更新履歴 | 22/07/31 レビュー掲載 (Version 3, 2022/01/28更新版) 22/08/11 ヒント&解答を追加 |
販 売 | 制作・販売: ThroughTunnel / Behemoth Interactive 発 売: 2021/01 日本代理店: 無し 2022/07/31 現在 Steamにて定価 520円で販売中 |
概 要 | ThroughTunnelはRiku Lempiainen氏の個人プロジェクトでこれがデビュー作。サウンド関連以外はほぼ自分でこなしている。 まずはitch.ioで発売された後にSteamでも販売される様になった。itch.ioでの購入にはSteamのキーは添付されないタイプだが、これは自動キー発行には対応していないという意味で作者宛に証明情報を付けて申請すればSteamのキーを発行するとしている。 代理店名表記は統一されておらず、一応Behemoth Interactiveが直接のパブリッシャーでここはゲームよりもコミックスの販売の方が本業。2022年に音楽関連会社Sumerian Recordsに買収されており、それでSteamではSumerian Gamesという表記にされていると思われる。 プラットフォームはWindows, LinuxだがLinux版の動作には注意書きも有り保証はされていないというレベル(Steamでは対応の記載自体が無い)。問題が在るならWineを使ってみて欲しいとも記載されている。 |
STORY | 小さな街Dim Riverが舞台。アパートの自室で寝ていた主人公のヘンリは、真夜中に大きな音によって目を覚ます。何事かと思い屋内を見て回った彼は、上の階の床を突き破って巨大な重量級のロッカーが落下してきており、それがちょうどドアの前を塞ぐ形になっているという理解し難い事態に遭遇。ロッカーは上部の穴にはまり込んだままなので動かす事は無理で、よって外部へと通じる唯一の出口であるドアから外に出る事が出来ないという状況。更にはアパート内の電話回線が故障中なので助けも呼べない。 そこで彼は何とかしてアパートの自室から脱出する方法を考えようと奮闘する事になるのだが、彼の周囲にはまた別の奇怪な異変が多発する様にもなっていた。 ちなみにタイトルの“Blank Frame”とは写真立て(フォトフレーム)に何もセットされていない状態を指す。 |
パッチ&トラブル関連 |
最新はItch.ioの記載によればVersion 3。このバージョンへの更新時にSteamでの販売が開始されているので、更新情報が無くてもSteam版の方も最新になっている。 幾つかのバグは修正済みであり、現行バージョンに大きな問題が在るといった事は無さそう。 |
シ ス テ ム |
・難易度は無し。アイテム持ち越しの二周目やクリア後の別モードは持っていない。 ・セーブ機能は無し ・現在の目標の参照機能は無い ・アイコン表示や矢印による進行方向ガイド機能、ミニマップを含めてのマップ表示機能は無し ・字幕有り(日本語には非対応) *キーアサイン不可×, マウス感度設定不可×, マウス反転不可×, 明るさ調整不可× *一人称視点固定, FOV調整不可× *スプリント○, 屈み×, ジャンプ× *照準(カーソル)有り *コントローラー非対応× 操作はRMBがインタラクトでスペースバーで文字送りなどとなっており、開始してしまうと操作キー一覧画面は出せなくなるので注意。 |
BASICS |
