☆ THE PIANO ☆                目次

  13/12/24


データ  制作: MistakenVisions                   公式サイト     Indie DB

 2013/10 リリース  672MB

 BETA (v1.2)が最新版。Desuraからもダウンロード&プレイが可能。


 ドイツのJonathan Stemmildt氏によるプロジェクト。今の所はほぼ一人で制作している様である。他のゲームの製作にも取り掛かっているそうだが、将来的には商用ゲームを作る事が目的なのか、あくまでもフリーのゲームを作っていくのかには言及が無いので良く解らない。活動資金を募集したり、Indiegogoで資金を募ったりもしており(理由は不明だがすぐに止めた様だ)、それからすると普通の開発会社として起ち上げたいのではないかと推測される。

 現時点でリリースされているのはフリーのこの作品だけ。今後もパッチによるバージョンアップは続けられるとコメントしている。

動作環境  Windows, Mac, Linuxに対応(Indie DBにはWin版しか無い)。Unity 3D Engineで制作されている。

CPU: 2.0 GHz Dual Core CPU
RAM: 2 GB RAM
VGA: 256 MB NVIDIA GeForce 9800GTX / ATI Radeon HD 3xxx series
OS: Windows XP / Vista / 7 / 8


 現行バージョンでは重さが問題だと認識しているそうで、今後は軽量化及び安定化を追求するとしている。私の環境でも二回落ちている。

BASICS

 主人公のJohn Barnerwayは名ピアニストを輩出する一家に生まれた。ところが立て続けに三人の兄が亡くなってしまい、彼には兄弟殺しの嫌疑が掛けられる。そんな彼は突然奇妙な精神世界へと連れて来られて、その中で自分自身の内なる悪魔と対峙させられる事になる。この煉獄から抜け出す為には、兄達の死の真相を見付けなければならない。


・解像度とアスペクト比は選択可能
・画質は6段階に変更出来る
・キー操作は説明があるが変更は出来ない
・マウス感度は変更可能だがプレイ中には不可
・明るさ調整無し
・字幕あり


*スプリントは無限ではないが相当長く走れる
*チャプター単位でのオートセーブ方式
*フラッシュライトは無限に使用出来る
*クリックして持ち動かせるオブジェクトもあり


 ビジュアルとして強い光の明滅やカットアップ映像などが使われており、また前が見えない位のノイズ画面やブラーエフェクトも突然発生するので、最初に人によっては映像に注意の警告が出る(確かにかなり強烈な部類だと感じた)。


 Useキーはかなり近付かないとアイコンが表示されない仕様。それと非常に明るくなった際にアイコンが見えないという事もあった。Useアイコンが画面から消えなくなるというバグもあり。


GAMEPLAY  プロットを重視したビジュアルノベルにホラー要素を加えた物だとしており、一般的なホラーゲームとは趣が異なる。変則型なので人を選びそうとも言えよう(普通のホラーゲームは作る気が無いそうだ)。全4チャプター構成+イントロ等が付いており、ボリュームたっぷりで1時間はプレイ出来るだろう。

 主人公のモノローグによるストーリー進行パートが多く、また世界内の移動パートが長目。特にチャプター3は何も起きない移動が本当に長くて、これはもうちょっとカットした方が良いと思える。なお世界は広いが目印が有るので迷うケースは少ない。

 謎解きは抽象的な面が強く、特に難しくは無いが理屈が解らない物が結構出て来る。例えば意味の解らない何かをすると、それに因って関連性が不明な何所かの扉が開くとか。他は主に鍵を入手して扉を開けていくという形で進行するが、これは扉から結構離れた場所に有ったり、また暗くて周囲が見え辛いのもあり、ヒントとなる物に気が付くまでは苦労させられるハメになった。後は簡単な文章を読んでその通りに実行するというパズルも出て来る。


 このゲームの良い所は独特の世界観で、精神世界風で奇妙な構造にされていたり、ほぼモノクロで一部に色が付いているその世界の雰囲気は上出来。意味の解らないシュールな謎解きもあって異端な色が濃く出ており、そのユニークさが一番の魅力となっている。或いは語りがメインで進行したりと、普通のホラーゲームとは一線を画している。ストーリーの方も面白い。

 ホラーについては突然実写のカットアップ映像が挿入されたり、強い明滅による黒と白の描写など映像系エフェクトがメインで、敵に追われる様な要素は持っていない。よって怖いという感じはほぼ無く、雰囲気として不気味(不思議)という表現が適切だろう。問題はエフェクト表現の繰り返しになるので、プレイするに連れて慣れると共に飽きが来るという所か。それと強いノイズやブラーのエフェクトで前が見えなくなる事もあるのだが、一箇所パズルの最中に頻繁にこれが発生するシチュエーションがあり、非常にやり辛くてイライラさせられた。


 テーマにもなっているピアノを演奏するシーンが何箇所か出て来て、ここでは両手でカーソルキーとQEの計6個のキーを画面表示通りに押すミニゲームとなる。QTEほど早さは要求されないため難易度は特に高くない。ただどういう基準で成功(失敗)となるのかは最後まで良く解らず(成功したのかすら表示されない)。これはピアノ演奏のゲーム的表現方法として悪くはないと思うが、両手を使ってピアノ風にKBを押させるならばもっとピアノの鍵盤配置に近付けたキー操作にした方が良いと感じられた(ブラインドタッチの配置等)。


 こういったタイプでは雰囲気作りの為にBGMや効果音は非常に重要となるが、さすがに力が入っているのか及第点。中でもホラー系のBGMは出来が良い。ただどうもカットアップ素材として他のゲームの物なども使用されており(或いはアヴェ・マリアなど)、その辺の権利関係でちょっとトラブルになっている様である。

 
評  価  ホラーというよりはアドベンチャーゲームで、またストーリーの展開を重視した語り部分が多くなっている。よって個性的ではあるが、普通のホラーゲームを求める人にはあまり向かないであろう。

 個人的には異端の不思議な雰囲気やストーリーが気に入ったが、問題点や改善した方が良いと感じられる箇所もあり、今後のアップデートに期待したい。

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