MAGICKA 2


更新 15/05/17

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 制作/販売: Pieces Interactive / Paradox Interactive             公式サイト       STEAM
    デモのサイズ GB              発売予定: 15/05/26            日本代理店: 未定
概   要
 今回プレイしたのは一般公開された物では無く、製品版予約者限定で“Sneak Peek”の名称で配布されたデモ版となる。予約者は他に3人分のギフトを受け取れる為、それをフレンドから貰っていれば予約無しでもプレイは可能。5/6から10日までプレイ可能となっていたが、現在では既にSteamのライブラリからは消えてしまっている。今から予約してもダウンロードしてプレイは出来ないので注意。製品版の発売後に新たにデモがリリースされるのかどうかは言及が無い。

 製品版はSteamへ登録してプレイするのでSteamのアカウント必須。プロダクトキーは別のサイトからでも買えるが、少なくともキーの登録時にはSteamをオンラインに接続して認証しないとならない。定価は\1,480と前作よりは高くなっており(Deluxe Editionもあり)、現時点では予約割引も無し。大手のダウンロード販売サイトの中ではGreenman Gamingが発売前を含めた早期の割引なら一番チャンスがありそう(私もここで25%オフで購入)。


 Magickaは2011/01に発売されたアクションゲームで、制作はスウェーデンのArrowhead Game Studios。ルレオ工科大学の生徒8人からなるインディーズ会社でこれがデビュー作。想定外の大ヒット作となり、1年間で130万本を販売。代理店Paradox Interactiveの年間利益を250%アップさせたそうである。2014/06時点で累計280万本を売り上げている。ただしArrowhead Game Studiosは既にシリーズの制作を離れており、最近ではWarner BrosからGauntletをリリースしたりしている。

 シリーズ第2作となったのはMagicka: Wizard Warsで、制作はParadox Northスタジオ。基本無料で対人専用という前作とは異なるコンセプトで制作されたゲームである。そして続編となるこのMagicka 2は初代と同じゲーム性となり、4人までのCo-opを中心にしてシングルプレイも可能。対人戦モードは今の所は無しというデザイン。前回は途中で対人戦も追加されたが、今回は既にWWという対人戦バージョンが存在するのでそれは無いと思われる。

 2の制作はPieces Interactiveが手掛けており、ここは1のDLC制作に加わっていた会社。ゲームのエンジンはWWの物を流用している。PCの他にPS4でも発売され、両者のコンテンツに違いは無いとされている。


動作環境
  必要環境 推奨環境
CPU 3GHz Dual Core
Intel Pentium G3220 / AMD A4-4000
2.8GHz Quad Core
Intel Core i5-2300 / AMD A8-3850
MEMORY 2GB 4GB
VIDEO Nvidia GeForce 550 / ATI Radeon HD 5850 Nvidia GeForce 640 / ATI Radeon HD 6670
SOUND DirectX 互換 同左

対応OS: Windows 7/8
DirectX 9.0c以上要


 私の環境では特に不具合は見当たらなかった。パフォーマンス面でもフレームレート低下などは無し。

BASICS
 Magickaとはどんなゲームなのかについて先に解説する。前作も今回のMagicka 2も基本部分に変わりは無い。


 まずはゲーム全般の話題から。初代Magickaは大ヒットとなったが、想定外に売れてしまったのが逆に徒ともなったゲームでもある。発売初期の時点ではバグが多く、不安定で落ちたりや、パフォーマンスが悪くて非常に重くなったりのトラブルが発生していた。セーブゲームの破損という件もあり、これには開発側自らがチャプター単位でのセーブデータを配布して対応していたりもした。売りにしていたCo-opでも切断やゲームごと落ちる等が頻発し、加えて途中Joinやチェックポイントからのリスタート機能が無いという点から、フレンド同士でのプレイで誰かが落ちてしまうとチャプター単位でやり直しになるという問題もあった。ちなみにここ日本では、デフォルトのMicrosoft IMEからOffice IMEに変わっていたりすると起動しないという障害が知られている。

