UNREAL TOURNAMENT 2003


                                   02/09/20

     100MB   Infogramesより10月発売予定


<概要>

 E3の直後にリリースとアナウンスされてから3ヶ月半、リリースが延び延びになっていた期待作UT2K3のデモが遂にリリースされた。デモは予告通りに4つのMapを含む物で、DM2/CTF1/BR1を収録している(DOM2は無い)。マルチプレイはもちろんの事、botも搭載しているのでオフラインでもプレイする事が可能である。
 デモには既にパッチが出ているのでこれも併せてインストールしておく必要がある。今後はユーザーのフィードバックを受けて10月の頭には発売される予定だが、これまでの経過を見るとまだ何とも言えない面がある。





<動作環境>

 最低としてPentium III or AMD Athlon 733 MHzとあるが、これより低くても起動しないという事は無い。ビデオカードもHardware T&Lを持っていないカードでVRAMが16MB以上の物でも動作する(TNT2, Voodoo, Radeon7000等)。ただしこの場合はパッチを適用するのとDirectX 8.1bが必須である(T&Lを持っているカードならば8.1でもOK)。しかし元々は32bit専用でT&L必須のエンジンを要望により改造して対応カードを広げたという経緯がある為に、これらのカードでは”とりあえず動作はする”というレベルになってしまうそうだ。800*600以下で各種設定はLow等。画面表示もフルに比べるとかなり寂しい物となる可能性が高い。
 メモリは最低128MBで推奨は256MB以上。HDはデモでは問題無いだろうが、製品版はフルインストのみで3GBなので足りない人はHDの買い替えも考えておいた方が良い。XPならばSP1を適用する事を推奨しているが、日本版だとまだなので問題が出るかも。それとXPだとメモリ128MBでは動かないかもしれない。

 インストールがうまく行かない場合はzipに変名して解凍してやり、その中のsetupを実行すればうまく行くという報告もある。その他の主な問題点。

*Detonatorは40.41ではパフォーマンスに問題有り。30.82を使用
*Geforce4 MXシリーズでは32bitカラーにすると表示異常が起きる
*Radeon7x00シリーズでは一部表示異常



<GRAPHIC>

 まずは新しいグラフィックエンジンについてだが、今までの「ハードウェア・アクセラレーションではGlideに最適化されていてソフトウェア・レンダリングがベース」の物から、「D3Dに最適化されてハードウェア・レンダリングがベース」の新しいUnrealエンジンに変更されている。描画機能自体は大きな変化は無いものの、Vertex & Pixel Shaders搭載カードならばパフォーマンス的な恩恵を受けられる(無ければソフトウェアでエミュレートするので重くなる)。
 APIについてはD3Dにて大きな問題が無い限りはOpenGLを使う理由は無いとコメントされている(或いはHardware T&Lに未対応のカードを使用しているケース)。実際の所UTの様にOpenGLだと圧縮Textureが使えるとかの利点が無いので、今回はOpenGLを選択する意味は無いと言えるだろう。パフォーマンス的にも結局は最適化されているGlideにD3Dが追い付けなかった前エンジンの様に、D3Dベースで作成された新エンジンでOpenGLがパフォーマンス的に上回るという事は無さそうである。

 新エンジンはUTに比べてキャラで5から10倍、地形で100から200倍のポリゴンを使用しており、以前までのとは別物という印象。今までの様に地面の段差がカクカクと折れていないし、キャラのアニメーションも非常に滑らかである。それぞれのパーツも細かく出来ており、手摺等は隙間をちゃんと弾が通るし、壁面の形状も非常に複雑化している。
 画面エフェクト系ではCubic Environment Mappingをサポートし、水面等に周囲の景色が映り込む様になっている。水面の揺れの表現はちょっと独特な感じで、これはShaderを使っているのだろう。これまでは基本的にはサポートしていなかった影の描写も持っており(Undyingの様に独自に改造するしか無かった)、キャラはもちろんの事木々が風に揺れて落とす影や、回っているファンの影がちゃんと動いている。それと水面の揺れが光の加減で壁に陽炎の様に映り込む様も印象的である。
 武器エフェクト系は割と地味目な感じもするが、対戦型のゲームだけにあまり派手な効果で視界を失っては困るという面もあると思われる。Particle機能を使用しているのか、結構狭い場所で派手に撃ち合っても前ほどの目立ったfpsの低下は見られないし、煙や電撃といった効果のエフェクトはその度に形状が変化する様になっている。


