UNREAL TOURNAMENT 2004

                                  04/02/17

      209MB   Atariより 04/03/16 発売予定



<概要>

 2002年9月に発売されたUT2003の拡張版。発売後1,2年に一度は内容をグレードアップしたバージョンを発売するという話だったのだが、その通りに2003の収録コンテンツを全て含み、それに新たな内容を盛り込んだ物がこのUT2004と言う事になる。

 今回リリースされたデモは以前より約束されていた物で、ベータの名の通りに最終的な物ではなく、ここからいろいろとバランス調整等が行われる可能性がある。特にメニュー系はまだ変化の余地が多い。また内部機能が完全に動く状態ではなく、メニューから選べるが機能しない項目や、内部のファイルをいじらないと有効にならない物もあるので注意。ベンチマーク用のプログラムやEditor等製品版には含まれている物でカットされている物も有る。

 UT2004全般の情報に関してはTopよりPreviewのページを参照してほしい。


<動作環境>

HARDWARE 必要環境 推奨環境
CPU Pentium III or Athlon 1.0 GHz Pentium III or Athlon 1.2 GHz
MEMORY 128 MB RAM 256 MB RAM
VIDEO VRAM 32 MB以上 VRAM 64MB以上でHardware T&L対応
SOUND Windows対応 Sound Blaster Audigy

対応OS: Win 98/2000/ME/XP
DirectX 9.0b以上要


 DirectXに関しては8.1だとはじかれるのかは不明だが、特に9.0の機能を使ったりはしていないはず。少なくともSoftwareでのレンダリングをサポートしているので、これを使用するならばDXは関係無い。その最近ではもうどのゲームでもサポートしなくなったSoftwareでの描画が可能なので、起動にトラブルが発生した時に切り分けもし易いといえる(メニューからSafemode)。

 UT2003からそれ程大きく変更されていない為に、現状では安定度は高く大きなトラブルは無いようである


<GRAPHIC>

 マルチプレイ中心のゲームという事から軽さに重点を置いており、特にDX9.0世代の新機能は導入していない。最近の新世代エンジン使用のゲームに比較すると劣る面はあるが、別に悪いという事は無く現在でも高水準の部類である。気にしていたアウトドアMapの重さについては特に問題は無いようだが、今回収録の物は比較的狭いのでkm四方クラスの物になった時にどうなるかだろう。

 なお今回のデモはUT2003の時と同様に、デモのサイズを押さえる為にハイクオリティのデータを収録していない。キャラクタ及びMap内のTextrueの解像度はNormalまでしか選択できないので注意(7段階中4段階まで)。製品版では設定を上げる事でよりクオリティの高いグラフィックが見られるが、それ相応にマシンのパワーは要求されてくる。



<ONSLAUGHT>

 2004にて加わった新モードの一つであり、Epicが今回の目玉として推している物。当然ながら注目が高かったのだが、ようやくデモにてプレイする事が出来た。ルール関連はPreviewの方に書いてあるのでここでは省略して、ゲームの感想について書いていく。

 使用されているMapであるTorlanはやや小さ目の印象のMapであり、8vs8程度が適当というサイズ。24人程度が限界で32人では多いと思われる。デモの前のEpic主催のLANプレイからの情報では、ONSではMapは広いが決着が付くのは早いケースも多く非常にスピーディーという話を聞いていたのだが、確かにその通りで展開が速いゲームモードである。徒歩では結構な距離があるがVehicleを使えば自軍から敵基地までそれ程時間が掛からないし、Nodeを使ってテレポート出来るので戦闘個所への集合はすぐに行える。自分の死亡がゲームのScoreに与える影響は無いし、死んでも合流に掛かる時間が短いのであまり死を気にせずにプレイ可能であり、実際にそういう感じで派手に殺したり殺されたりの戦闘が行われている。全てではないが使用武器は2003からの物であり、これまでのプレイヤーには馴染みのある物が多いので戦闘もやり易く感じる。