 その為にゲーム内容自体の評判は良いのだが、ユーザー全体からの評価はこういったトラブル多発によりそこまで高くないという状態に陥っている。何しろ少人数で制作したインディーズのタイトルだったので、大手の様に大量の別構成PCを用意してパフォーマンスの最適化を行ったり、動作テストを実施したりの余裕は無し。それが爆発的に売れた事で多彩な環境のPCで動かされる事になってしまい、そういった最適化&テスト不足が露見してしまった事になる。幾ら儲かったとは言えエンジンを全面的に修正するのは不可能だし、結局各種の問題は全面的には解決されずに終わっている。

 それと1は非常に高難易度なゲームとしても知られ、掲示板では悲鳴が挙がる程の内容であった。理由としては第一に難易度設定が無いので、難しいと感じてもそれは下げられない。次に3〜4人でのCo-op用にその難易度が調整されており、ソロでは当然敵の数が多くて難しくなる。続いてチェックポイントの間隔が長いので死ぬとやり直しが長い上に、物理的にセーブされるのはチャプタークリア時のみの仕様であり、チャプター最後のボス戦で止めてしまったりすると、次回はまた最初からやり直しになるという件も問題に。開発側に難易度は下げないというポリシーがあったのか、それともエンジンの仕様上難易度変更をしたりする事が出来なかったのかは不明だが、修正が加わったのは発売から一年近くが経過してからであった。そこではチェックポイントでも物理的にセーブされる様になったのと、難易度選択は出来ないままだがソロの時のみ補助的な難易度軽減を行うFairy(妖精)というシステムを追加している。


 続いては具体的なゲームのシステム関連。

・魔法を使って戦うアクションゲーム
・Co-opでのプレイを推奨しており、ソロよりもCo-opの方を重視している
・“超”が付くほどの高速アクション。高速なキーボード&マウス捌きと併せて、同時に高速な思考も要求される。
・経験値やレベルアップといったRPG的な概念は持たない
・斜め見下ろし視点。画面は進行に応じてスクロールしていく方式(常にキャラクターが画面中央では無い)。
・有料の追加キャンペーンDLCが数本の他に、大量の衣装カスタマイズ系DLCが有る
・ストーリーはユーモア要素を多分に含んでおりシリアスさは皆無


 魔法の詠唱は8個の基本エレメントの組み合わせで行うシステムで、Q, W, E, R, A, S, D, F の左手で打てる8つのキーが各エレメントに対応しており、これ等の中から最大で5個までを組み合わせて発動させる。またその際には、前方(狙った方向), 自分自身, 自分の周囲, 武器に付加という風に発動範囲も切り替えられる。もう一つは一般的な魔法(Magicks)となり、こちらはストーリー進行に応じて全員が入手出来る物と、シークレット的な扱いで各書物を見付けないとならない物に分かれる。入手している物なら、そこに書かれた通りにエレメントを入力し、ここで特別なキー(スペースバー)を押すと発動される仕組み(単にエレメントをその通りに使ってもMagicksと同等の効果は生じない)。


 Magickaは非常に特異なシステムを持っており、そこには魔法詠唱の制限が存在しない。魔法使用の概念を持つゲームのほとんどは、エネルギー(マナ等)を消費する, 次に発動させるまでに待ち時間(クールダウン)が必要, といった制限を設けて、それが強力な魔法であるほど連発出来ないというルールにしている。ところがMagickaにはマナやクールダウンの概念が無い為、それがどんな魔法であろうが連発可能である。更にレベルアップによる魔法習得の概念も無い事から、入手しないとならないMagicksを除けば、エレメントを使った魔法は最初から全てが使用可能である。唯一の制限はプレイヤー自身の入力速度であり、どれだけ魔法を高速で連発出来るのかは、プレイヤーのエレメント入力速度に依存しているというゲームである。

