは難点で、デモでは特にスタート時の部屋の中がそうなっている。ジャンプ動作は無いが、障害物の前で行うとかなりの高さの物でも乗り越えて進める。スプリントがスタミナを考えずにずっと可能だが、いきなり飛び出すと車は止まってくれないので往来では注意が必要。


 街中での自由な行動としては幾つかの店が用意されており、また最初からVitoは結構な金を持っているのでいろいろと試せる。ガレージでは車を改造したり好みにペイントしたり出来るし、洋服店では好みの衣装に着替えられる。武器のショップでは当然武器と弾薬を購入可能で、飲食店では飲み食いとか、逆に強盗行為も出来るという設定。実際のミッションに挑む前に服装を変えればそれがちゃんと反映されるし、武器もショットガンを買っておけばそれを持った状態から始められる。この辺の自由度は些細ではあるが、楽しい要素になっていると感じられた。生活感を出す上でも有効と言えるだろう。他にも製品版ではいろいろなショップがあるようだし、適度であれば寄り道の要素もゲームを面白くするはずである。

 その反面気になったのは、ミッション開始前に武器や弾薬を買って持ち込めるとなると、難易度バランスの調整が困難ではないかという点。良い武器はゲーム内にそれが登場するまではショップに出て来ないといった設定だとしても、例えば(登場後に)スナイパーライフルを最初から持っていれば状況を激変させられるといったケースも考えられるのでその辺をどうするのか。

 同じく車についても、時間制限のあるドライブのセクションにてカスタマイズした車を持ち込めるとなったら、プレイヤーによって大きく差が出る事になる。誰もが同じ特定の車を運転する設定にしておけば問題は無いが、折角カスタマイズした車に重要な場面で乗れないというのは楽しみを殺ぐ事になりかねない。


 車の扱いは随分と変わった。まず時代が進んだ事もあって、走りにかなりのパワーが感じられるようになっており、前作の序盤のように踏み込んでも全然速度が出ないといった事は無い。走行モードはシミュレーションとノーマルの切り替えがオプションから随時可能で、ノーマルだとアーケードレースゲームの挙動に近くなる。だがK/B操作ではスピードを上げると曲がる操作が難しくなるという印象で、特にシムモードだとスピンもし易い。このゲームに関しては車の挙動はリアル系寄りで良いとは思うが、車の運転操作を楽しむにはアナログコントローラーでの操作が必須という事になるかもしれない。

 以下に前作との比較を掲載。

*オートとマニュアルの切り替えは無くなった(オートマのみ)
*止まっている車は全て奪える(鍵開け方法を知っている車だけという制限が無くなった)
*ちゃんとガソリンを入れないとならない設定はそのまま
*自動的に速度を制限速度内に保つ機能も残っている
*視点変更は基本的に4種で変化無し。ドライバー視点は今回も無い。
*目的地へのルート表示は矢印ではなく、実際に道に線が引かれるようになったので解り易い
*地図表示はポーズが掛かり、走行中に半透明では見られなくなった
*エンジンが壊れた場合には、降りてからエンジン部分でUseして時間を掛ければ応急修理が可能となった
*車内から銃での攻撃は出来なくなった
*車内にいても攻撃されるとダメージは受ける
*かなりの高速で正面衝突すると即死する(乗っている車にもよるとは思うが)


 街中で喧嘩をしたり銃を撃ったり、車で通行人を轢いたりすれば犯罪と見なされて警察がやって来るが、これは☆でのランキングによって登場数や過激度が変化するというオーソドックスな方式。青ゲージが消えるまで粘れば良いのだが、☆が増えると逃げても先回りして警察が道をブロックしたりするので難しくなる。服を着替えたり、ガレージに逃げ込んで車をペイントし直したりナンバーを変更すれば逃げられるようだが、その辺は☆の数によってどの程度まで可能なのか未検証である。それと軽微なレベルでは警察に捉まった際に賄賂を選択して逃げる事も出来るようになっている。


