幻 覚


ヒント&解答

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更新履歴  23/02/15 レビュー掲載 (Gamma 1.04)

販  売  制作・販売: もんぜん
 発 売: 2022/07

 2023/02/15 現在 Steamにて定価 580円で販売中

概  要  作者のもんぜん氏は日本の方で現在は学生の様である。

 これよりも前にフリーゲームとして頭痛がSteamで公開されている(更に前のSINGULARITY WORLDは現在販売停止になっている)。

 発売時の価格は420円だったのだが円安の影響で580円に値上げされている。よってもしかすると円安が解消されれば元に戻されるかもしれない。


STORY  夜間の再配達依頼に応じてあるマンションに後輩と訪れた主人公。ところが仕事を済ませた後にエレベーターの故障で帰れなくなってしまう。そしてエレベーターを修理する為に内部を探索する事態となったのだが、そこで不可思議な物や現象に遭遇する事になる。


パッチ&トラブル関連
 現時点ではGamma 1.04が最新(メニュー画面に表示される)。

*セーブファイルの場所は以下の中(隠しフォルダを表示する設定にしておかないと見えない)
 C:\ユーザー\(ユーザー名)\AppData\Local\TEA\Saved


 掲示板に障害報告が無いので何とも言えないが、書き込みが無いという事は問題は少ないのではないかと推測出来る。個人的には問題は発生しなかった。

シ ス テ ム

・難易度は無し。アイテム持ち越しの二周目やクリア後の別モードは持っていない。
・セーブはオートセーブ(1箇所のみを上書き)
・現在の目標の参照機能なし
・アイコン表示や矢印による進行方向ガイド機能、ミニマップを含めてのマップ表示機能は無し(ゲーム内にマップ画像は在り)
・ボイスは無く字幕が表示される形式(日本語対応)

*キーアサイン不可×, マウス感度設定不可×, マウス反転不可×, 明るさ調整不可×
*固定カメラ視点, FOV調整不可×
*スプリント△, 屈み×, ジャンプ×
*照準(カーソル)無し
*コントローラー対応○
*Steam実績対応


 メニューには「はじめる」しかなく、「つづける」といった項目が無い。だが途中でゲームを終了させて「はじめる」から再開した際にはちゃんとセーブ地点から継続される。ただしプレイ中に「ここでセーブされた」という表示が出ないので、再開地点は前回止めた地点と正確に同じとは限らないので注意。

・各種設定は起動毎にリセットされてしまう
・マウスはインベントリー内の選択などで使うのみで視点移動等には使用出来ない
スプリントはゲーム内である行為を達成すると可能になる(アンロック式)


BASICS
 ホラーゲームだが戦闘 or 敵から逃げたりステルスで回避するといった要素は存在しない。スキルを要求されるアクションなども無しでゲームオーバーにはならない設定。アイテムを集めたりパズル(障害)を解いて進めるという形式である。

 キャラクターの居場所によって切り替わる固定カメラ視点を採用しており、視点を回転させたりは出来ないので周囲を見渡せない。その為にどちらに進めるのかが判り辛いケースも発生し、先がどうなっているのか見えない場所では総当たりの様にして行かれるのかどうかを確認しないとならない。その移動は複数のエリアを連続して動けるケースは稀で、移動可能な方へと進むと「別エリアへと切り替えるかどうか?」が画面表示されて選択するというのが基本形(ロード時間は無い)。キャラクターの移動操作はカメラ基準。


 プレイヤーを怖がらせようとする傾向はかなり控え目で、気味が悪いとか不可思議さの方が重視されているがそちらの方もドギツかったりはしない。ジャンプスケアは少し有りだが軽度である(一人称では無く固定カメラの外部視点なのでイベント時の効果が薄いというのもある)。ジャンルは確かにホラーだが謎解きが一番の重点となっているゲームと言えよう。

GAMEPLAY
 最初のエンディング到達までに1時間程度。作者自身は30分〜90分と記しているが、謎解きに詰まらず&急げば30分程度でもクリアは可能だろう。複数のエンディングが用意されているのでリプレイ性はあり。

 謎解き(パズル)中心だが初回エンドまでの難易度は低め。謎解き重視のゲームと書いたが同時にストーリーも重要視されており、そのストーリーをテンポ良く味わって貰う為にすんなりと進められるレベルの難しさに設定して、長時間プレイヤーを詰まらせない様にしていると思われる。

