OPERATION FLASHPOINT
          COLD WAR CRISIS

                                    02/07/25

        65MB   CODEMASTERSより発売中
    現在では内容の異なった新しいデモがリリースされている


<概要>

 ストーリーとしてはIF〜の世界もので、冷戦後に両陣営に衝突が起こったらというシチュエーションを扱っている。プレイヤーはNATO側の一兵士としてスタートし、時には部隊に参加、またある時には指揮官として部隊を率いて戦ったりもする。50にも及ぶミッションは非常に多彩であり、ステルスミッションから大規模戦闘ミッションまで、更にジープやヘリ等の数十種類にも上る乗り物を操作したりもする事になる。マルチプレイにももちろん対応しており、相当な数の人間によるプレイが可能になるとの事。

 今回のデモはシングルプレイのみという一時的な物であり、この後マルチテスト用の物がリリースされる予定である。製作はチェコのBohemia Interactiveで、CMRで有名なCodemastersが世界に配給する事となる。


 海外サイトをチェックしている人ならば、このゲームについてはかなり以前から大きな注目作として取り上げられていた事は御存知だろう。このゲームの特徴として宣伝されていたのは以下の事項:

◎完全なミリタリーシミュレーターであり、徹底的なまでにリアルにこだわった造り
◎優れたグラフィックにより巨大でリアルなMapと、リアルな人間を表現
◎新次元の優れたAI


 特に個人的には最後のAIについて注目しており、製作側や既にα版をプレイしたレビュアーから「プレイ中に人間とbotの区別が付けられないレベル」・「Quake3やUTを遥かに凌駕する物」・「史上初めての人間的AI」といったコメントが出るにつけ、それは是非とも体験してみたいもんだと考えていた。しかしながら心のどこかには「本当にそんなに凄いのか?」という気持ちがあったのも事実。そしていざこのデモを遊んでみてまず第一に感じた事は「その話は本当だった!」ということ。人間と寸分変わり無いというのは大袈裟かもしれないしまだこのデモだけでは一部分しか分からないのだが、コンピュターゲーム史上最も優れたAIというのは本当かもしれない。少なくとも私はこれよりも凄い物を見た事が無い......。


<動作環境>

 かなりマシンパワーを必要とするので重い部類に入るだろう。推奨はP700以上、128MB、VRAM32MB以上である。特にこれだけの人数を出しての高度なAIとなると、CPUとメモリも相当重要になって来る。ただし私の環境では1024*768*32で特にもたつきとかは感じられなかった。
 スタート時に自動的にパフォーマンステストが行われて、オプション設定はその数値に合った値が自動的に選択される様だ。これらはその後自由に変更出来るのであるが、LOD以外は変更してもそれほどパフォーマンスに影響が無い様な印象である。それとDirectX8.0必須であるので注意。7.0aでは動かない

 Readmeに記載してあるのがWIN2000とPowerVR3では動作保証しないということ。またRadeonでも設定を変えないとうまく描画されない様である。なお珍しくGlideに対応しているというゲーム。ただしVRAMは16MB必要。



<GAMEPLAY>

 まず第一に言っておくとこのデモでは練習的なミッションを一つ遊べるだけであり、そこにあなたは一歩兵として参加する事になる。そしてこれは文字通りの意味であって、単なる歩兵以外の何物でも無い。どういう意味かと言うと、敵を華々しく倒したりとか部隊の中で前線に出てカッコよく振舞えるわけではないという事。部隊はMachine GunnerやMedic、RPG兵等で構成されており、その中であなたの持っている武器はM16、よって前線攻撃は主にMachine Gunnerに任せて、自分は基本的に後方からの支援という立場となる。その上あなたは部隊のリーダーでもないのだ。何とこのデモでは全隊員に指揮を出すリーダーはbotなのである。このbotについては次項で詳しく述べる。
 次に例えばこれまでのTactical Shooter物と比較して何が違うのかというと、特に自分が活躍出来るわけでは無いということである。つまりRainbow SixDelta Force等のゲームでは、リアルさを謳ってはいてもプレイヤーは超人的な能力を発揮する事が可能だった。シングルプレイの敵相手であれば現実には無理と言えるようなシチュエーションや人数を相手に一人で戦って勝ったり出来た訳である。もちろんそれが悪いと言うわけでは無く、あくまでも個人が楽しむゲームなのだというスタンスではそうならざるを得ないというのは仕方がない事である。ところがこのゲームでは個人は本当に無力というスタンスの様で、練習すれば次々に敵をなぎ倒せるというようなバランスの物では無いような印象である。武器は本当に当らないし、当てる為には近距離まで近づいて伏せた状態の安定した姿勢から撃たないとなかなか倒せない。この辺は徹底したリアル指向、「個人の戦闘能力差などたかが知れており、実戦では強力で優れた性能の武器を持った者や、単純に敵の死角を取った者が勝つ」というゲームバランスという気がしてならない。おそらくこのミッションでプレイヤーの倒せる敵は通常3,4人程度だろう。後は前線兵士にお任せという感じになるし、無理に前線に出ると本当に簡単に死んでしまう。そもそも先に述べた様に隊長はあなたではないので、命令に背いて勝手に戦う事自体が越権行為となる。