 Vehicle系はそれぞれが特徴的であり、操作系はアーケードライクで簡単な部類。U2のXMPと異なってVehicleの数が多い上にRespawnが早く、個人が乗れる機会が遥かに多い。それ故Vehicleの要素が占める割合が比較的大きいゲームである。それとプレイによっていろいろなメッセージが出るので面白い。戦車で飛行兵器を撃墜すると"Eagle Eye"、敵を轢き殺すと"Road Kill"、Scorpionでハイジャンプすると"Daredevil"のアナウンスと記録が表示される。Raptorでの空中戦で相手を撃ち落とせば"Top Gun"、Scorpionで敵車に体当たりで"Fender Bender"等々。
 特に良いと思える点はVehicleと人間のバランス関係で、確かに数は多いし上手く使えばVehicleは強力なのだが、人間側にもAVRiLやGrenade Launcher等の各種対抗兵器が有るので、それ程Vehicleが戦場を席巻するという事は無いようになっている。実際に敵が集まっている場所に単独で突っ込んで行ったら簡単に破壊されてしまう可能性が高い。移動に関してもNode間のテレポートが可能なので、徒歩での移動が大きく不利という風にもなっていない。あくまでもVehicleは攻撃・防御の一手段という位置付けとなっている。

 ゲーム性としては一旦PowerCoreに攻め込まれると挽回するのが難しいという印象を受けた。そうなった場合、Coreを守る人間と接続されたNodeを取り返しに行く人間が必要なのだが、この辺がマルチプレイにて上手くコミュニケーションが取れずになかなか成功しない(Map上に味方の配置が出るともう少し分かり易くなると思うのだが)。反撃するには素早くnodeを奪い返してから、再度そこを攻撃される前に中央のnodeを攻撃しないとならない。少なくとも3人以上で行動し、nodeの構築には3人のLinkで数秒で終わらせるといった迅速さが要求されるのだが、それだけ上手く連携して動ける事は稀である。そうなると敵側がMap上のVehicleを支配している為に、その物量で攻めて来られるのでnodeを取ったり取られたりの繰り返しの合間に徐々にCoreを削られてEndとなりがち(実際にゲームのScoreは大概が100対0で終わる)。
 この辺はONSの欠点というよりはTorlanのMap上の配置バランスによるとも言えるし(拠点にもう少しVehicleが有るとか、中央の塔のRedeemerを無くすとか)、ONSのルールを変更する事で対応可能かもしれない。例えば敵陣に直結したNodeにはそこを押さえていてもRespawnやTeleportが出来ないとかいろいろと考えられる。しかしあまりにもDFに有利にすると今度は押し合いでゲームが動かなくなるので難しい所だろう。PowerCoreもMapによっては何も無い場所にそれだけがポツンと有ったりもするので、その辺の周囲の防御力も関係して来る。



 Link DesignerにてMap上のNodeの接続状態を色々と変更できる点は面白い。Default以外に変更してSaveしてやり、これをMapの巡回リストにて指定してやるか、シングルプレイならば何時でも切り替えが可能である(Randomはデモにおいて上手く動作しないようだ)。この接続状態によって戦略がまるで変化するので、同じMapでも変わった形で遊べる。
 Power Coreへ接続されるNodeが一つだけの場合は、戦闘場所がハッキリするので分かり易いが防御側が押し返すのが難しい傾向にある。多くの場合攻撃側はMap上の他の全てのNodeを押さえるようになるので、それらに存在するVehicleを使い放題なのがアンバランスな感も。防御が或る程度持ち応えても膠着状態になりがちであり、上手くチームで作戦的に行動しないとそこからの逆転が難しい。逆に複数のNodeがCoreに接続されている場合は、お互いが別々のルートにて敵のPowerCoreに接続しての攻防戦になりCoreを攻撃し合うという展開が有る反面、両側を押さえられてしまうと挽回するのが相当困難になるという欠点がある。またMapは左右対称ではないのでLinkによっては不平等にもなるという面も。しかしながらLinkを変えられるというのは単純ではあるが良く出来たアイディアであり、同じMapでも飽きが来ないで長く遊べるという点で利点の方が大きいと感じる。