 よって当然ながら難題が生じる。どんな強力な魔法であっても制限無しに連発出来るのであれば、汎用的に使える強力な物が存在しているならそれを繰り返し使っていれば済んでしまう事になる。そこでこのゲームでは、敵のタイプにより有効な魔法を変えたり、戦闘のシチュエーションに応じて使用する物を考えないとならないという風にして、数種類の魔法の単純な繰り返しでクリアは出来ない様に調整している。例えばArcane(魔・死)の要素はアンデッド系を逆に回復させてしまうとか、雨が降っている状況等で体が濡れていると電撃系のエレメントが使えなくなる等の制限。なお実際にはファンによる研究が進んでおり、多くの場面で有効となる強力な魔法というのは幾つか存在しているのが現実である。


 それと魔法は幾らでも使用出来る代わりに、プレイヤーにスピードと正確性を求めるという方法でバランスを採ろうとしている。敵の数やそのスピードによるプレッシャーが強く設定されており、ゆっくりと今使うべき魔法を考えたり、それを確実に確認しながら入力して発動させる様な余裕は無いというケースが多い。よって素早く多数の魔法の中から適した物を選択し、それをブラインドタッチで正確に入力出来るレベルに到達しないと厳しいという設定。そしてエレメントは反要素同士だと組み合わせられない(水と電撃, 生と死等)という制限があり、うっかり入力間違えをすると反発して消えてしまったりで、エレメントの並びがおかしくなったり、想定していたのと違う魔法を発動してしまったりのトラブルが発生する恐れがある。更に魔法発動には、前方(狙った方向), 自分自身, 自分の周囲, 武器に付加の変化が在り、高速で連発する故に操作を間違えて、ダメージ系の魔法を自分に掛けてしまうとか、前方に張るべきシールドを周囲に張った結果逃げ場が無くなるといった失敗も起こり得る。

 そしてエレメントの入力間違いや掛けるべき魔法の失敗等で、「ああ、失敗した、どうしよう」とパニックになってしまうと、そこからゆっくりと修正手段を考えて立て直せるほど敵のプレッシャーは緩くなく、一気に潰されて死亡という事態を招き易い。このミスによる死亡が頻繁に発生するゲームと言える。


 初代の難易度については、確かに難易度を普通のレベルにはし辛いというのは理解出来る。限られた魔法を繰り返し使っていてもクリア出来る程度ならば、単調で面白くならないからである。だがたった一つの用意された難易度が相当に難しいというのも確か。なぜ難易度を複数設けたり、Co-op時のスケーリング機能を採用しなかったのかは私は知らないが、修正を入れたとはいえマシになった程度で万人向けでは無いのは今でも変わらず(特にボス戦等の難所)。

 魔法を自分で自由に生み出せるというのは面白いが、代表的な物のリストがゲーム側から紹介されていたりはしないので、特定の有効な組み合わせを思い付かなければそれだけ不利となる。そして可能なエレメントの組み合わせは非常に多い。この辺は攻略サイトなどで勉強は可能であるが、ハードルが高いと言うのは間違いない。

 あとは難易度という物をどう捉えるのかにもよる。ストラテジーやシミュレーションゲームなどは、何をやってもプレイヤーが成功していてはゲームにならないから、失敗を繰り返しながら有効な作戦を生み出していく必要があるレベルに難易度が設定されている。よってクリアまでには相応の時間が掛かるのが普通。一方でアクションゲームでは、難易度Normal程度ではそこまでプレイヤーに努力(試行錯誤)を要求してこない物が大半となる。ある程度のペースで先へと進めるように調整しているので大きなストレスは生じない。だがMagickaでは戦略を考えるという面が重要視されており、敵や状況に応じた有効な攻撃方法を見付けるまでのリトライが必然的に増える。また高速且つ正確な魔法詠唱の為の練習時間も必要だったりするので、キャンペーンの物理的なボリュームに比してクリアまでに掛かる時間は長目となり、そこが難しいという風に受け取られている面はあるだろう。操作に長時間の練習が必要で、今何を発動させるのかを瞬間的な判断で決められないとならないという意味では、格闘ゲームのスタンスに似ているとも言える。