 総合的な印象としては非常に写実的な描写をするエンジンという印象。同じエンジンを使用しているAmerica's Armyでは基本的に現実風のアウトドアのMapしか見れなかったのだが、こうして見ると非常にフレキシブルに様々な世界を描画出来るエンジンという感じだ。非常に残念な点としては、今回はデモのサイズを押さえる為にTextureのサイズが制限されており世界とキャラのDetailがNormalまでしか選べない仕様である。UTでの高解像度Texture使用時でも分かるようにこれがONかOFFかでは相当な違いがあるので、オプションで別にDownload可能にでもして欲しかった。よってまだ新エンジンの綺麗さについての評価は早計と言える。
 重さに関してはほぼ予想通りというか、私のマシン(P4 1.7GHz、DDR512MB、GF3Ti200)ではそこそこというレベルで動作する。1024*768*32で設定を現時点での最高にしても特にストレスは無いが、常時60fpsとなるとハイエンドクラスのマシンが必要では無いかと思われる。FSAAをX2にした場合はAntalusやCitadelではやや重い感じで、X4ではちょっと無理という印象だ。ちなみにSystemフォルダにBenchmarkというソフトが有ってこれでfpsを測定出来る。またゲーム中はTABでコンソールを出してやりSTAT FPSで測定値が常時表示されるようになる。

 最後にグラフィックという事では無いのだが、Karma物理エンジンについて。基本的には死亡時のアニメーションにのみ使われているのだが(爆風での飛びに使われているのかは不明)、これは実際に見てみると非常に良い感じである。段差をズルズルと滑り落ちたりとか、壁にもたれ掛かって倒れたりとかリアルなアニメーションを見せてくれる。今までの様に用意された死のアニメーションを描画している訳では無いので、吹っ飛ばされたりした場合に2回と同じアニメーションを見る事が無い。ゲームプレイには直接関わってくる部分では無いが雰囲気作りには非常に有用。特にAnubisのゴール地点の落下や、Antalusの池での死亡はKarmaの凄さを味わう事が出来る。


   フルサイズ画像                          



<新要素>

 DMとCTFに関してはルールは変っていないので説明は割愛。新モードとしてAssaultに変って登場したBombing Runについて簡単に解説しよう。

*両軍の陣地にゴールが存在し、中央に現れるボールを争う競技
*ボールを敵陣地に投げて通せば3点、自分が直接ボールごと飛び込めば7点入る
*ボール保持者は武器を使う事が出来ないが、体力は自動的に回復する
*ボールはPrimaryで直接投げる事が出来、Secondaryで味方をLockonしてパスを投げられる
*点が入るとリセットされてそれぞれがスタート地点から。ただし持っている武器はそのまま。

 このBRは2k3で一押しのモードとしてPRされており点数体系といいアメフトその物という感じだが、スポーツゲームとして位置付けられている2k3には相応しいモードかもしれない。ASが無くなったのは個人的には非常にマイナスではあるが.....。ただ確かにマルチプレイでは面白いのだが、このMapだけなのかも知れないがbotが単純過ぎてオフラインでは簡単に勝ててしまい今一つ。

 新要素としてはAdrenalineが存在し、これは直接集めたり敵を倒したりで溜まって行く(死んでも減らない)。100まで行くと特殊能力を発動出来るようになっており、キーのコンボで以下の4つが効果の切れるまで使用出来る。死ぬとそこで終りなので体力が低い時は発動すべきでは無い。

※Speed   前前前前   高速移動とジャンプ可能
※Booster  後後後後   自動回復機能
※Berserk  前前後後   武器のダメージUP
※Invisible  右右左左   透明化

 新動作としては

*Double Jump     Jump後に連続してJumpする事で高く飛びあがる
*Dodge Jump     Dodgeした後にJump入力で更に遠くへ飛び退く



<GAMEPLAY>

 ゲームのスピード感は若干落ちた感じ。ただ新動作が加わり動きが複雑になったので敵の動きは逆に読み難くなっている。武器も正確に狙わないと当らない様に当り判定が変更されているという事で、より難しくなっているとは言えるだろう。キャラの造型や若干の武器仕様変更等からQuake3に近くなったという声もあるが、それは私としてはさほど感じなかった。Q3とはまたプレイ感覚が違うと思う。むしろ想像していたほどはUTから変化が無く、インパクトが薄いかなという感想を持った。まあ別にUTのバランスに不満がある訳では無いので悪いという事では無いのだが。後はMapにもよるのだが、背景とキャラの判別が付け難くなっている様に感じた。

