☆ KRAVEN MANOR ☆ 目次
13/11/21
※13/05/11 レビュー掲載
※13/11/21 データを更新
データ | 制作: Demon Wagon Studios 公式サイト IndieDB Beta (May 3, 2013) 530MB Guildhall at Southern Methodist(テキサスにあるゲーム制作者の養成学校)の院生13人がチームを組んで制作した作品。 上記の私がレビューに使用したバージョンから、同じ5月にバグ等を修正したアップデート版。更に6月には演出面の変更やパフォーマンスの最適化を行ったバージョンをリリース。これにはグラフィックスのクオリティ変更が新規に設けられている。現在はこの最新バージョンがダウンロード用に差し替えられている。 ブログによれば今後は完成品として仕上げてから有料製品版としてSteamやDesuraで販売するつもりだそうだが、学校在籍時に制作した物なので版権関連の問題が非常にややこしく、かなりの期間その辺の調整で苦労しそうと述べている。 |
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動作環境 |
以下は最低動作環境。制作にはUDKを用いている。
Processor: 2.0 GHz Single Core Processor Memory: 512 MB Video: Shader Model 3.0 VRAM 256MB NVIDIA 6200 / ATI Radeon 9600 Windows XP SP2, Windows Vista, or Windows 7 起動時の使用ユーザー設定にて、「許可されていないプログラムの動作からコンピューターを保護する」にチェックを入れると、私の環境では起動しなかった。 解像度の指定が限定されており、強制的に変更するには以下の様にショートカットのリンク欄のパラメータを変更する。ウインドウ表示も可能。ただし解像度を指定外に変更すると、メニュー画面にてカーソル位置が合わなくなる可能性がある。なおこのゲームの水平FOVは4:3(5:4)表示を基本にしており、ワイドスクリーンにしても視界は拡がらずに上下方向がカットされる方式(4:3表示の方が視野が広い)。 "C:\Program Files (x86)\Kraven Manor\Binaries\Win32\UDK.exe" -seekfreeloading -fullscreen -resx=1600 -resy=900 |
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BASICS | ベータとは言え最後まで遊べる一応の完成版で、プレイした限りでは目立ったバグも無し。プレイ後にはアンケートが起動し、完成版に向けてのフィードバックを送信して欲しいとなっている。どうやら送信者は早目に次期バージョンにアクセス可能になる模様。 一人称視点のアクションホラーで、基本動作のシステムは一般的なFPSと同様。ただし武器は使えず、逃げたりパズルを解いたりして進めて行く形式。素早いアクションを要求されるシーンを含み、PenumbraやAmnesiaに似たゲーム性となる。 ・操作キーは固定で変更するオプションは無い ・マウス感度変更可能 ・ライトは無限に使用出来る ・チェックポイントセーブ方式 ・ジャーナルにヒントや目的を表示。しかし表示時にポーズが掛からない仕様。 ・前半は光矢印で進める場所をガイドしてくれる ・干渉可能なオブジェクトはハイライト表示 ・3Dサウンドに対応している |
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GAMEPLAY | クリアまでは1.5時間。表題のクレイヴン邸に迷い込んだプレイヤーが、屋敷の中の敵から逃げて脱出するのがゲームの目的。敵は一種類だけで常にイベントとして出現し、各イベントをクリアすれば消える。その方法はパズルを解く必要があるケースもあれば、ある方法を使って倒すのが目的となる時もある。敵に追い掛けられている状況においては、掴まれたらキー連打で振り切れるので、難易度としてはそれ程高くない。 ホラー演出はとても秀逸であり高得点を与えたい。敵はこちらを追い掛けて来るのだが、その手法が一般的なやり方とは異なっておりこれが実に怖い。本当に怖いと思えるホラーゲームというのはそれ程存在しないが、このゲームはその水準をクリアしている。 謎解きの方は幾つかのタイプが用意されており、アイテムを適切な場所へと持ってくる基本タイプの他に、嘘つきパズル, サウンドパズル等が出て来る。時間制限が設けられている箇所もあり。難易度は特に高くないが、置かれているアイテム類の説明がヒントになっている事もあるので、簡単な英語ではあるが理解するべき箇所はある。残念なのは総当たり系のパズル(複数のスイッチ類を特定の順番で操作するとクリアになるが、その順番についてのヒントは無く片っ端から試す必要がある)が結構登場する所で、ここには改善の余地が感じられた。 ユニークな要素は各部屋のモデルピースの配置に連動して変形する屋敷の構造。この屋敷は超常現象的なパワーで作られており、大広間のガラスケースの中に各部屋の構造を模して制作されたミニチュアのモデルを収められる様になっている。その際に各モデルを移動や回転させたりして好きな場所へと配置可能で(接合点を合わせる必要はある)、それを行うと実際にその部屋がそこに出現するという仕組み。プレイヤーは部屋のモデルを探し出してこの中に収め、最終的には全てを元の通りに接続してゴールまでのルートを作り出すのが目的となっている。 このシステムは面白いと思うし、また大きな可能性を感じさせるが、惜しい事にこのバージョンでは単純な使われ方しかしていない。この屋敷モデルの構築はリニアでしかなく、まず唯一のアクセス可能エリアに行って新モデルを発見 → それを好きな位置に配置してアクセス可能に → そのエリアから新しいモデルを入手、の繰り返し。ゴール部屋のモデルを発見したら、後は並べ直してそこまでのルートを確立するのみ。部屋モデルの接合のさせ方によって特殊なエリアに行かれる様になったり、連結の仕方によって有利不利が生じたりするとか、プレイヤーによって変化が生まれるようになればもっと魅力が発揮されるだろう。 最後の方はアクション要素が強くなるが、それ程難しくは無いのでアクションが苦手という方でも大きな問題ではないと思われる。だがこのゲームではジャンプが出来ないので、一部に通れるルートを目視で判断するのに困るという箇所はあった。 グラフィックスは雰囲気が良く、誰も居ない洋館の中を探索している時の不気味さが上手く醸し出されている。怖さを煽るBGMの方も優秀。 操作系の問題点としては、オブジェクトを投げる操作が変則的なのが気になった(それを要求されるシーンがある)。Useキー(EかLMB)でオブジェクトを掴んで離すと投げるのでは無く、離すとその場に落ちてしまう。投げるにはキーを押したままにして、しばらく待っていると自動的に投げるという方式。何故この様な特殊な方式にしたのか謎である。 |
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評 価 | これは金を取れるレベルの傑作。細かい問題点があったり、改善の余地がある点が幾つか見受けられるものの、素晴らしい出来栄えの作品だと思う。ホラーゲームのファンには強くお勧めしたい。 公式サイトでは現時点でのダウンロード回数が3000回を超えたとしているが、どこかの大手ゲームサイトでそのクオリティの高さを紹介されたり、口コミで評判が拡がればそんな物では効かなくなるだろう。Penumbraのデモが評判を呼んで、以降ゲーム会社設立から製品版としてリリースという流れがあったが、この作品もまたそれだけの可能性を持った物である事は間違いない。 |