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シ ス テ ム

キャンペーン
 難易度は無し。アイテム持ち越しの二周目やクリア後の別モードは無い。

セーブ&ロード
 オートーセーブだが特殊な方法でセーブされる(後述)。

OBJECTIVES
 一時的に次の目標を表示してくれる機能は有るが、現在の目標の参照機能や矢印による方向ガイド機能は無し。ミニマップを含めてのマップ表示機能なども持っていない。

英語
 ボイスへの字幕機能無し。これは特に聞き取りが苦手な人には大きな問題となる。

その他

*キーアサイン不可×, マウス感度設定不可×, マウス反転不可×, 明るさ調整不可×
*一人称視点固定, FOV調整機能無し
*スプリント○, 屈み○, ジャンプ○, コントローラー非対応×
*照準(カーソル)無し
*ESCキーでゲーム終了なので注意。


BASICS
 既に作品数は多いが、一般的なイメージのホラー系作品はほぼ無い。私も全部プレイしている訳では無いが、異世界を探索するタイプの設定が多く、怖い敵を出したりジャンプスケアに頼るといった作風では無い。抽象的な内容で心の奥底の不安感を煽るというスタイルのホラー作家と言える。テキストアドベンチャーも幾つか有り。それと数は少ないが理解不能というレベルの非常にアバンギャルドな作品も含まれている。

 各ゲームに共通する特徴としては昔ながらのローファイ描画にこだわっている。インディーズは予算が無いのでグラフィックスはメジャー作品に比べると劣るというのが普通だが、それでも近年はアセット販売の発達により、ある程度のお金を掛けて購入すれば個人制作レベルでも相当綺麗な見た目にする事も可能になってきている。だが彼女の主張では「グラフィックスが綺麗でリアルになると安心感が生まれて恐怖感が損なわれる」としており、昔のゲームの様にローポリゴンでキャラクターの動きが粗く、オブジェクト類も解像度の低いテクスチャで造られている方が、非現実的な世界風景により不気味な恐怖を生み出すには有効であるという考えから自分の作品群もそうしているそうだ。

 一覧表からはHaunted Citiesは小品の詰め合わせシリーズ作。興味があるなら初期作品としてはCHYRZA, DUST CITY辺りから始めるのが良いだろう。アバンギャルド系ならば000000FF0000がお勧め(日本語環境だけかもしれないが、異常な名称のフォルダを大量に深い場所まで制作する為に、下層のl, m, pというフォルダが入っている物をずっと上層のフォルダ(デスクトップ等)に移動させてそこから実行ファイルを起動させないとならない)。


GAMEPLAY
 プレイ時間は初回で30〜45分程度。正規のエンディングを見るにはもっと時間が掛かる(方法は補足頁の方に記す)。

 このゲームの最大の特徴であり評価されている所でもあるのは「何を持ってしてプレイヤーを怖がらせるのか?」という点で、一般的にはモンスターや幽霊等の敵対する相手や探索する場所の雰囲気的怖さである。しかしこのゲームではそれが非常にユニークな物となっている。短い作品でありそこは事前に明かすべきでは無いと考えるので具体的には書かないが、他のホラーゲームでは見ない様な特殊な怖がらせ方というのは確か(未見だが映画で似た様なネタを使っている作品は存在する)。そもそもタイトルの“ANATOMY”(解剖学, 生物の解剖学的構造)からして謎めいているが、その意味合いは開始してすぐに理解する事になる。

 モンスター系の敵, NPCの登場, 戦闘要素, ステルス, ジャンプスケア等の要素は含まれていない。

 ゲーム中にオブジェクトの一部がまるで表示異常のバグであるかの様に点滅したりといった事が起きるがそれはバグでは無い。何の事を言っているのかは遭遇した際には意味が解るだろう。


 基本的にはある家の玄関からスタートし、その中に在るカセットテープを集めてデッキにセットして再生するという行為の繰り返し。屋敷内は最初はロックされている場所が多いが、テープの再生が終わると次の物の場所が表示されてその場所がアンロックされるという風に進む。

 主人公がどういった立場なのかといったストーリー的な背景は最後まで説明されない。この辺は考察や意見交換が行われたりもしているが明確な結論は存在しない。どんな話だったのかは各人の感想任せというタイプのゲームである。

 ゲームのシステムとしては自動終了 → 再起動という形式を使っているので注意。ある箇所まで進めるとゲームが自動的に終了し(オートセーブ)、再起動するとその先から続行される。なぜその様な方式なのかはプレイすれば理解出来るはず。


 ネタバレ無しだと書く事が少ないので箇条書きで付け足し。

・内部は暗いがフラッシュライトは無し。そして明るさ調整は無いが、外部から画面を明るく設定しても一定以上先は見えない仕様。
・カーソル(アイコン)は反応対象物に合わさると表示される
・反応の有るアイテムはカセットテープ以外にも有り
・2種類のマルチエンディング


GRAPHICS & SOUND
 Unityを使用。グラフィックス設定のプリセット3種。個別の設定項目は無し。ランチャーにて窓化は可能。

 グラフィックスは本当に簡素。2016年のゲームだが、UDKやUnityが配布された初期のゲームの様にオブジェクト類に貼られているテクスチャーが非常にシンプル, もしくは貼られてすらいない物も存在している。壁掛けの絵画類がやや凝っている程度。作者が好んでそういうローファイを意図しているゲームなのでこれは仕方が無いが、人によっては大きなマイナス点となるであろう。


 ボリューム調整不可×, 3Dサウンド非対応, ボイス有り。BGMは一部に有り。カセットテープから再生されるボイスの使い方が優れている。


BOTTOMLINE

[PROS]

○恐怖のテーマにしている物が独創的
○不安感を増幅させられる異端の心理的ホラー
○ゲーム終了後も持続して怖い(数年経過しても内容を思い出すと怖さがまだ続いている)
○カセットテープの再生ボイスの演出
○特殊なストーリーの表現方法(自動終了から再起動を繰り返す)



[CONS]

×字幕が無い
×ローファイが趣味なのは理解出来るが、(特に今の視点からすると)あまりに簡素過ぎる印象のグラフィックス
×オプション関連はほとんど変更出来ない




 メインとなる恐怖のネタが重要なのでここでは書かないが独創的なアイディアの傑作である。知名度の低さはitch.ioのみでの販売というのが影響しており、聞いた事が無いという件は気に掛ける必要は無し。ホラー物が好きという方には定価も安いし推奨出来る。ただしジャンプスケア系とは対極の心理的なホラーなので、そのジャンルを好まない方にはお勧めはしない。

 またビジュアルは非常に原始的であり、発表された2016年初頭と比較してアセット販売されている物のクオリティの充実&ゲーム側での採用例増加という面もあって、今見ると余計に低品質なのが目立つ。それが意図的だとしてももうちょっとクオリティを上げても良かったのではないかという気はする。

 とにかく字幕が無いのが残念でこれで大きな損をしている(知名度が低い一因)。日本語圏のみならず英語圏外の国においても同様となるので対応して欲しいのだが、現在まで反応が無いという事から望み薄である。

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