 Co-opを最重視しており、難易度調整もソロでは無くCo-opが基準という位。こちらもユニークな面を持っており、Competitive (対戦) Co-opなどとも称されている。これは対戦要素を併せ持ったCo-op(Call of Juarez: The Cartel等)の意味では無く、味方を遠慮無くFF(Friendly Fire)してしまおう的なスタンス。FFの設定は常にオンで切る事は出来ず、むしろそれが発生する事を意図しているゲームでもある。

 多くのシーンでは敵の多さから周囲を確認している余裕が無く、敵味方が入り乱れる為に慎重に味方に当てないように攻撃を行うのは困難であり、チャンスを待っていては全滅してしまう恐れもある。そこで味方が居ようがそちら方面を攻撃したり、敵へのダメージ最優先で自分の周りに味方が居てもエリア攻撃魔法を放ったりしてしまう。それによるFFでのダメージや死亡が頻繁に発生したりするが、そのカオスっぷりを笑いながら皆で楽しむのを目的としていると言っても過言ではない。そして味方は簡単にMagicksの蘇生呪文にて復活させられるので(若干の制限はある)、FFしてでも敵を優先して倒した方が有効だったりもするし、全滅さえしなければFF連発でも戦っていける程度のバランスにはなっている。ただし(1では)味方の死亡が明確には確認出来ないので、うっかりFFで殺し過ぎて蘇生の必要に気が付かずに全滅という事もあるが、それもまた笑って済ませようという感じである。


 ゲーム性に合わせたギャグを含むトレーラーが何本も公開されているが、中には前作をプレイしていないと意味が解らない物も有るので以下に一つ紹介。

変 更 点
 まずはシステム関連を中心に2での変更点を挙げていく(当然1を未プレイの方には変化が解り難い点も出て来るだろうが詳細は割愛)。


 難易度が3種類から選択可能になった。Normal, Hard, Bananasの3つで、製品版でも最初から全て選択可能と考えられる。更に自分で難易度をカスタマイズする事も出来るようになっている。


 Artifactsと呼ばれるアンロック要素が加わった。これは今回の目玉的なシステムとも言える。Artifactsとはゲームのルールを変更するいわゆるMutatorで、他のゲームでも採用している物が幾つか有る。プレイヤーが選択して有効にする事で、ゲームを簡単にしたり難しくしたりと設定を変えてプレイ出来るという物。ゲームの難易度もこのArtifactsにて設定されているという仕組みで、最大で7項目のスロットに設定されたArtifactsのルールでプレイするという風になった。

 例えば難易度Normalでは有効なスロットは一つだけで、Familiar(使い魔)という特別なスロットに4種類の役に立つお供の中から好きな物を選択可能。デフォルトでは[Fairy]が選ばれており、これは先に述べた1での難易度緩和の為にパッチで導入された妖精である。普段はプレイヤーの周囲を飛び回っており、プレイヤーが死亡すると一度だけその場に復活させてくれる能力を持つ。その際には周囲の状況はそのままに保たれる仕組み(仮にボス戦ならば削ったHPはそのままで続行可能)。次のチェックポイントに到達するまでに再度死んでしまうと前のチェックポイントからやり直しとなるが、到達すれば妖精は復活して先に進められる。 参考画像(難易度Bananas)

 このArtifactsはキャンペーンを進める&チャレンジのスコアによってアンロックされて行き、プレイヤーは入手したArtifactsを使いカスタム難易度を作り出してプレイする事が出来る。デモの中だけしか確認していないが、[敵のHPを10%に減らす]などという物も有り、難易度Normalでも難しいという人はこういった物を使って難所をクリアしたり出来るし、逆に敵の強化や自身の弱体化をオンにしてCo-op用に更なる高難易度化も行えるというシステム。ただしカスタムにした場合には新たな物のアンロックは無効になる。それとArtifactsにはジョーク系の物も多数含まれている模様。