レトロなグラフィックスを採用したPSX(PS1)ホラーを名乗る作品が非常に増えているが、これは2000年代初頭のPS2レベルのグラフィックスと書かれておりその意味では珍しい。ストーリーの時代設定も同時期頃だと思われる。 プレイ前の想像とは大きく異なっていたゲームだったのでまずはその件から。商品ページを見た限りでは、「ホラーゲームだがジャンプスケアなどに頼った脅かし系ではなく、ジワジワと来る雰囲気的なホラー」、「閉じ込められた状況から敵の脅威を避けながらパズルを解いて脱出を目指す」といった感じの一般的なホラーゲームと考えていた。 しかし実際にはホラーの要素は相当に希薄であり、ジャンプスケア無しなのは理解していたが雰囲気面という観点からもホラー要素は少ない。超常現象などは発生するし奇怪な敵も出現するが、プレイヤーを怖がらせようといった意図は見られない上に実際にまるで怖くも無いという印象。またそれ等イベントなどの原因や理由(なぜ敵は襲って来るのか, 奇怪な現象の意味合い, 主人公が狙われた理由etc)はほぼ説明されないままに終わる。数少ない思索的・哲学的な情報から何となくこういう意味なのかと少々理解出来る程度(本当に理解出来ているのかもあやふやである)。商品ページやトレーラーにて登場する敵の姿など結構なネタバレをしているが、これは恐がらせる事やホラー要素が大して重要視されていないからではないかと推測している。 次に謎解き関連についても想像とは違っていた。見た目としては純パズルによる解決タイプではなく、インベントリー(アイテム)を利用した論理的解決タイプと考えていたのだがそのどちらでも無かった。ある程度は後者の論理的謎解きは含まれているのだが、最も多いのはフラグ探しによる解決(総当たり的)となっている。次は何をするのかと論理的に考えて探索するのではなく、何かイベントが発生していないか, 変化が生じていないかを探して動き回り、インタラクト出来る様に変わっている箇所を探し出して話を進めるというタイプのゲーム性である。 ではどういった作品なのかと言えば、ストーリー展開の面白さを中心にしたゲームである。状況は主人公のヘンリが狭い自分のアパート内に閉じ込められてしまったので何とか脱出したいという単純な設定であり、移動が可能なスペースもリビング・寝室・バスルーム・物置と4部屋だけ。だがその限られた空間において、想像を超える様なかなりの手数と変化が待ち受けており意外性もあって楽しめた。特に隣人で会った事はあるが会話もした事が無いという女性ミードウズに助けを求めて、そこから協力し合うという展開はなかなかユニークで評価出来る所になる。普通だったら突然深夜に隣人から(おかしな方法で)呼び出されたら気味悪がって怯えるのではないかと思えるのだが、むしろ彼女の方がノリ気になって来るという所も面白い。 ホラー要素ゼロだと謎解きや進行にインパクトが薄いのでユニークさを出す為にそれを採り入れたかの様にも感じられ、期待していた怖さは全然無かったがマイナス点とは受け取っていない。論理的なパズルでは無く総当たり的なフラグ探しでの進展も、プレイヤーにとって予想外の展開を起こすという意味では利点として働いており、論理的な進行とどちらを採るかという問題であって悪いとは言えない。結論としてプレイ前の予想とは大きく違うゲーム性だったが、作品としては充分に楽しめて満足出来る物であった。 |
GAMEPLAY |
3時間程度。作者曰く初回プレイで1時間半から2時間。だがこれはすんなり進められたらの話で、個人的には詰まった場所が幾つか有って時間が掛かっている(次に何をするのか30分位悩んだ箇所も有り)。作者も解り辛さを問題視したらしく、現行バージョンでは解り難かった箇所にヒントが付け足されている。 インタラクト出来る物や場所を指すとカーソルが変化する仕様。またそのアイテムに対してヒントが出たり、具体的に「これで○○をやってみよう」とか主人公が独り言を喋るという親切な時もあり。しかしその一方でフラグ探しの方は結構大変だったりもする。このゲームではマップ内に生じた何等かの変化を見付ける, 場所を移動する事でフラグを立てるといった行為を要求されるケースが多いのだが、以下の様な理由で難易度はそこそこ高い。 まず「今は使えない」と出るアイテムが有る。インベントリーは広いのだが同時に拾えるアイテムは少なく、使える様になってからそれを入手しないとならない。ただこれはそんなに問題では無い。次にフラグを立てないと取れないアイテムが有る。対象物にインタラクトして「○○が無い」と出てからではないと必要なアイテムが取れない等。