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GAMEPLAY (続)
 さてここからはちょっとばかり微妙な話となるのだが、それは私がこのFaithについて「こういうゲームだとは思っていなかった...」という件についての扱いである。私のプレイ前の想像としては、非常にレトロなグラフィックスを用いているホラーゲーム。より詳しく言うなら、探索型でストーリーを追っていくタイプのホラーゲームだが、それを非常に古いグラフィックスにて実現しようとしている物であった。しかし実際にはかなりの部分をアクションゲームとしてプレイする事になっている

 プレイ前に紹介記事とかユーザーコメント等をある程度目にしてはいたのだが、そこにはそういった「これはアクションゲームである」という様な記述は見られなかったので、そういうタイプの物だとはまるで想像していない状態からのプレイとなってしまった。クリア後に探してみるとその点に触れている感想も中には有ったが少数であり、ゲームの紹介頁でも特には言及されていない。なので海外の感覚では“レトロ”というワードにそのニュアンスが含まれているのではないか?と推測している。つまり40年前の世代を再現したレトロゲーム → 当時のハードウェア(Atari 2600等)だとシンプルなアクションゲームが大半 → だからこれは当時風のアクションゲームと考えるのが普通である、という論理。

 ここで問題となるのがその難易度で、私もそれが大した事が無いのだったら意外だったとしても特に低評価とはしない。しかし難易度は結構高目であり、その事からこのアクションゲームとしての要素が強いという件に対しては、私の好みとは違う為にマイナスポイントを付けざるを得ないという結論である。誤解の無い様に書いておくと、よく有る2Dプラットフォーマーの様なクリア出来ない人が多数というクラスの超高難易度ではない。リトライし続ければクリア出来るという範囲内だが、数十回というレベルで死亡したのも確かである(もちろん難易度をどう感じるのかには個人差がある)。特にラストの戦闘フェーズなどは敵の動きを憶えて, 攻撃範囲の見切りを学習して, 自分側の操作を練習して、といった風で久し振りにこんな感じのアクションゲームをやったなという感想。

 幸いな事にセーブポイントが細かいので何回も死んでは即リトライという形のやり直しが楽というのはあり。それとゲーム自体が短いので難所が山ほどという構成でも無い。また後で知ったのだが、途中で集めたノートの数が多いほどラスボス戦の難易度が下がるというシステムになっているそうである。


 アクションについてより具体的に書くと、まずは入力に対する反応の遅さというのがある。基本操作として、十字架を構えている状態では動けないので、構える向きを変えたい場合には、十字架の構えを解除 → 向きを変える → 改めて十字架を構えるという風にしないとならない。だがこのアクションが思っている通りには上手く行かない。現代(通常)のゲームに比較して入力へのレスポンスが悪いという印象で、「先に構えを解除したつもりが解除されておらず、その後の向きを変える入力が実行されない」, 「向きを変えた後の構えが入力されずに終わる」といった失敗が発生してしまう。よってホンの少しだが各入力に間を持たせて確実にそれぞれを単体で実行して行く様にするのだが、敵の動きに対して高速で入力を実行しなければならないケースでは焦りにもつながるので難易度が上昇している。この入力の感覚に慣れるまでは苦戦する事になるだろう。

 もしかして推奨されているコントローラーだと早いのかと考えたが特に変化無し。8方向に動くにはスティックの方が有利とは言えるが、特別にKB操作に比較して有利とは思えない。次に当時を再現するのにゲームは15FPS固定で動作しており、それが原因で入力遅延が発生しているのかとも考えたのだが、確かに低FPSとは言っても反応がそこまで鈍くなるという事は無いだろう(それだと当時のゲームは皆問題ありという話になってしまう)。ただ数回に渡ってパフォーマンス改善のパッチは出ており、シンプルな画質だが今それを再現する事による負荷というのも有る様で、それが微細な処理落ちに繋がっているという可能性はある。

 その他では斜め方向から来る敵に対して十字架の構えは4方向のみなので、どちらかの方向に構えておけばOKなのか、移動してから十字架を構えないとならないのかの判断が慣れないと難しい。攻撃が効いていると敵が点滅して知らせるエフェクトは有るが、そのまま敵がしばらく動けるケースでは逃げないと駄目なのかの判断が困難。敵はテレポートして再出現が多いが、その際にプレイヤーが動いていると敵がすぐ近くに出現してしまって回避不可という運ゲー要素。そもそもどうやって倒すのかが判らない際には実験しながら理解するしかないという死にゲー要素、といった物が含まれている。


