☆ VANISH ☆



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15/05/08    制作: 3DrunkMen                   公式サイト      Indie DB      Desura
データ  制作の3DrunkMenはこれがデビュー作となるアマチュアグループで、メンバーはネット上で知り合ったアメリカ&ポルトガル人で構成されている。

 Desuraではアルファファンディング(早期アクセス)に登録されているが、これは段階的にリリースしてフィードバックを受けたいというのが目的であり、完成しても無料だと宣言されているので早期アクセスの頁ではなくこちらに入れた。SteamのGreenlightにはまだ登録されていない。


 2014/07/01 リリース 99MB

 VANISH Release Candidate (RC.1)が最新バージョン。それからかなり経過しているが現在の状況は不明である。


動作環境  Windows, Mac, Linuxでのリリース。Unity3Dを使用して制作されている。

 必要環境は明らかにされていないが、ビデオカードはDirectX 9.0c以上に対応した物が必要とされている。よっぽど古い一般的な(非ゲーム用)PCでもない限りは当て嵌まらないとは思うが、画面が表示されない等の問題にはドライバの更新が必要になるかも知れない。

BASICS  詳細な背景設定は用意されておらず、単に地下通路の様な場所に迷い込んでしまったプレイヤーが地上へと脱出するというのが目的のゲーム。マップはその都度ランダム生成されるが、一般的な同類物とはやや異なるシステムが用いられているのが一つの特徴である。


・マウス感度調整可, 明るさ調整可, サウンドボリューム調整可。操作キー設定は不可。
・グラフィックス設定はUnity標準の6段階変更のみ

 プレイ中にメニューへとアクセスは出来ない仕様。設定変更するには一度ゲームを終了させないとならない。またポーズ(一時休止)の仕様が独特で、Vanishでは緊張感を出す為にプレイ中にポーズを掛ける事は出来なくされている。ポーズの為にESCを押すと終わってしまうフリーゲームは結構多いが、このゲームではポーズを押すとゲーム内時間は止まらない状態でカウントダウンが始まり、15秒経過するとメインメニューへと戻ってゲーム終了となる。その間にゲームに戻らないとならないという意味で、良く意味合いが解らない仕様ではある(単にプレイ中はポーズを掛けられない仕様で良いのでは?)。

 なお設定画面はかなり凝った作りとなっており、マウス感度調整がその場で行えるなど親切な機能も備えている。明るさ調整も意図するレベルにする為の調整ガイド在り。


・難易度設定無し
・セーブ機能は無し
・字幕無し(それ自体必要が無い)

*一人称視点固定
*インベントリー画面は無く、直接ゲーム画面上に表示される
*照準は無し


 Oculus Riftへの対応は、使用しているのがフリー版のUnity3Dなので基本的には出来ないという立場。(現在最新のUnity 5以前は有料のProバージョンでないとORを使用出来なかった)。

GAMEPLAY  プレイヤーは攻撃手段を持たない逃走(脱出)ゲーで、マップ内にて鍵を入手し、出口となるハシゴに通ずる扉を開ければクリアとなる。マップはプレイの度にランダム生成される仕組みだが、その生成がリアルタイム且つ段階的に行われるのが大きな特色となっている。

 より具体的には、スタート → 敵との遭遇 → グロースティックの入手 → 鍵入手 → 出口到達 といった感じで進められる構成なのだが、これで完全にランダムにマップを初期生成してしまうと、ラッキーなケースではスタート地点の近くに鍵が出現してしまうといった事も起きる。そこで一つ先の目標だけをランダムに生成して、それを達成したら続いて次の目標をランダムに配置するという方式を使っているようだ。クリア時間は運が良ければ10分、悪ければ40分程度とされているので、初期生成時に全て配置してしまうやり方では無いのは確かである。

 更にマップ形状の変更がリアルタイムで実施され、さっきは行かれた通路が壁で塞がっていたりも発生する。よってこっちに行くとXXXが有るという記憶が役に立たない事もあり、その辺のプレイの都度の変化は確かに大きいのだが、逆にランダム性が強過ぎて運ゲーという感が漂うのはマイナスという印象を受けた。


 マップ内には先に落ちた者のメモが残されているが、これはスレンダーマン系とは事なり収集の必要は無し。ただしヒントが書かれているので集めて読んでおくのは重要である。

 フラッシュライトは持っておらず、アイテムとしてはグロースティックを入手可能。本数限定で周囲を一定時間だけ照らせるが光量は少ない。

 スプリントはかなりの時間走れる。閉まっている扉類はゴール地点以外は開けられない。後は屈み(LCTRL)をしないと通れない場所も在る。


 地下にはモンスターも徘徊しているが、この敵は見た目的にも、またシステム的にも大して怖くはない存在である。まず突然プレイヤーの近くにテレポートで出現して驚かす様な行為はして来ず、通常は壁に向かって佇んでいたりして、かなり接近しないとこちらには気が付かない。そして気付かれると追い掛けて来るが、こちらもスプリントで走れば逃げ切れる様になっている。数は一体だけなのか複数居るのかは判らないが、さっき遭遇して反対側に逃げて来たとしても、またそちら側で会ったりは起こり得る。

 注意点としては、内部はかなりの暗さであり、仮に明るさ調整で明るめにしたとしても遠くまでは見えないという描画仕様になっている。その為にスプリントで広いマップ内を移動中にうっかり目前へと突っ込んでしまう危険性在り。それと敵は移動中に音がしないので、突然横や背後に出て来てやられるというケースもある。

 実際に捕まってしまった場合には脱出方法は無くゲームオーバー。走って逃げる以外の方法としては、屈んで通れる場所は敵には通れない為に、スタート地点の様な屈まないと通れない箇所を挟めば追って来られずにどこかに行ってしまう。また数は少ないが屈まないと通れないトンネル風の通路が在り、ここに逃げ込んでもOK。なお壁で通れない袋小路に追い詰められてしまうと、横をスプリントで通り抜けようとしても不可の模様(ただしこうなっても回避する方法はある)。


 今書いた様に追っ手となるモンスターに因る怖さというのはそれ程無い。このゲームのホラーとしての良い所は地下道の雰囲気や演出の手法などで、例えば単純ではあるがビクッとさせる様なランダムイベントがちょくちょく発生する。そして特に良いのは精神的恐怖感の表現で、プレイ済みの方にはAmnesia: The Dark Descentの正気を失っていく際のそれに似た物だと思ってもらえばいいが、このエフェクトの出来が素晴らしい。中でもサウンドの方が秀逸で、ホラーゲームにおけるサウンド効果の重要さを実感させてくれる。なおシステムとしてはこれが過剰になるとその場に倒れてしまう様になっているが、すぐにその場所で回復した状態で起きあがって再開される(敵の近くで発生するとゲームオーバーなのかもしれない)。

評  価  ホラー物では怖いモンスターによる脅かし(ビックリ演出)がメインという物が多数派の中で、雰囲気で怖がらせるという少数派のゲーム。そしてそこが良く出て来ている事が現在の高評価へと繋がっていると考えられる。ホラー好きにはお勧めの作品。簡単では無いがランダム生成なので、何回かプレイしていればクリアするのは特に困難では無い。

 システム的にはちょっと単純過ぎるのでこのままマップ数を増やしてもしょうがないとは思うが、構成要素の方を増やしてゲーム性を拡張すれば更に良くなりそうである。とりあえずほぼこの内容で完結する様だが、ベース部分は優れているのでそういった拡張版を将来的に有料製品化するというのも面白そうである。

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