 アンロック要素としては装備品も含まれており、マップ内で直接入手する他にチャプタークリアやチャレンジのスコアでもそれ等がアンロックされる様になった。ローブ(着衣), スキン(柄), 杖(左手), 武器(右手)と分けられており、ローブや杖にはそれぞれにブーストされる特性などが設定されている。少しだけだが見た感じでは1に比べて個々をパート別に自由に選択可能なのでカスタマイズの幅が大きく拡がっている。 参考画像


 特殊な魔法としてMagicksが存在するという点は1と同じ。だが2ではこれもアンロックで入手するという方式に変わった様だ。そしてその扱いも変更された。まず所持しているMagicksの中から4個までを選んでクイックスロットに装備可能となり、数字キーの1〜4押下にてダイレクトに発動させる事が出来る(おそらくコントローラー操作を前提にしての追加システム)。次にMagicksを唱えるのにFocusと呼ばれる待ち時間が生じる様になっており、その時間が経過するまでは連続しての発動は出来ない。数字キーでのダイレクト発動の場合にはアイコンがモノクロ反転し、それが再び元に戻るまでは発動が出来ない。直接エレメントを入力するやり方だとスペルの名称がグレーアウトしている間は発動出来ず、白く点灯するまで待つ必要がある。それぞれの待ち時間は特に長いとは感じなかったが、味方の復活呪文なども待つ必要があるので影響が大きい物も出て来るだろう。

GAMEPLAY
 デモはAdventure(キャンペーン)のチュートリアルと最初のチャプター(おそらくその一部だけ)。Challengeのマップが一つという構成。ゲームプレイ全般を判断するにはコンテンツが少ないので、こちらでも主に1から変わったと気が付いた(感じられた)点をメインに書いてみる。なお私は前作の熱心なファンという訳では無く、Co-opのカオスぶりは面白いと思ったが、呪文を研究したりと徹底してやり込んだりはしていない。よってマニア視点からの感想では無い事を先にお断りしておく。


 画面表示はワイドスクリーン固定になっている。1では5:4や4:3のアスペクト比では画面に表示されるエリアが狭くなる為に、遠距離に居る敵との対戦や脇道の発見等で不利になるという面を持っていた(DLCでは「対象エリア全体を一度に見渡せない為に解けないパズルが存在する」という問題もあった)。今回はワイド表示のみで表示エリアのサイズは固定。よって1280×1024のノートPCなどを使用している際には、上下黒帯状態でのプレイとなる。

 製品版ではそんな事は無いと思うのだが、今回のデモ版では操作キーの変更が出来なかった。マウス感度, 画面の明るさも同様に無し。

 コントローラーでの操作性が改善された。これはPS4への対応からだと考えられるが、1に比べて飛躍的に操作性が改良されているという声が多い。私はテストしていないが、2では左右のスティックで移動と照準、4個のメインボタンをトリガーとの同時押しで8通りに使うという方式に変わっている。ただXbox 360純正以外の物だと上手く機能しないという感想も見られた。


 移動方法が変更された。これはかなりゲーム性に大きな影響を及ぼすと思われるが、従来のLMB押下状態で移動場所を指し示すというやり方の他に、LMBで移動したい地点をクリックすると印が付き、そこに向かって自動的に移動するという操作が加えられた。その為に移動しながら魔法を詠唱可能へと変わっている。

 上記との絡みで基本操作が変更された。LMBを移動操作に使う為に、武器攻撃は左Shift+RMB, 周囲への魔法詠唱は左Shift+ホイールクリックなど。


 掲示板で最も議論(ほぼ反発や抗議)されていた項目と言っても過言ではないのが、Steam(蒸気)とIce(氷)のエレメントが無くなった事。正確に言えば機能としては残っているが、エレメントとしては使えない様に変わっている。一応前作を知らない方にも解るように書くと、1では基本エレメントである水(Water)と冷気(Cold)を組み合わせてIce(氷)、水(Water)と火(Fire)を組み合わせてSteam(蒸気)という9&10番目のエレメントを作る事が可能だった。この新エレメントを更に別の基本エレメントと組み合わせる事により、魔法詠唱の効果に新たなバリエーションをもたらしていた訳である。

