☆ EUTHANASIA ☆          目次

  13/11/20


データ  制作: Serygalacaffeine             公式サイト     Indie DB

 2010/09リリース  572MB

 パッチはV1.1がリリースされており、これは上記サイトからダウンロード可能。本体の方は現在リンクが無いのでAtomicGamer等の他サイトから落とさないとならない。


 ルクセンブルグのAdrien "Wolf" Asselborn氏を中心としたアマチュア制作チームだが、このゲームはチーム発足前にほとんど全てを一人で制作した物らしい。クレジットには多数の名前が並んでいるが、これはフリー素材として使用した物の作者名ではないかと思われる。

 緊急パッチとしてリリースされた上記V1.1の後は音沙汰なく、2012/07に$5程度の製品バージョンとしてリメイクする事にしたと発表されている。だがそれから進展のアナウンスは無く、Catathreniaという姉妹ゲームのアナウンスがされているのみ。チームの公式ページには他に7本もの制作中ゲームが掲載されているが、どれが生きているのかまでは未確認。

動作環境  FPSCreatorで制作されている。

CPU: Pentium 4 (3,0 GHZ +)
RAM: 2GB
VGA: VRAM 256MB以上 Pixel Shader 3.0対応

 FPSCreatorとは2005年からリリースされてアップデートされ続けている、いわゆる“ツクール”系ソフトのFPSバージョンである。プログラミングの知識無しに作れる, コストが安い($30), 作ったゲームを販売する際にライセンス料が要らない、といった利点を持つが、その分制作ツール自体が重くて使い難い, カスタマイズに限界がある, 制作されたゲームのパフォーマンスが悪い, バグが多い、といったデメリットが指摘されている。このゲームでもそうだが見た目のクオリティに比して、要求されるPCの性能は高い。

BASICS  舞台は1965年、主人公はShaun Randall。元軍人で今は普通の会社員として暮らしている。しかしある日自動車事故に巻き込まれて両脚を切断の憂き目に遭う。車椅子暮らしを余儀なくされた彼は精神を病み、そして妻には去られて、遂には自殺を試みる。それに失敗した彼は精神病院に送り込まれるが、医師に頼み込んで秘密裏に安楽死(Euthanasia)させてもらう事にした。だが死んだはずの彼は病室のベッドで目を覚ます...。


*操作キーは固定で変更出来ない。マウス感度も不可なのでマウス側のユーティリティ等で調整。
*明るさ調整機能無し
*3Dサウンドには未対応
*字幕機能無し
*難易度設定は無い

*一人称視点固定
*武器は4種類で全て携帯出来る
*照準無し
*アイアンサイトが可能
*ヘルスはアイテム回復

GAMEPLAY  最初に大きな欠点としてシステムの安定度やバグが挙げられる。これは悪いというレベルを通り越して酷いという感想。FPSCreatorで制作されたゲームは何本かプレイした事があるが、どれも問題が感じられてツールとしての性能には疑問符が付く。制作者の能力というのも絡んでくるのだろうが、これだけ共通してダメという事はツール自体に欠陥があると考えざるを得ない。

 このゲームも途中であまりのツールの性能の酷さに開発が中断されており、その後ツールのバージョンアップが行われたのを機に再開されて完成まで漕ぎ着けている。だがリリース後にはやはり大きな問題が発覚し、緊急パッチをリリースする羽目に陥っている。このパッチでは第一にサイズが大きいマップにて、メインメモリをオーバーする程のメモリを必要とする為にクラッシュするという問題から(ツール側の問題)、レベル4と9の二つを丸ごとカット。だがこの片方は最も綺麗でお気に入りのマップ、もう一つはストーリー解説の上で最も重要な物だっただけに作者はそれを嘆いている(私は未プレイ)。それに関連してパッチ内容を解説したInstructions and Readme.txtには、そのストーリー解説されるはずだった件をネタバレで記載している。

