☆ PULSE ☆                        目次

  13/12/14


データ  制作: Team Pixel Pi               公式サイト    STEAM

 2012/07 リリース  536MB

 現在のバージョンはV1.2。パッチは無い様で公式サイトのダウンロードファイル自体を最新版に差し替えている。公式以外に最新版のミラーが存在するのかは不明だが、公式が高速なので問題無いだろう。


 カナダのゲーム制作関連の養成学校であるVancouver Film School / Game Design学科にて、多数の国から集まった5人(男性3人・女性2人)が組んだプロジェクト。Unity Engineの主催する2012 Unity Awards においてBest Student Gameを受賞している。既に5人は卒業しゲーム関連の会社に就職したりしているが、パーソナルなプロジェクトとしてこのプロトタイプ版を商用製品にアップグレードする事を決意。制作資金調達の為のKickstarterにて目標額を達成しており、Steam Greenlightでも既にGreenlitのステータスに達している。

動作環境  WindowsとMac版あり。Linux版はこの生成機能がエンジンに組み込まれたのがまだ新しい為に研究中の段階で、製品版では実装予定だがこのプロトタイプ版には含まれていない。必要環境は不明。

 Unity 3Dなので起動時のランチャーにて解像度と描画クオリティを設定出来る。

 フレームレートが突然酷く低下してコマ送り状態になるという問題があったが、どうやらこれは割と発生する現象らしい。解像度や設定を低くしてやるしかないだろう。

BASICS  舞台はファンタジー世界の設定。主人公の少女エヴァは幼い頃に視力を失っており、それ故に部族にまつわる儀式への参加は見送られて(子供の中の最年長者が行うしきたり)、代わりに弟のタフが向かわされる事になった。しかし儀式の地へと向かったタフはそのまま帰って来ず、心配になったエヴァは単身弟を探しに向かうというストーリー。


 セーブはチェックポイント方式。メニューから全8個のチャプターにアクセス可能なので、詰まっても先に進める事は出来る。

*操作キーはランチャー画面にて設定変更可能
*メニュー画面から操作方法確認とマウス反転などを設定出来る
*コントローラーでの操作に対応
*プレイ中にESCでマウス感度を調整可能


 サウンドが重要なゲームなのでヘッドフォンでのプレイを推奨している。しかし3Dサウンドには対応していない様なので、ヘッドフォンをしないと不利という印象は無かった。使用しているサウンドカードのドライバに付いている、音の位置関係をより強調するヘッドフォンでの疑似3D機能をオンにすると多少はやり易くなるという程度である。


GAMEPLAY  主人公が盲目という設定のゲームは他にも在るが、このPulseではその設定の活かし方がユニークであり、そこが各所から高い評価を得た理由にもなっている。主人公のエヴァは盲目だが、生まれつきでは無い為に世界がどの様に見えるのかは脳内にイメージとして残っている。よって彼女は周囲の音や感触を頼りにして、自分の周囲の世界がどうなっているのかを脳内にイメージとして構築する事は出来る。プレイヤーが画面上にて見る事が出来るのは、周囲の世界が実際にどうなっているのかでは無く、その脳内イメージというのがこのゲームの肝となる要素である

 つまり「画面上で見えている風景と実際の物とは異なる可能性がある」のと、「脳内イメージとして組み立てられるので、既に判明している箇所を永久に確定させる事は出来ない」ようにもなっている。一度こうなっていると確定させても、時間経過と共にそれは消えていってしまうの意味。


 外界の見え方(捉え方)はかなり複雑であり、プレイした範囲内ではこういう風になっているようである(詳しいシステムの説明は無い)。まず非常に近くがどうなっているのかは知る事が出来る(手探り足探りにて)。それ以外の範囲を知るのにエヴァが頼りにするのは聴力であり、音を発信している物はかなり遠くまで感知可能。セーブポイントとなる祭壇の燃える火の音, 風車などのメカニズム類が発する音, 風が吹き上げたり川の水の流れる音、等はそれをイメージ化して位置表示出来る。

 その探索過程でカギとなるのがこの世界の生物モコスである。小さくて丸く鳴き声(寝ている際はイビキ)をあげるこの可愛らしい生物は、やはり音の発信源としてその居場所を遠くまで感知可能。このモコスは掴んで持ち歩けて、投げると転がったり弾んだりしてから手元へと戻ってくる習性を持っている。これがいわゆる音でのエコー探査機の役割を果たすようになっており、これを投げて周囲がどうなっているのかを確定させながら進めて行くのが基本になる。モコスは何体も引き連れて移動可能で、数が多いほど次々に投げられるので便利。

 ただし先に書いたように確定させたビジョンは短時間で消えてしまうので、モコスを持っていたとしても探索は簡単では無い。補助機能としては足跡が一定時間残る様になっており、これである程度そこがどうなっていたのかを思い出せる。後は推測された周囲の風景が透明なレイヤーのように重なって表示されるのでヒントになるが、あくまでも想像だし盲人の脳内イメージという感じなので非常にシュールなイメージになったりと大きな助けにはならない。他にカラーの変化は感情を表している様である。


 進行はルート探しとパズルで構成されており、基本的にはゲートを開けて先に進むので、それを開ける方法を探るというパズルが多い。だが何しろ特異なビジュアルを採用している為に、地形が複雑になる後半は難しい。高低差が発生するエリアが増えて、そうなると投げたモコスが落っこちてしまって帰らなくなるケースが多発。モコス無しでは探索が困難だし、再度取りにも戻れるが(無限リスポーンだと思われる)先ほど構築していたイメージ画は全て消えて最初からになってしまう。

 モコスを投げて高所のスイッチを入れたりとパズルとしても複雑化して行き、特にCH5,6辺りは正確にどういうクリア条件だったのかが解らなかった(適当にやっていたらクリア)。ヒントとしては(おそらくだが)赤い布は弟が残した物でそれが存在するルートは正解と判断出来る。チャプター選択可能なのでどうしてもダメなら飛ばしてしまっても良いだろう。


 敵としては巨大な牛の様な生物が徘徊しており、音を探知されて発見されると襲われてしまう。ヘルスは自動回復らしく一発では死なないが、短時間に連発で喰らうと死亡。逃げ切るのは結構難しく、モコスを投げ付けるとそれを食べて満足してまた徘徊モードへと戻るようだが、持っていない場合だと隠れてもある程度の確率で見付けられてしまう。またモコスを持っている場合だと音を発するので捨てないとダメなようだ。(正確な判定システムは解らず)。後半はパズルの難しさに加えてこのモンスターから逃げるのも厄介事になる。なおそれ以外の死亡ケースでは落下死の可能性あり。

評  価  アイディアの勝利という印象で、独特なプレイ感覚は楽しめた。製品版に向けてはビジュアルを含めて大幅にアップグレードするという話なので楽しみである(エンディングは続編を想わせる形で呆気ないので)。個人的には3Dサウンドの導入に期待したい。これだけ特異なビジュアル(システム)のゲームは珍しいので、製品版の成功も期待出来そうである。後はキャラクターのモコスが可愛いので、こちらはゲームの宣伝に役立ちそう(既にグッズ販売中)。


 問題としてはプロトタイプというのもあるのだろうが、ゲームのシステムやパズルの解決方法が良く解らない箇所が存在している。脳内イメージなので理解出来ない様なビジュアルになるというのは良いのだが、それがどんな風に構成されるのかというルールについてはもっと知った上でプレイしたいと感じたし、適当にやっていたらクリアという形のパズルもスッキリしないものが残った。


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