そして一番厄介なのが必要となる時までインタラクト可の印であるカーソルが変化しないという設定。つまりこれまでにカーソルが変化しなかった物を含めて全ての箇所を総当たりでカーソルを移動させながら「インタラクト可に変化していないか?」を虱潰しに探さないとならなくなったりもする。しかも元からインタラクト可の箇所の近くの別の部位が独立してインタラクト出来る様になっていたりもあって難しい。行かれる場所が4部屋と廊下、それと4箇所の窓(+1箇所)から外を覗けるだけなので総当たりしても極端に時間は掛からないというのは救いではある。 他にはイベントが発生して何等かの変化が起きるというケースも有り。しかしこれもまた、ある部屋に行くとか窓を覗くとかが正解のケースでは総当たりで試す事になるし、移動してから戻って来るのがフラグだったりと解り辛い物も有る。 ある程度は論理的に推理して謎解きが出来る箇所も存在しているが、全体的には上記の総当たりの方が多数。この場合考えても解らないし、結局何も考えずに総当たりのブルートフォースになってしまうのでそういう作業が嫌いな方には向かないと言える。 ・会話パートは結構有るが選択肢は無い。リプレイ時等にスキップも可。 ・背景設定には謎が多い。抽象的なドキュメント類が多く意味不明な点が残される。 ・最初に注意書きも出るがゲームオーバーになるケースも発生する(作者はレアケースだとはしている) ・行動に選択肢が出るケースが稀に有る(単にその選択の失敗でゲームオーバーとかは無し) 大きな欠点として途中でのセーブが出来ない(チェックポイントも無し)。よって一回のプレイで最後まで行かないとならない設定だが、初回プレイが2時間を超える可能性も高いゲームでこれは問題となる(死亡してゲームオーバーになる可能性も持っている)。ちなみに作者はセーブをさせない主義という訳では無く、セーブのシステムを導入する事が技術的に出来ないという理由から。マップ切り替えやチェックポイントの様に「そこから前の地点へは戻れない」という方式ならばプレイヤーのステータスを保存するだけなので導入も容易だが、この作品のように同じ場所で最後まで進められるといった形式だとマップ内の状態を正確に保存出来る機能を持たせないとならず、そのセーブシステムを作成するには専任を設けるとかでもしないと困難で、よって人員(資金)不足のインディーズゲームでは組み込めないという話。これは実際に良く聞く件なのでこのゲームの作者が特に技術力不足という事ではないのだろうが、実際問題として弱点になっているのは確かである。それとセーブ機能を持たせられないゲームでは全体のボリュームを短めに収めるといった対応策が採られるケースが多く、実はこの作品もそうだったのだが作っているうちにストーリーを拡張したいという欲望が抑えられずにこんなに長くなってしまったともコメントしている。 エンディングは2個。ラスト近くでのある選択で分岐する。問題なのは両方共見ないと意味合いが分からないであろう点(両方見れば明白に理解可能という訳でもないが)。しかしセーブ不可なので最初からやり直さないとならず、展開を知っていても物理的に結構長い事もあって面倒であり、片方で止めてしまう人も多いのではないかと推測される(誰かのプレイ動画で確認してくれればまだしも)。そうなると片方だけ見ても意味が解らないままで終わるから欠点になってしまう。ここは構成を変えるべきだったと感じられる不味い箇所。 |
GRAPHICS & SOUND |
Unityを使用。グラフィックス設定のプリセット無し。個別の設定項目は無し。Alt+Enterでウインドウ表示には出来るがサイズの指定は不可。といった感じでほぼ何も変更出来ない。画面上の表示エリアもアスペクト比は固定である(16:9などのワイドスクリーンでは左右に黒帯が出来る)。 VHS表示なのでアイテムが何なのか解り辛い事も。キャラクターの表情がよく判らないのも欠点(高度なグラフィックスでは作業負荷的に作れないのだろうが)。あとはレトロなグラフィックスで不気味さを出すというのが流行りな訳だが、このゲームに関してはホラー要素自体が薄めなのでレトロな描画が効果的とは感じられなかった。 ボリューム調整不可×, 3Dサウンド非対応, ボイス無し。BGMは存在するが効果音系が少ない。ストーリー重視なのでボイスは欲しい所だがこれも予算的に無理なのだろう。 |
