☆ DREAM OF THE BLOOD MOON ☆          目次

  13/11/20


データ  制作: TheUnbeholden              公式サイト      Indie DB

 2012/10リリース  294MB

 V1.1がリリースされているが、パッチ単体ではなくインストール用のファイル自体を差し替えるという形で配布されている模様。公式サイトから直にV1.1版をダウンロード可能である。


 TheUnbeholden氏の個人プロジェクト。この作品もまたSlender: The Eight Pagesに影響を受けて作られた物である。なお続編の予定があるという記載も見られる。

動作環境  対応はWindowsのみ。UDKにて制作されている。必要環境等のデータは公開されていない。

*解像度は4:3から16:10にまで対応している
*ESCキーに対応していないので注意(押すとゲームが終了してしまう
*3Dサウンド必須なのか未検証だが、音の出所を探す事を要求されるシーンがある

BASICS  主人公は現代と思われる世界の一人の女性で、夢の中で別世界の少女から助けを求められる。その少女は生け贄の様な形で磔にされており、助けるには彼女の流した6粒の涙を集めないとならない。

 具体的にはマップの中には5つのパズルが用意されており、それぞれを解くと涙が手に入る。パズルの意味等は近くの石碑に血文字としてヒントが現れる。残り一つは幾つかの候補地点の中からランダムに選ばれて出現するので単に見付ければ良い。後は集めた涙を磔にされている少女の場所へと運んで来てやればOK。

 当然ながら追っ手も存在しており、浮遊する女性のゴーストらしき物が追い掛けて来る。捕まるとマップ内のランダムな場所?にリスポーンさせられ、三回捕まってしまうとゲームオーバー。セーブ機能は無いので最初からやり直しとなる。また二回捕まると世界が赤く暗くなるというハンデが加わる。


*操作説明はメインメニューに在り。操作キーやマウス感度の変更は出来ない。
*一人称視点固定
武器を含めて攻撃手段を持たないので逃げるだけとなる
*スプリント可能だがスタミナが切れるとしばらくは不可になる(メーターは無い)
*フラッシュライトはデフォルトで持っているという設定らしくボンヤリと照らされる

GAMEPLAY  先に良い所から書くと、第一にパズル要素を導入したのが大きい。大人気を博したSlenderは幾つものフォロワーを生み出したが、そのベースは「追っ手に捕まらない様にしながら」, 「アイテム集めを達成する」という点で変わらない。そこをこのゲームではアイテム入手の為にパズルを解かないとならないという風に設定している。実際にはパズルという程では無い箇所も有るし至ってシンプルだが、アイテム集めという単純さに比べればずっと進化している。

 第二に舞台となる世界の雰囲気が良い。幻想的な印象でグラフィックスとしても綺麗。ストーリー紹介用の一枚画も全部自分自身で描いたらしく力作と言えるだろう。


 反対に悪い点は難易度が高過ぎるという件に集約される。まずこのゲームではSlenderと同じくマップ表示や向いている方向を示す機能を持っていない。しかしマップの広さに対して目印となるオブジェクトがあまりに少ないという問題がある。Slenderではほぼ均等にランドマークが配置されており、方向の判り難い森の中に踏み込んでも、そこから何等かのランドマークへと到達して現在地を知る事は割と容易だった。だがここでは全く方向が判らない森のパートが広く、延々と迷って何も目印が見付からないという事態が頻繁に発生する。

 私自身もあまりの解り難さにもう放り出そうとした時に、ようやく良く見ると地面に道が在る事に気が付いた(単なる芝の剥げているランダムな模様だと思っていたのだが、じっくり観察すると繋がって道になっている。それと画面を明るく調整していると反って気付き辛いかも知れない)。道が在るのはマップの一部分だけだが、とりあえず移動中に道を発見出来ればそれを辿ってパズルの在るオブジェクトへと到達出来る(枝分かれしているので探索は必要)。しかし捕まるとランダムな地点へと放り出されてしまってまた最初から道探しになるし、それを知った上でも探索が難解なのは間違いない。


 次に敵の追跡がとても厄介。スレンダーマンとは異なりそれを見る事にペナルティは無い様で、近くに居る時は赤い月の光で照らされたり鐘の音が鳴ってそれを知らせてくれるというシステム。だが広いマップ内をスプリントで駆けて息切れした所で偶然近くに出現というパターンで死んだり、発見された瞬間から数秒間は高速になるのでとっさの判断を誤ると殺られる。更に二回死んで赤い世界になるとかなり見付け難くなる。一発でお終いの本家に比べると二回までやり直せるのは楽に思えるかも知れないがそうではない。

 そして最大の問題が、この追跡はパズルを解いている時でも止まらないという所。碑文を読んで考えている時、もしくはそのパズルを解くのに必要な一連の動作を行っている最中でも容赦なく襲って来るのでストレスでしかない。アドベンチャーゲームで謎解きをしている最中に一撃即死の敵が襲って来るなど鬱陶しいだけで、ハッキリ言ってこのゴーストはパズル要素をメインにするのならば、むしろ居ない方が良かったと思う。単純なアイテム探しの代わりにパズル要素を持ち込んだのはプラス点だが、謎解きをさせるという要素とどこまでも追い掛けて来る追跡者の両者はあまりにもミスマッチで上手く機能していない。


 ホラー要素は追っ手が怖くないだけに強くない。唯一成功しているのが迷路から脱出するパズルにおいて、先の見えない通路内を彷徨いながら追い掛けて来るというシーンでこれは怖い。だがここも難し過ぎてゲームオーバーになってしまうのでやはり問題。追っ手を出すのはここだけにして、且つ死亡回数制限を無くした方が良かっただろう。

評  価  やはり高難易度という点が最大の欠陥か。本家のSlenderも高難易度だが、両者の違いは「本家はクリア出来なくても十分に恐怖感を味わえるので面白い」のに対して、こちらはパズルという設定を設けた結果、全部解いて少女を助ける所までプレイしないと不完全燃焼感が残ってしまうという点にある。本家に対する憧れなどがあったのかも知れないが、明らかに“謎解き要素”と“逃げるのが困難な追跡者”の組み合わせは水と油という印象。

 それと単純なアイテム集めに対して、ここではやり直しの際にまたパズルを解き直さないとならないのもマイナスである。一度解法を知ってしまえば時間は掛からないが、それでも逐一やり直すのは全然面白くない。


 何か攻略に上手い方法が在るのかとヒントを得る為に動画を探すと、定番の「自分のリアクションを同時に映したホラー実況動画」が多数見付かったが、見た中だけでも3人があまりの難しさに途中で放り出していた。ちなみにこのゲームはUDKで作られているのでUnreal Engineにおける定番チートは使用可能となっており、私は一応それを使って最後まで通してどうなるのかだけは確認させてもらった。


 追跡される事は怖くは無くて鬱陶しいだけなので、Slenderの様なホラーゲームを求めている人には推薦出来ない。パズル要素を加えた点は評価出来るが、純粋に謎解きに集中出来ないので謎解きが好きな人にも問題あり。画像やプレイ動画を見て雰囲気が良さそうだと感じた人は一応プレイしてみても良いのではないかという程度。Indie DBでのユーザー評価は高得点だが知名度の割には投票者自体が少なく、採点以前の段階で放り出しているプレイヤーが多数なのではないかと推測している(先に進められないので評価自体が出来ない)。物凄く怖がらせようという意図は無い様だし、それなら死亡回数無制限にするとかにして最後までプレイさせるようにした方が高評価も増えると思える。


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