 そういう意味ではシューターとしての立場から見ると不完全燃焼的なゲーム(デモ)という事になる。もちろん製品では指揮官としてプレイしたりするミッションも出て来る訳だが、いずれにしろ他のゲームの様な超人的な振る舞いは出来ない物と思われる。しかしながらプレイ感覚その物は素晴らしいの一言本当に(本当にリアルに)自分が部隊の一員として戦場にいるという雰囲気が見事なまでに描写されている。そのグラフィックや味方部隊のAIも含めてこれほどリアルに戦場に存在する感じが出ていると、自分が中心として戦闘に加わらなくても充分に面白いということがこのデモをやると分かるだろう。ゲーム導入部のストーリー説明部分の出来も非常に良く出来ており、実際に自分が参加しているという気分を盛り上げるのに一役買っている。



<AI>

 このデモで行われるのは敵の占拠した2箇所を急襲して奪還する事で、あなたはその9人からなる部隊の一員として戦闘に参加する事になる。あなたは部隊のリーダーの指令を聞きながら他の隊員達と共同して敵と戦う事になるのだが、これが本当に物凄く良く出来ている。あなたの役割は基本的に後方支援であり積極的に戦闘に参加する立場ではない。基本的に部隊は隊長の指令により動くので、あなたはそれに従えば良いという事である。
 具体的にはまず攻撃開始時はなだらかな丘を越えて敵に奇襲を仕掛ける。ここで敵が確認された場合、リーダー(1番)が「何番、12時の方向にいる敵を排除せよ」という風に指令を出すので、それに応じた隊員が攻撃を仕掛ける。ここでは当然Machine Gunnerの様な人間が優先されて指定されるので、あなたは呼ばれない限りは支援に回る形になる。つまり攻撃者の背後をカバーしたりとか、伏せて出来るだけ安全な状態からあわよくばというスタンスで敵を攻撃するという形だ。戦闘は次々と起こるのでその都度リーダーが隊員を指定していくのだが、敵が多くなると「2番(あなた)敵兵士を攻撃せよ」という風に指令が出る。そこで初めて指定された敵に相対して積極的な攻撃を仕掛ける訳である。この2番というのはリーダー補佐(護衛?)という立場の様で、戦闘を命じられるのは他に誰も空いていない時だけの様だ。よってほとんど戦闘に参加せずに終わるというケースもある事になる。
 ゲーム中はそれぞれの兵士から随時状況報告が入り、倒した&やられたはもちろんの事「怪我をした → 4時の方向にいるMedicの方へ行って治療を受けろ」とかいう返事まで行われる。そしてリーダーはどこそこへ移動せよとか、司令部からの連絡を伝えたりして部隊を率いていく。

 基本的にはMapによって予めルートや作戦は決められておりそれをリーダーであるbotが実践するに過ぎないのだろうが、それにしてもよく出来ていると言わざるを得ない。部隊は移動中に指定された陣形を取って移動するし、直接全員の動きを観察出来る訳ではないので詳しくはわからないが、具体的な指示以外の味方のカバーも適切な様だ。特に戦闘になった時に攻撃指示が出されると、指定された人間以外は伏せて援護したり横に回りこんでGrenadeを投げ込んだりするし、後方をカバーする者もちゃんといる。更に排除完了の報告が終わると一斉に立ち上がって次のポイントへ走り出すのは実にカッコ良い。一時待機ポイントでは指示待ちの間は各人が周囲を分担してカバーしているし、建物等の障害物を使ってうまく隠れて攻撃もすれば、目標に対して単純に一直線に動いたりはしないし、砲撃等で一気に死なないようにバラけて移動も行う。またMedicは怪我人が呼ぶと移動するし、自分で呼ぶ事も出来る。
 更に装甲車等が来てRPG(ロケット)兵に攻撃指令が出た時など、もしも自分が近くにいれば「彼をカバーせよ」と具体的に指令が出されるし、指定された敵を深追いしていると「2番、それはいいから隊列に戻れ」という指示まで出たりする。