 第二にセーブロード機能が不完全。セーブは自由に行えるのだが、ロードしようとするとエラーで落ちてしまう事が頻発する。どうも各マップの最初の方は良さそうだが、セーブするデータ量が増える後半のセーブデータで問題が発生する確率が高いようだ。これもまたどうしようもないという結論から、パッチにて各レベルの先頭をセーブデータとして配布している。ロード出来なくなったらこのセーブデータからやり直すか、もしくはスキップして次のレベルの先頭から始めるかで先に進めるようにしてくれという話。

 第三に各種のバグ或いは設定ミス。例を挙げていくとアイテム管理画面が無く、取ったアイテムはその次の場面で即使われるという構成。ところが先のシーンで必要となるアイテムが取れてしまうシーンがあり、その結果として前に進めなくなる(その後別のアイテムを取って別の場所で使うので、そこからは先に取ったアイテムが無効になってしまう)。それと敵のオブジェクトへの引っ掛かりが多発する。これは文字通りに“多発”という状況で、時にはそのまま無限ループ状態になってプレイヤーに向かって来なくなってしまう。

・閉まると背後で開かなくなるドアにおいて、そこをまだ通過中なのに閉まってプレイヤーを後方へと弾き飛ばしてしまう  ケースあり(二度と通れない)
・連続でジャンプするとオブジェクトに引っ掛かって天井付近まで到達してしまう場所あり
・オブジェクトへの引っ掛かりで動けなくなる(屈みで脱出出来る可能性あり)


 ゲーム内容の方はサバイバルホラー系のFPSというデザイン。各マップは平均して10分程度で8個収録なので、やり直しと謎解きの時間を含めて90〜120分程度のボリュームと言えるだろう。銃器は現在のクリップ内の残り弾数確認が出来ないのは勿論、所持総弾数も確認出来ない仕様。アイアンサイトにしていると武器チェンジが出来ず、一旦元に戻してから行わないとならない。一つだけの打撃武器はリーチが短くて当て難いので、弾が全て無くなると詰む可能性あり。回復用のメディキットも少ないといった設定になっている。

 ただしプレイした限りでは弾数はそれ程厳しくないし、被ダメージも低いのですぐ死ぬというバランスでもない。それと敵がよく引っ掛かるのでそれを利用してのハメ殺しがが可能というのもある。よってサバイバルホラーというよりはアクションホラーという印象の方が強かった

 プレイしていて問題に感じられたのは明るさである。「怖くする為に全体を暗くする必要があるが、それでは全てが良く見えなくなるのでライト等を用意する」というのが定番なのだが、ここではそのライトが無いので全体が暗い。明るさは調整したが暗い場所はどうやっても暗いので、その影響で置いてあるアイテム類が良く見えず、自動的に取る物は何時取ったのかが判らない。例えばメディキットなどもほとんど見えないので、何時の間にか回復していたりといった感じになる。

 それとUseの範囲が広い。Use出来る物にはアイコンが出るのだが、これがとても広範囲に適用される為に(壁越しにも適用されてしまう)、何をUse出来るのかが良く判らないケースがある。ただ暗闇に隠されたスイッチ類を操作するのに、それが見えなくても可能になるという風に時には便利でもあった。

評  価  システム面ではボロボロなのに評判自体は結構良い理由としては、ホラー物としての演出面などに光る部分が感じられるという事なのだと思われる。現実世界では無いので不思議な形状や景観のシーンも登場するし、超常現象的なイベントも発生するという面を持つ。更にはプレイヤーを驚かせる様な仕掛けも所々に登場するし、サウンドも全てではないが怖さを感じさせる。

 プログラミング系の知識は全く無いという理由からFPSCreatorを選択したそうだが、この制作者がデザイン担当となり、他のもっとちゃんとしたツールで別の人間がゲームとしての構築を担当すれば相当良くなるのではないかと思える。


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