BOTTOMLINE |
商品ページから受ける印象とは中身が大きく異なる作品なのでそこに注意。ストーリー展開がメインでありそこが面白いゲームなので、ストーリーの面白さを重視する方にはお勧め出来る。一方でホラー要素は相当に少な目で怖さも無く、ホラーに関連する様々な謎もあまり説明はされないという風なので恐怖感を重視するという人には向かない。また頭を使っての謎解き要素は少な目で、総当たりで先に進める為のフラグ立てを行うという徹底探索型なので、インベントリーべースの謎解きをプレイしたいADVゲームのファンにもお勧めは出来ない。 今回はストアでの解説や画像(動画)から受ける印象とは実際の内容が大きく異なるゲームという事で記事にしてみた。私の様に「それはそれで楽しめた」ならば良いのだが、ホラーゲームだと思い込んで買ってみたら全然違っていてガッカリという人も居るだろう。逆にストーリーの面白いゲームを探している人からは見逃される恐れが大という問題も存在している為に、それでは残念なので注意喚起の意味も含まれている。 なお設定関連がほとんど出来ない, セーブが出来ない等、インディーズ感が漂う作品である点には留意してもらいたい。 |
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ヒント&解答 |
作者自身の制作した最後までの進行手順がSteamのガイド等に用意されている(他にも検索すれば多数のサイトに掲載されているがこのSteamの物も含めて全て転載)。Itch.io版ならば解凍されたゲームフォルダ内にBFwalkthrough.txtが入っている。これはセーブ機能を搭載する事が出来ないので、やり直しの際に少しでも簡単に先に進めるように情報を整理した物だそうで、当然初回は自力での突破を推奨している。 少しだが私自身も詰まった場所におけるヒントなどを掲載。以下ネタバレとなるので反転表示。 ※ TVの操作 一番の難所と思われる。チャンネル番号に相当すると考えられる数字を発見する所までは達成しても、次にそれをどうするのかが解り難い。 必要となる数値はインタラクトした際にヘンリが「そこに書かれている数字」について言及する物が3箇所有るのでそれが該当。以前のバージョンではその言及すら無かったので更に難しくなっていた。 その数値とは 0 2 6 の3個。だがこれを入力する順番の決め方はガイドにも説明が無い(総当たりでも大した苦労では無いが)。正解は 0 6 2 の順番だと書かれているだけで、TVを点けてからチャンネル順に押した後に終了すればすぐにイベントが発生する。なおこれが正解なのかは判らないが私の考えでは、それぞれのチャンネルの映像は“ある色”がフィーチャーされており、この各色がCH1の3つの強調される単語のカラーに相当。CH1の文章を読んでその3つの単語の出来事がどういう順番で起きたのかを推理し、その順番に並べると数値の並びが正解の通りになるという意味ではないか? ※ 時計合わせ 時計の針を発見してからリビングの時計にアクセスして時間を合わせる。これは現在の時間に合わせれば良いというシンプルな答えなのだが、その時間をどうやって知るのかという問いになっている(寝室の目覚まし時計は×)。つまりどこかに有る正確な時計を見れば良いという事。 ※ エンディングの分岐条件 出現したモンスターに対しての行動によって分岐する。 ※Valveilla(目覚め) ENDING 腕を侵入させたモンスターに対して単に部屋から逃げる, あるいはモンスターが去ってしまうまで部屋の中で待つ ※Euneirophrenia(夢うつつ) ENDING モンスターに対して窓を開けない, もしくは開けて侵入された際に腕を攻撃し追い返す |