 対する敵兵についてはちょっとよくわからないというか、こちらが強くない分向こうもそうでもないという印象である。このミッションは最初なのでそういうバランスなのかもしれないが、それほど反応が早いという感じでは無い。そもそもこのゲームでは敵に確実に当てるにはある程度の予備動作をしないとならないので、それをやっている間に攻撃が可能ということのようだ(こちらは準備が出来ていればだが)。変に遠くから当ててくると言うような不自然な点は見られなかった。棒立ちで撃って来るような事も無いし、こちらに向かって単純に突っ込んでくるような馬鹿な行為はしないようだ。むしろ人数的に不利となると逃げてしまうようにプログラミングされているような印象。もちろん味方兵ほどではないがこちらも人間ぽい所は変わり無い。強くは無いが馬鹿では無いという事である。

 結論として確かにbotの能力の優秀さを謳うだけのことはある。このデモでは自分が指揮する側に回った時にどうなのかが確認できないので断定は出来ないが、ゲーム史上に残るAIとなる事は確かだろう。


<戦闘>

 リアルさを追求しているということでもっと細かいのかと思っていたのだが、想像してたよりはシステムは簡単である。怪我による命中率の変化とかは確認出来なかった。その代わりに弾は非常に当り難い感じで、伏せて姿勢を安定させて銃を目線に持って来る操作をしないとかなり弾がぶれてしまう。仮にその姿勢を取ったとしてもM16のバーストだとちょっと距離が離れるとキツイという風になってしまうし。死体の武器を拾えるのでマシンガンを手に入れればいくらか良くなるが、それでも攻撃はちょっとし難い造りの様だ。
 特に感じたのがすぐに死んでしまう事。フィールドが広い事もありどこから撃たれたのかわからずに(死んだ後はその相手がズームされるのでわかるが)死んでしまう事が実に多い。つまり現実ではやらないであろう行為、強力な武器が手に入ったからといって飛び出すとか、立ったままで開けた場所を走って移動するとか、をするとどこからか撃たれて死んでしまう可能性が高い。あくまでも現実同様に単独行動をせずにお互いの死角をカバーしあってという姿勢でないとダメというバランスの様だ。別の意味で言うとゲーム的な味付けが極めて薄いという事でもある。

 なおデモでの戦闘はかなりランダムな要素があり、何人が生き残るかはその時々で変わる。ただし5人以上生き残る事は稀な様だ。この辺は運の要素が戦闘では強いという事もあるだろう。実際の戦争同様に死ぬときは死ぬし、人間離れした強さを誇るようなレベルに練習すればなれるというゲームではないと思われる。



<操作性>

 三人称と一人称を切り替えて使えるのだがどちらも操作はやり易い。キー設定もこの手の物としてはごく普通のレベル。ただしコマンドメニューの使い勝手はこのデモではほとんどわからないのだが..... 特にアクションメニューをミドルマウスボタンに割り振ると、ホイール回転で選択して押せば実行という事で使い易い。目標オブジェクトの方向に矢印が表示されたり黄色で印が出たりする親切設計もポイントが高い。戦闘中も敵か味方かは色で判別出来るし、目標とする敵には印が付くので追いかけ易いのもいい点だ。ただしこれらはVeteranレベルでは消えてしまうので注意。
 乗り物ではこのデモでは何種類かの車に乗る事が出来るが、運転は三人称にすれば結構簡単な方である。ミッション内容は最初に簡単な説明の後、ゲーム中にはMapにて現在の細かな進行状況等を確認可能(ただしリアルタイム)。時計やコンパスといったアイテムもあるのだが、このデモではそれほど意味が無い様だ。それとSaveなのだがあるポイントにて自動で実施される他に、一回だけ任意の地点をSave可能である。死んでしまった場合Retryすると最後の自動SAVE地点からで、LOADすると自分がSaveした場所からになる。


<GRAPHIC>

 Advancedにてかなり細かく調整が可能であるが、基本的にはかなり美しい部類に入るだろう。ゲーム内容同様にリアル路線というテイストで、現実にその場にいるかのような雰囲気を感じる事が出来る。製品レベルではこのMapが特に広いと言う訳でもないのだろうが、車で無ければ移動が大変という非常に広大な地域が綺麗に描画されている。人間はもちろんの事、木々にもリアルタイムでちゃんとした影が付けられるのは壮観。広大なMapというとHidden&DangerousDelta Forceが存在するが、前者よりも遥かに綺麗であるし後者に比べても曲線の表現では劣るもののリアルさでは圧倒的に勝っているという印象だ。
 それと特筆したいのが人間のリアルさ。自分自身もそうなのだが非常に多彩な顔から選択する事が出来て、各人の顔が変化に富んでいてリアルなので実際の人間と行動している様な雰囲気造りに役立っている。それとしゃべる時は表情の変化に加えてリップシンクもする様になっているし、細かな動作が非常に人間らしくモデリングも素晴らしい。


