GRAPHICS & SOUND |
Unityを使用。グラフィックス設定のプリセット無し。個別の設定項目も無い。ボーダーレス非対応。 全体がローポリゴンで制作されているが、理由の一つは昔風のローファイ描画には現代の高精細グラフィックスには無い不気味さが感じられるから。これは多くの制作者が語っている件でもある。しかしもう一点、このゲームの前にキャンセルしたプロジェクトで実感したが、個人制作の様に時間も予算も無いゲームにおいて高度なグラフィックスを実現するのは無理だと正直に語っている。まだ3Dグラフィックス制作の経験も無く、その知識が有るならともかく全部独学でやるには限界もあったとしている。そこでPS1世代風のグラフィックスで行く事に妥協したが、当時は存在しなかったダイナミックライティング等の現代的なエフェクトを導入して単なる懐古には終わらせない様にはなっている。 個人的な感想としてはローファイのグラフィックスは味が有るとは言え、あまり功を奏していない様に感じられた。プラス面も有るが、総合するとマイナス面の方が大きい。単純にゲーム内容的には精密なグラフィックスの方が向いていると思えるし、干渉可能なオブジェクトなのかの判別が難しかったりするという欠点も見受けられる。それとこういったローファイのグラフィックスが効果を挙げる物に人間やモンスターなどがやはり粗いアニメーションで動いている際の不気味さというのがあって、そういったコンテンツが欠けている点も上手く行っていない原因の一つに数えられる。 ボリューム調整可○, 3Dサウンド非対応, ボイス有り。BGMや効果音は少な目の設定。問題が感じられるのはボイスで、メインとして使われている女性の音声は良好。しかしその他にはボイスが用意されている人間は数少なく、特に教団のトップであるジェームスのボイスはカリスマ的な資質の感じられない平凡な物なのは大きな弱点。なにしろこのボイス役を担当しているのは制作者当人であり、女性の方も苗字が一緒なので奥さんの可能性が高い。プロの声優を雇うにはかなりのお金が掛かる為にボイスの有る登場人物を減らすと同時に自分自身でも担当したという話なのだが、これはゲームのクオリティを下げてしまっているとしか言えず、そこそこ売れたのならば改めて撮り直した方が良いとさえ感じられる。 |
BOTTOMLINE |
[PROS] ○ユニークな舞台設定と惹き込まれるストーリー展開の手法 ○カルト教団の裏に存在する人間臭いストーリー内容 ○薄気味悪さや不安感という意味でのホラー要素 ○全体が一つのマップにまとめられており、探索する際に実際に歩き回っているかの様な感覚を得られる ○終盤の展開 [CONS] ×ローファイのグラフィックスは雰囲気的な効果を十分に挙げられておらず、マイナス面の方が大きいと感じられる ×粗いグラフィックスが原因でオブジェクトの見落としが有り得る ×教団トップであるジェームスのボイスが凡庸。またボイスを持つ人物が少ない。 ×ストーリーを良く理解する為の補助機能が足りない(各人の顔グラフィックスや後の文書の参照機能等) ×インターフェース関連に問題が散見される |
ナラティブなゲームの一つだが、舞台や背景設定が特異で新味を感じさせる。ストーリー内容の方もカルト教団における教義の対立とかそういった複雑で難解な物を扱っておらず、解り易くて人間的な葛藤や対立がメインなので宗教的な事項に疎くても楽しめるというのも良い。自分の操作している人物は一体誰なのか?から始まってストーリー展開のさせ方も上手く、先を知りたいという興味を惹きつつ最後まで一気にプレイしてしまうという感じで魅力的に仕上がっている。 問題としては粗っぽい作りの箇所も目立ち、いろいろと細かい欠点ながらそういった物が多数存在している所が挙げられる。フリーゲームならば多目に見られるかもしれないが、商業作品となるともっと高い完成度が要求されてくるので、これからまだパッチで改善するのかは不明だが頑張って貰いたいところ。特にボイス関連は真っ先に手を付けて欲しい点である。 お勧めの判断としてまず重要なのは、基本的には文書類を読み進めるゲームなのでそれが苦にならないかどうか。あまり文書量は多くは無いし難解でも無いが、英語の文書を読むのはとにかく嫌だとなると全くお勧めは出来ない。全部無視してクリア出来ない事はないと思うのだが、ヒントなども書いてあったりするしそもそもストーリーが解らなければ面白く無いというタイプのゲームである。 謎解き簡素は簡素でパズル好きの人向きではない。戦闘やステルスなども無いのでそれも同様。純粋なホラーゲームではないものの、雰囲気的なホラー物が好きならば一応お勧めは出来る。ジャンプスケアの様な直接的な怖さは含まれないのでそれが好きな方には不向き。 |