 botに関してはVehicleの扱いに問題が有るというのは聞いていたのだが、想像していたよりはずっとまともな出来である。一応シングルでも遊べるというレベルであり、bot自体が無いゲームや、botはいるが実質使い物にならないというゲームに比べると優秀な部類。Vehicleに関しては徒歩移動に比べて物理エンジンの影響を受ける為に、人間の様に瞬間的に地形とスピードを判断してルートを変えたり、スタックした時に周囲の地形を判断して切り返し望みの方向に向ける事が難しい。或いはやらせるとCPUパワーを消費してしまうのでどこかで妥協せざるを得ない。よって仕様としてはまずは好んでスタックし難い飛行系を使い、次に地上系に乗り込むようになっており、もしスタックした際には諦めて乗り捨てるという風になっている。複数人員で乗り込める兵器に協同で乗って戦ったりとか、空中からちゃんと目標を捕らえたりとかまともな面も多いが、味方に関係無く突っ走るのでFF無しでないとTKが多くなってしまったり、移動パスとして設定されているルート以外には対応出来ないといった面もある(徒歩と同じルートを使うので自由度が無い)。
 状況への対応に関しては今一つであり、特にCoreが攻められる時の対応が良くない。これは「Coreを守る」というのを「攻めて来た敵を攻撃する」と解釈する為に、Core自体のHPが減っていてもその状況を見に戻らない。これはbotのパスの問題も有って、Coreに向かう両側の坂には防御側の移動パスが無い。よってCoreの背後の砲台に味方が付かない場合には、その坂の部分からCoreを攻撃する敵がやり放題になってしまう(偶然誰かが発見しないと)。これにはASの様にCoreを攻められている時は坂の下に人員が配置されるようにするというシステム的な解決や、Spawnが敵を発見出来るような個所から始まるといった解決法が考えられる。シングルでプレイする際にはCore防御中は両側の坂の下にHold Positionでbotを一人は配置しておくべき。製品版に向けてまだ改善の必要性は感じられる。

 ゲームのコツに関しては既にガイドを作成しているサイトも幾つか有るようなので、node関連の重要な知識のみ記述しておく。

*nodeが点滅している場合は攻撃を受けているという意味で、この場合には自軍の色でもそこにRespawnは出来ない
*nodeの上に立ってUSEキーで他の無事なnodeにテレポート可能
*nodeは一度フルチャージまで持って行かないと周囲のVehicleがSpawnしない
*nodeのチャージはLinkgunのALTのビームにて行い、2人3人と味方に照射してLinkする人数を増やす事で3,5倍と効果を高められる
*nodeを攻撃するにはLinkgunのPrimaryが効果的
*nodeはVehicleに乗った状態では通過しても自軍の色には変更出来ない



<ASSAULT>

 AssualtはUTのAS-Highspeedを継承したConveyが収録されており、従来のノーマルなスタイルのASのプレイが体験出来る(砲台は有るがVehicle系は無い)。今回はプレイ前にムービー形式で順路が紹介されたり、次に向かうべき方向に矢印が出たりと親切設計になっている(復活時にルート用の浮遊するbathpathもサポート)。また復活には時間制限が導入されていて、死んだタイミングによっては待たないとならない。その代わりに復活地点が変化した時にたまたま前の場所にSpawnしたばかりだと自殺した方が早かったりしたが、今回はそこへ移動出来るようになった。
 今回のASの面白い変更点としては、一定以上の時間を掛けないとONに出来ないSWの存在がある。これまではSW類はとにかく触れてしまえば良かったので特攻して死ぬ前に触れるという戦法が有効だったが、この形式だと防御の敵を倒してからでないと達成が困難となる。一応バーの進行状況は保存されるので時間を掛ければ突破出来ないという事は無いが、時間によってバーが戻って行くという方式が出来れば更にバラエティさが増えるだろう。

 ゲーム性はやはり非常にスピード感のある物であり、それぞれのObject付近では激戦が繰り広げられる事が多い。移動ルートはガイドされるので分かり易いが、とにかく早くポイントへと移動しないと戦闘に乗り遅れてしまう。このMapでは1チーム4-6人程度が適当であり、それより少ないと上手く機能しないような印象。Objectの段階は6つと多いが、結構早く決着が付くケースも多い。後は復活したSniper Rifleが体験出来るが、撃つ毎に立ち上る煙が視界を遮るのでUTほどには使えない。ただバランス的にはこれで問題無さそう。