 という事で、アクションゲームの要素を入れるのは構わないが、難易度設定無しでこのレベルの難しさにするのは良くないという判定。よって私としてはマイナス点としたい...のだが、ここで最初の微妙という点に戻る。

 「こんなゲームだとは思わなかった」という理由でマイナス評価を付ける際に、制作側とユーザー側のどちらが悪いのかというのは難しい面もあって、どの位を事前情報として公開しているのか、あるいは公開はしていなくても評判としてユーザー間で広く伝わっているから問題は無いとかいろいろである。例えばDark Soulsをプレイして「こんな難しいゲームだとは知らなかった。クリア出来ないので低評価」となった場合、さすがにこのゲームが超高難易度を謳い文句にしたゲームとは知らなかったというのは通らないのでは、という話になると思う。しかしFaithでは「昔風の難易度高目のアクションゲームである」という事実が、レトロというキーワードによってどの程度浸透していた事実なのかという点が私には判断出来ないという事で困っている次第。それとこうやって私が書いているのを読んでくれた人には意外な事実では無くなるから、嫌いなら事前にこのゲームを回避すれば良い訳で、逆に難易度の高いアクション要素は問題無いと考える人なら別に欠点とは言えなくなる為に更にややこしい。


GRAPHICS & SOUND
 制作にはGameMaker: Studioを使用。グラフィックス設定のプリセット無し。個別の設定項目は一切無い。グラフィックスの質が良くないと言うか古いのはそういう意図なので特に悪いという点ではない。

 グラフィックスとして評価出来るのは再度書くがロトスコープによるイベント時の描写で、昔のハードウェアでは困難なレベルのアニメーションだが、描画の精度は当時風のまま(今ならもっと良く出来るがあくまでも当時程度の解像度)という所が良い味を出している。


 ボリューム調整不可×, 3Dサウンド非対応, ボイス有り。サウンドで特徴的なのはボイス関連。異常というレベルでディストーション(歪み)を掛けられた非人間的な雑音の様なボイスで再生される様になっており、これがゲームの奇妙な雰囲気を高めるのに重要な役割を果たしている。欠点としては字幕が無い箇所では、あまりに歪み過ぎていて何を言っているのか聞き取れない箇所もあるという点。

 BGMも当時風であり、実際に当時のゲーム機から再生される程度の品質で作られている(デラックス版だとサントラも付いて来る)。


BOTTOMLINE

[PROS]

○他には無いユニークな体験を味わえる個性的なホラーゲーム
○ロトスコープによるアニメーション
○ストーリーやそれに関連する背景設定の不気味さ
○異様なボイス再生
○エンディングは多数用意されているが面白い物が多い
○無料でプレイ可能(一部制限有り)



[CONS]

×アクションのパートは難易度が高目
×通常プレイ画面は低解像度なのでホラー要素は薄くなる
×入力遅延の様な現象が見受けられる




 別項に書いた様に、プレイ前からすると予想外のゲーム性で、その点が私の好みでは無かった事はマイナス要素。もっとその特徴をゲームに興味を持った人に対してプレイ前にハッキリと伝えるべきでは?というのはあるのだが、海外産故にハッキリしない複雑な状況ではあるので保留という形にしたい。


 やはり評価出来るのはオリジナリティの高さ。他に類するホラーゲームが存在しないという所に価値がある。40年前の世代を模した非常にレトロなスタイルだが、完全に昔のままという訳ではなく当時は無かった様な要素を採り入れて新鮮味も出している。しかしそのレトロな描画の通常パートにおいては、「逆に低解像度なだけに想像力を刺激して怖くなる」という様な効果(敵が怖い等)は私には感じられなかった。

 「基本的にはアクションゲームである」という点に抵抗が無ければお勧めしたい。ただ無料でもあるのでよほどの抵抗が無ければ試してみて欲しいというのはあり。

 ホラー要素の多くを回収するノートによって明らかにされていくストーリーに頼っており、ノートを集めて読まないとならないという点は人を選ぶ。英語字幕しかないので特に非英語圏のプレイヤーにとってはそれを嫌がる人も居るだろうし、そういう方には少々勧め辛いというのはある。

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