 しかし2ではエレメントとしてはこの両者は存在しなくなっている。例えばWater, Coldと続けて入力した場合、1では二つが合体してIceのエレメントに変化したのだが、2では2つのエレメントがそのまま残った形になる。ただしこの状態で詠唱すれば氷攻撃として発動する点は一緒。蒸気も同様に使用は出来る。では何が変わるのかというと、一つはエレメントが合体して一つに減らないので、1では可能だった5個を超えるエレメントを組み合わせた魔法というのは不可能になった。もう一つはエレメントが組み合わせ欄にそのまま残っている為に、反要素の縛りを受けてしまう物は使えなくなった。1では水(Water)と電撃(Lightning)は反要素なので一つの魔法内に一緒に入れて使用は出来ないが、水を冷気と合わせてIceにしてやればLightningとの組み合わせが可能になっていた。だが2では水のエレメントがそのまま残っているので、電撃を入れると打ち消しあって同時使用は出来ないルールになっており、1では使えたエレメントの組み合わせの一部が不可能に変わっている。

 それと詳細は検証していないが、バランス調整という理由からエレメントのヒエラルキー(優先度)も変更されている。例として電撃が魔(Arcane)よりも上に配置される等。



 同種のエレメントを重ねた際の効果増大が減少している、若しくは全く無いというタイプがあるようだ。

 デフォルト発動(何もエレメントを配置していない状態での詠唱で生じる)のPushはMagicksに変更された。つまり無限連打は出来ないし、また威力も弱くなった様だ。よって接近された場合のとりあえずの緊急回避が難しくなったと言える。

 シールドのブースト(スペースバー連打)は出来なくなった。よってシールド自体を強化するしかないのだが、その効果は低下している様に感じられる。それとシールドの種類にも因るのかもしれないが、ブロック出来ないタイプの攻撃が増えている様に感じられる。

 チャージして岩(Earth)系の魔法を飛ばす場合に時間が掛かる(メーターも無し)。また飛距離が相当短くなっており遠くには飛ばせない。

 電撃系の魔法の拡がりが大きくなった。これが良いのかどうかは状況にも因る。広範囲に効果が生じるというのは利点だが、特定のエリアを狙うという事はやり辛くなった。よってCo-op時のFFはより多発すると考えられる。

 ビーム(Arcane)系が強い。デモにおいてはバランス崩壊と感じられるほど優位。


 HUDには不満有り。ヘルスバーが緑に変わったのだが、これは背景にもよるが1に比べて見辛いという印象。文字表示なども全体的に読み難くなっている。

 画面スクロールは戦闘が始まるとそれが終わるまでは、そのエリアから移動出来なくなるのは変わらず。


 戦闘全般の感想としては、こちらの移動能力(同時攻撃)が上がった分、敵も速くなっている様な気がする。HPも高目だし、遠距離攻撃を結構してくるので最初のエリアにしては手強いのではないかと感じられた。

CO-OP
 オンラインとローカルに対応しており、4人までが参加可能という仕様に変更は無し。キャンペーンとチャレンジをCo-opする事が出来る。


 改善点の第一がdrop-in/drop-out機能の搭載。1では途中Joinが出来ず、更にゲーム自体&オンラインの不安定さから、チャプター途中でフレンドが落ちてしまうとやり直しになったりという難点があったがそれが解消されている。

 第二に参加人数に応じたスケーリング機能を持つようになった。1とは違って参加人数に応じて敵の数や強さが自動的に調整される。これはdrop-in/drop-outによる人数の増減にもちゃんと対応しており、わざわざサーバーのリスタートは必要ない。