    フルサイズ                             


<SOUND>

 このデモではサイズ節約の為なのかそれほど派手な感じでは無いし音質も今一つか。ただ銃の音は低音が効いていて良い感じである。それとBGMが個人的にはかなり気に入った。派手ではないがゲームの雰囲気に合った物が使われている。



<デモ解説>

 それほど内容は難解では無いし内容説明の英語も単純ではあるのだが、何をすればよいのかわからない人の為に簡単な解説を。

1.まず上官からの説明があり車に乗って移動。車に乗るには近くに行ってアクションキーを押せば選択肢が出てくる
2.途中で仲間と合流するが。ここからは上官は打合せの為にあなたが運転する事になる。黄色の印の方向へ進めばBravoと合流する
3.再びあなたが運転してトラックの待機地点へ向かう。ここは林をぐるっと回るような形で進めば良い。なお車をぶつけて壊すと走っての移動となる
4.Alphaチームと合流。ここで仲間と共にトラックの荷台に乗り込みポイントへ
5.降りて人数確認が済むとすぐに9人で移動が開始される。この時にAUTOSaveされるので、ここまではSaveの必要は無い。
6.戦闘開始後すぐに先ほどの援護隊Bravo全滅の報が入る
7.戦闘中は基本的にリーダーの指示に従う。リーダーから2番の番号を呼び掛けられて戦闘が始めるとターゲットが黄色のカーソルで示されるのでその相手を倒す事に専念すれば良い。もちろん指示が無ければ他の隊員の応援で良いのだが、出過ぎると簡単に殺されるので注意。後方から伏せて攻撃して倒せれば儲けもの程度の姿勢で良いだろう。ただし味方が早い内にかなりやられた場合は死体からマシンガンを回収して自分が戦うという事も可能だ。
8.リーダーから随時移動指令が出るのでそれに従って移動。敵が逃げているならば無理に追う事は無い。怪我をしていればMedicを呼べるが必ずしも来てくれるわけではない。
9.2番目の目標に到達した所で敵の戦車部隊と遭遇。緊急撤退指令が出される。この時にグズグズしていると死んでしまうのでちゃんと付いて行く様にする事。
10.海岸線まで逃げた後に味方のヘリへと搭乗する。しかしこのヘリが撃ち落されるので、墜落する前にアクションキーにてEJECTで脱出しないとならない
11.パラシュートで脱出した所で終了となる。


<総評>

 まだ一部分しか見れていないせよ、これは素晴らしい作品になりそうである。期待以上の出来と言って良いだろう。ここまで凄いゲームだとは思っても見なかった。ゲームというよりも戦争のシミュレーターという印象であるが、そのリアルな造りには脱帽する他ない。これでシナリオが素晴らしければ歴史的な傑作ゲームとなるであろう。歴史に残るゲームの中には「特別に面白いもの」と「非常に衝撃的なもの」があるがこれはどちらかというと後者に属する作品。このbotは本当に凄い

 他のTactical系ゲームとはその狙いやテイスト(そもそもどの様な面白さを狙っているか)、また出た時代も違うわけで単純な比較は出来ない。しかし単純に同列に並べて比較するとなると、これは別次元のゲームという印象すらする。同じ戦争がテーマのH&Dよりも遥かにリアルだし、Delta Forceよりもグラフィックは数段綺麗だ。何よりもこの二つとはAIの出来が違い過ぎる。チーム行動という面ではSWAT3よりも動きが人間らしく優れている様に感じるし、RSの様にちゃんと指示してやらないと自分で判断しては動かないので使えないという風でもない。最近の物ではまだ製品では無いがVenomもあるが、これはAIはかなり良いが仲間は一人だけという点と、グラフィック的に広大な地形は良いのだが雰囲気のリアルさで負けている。

 自分が指揮する側になった時にどうなるのかやってみたいが、この出来だとそちらの方も大いに期待出来そうである。この自分が戦争の中に参加しているというリアルな雰囲気を一度は味わって欲しい。全てのゲーマーに体験をお勧めしたい推薦作である。



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