 通行人のAIは道路を横断する際には車が来ていれば止まったり、車が突っ込んできたら避けようとしたりと基本は出来ているが、やはり大人数のNPCを管理するのは難しいようで、場が混乱すると妙な動きを見せたりと不自然さは感じられる。なお道に倒れている人間に気が付くかどうかはNPCによって異なる。車両のAIもぶつかりそうになるとちゃんと止まってくれるが、ぶつかって進路が曲げられたりすると立て直すのに時間が掛かるようだ。混雑すると切り返しの車がガンガンぶつけながらそれを行うのでカオスな状態に陥ったりもする。

 その他ではマップ内にゲーム全体で50冊のプレイボーイ誌が落ちており、入手するとヌードグラビアが拝める。正式に提携して当時の雑誌を再現しているそうだ。ゲームプレイには関係しないが、全て集めるという実績が用意されている。(よって一度取るとリプレイしても出て来ない)。


COMBAT
 目的のアパートに到着するとそこからは戦闘のパートになる。戦闘の基本はマニュアル操作で張り付くタイプのカバーシステムを採用しており、MB2押下でズーム機能。照準はかなり大きめのサイズで表示され、敵にピタリと合うと赤く色が変わる方式。銃器の命中率は結構高いという印象で、動いたり連射すると照準は広がるのだが、全般的にはかなり簡単に敵に当てられるようになっている

 武器は素手以外にジャンル別に3つの武器を携帯出来るようで、デモにおいてはショットガンやトンプソンが使える。中距離程度でもショットガンの命中率は高く、トンプソンもリコイルが少なく扱い易い。またリロードは前作のように中の弾ごとマガジンを捨てなくなったので、どんなタイミングでリロードしても良くなったのも銃撃戦を簡単にしている。この辺のシステムは時代設定とリアルさの追求という狙いにマッチしていない様に思えた。あまりリアルでも困るが、もっと当たりにくくした方が良いだろう。


 HPは自動回復方式だが、ちょっと変わったシステムを採り入れている。正確なシステムは未検証だが、ある程度のダメージを受けてしまうと、HPがフル状態まで回復しないVietcongの様に回復動作に入る度にHPの最大値は減少して行き、5,6回繰り返すと見た目で75%程度までしか回復しなくなる。つまり先行きを考えると、自動回復だからといってなるべく被弾しないようにしないとならないという意味で、これは自動回復の問題点を軽減させる事から良いシステムだと言える。おそらくある程度の間隔でフル回復させられるメディキット等が在るか、区切りで自動的に全回復なのではないだろうか。

 実戦の感想としては引き際の判断が難しい。中距離戦程度だとゲージが減って赤くなったら隠れるといういつもの感じで良いのだが、近距離戦では黄色状態から一瞬で殺されてしまう事が数回あった。突っ込んだら遭遇してしまった時などに発生し、被弾距離によるダメージの変化があるのかも知れない。或いは自分側へのヘッドショット被弾が近付くと発生し易くなるのかも。よってレーダーを良く見た方が安全なのだが、敵をレーダー表示するというのは一長一短のシステムでもあり、これは好みでオフに出来る様にした方が良いと思う。


 Melee(殴り合い)も可能。街中で一般市民の男性には喧嘩を売る事が出来る。戦闘モードで間合いに入ると自動的に構えて向き合い、ノーマルと強打のパンチが繰り出せて、敵の攻撃をブロックも可能。つかみ合いになるとQTE風のボタン連打メッセージも出る。自動回復モードは解除されて、戦闘終了後に初めて自動回復が行われる仕組み。ただこの殴り合いはかなり単純で、こちらが何もしないと相手が動かずに膠着状態になったり、ブロックコマンドを押している間は相手が殴ってきても自動的に避けられる。時間を掛けると警察がやってきたりするが、その場合は離れてしまえば相手が警察に尋問されたりするので特に問題は無い。実際に倒してしまうと警察に追われる恐れがある。デモでは特に意味が無い行為であり、本編ミッションではもっと強い相手との殴り合いがミッションとして在るのだと思われる。