 そしてネットコードも大幅に改良された。デモだけだと何とも言えないが、私自身が他者に接続した際のプレイでは特に障害は発生しなかった。


 Co-opがメインという姿勢は2でも変わらず、デフォルトでCo-opがオンにされている。1人でプレイする際にも常にCreate Gameから開始して、そこでプライベート・セッションにチェックを入れないとならない。なのでそのまま起動してしまい、「ソロでプレイしていたら突然他人が入って来た!」という問題が最初は多発しそうである。


 サーバーブラウザは無し。オートマッチングのみに変わった模様。メニュー下段にフレンド招待用のバーが常時表示されており、基本的にはこれでフレンドを誘ってのプレイというのを優先している様である。そこでパブリックでのCo-opにトライしてみたのだが他のプレイヤーが見付からず、自分がホストに成ってゲームが開始されるのみ。そのまま待っていても、一度他者が入って来ただけという状況だった(しかもチャットボックスに接続表示のみでゲーム内に接続は出来ず)。予約者限定とは言えいくら何でも少ないのではと思い、接続先を北米に変更してみたら簡単に他者のサーバーに接続可能になった。(実はこれを思い付くのが遅れたせいで、あまりCo-opを試せていない)。製品版でもこの仕様になる可能性が高く、最初の人の多い内は良いだろうが、将来的にはサーバー統合等が無ければ、日本からは接続先の変更が随時必要になるかも知れない。

 <参考> ゲームの中にはプレイヤーの移住地域(リージョン)に応じて接続先を振り分けるタイプが存在し、サーバーブラウザ無しのオートマッチングではその可能性がある。北米・欧州・アジア(豪州)という風にリージョンでサーバーを分割し、住んでいるリージョンのサーバーのみを検索に行くというシステムである。そしてSteamに登録必須のゲームにおいては、このリージョンの切り分けに「ダウンロード地域」の設定を利用しているケースがある。Steamクライアントの設定内にダウンロードを優先的に行うサーバーの指定があり、日本だと通常は[Japan]となるのだが、これだとアジアのサーバーが存在するならそこへのみ接続されるゲームが有る事になる。勿論人口が多いゲームならばアジアでも問題は無いのだが、少なくなってくると欧州や北米にはまだプレイヤーが存在しているのに、アジアにはプレイヤーが居ないのでマルチプレイが出来ないという事態も起こり得る。そこでここの設定を変えてSteamを再起動し、目的のリージョンのサーバーへと接続するように変更してみるというテスト手段がある。或いは自分のプレイ時間がアジアのピークから外れている場合にも有効。平日の場合には日本時間でAM3:00-5:00辺りが欧州のピークなので欧州のダウンロード地域を指定、AM10:00-PM2:00辺りは北米で人が増えるので北米を指定したりする。


 何故かチャレンジの方にはサーバーを起動したり検索したりの機能が無く、フレンド同士でプレイする方法しか用意されていない。製品版ではちゃんとパブリックでのCo-opも装備されると思うが、仕方が無いので産み出された方法として、キャンペーンでサーバーを起動して人が入ってくるのを待ち、その後ホストだけがメニューに戻ってチャレンジに切り替えて起動するというやり方であればプレイが可能だった。


 参加プレイヤーのステータス表示が画面下部に設けられるようになった。ショートカットに装備しているMagicksの確認等が互いに行える。改良点としては現在の各プレイヤーの状態が、死亡中ならばドクロマーク, 濡れている状態なら水マーク等で大きく周囲に表示されるため、1とは違ってボイスチャット無しでも他のプレイヤーが現在どうなっているのかを明確に確認可能となっている。よって他のプレイヤーの死亡に気が付かずに復活魔法を掛け忘れるといったトラブルはまず起きない。ただし表示アイコンが大き過ぎて邪魔という感も受けた(設定の中にオンオフの選択肢が在ったかもしれないが既に確認出来ない)。