 このゲームはMapのデザインが面白く、車に飛び乗っての移動ルートも有ったりと変化に富んでいる。今回はストーリー設定やバラエティさに力を入れておりその分収録Map数は減っているが(6個)、皆このレベルのクオリティならば納得出来る。
 なおbotはルートを間違える事は無く到達が早いのは確かだが、Objectの守り方が上手くないので突破され易い。ただシングルでは自軍も同じなのでゲームとしては成立するのでその点は問題は無いだろう。しかし製品版に収録の物は基本的にはシングルプレイとして楽しんでもらえる事を意識して作成しているという話だが、それならばもうちょっと上手く守れるような改造はして欲しいと感じた。



<その他>

 Bombing Runについては結構な大型Mapとなっており、或る程度の人数がいないと面白くないだろう。ルールに変化は無いが、これまで問題となっていた「ボールを投げてからTranslocatorで移動して取るを繰り返す」というコンボが使えなくなっている。このBRに関してはbotの欠点は直っておらず、単純にボールを追い過ぎる傾向は変わっていない。例えば2つのルートに分かれてボールを持った側が敵を引き付けてから反対側にパスといった作戦を取れないので、単純にボールの有る場所で両方が戦うといった風にしかならない。BRのゲーム性自体は特に悪くないのだが、マルチプレイでないと面白さがサッパリ分からないというのはやはり弱点である。
 CTFは特に変化なしだが、Translocatorのチャージ速度が速くなっているのでUT風に連続での移動が可能になった。botに関しては特に行動のパターンは変わっていないようだ。

 botについては大きな変更点として、移動中にDouble Jump, Dodge Jumpを使えるようになっている。よってTranslocatorが無い場合でも、単に普通に走るだけという不自然さは無くなった。或いは急な坂となるルートを上手く通れるようにもなっている。

 武器関連はSkinや攻撃力に変化が加えられている物も有るが、中ではMinigunのパワーがUPしているのが目立つ。この辺は発売時にはまた微調整が加えられるだろう。Shock Rifle及びLinkhunの新Skinは個人的には好みではない。


<問題点>

 気に掛かる点は何点か存在しているが、公式のForumにも結構意見として挙がっている点で、キャラクタが小さくてSkinが見えにくいというのは私も気になった。Mapサイズに対するキャラクタの大きさが2003に比較して小さくなっている印象であり、距離が離れると見えにくい。チーム戦においてはカラーリングを工夫するという話だったのだが、やはりBright Skinで無いとハッキリと分かり難いとは感じた。遠方のキャラクタにカラーを付けて目立つようにするというOptionは有るが、もっとハッキリと目立つような大きさと明るさにした方が良いと思う。2003には存在しているBrightSkinの機能が製品では有るなら良いのだが。後はDMの様にSkinに色が無い場合にも結構見難い。キャラクタのサイズに関しては以前のMapが収録されている点から、おそらくは拡大してもプレイ中にサイズが異なるので引っ掛かるとかの不味い事は起きないと思うのだが、それならば最低限表示サイズを変更出来るようにして欲しいものである。

 後は武器のサウンドが小さくなるとか、サウンド系に問題を抱えているようだ(或いはデモの設計ミス)。EAXを含むHardwareの3Dサポートも2003と変化無しであり、私のマシンでは上手く機能しない。


<総論>

 楽しみにしていたONSは期待していた通りに面白く、発売がより楽しみになってきた。ASも収録しているし新しく買い換えても高いとは思わない。今回は気合いが入っているなというのが伝わってくる。テクノロジー系ではグラフィックには大きな進化は無いが、その一方でかなり書き換えたというネットコードは相当優秀と感じられて、サーバーの処理能力さえしっかりしていれば非常に快適である。これは大きなアドバンテージと言える。

 デモとしても5つのMapを収録という事でお徳感が強く、これまでこのUnreal系を未体験の人にもお薦め。このUT2004は2003でのマルチ人口の伸び悩みを解決するだけの可能性は持っており、発売後の展開が楽しみである。



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