 それと街中でもそうなのだが死体が消えるのが結構早いのは残念。置いたままだと処理が重くなるのは確かだとしても、一律に設定時間経過で消すのではなく、X体まで保持しておいてそれ以上になったら最も古い者から消すとかの方が良かった。もしくはPC版ならば死体をどれだけ残すかを設定出来ても良いだろう。

GRAPHICS
 一から新しく開発されたIllusion Engineを使用している。DirectX 9.0のみの対応で、DX10や11には未対応でその予定もない。

 やはり注目されるのは広大な都市のデータを遅延無しに読み込めるのかどうか、オブジェクトが多い場所でのスローダウンはないのかだが、デモはエリアが制限されているので検証は出来ず。少なくとも上で説明したAPEXの負荷軽減対策を施した状態では問題は感じられなかった。取りあえずPhysXによる重さを除けばレンダリングの方はそれ程負荷が高くないようだ。室内のディテールに比較するとアウトドアは落ちるが、データ量の関係からすると仕方のない所だろう。前作譲りの古き時代の雰囲気は良く出ていると感じられて、個人的にはアウトドアのクオリティは合格レベルという印象。

 問題点としてはAAを掛けても効果が感じられない点。NPCのキャラクタモデルがあまり多彩では無い点。



 PhysXによるエフェクト効果としては、主に炎やホイールスピン等でのパーティクル(粒子)表現のリアリティ, ガラスやコンクリが破損した際の飛び散る破片の量が膨大, 薬莢の飛び散る様を表現, 服(布)のたなびく動きをシミュレート等。全て効果物理となり、ゲームプレイその物には影響を及ぼさない。問題は先に書いたように非常に処理が重いという点で、その重さに見合った効果が得られるのかという話になる。

 同じくAPEX PhysXを採用しているBatman: Arkham Asylumではその効果に大きなインパクトが感じられたが、こちらはそれ程でもないという印象。破片の飛び散る効果は無いと寂しいが、それにしても破片の数が多すぎだろうという感もある。ちなみにAPEXでは負荷に応じて自動的にエフェクト処理でのオブジェクト数を調整する機能を持つという話だが、PCでそれが行われているのかは定かではない。行われているとすれば、むしろ適度に処理能力が低い方が、破片の飛びいる数が減って見た目が良くなる可能性がある。

 服のシミュレーションが重いというのが解ったので、今後はその辺りを設定画面から個別に細かくオンオフ(エフェクトはオンだが服の方はオフ等)出来るように修正されると良いと思う。


総  論
 デモにおいては製品の一端しか体験出来ないが、全体的にはかなり良さそうな印象を受けた。戦闘はカジュアルになったが、前作にも問題はあったのでそれ程悪い改変ではないと思える。また個人的には優先度として、一位がストーリー, 二位が雰囲気, 三位がミッションのクオリティと多彩さ, 四位がオープンワールドの出来映え, そして5位が戦闘という感じなので、他さえ良ければ戦闘パートはそこそこの出来でも良いと考えている。

 逆に言うとデモからはストーリーの出来映えは解らないので、そこが不安といえば不安である。前作ほど長くないようだし、同じくミッションの面白さと多彩さはデモからはうかがい知れない。後はドライブ操作にてアナログコントローラーが(実質)必須なのかが気になる。(前作のようにKB操作での感度調整が無いようなので)。


 デモとしてはお勧めの部類で、興味を持たれた方は是非プレイしてみて欲しい。時間制限はあるが繰り返しプレイ可能なのでかなりの時間遊べるはずである。


 これは確実に購入するつもり。現状積みゲーが多いのが難点だが、なるべく早めにプレイしたいとは考えている。



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