 ローカルでのCo-opにも対応している事からの制限なのだろうが、1と同様に画面表示エリアはホスト基準で制限されてしまうのは変わっていない。ホストの位置を基準として描画エリアは決められるので、Co-opのクライアント側では画面がスクロールせずに画面端で移動が制限されてしまうという意味。

総  論
 先にSneak Peekにおける全般的な評判を書いておくと、Steamの掲示板(Sneak Peekの専用掲示板の方にはもうアクセス出来ない)や公式掲示板での反応はかなり悪く、批判や怒りの声が多数を占めている。(私は未プレイだが)Wizard Warsのシステムを安易に流用している, PS4への対応からカジュアル化している、といった嘆きの声が多い。

 上で書いたSteamとIceを削除した件だと、開発側の考えとしては「初代での基本コンセプトとして、汎用的に使える強力な魔法が存在してしまうと、ひたすらそれを連打していれば済んでしまう為、出来るだけ発生しない様に敵のタイプ等を変えたりはしたが、結局は幾つかの有用な魔法がファンの研究により発見されてしまっていた。そこで2では原点に帰って、そういった発見済みの魔法を弱体化したり使えなくする様な見直しを図り、汎用的な強力魔法をなるべく無くす様な方向で修正している」となる。

 一方で熱心なファンからは、「対人戦専用のWWにおいてはバランス調整は重要なのでそういった変化は理解出来る。しかし対人戦の無い2ではそこまでバランス調整は重要では無く、爽快感や自由度と言った点も等しく重要である。それなのにWWのシステム体系をそのまま流用したゲーム性にされてしまった。これでは5個を超えるエレメントを組み合わせたり、Steam&Iceを使った魔法のバリエーションが制限されてしまう事になり、それではエレメントを組み合わせて魔法を作るという根本要素が劣化してしまう」という風に抗議が起きている。

 今後の修正について予想すると、その絶対数は相当少ないであろう1の熱心なファンからの希望が通る可能性は低そうである。PS4版をメインに新規ユーザーへのアピールを重視し、前作並の大ヒットを目指しているだろうから、1のシステムを継承するという点にあまり重きは置いていないと考えられるのが一つ。それと基本無料の対人戦であるWWの方にもプレイヤーを多数引っ張り込みたいだろうし、そうなると両者の魔法体系に大きな差があるのは不味い。2をプレイしていればすぐに溶け込んでプレイ出来ます、というのが理想である。妥協点としてはModで1のシステムに出来るだけ近付けるという手法が残っているが、2がそういった改造可能な内部構成なのかは未知数である。


 個人的には熱心なファンでは無かったので、2での仕様変更はCo-opを中心に歓迎すべき物の方がずっと多い。難易度設定を設けた事で格段に幅広い層にアピール出来る筈だし、そうなればCo-opプレイヤーも増えて、より簡単なマッチング&長期間プレイ可能にもなるからその点でも理想的。

 気になる点ではキャンペーンの長さ(前作はチャプター13まで有ったが、今回はメニューにはそこまでの数は無かった), アンロックシステムに関連して装備の善し悪しに差が出ると考えられるので、Co-op時に基本能力の時点で大差が付いたりしないか, 1の様な大量のDLC商法になったりしないか(強力装備を金で揃える様なシステムになったりしないか)等。


 ファンは即買いするのだろうが、今の所は熱心なファンほど失望する可能性が高いという状況。仮に将来コアなファンからの修正希望が聞き入れられるとしても、現在のバージョンからすると相当時間が掛かるだろうし、しばらくは待ちで様子見という手も有り得るだろう。逆に1をプレイしていない場合でも、新規プレイヤーを想定しているのでいきなり高難易度といったハンデは少ない, 難易度選択が可能, 2の方が既にゲームの安定度は増している, コントローラーでプレイするつもりならば遥かに2の方が操作性に優れている, といった点から、面白そうだと感じられた方にはむしろこちらをお勧めしたい。

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