 botについては戦闘面では大きく改善された。UTの様に一度戦闘になると決着が付くまで攻めて来て引く事を知らない傾向にあるとか、パスを単純に辿り過ぎて予測が付き易いという面が解消されている。移動パターンが複雑で予測が付け難いし、うまく引いて攻撃したり障害物を利用して隠れたりもするようになった。人間の動きにより近付いたという感じで、人間かBotかの判別が付け難くなったとも言える。ただ何故か撃つ時に止まって座るという傾向があってこれは?である。難易度はUTと同じで8段階なのだが確実に強くなっている印象。やはりAdeptから上は行動パターンが変化する設定のようで、Skilledまでなら何とかなるがAdeptでAntalusの8人DMとかになると勝てない。なお今回のGodlikeは本当にGodlikeである。やはり人間と違って武器のエフェクトで前が見え難いという事は無い様で、乱戦ではより強いという感じになる。
 CTF等のチーム戦モードでの動きもTranslocatorを多用して高速移動したりとか、動きはかなりまともになっている。チームでのDFが上手くなっている様で、DFに複数の人数を割くと上手く守ってくれる感じがした。ただやはりパスの設定が大きな要素を占めており、賢いかどうかは製作者のパス設定次第というのは変わらない様だ。指示系統は今までと同じで5つの指令を個別や全体に出せるシステム。
 気になったのはbotが同時に画面内に入った時の負荷は軽減されていると思うのだが、bot自体を増やした時の負荷は明らかに増加している事。CPUが遅いマシンだと16人マッチはちょっとキツイかもしれない。

 武器関連に付いてはまだ使い込んで無いので簡単に第一印象。

◎ShockRifle:2ndが遅くなっているが弾が小さくなっている風で、コンボを命中させる事自体はそれほど難易度は変わらない。使い勝手はそれほど変化は無い印象。ただコンボの威力、或いは適用範囲は減ったか?
◎Flak Cannon:UTでは一番好きな武器なので感覚が変った感じがある。2ndは飛ばなくなったので慣れが必要だし、1stは狭い範囲にしか飛ばなくなった。とはいえ接近戦では非常に強力なのは変わらない印象。相対的には強い武器になったのではないか。
◎RocketLauncher:Grenadeが無くなったのでかなり印象が変った。装填は3発までになっているが横の幅は変化無い様だ。同時押しの1点発射だと螺旋状に回転しながら飛んでいく。弾がちょっと速くなっている上にそれ自体が見にくくなっており避け難くなった。威力は落ちたかもしれないがその分差し引きゼロか。
◎LinkGun:若干威力が増したような印象。また2ndは射程が伸びたような。
◎BioRifle:2ndの飛び散りは少なくなった感じで、弾単位の爆風の範囲も狭くなったような印象。ただ単体の速度は上がっており、当て易くはなっている。それとShieldの防御に対して有効な様だ?
◎Minigun:これは明らかに弱体化。発射までに間が空くようにもなった。UTではかなり強かったので妥当か?
◎LaserRifle:完全に変化した武器。連射出来ないのと当て難くなっている点で総合的には弱くなったか。また一発撃つと居場所が知れてしまうのは想像以上に大きな弱点と感じた。
◎ShieldGun:1stではInpactHammerとして、2ndでは盾として使える武器。この盾は小さいしエネルギー分しか使用出来ないものの、攻撃を結構跳ね返せるので使い方によっては相当便利。

 最後にAdrenalineについてはまあDMではバランス的にはこんなものかと。確かに敵を倒すほど溜められるので強い人がより有利になるが、結構倒さないとそう簡単には100は溜められないし持続時間も意外と短い。ShieldGunというアイテムもあるし、後は微調整程度で良いのでは。むしろCTFやBR等ではバランス的に微妙かと。SpeedやBoosterで旗やボールを持つと脅威である。Jump系は高い所にショートカットで上れたりするし、敵の弾をかわすのにも重要なのだが、まだ確実には出せないでいる(~_~;)

 マルチプレイのネットコードに付いてはUTと比較して特に軽いとか重いとかは無かった。安定性も特に問題無いのでは。後は最適化と細かなバグ取りで問題無さそうである。



<INTERFACE>

 HUD関連やメニュー系は大きく変った。特に各種Menuは単純化されて見易くなった印象。Modメニューはどうなるのか気になるが、統一のメニューでON/OFFが出来るようになると便利なのだが。逆にScore表示は見にくい感じがする。

 これは結構向うでも意見が出ているが、アナウンサーのボイスがうるさ過ぎるという点は調整可能にするそうである。あとバグなのか、VoiceメニューにVキーを割り振るとVキーを押しても反応してくれない。何も設定しなければ使える。なお数字選択式になっており、このメニューからは各人の状態が見れ無くなったのは気になる。


<総論>

 どうやら多少の変更点はあるものの、製品版には期待して良さそうである。個人的には「これはどうも...」というほど気になる変更点は無かったし、それらは発売後のModやMutatorでいくらでも調整可能になっていくだろう。後は製品版のMapのクオリティだろうか。残念ながらデモにはうなる様なレベルのMapは無かったので、これには期待したい。とにかく予定通りに発売してくれる事を祈るばかりだ。


   目次