 インタラクトの対象場所では?マークが出るという親切な設定だが、その近くに行かないと表示はされないし、一部反応場所が近くて(片方を)見落とし易い箇所も有る。インベントリー内アイテムの使用は?が出る場所で“Iキー”押下で一覧から選択すればOK。


 全4個のマルチエンディングを採用。構成としては初回プレイではエンディング1への到達に固定されていて、リプレイ時に他のエンディングへも行かれる様になるという方式である。その理由の一つ目は2周目以降でのみ発生するイベントが存在し、それによって別の行動が可能になるから。もう一つが謎解きにおいて「プレイヤーからのメタ視点」を利用しているからである。それがこのゲームの大きな特徴(作者もんぜん氏の好む手法)にもなっている。

 もし前作の『頭痛』をプレイ済みであるならばあれと同じ手法だと思って貰えば良い。その『頭痛』においての例になるが、ある箇所にて情報を得る為にアイテムAを使用した事によりそのアイテムAは消えてしまうが、それをやらないと必須の情報が得られないのでそうするしかない。ところが2周目になった際に、タイムループ物では無いのでゲーム内の主人公の持つ知識は初回と同じだが、一方プレイヤーはメタ視点からアイテムAを使用して得られる情報を既に知っている → よってそれを使うべき場所でアイテムAを使わなくて済む → アイテムAを使える場所が別に存在している → そこで使う事で新たな知識やルートが開けて別エンディングへと到達が可能になる、というシステムである。

 この『幻覚』でも同様のやり方が使われており、既に初回プレイを通してある種の知識を得ているので、初回では必須だったアイテムの入手等の過程をカット出来る事から、それを利用して別ルートへと到達が可能になるという風にされている。普通はタイムループ設定を使うものだがそうでは無い所が差別化となっており、謎解きのパターンとしても風変わりで面白い物と感じられた。


 エンディング(ルート)を複数持つゲームでは、分岐はあくまでもオプション(一度エンディングに到達したらそれでお終いでも構わない)という物と、ルート分岐を体験する事自体が面白さの根本(分岐を体験しないで終わらせて評価されても困る)というデザインの物に大別されるが、これはその中間型という感想。ちなみに『頭痛』は後者で2周目以降が本番というデザインだが、こちらでは1周目だけで終わらせてもちゃんとストーリーとしては完結しており2周目以降は必須というほどでは無い

 確かに2周目以降によって、プレイ時間の増加, より深いストーリー関連事実の判明, 2周目以降専用イベントの発生といった利点は有るのだが、残念ながらストーリーに関しては混乱の度合いが大きくなり上手く収めているとは言い難い。好意的に解釈するならば、各人が考察で議論が出来る様な曖昧さを持っているとも受け取れるが、判明する新要素が上手くまとまらずに「実際のところはどういった真相だったのか?」が意味不明という感の方が強くなってしまっている。その点エンディング1は綺麗に決まっており、ストーリーに関しては(謎は残るにしても)これで終わっている方が良かったという印象。


 別ルート探しの難易度については、エンディング2は良くマップ内を探索して行ける場所の見落としさえ無ければ特に難しくは無いだろう。エンディング3は新イベントから推測出来る。グッドエンディングとされるエンディング4には上記のメタ視点から得た知識を利用するという件を知っていなければならない。厄介なのは任意のセーブ地点or複数のチェックポイントから再開出来ないという件で、ある事をやってしまうと後戻りが出来なくなるので、それがルート分岐とは無関係だった場合にはまた最初からやり直さないとならない。筋が解れば1周に掛かる時間は短いのだが(スプリントをアンロックすれば尚更)それでも面倒。そしてエンディング4への到達条件は解り辛い物となっているので総当たりとかになると時間が掛かってしまう。

GRAPHICS & SOUND
 Unreal Engine 4 を使用。グラフィックス設定のプリセット5種。個別の設定項目は無し。画面モードの設定は無し(ウインドウ化するにはALT+Enterしかない)。

 キャラクターなどは特にそうだがディテールには凝っていないそれなりのクオリティ。一方でローポリゴン表現で不気味さを強調するレトロなPSX系のホラー物ほど粗くはなく、個性的ではあるがあまり見た目の怖さの表現には繋がっていない。それと意図的にそうしているのかは不明だがフレームレートが低い値(24程度)にロックされている。


 ボリューム調整可○, 3Dサウンド非対応, ボイスなし。効果音は少な目でBGMの様な物も無しと寂しい感じ。

BOTTOMLINE
 ホラーゲームとされているがホラーの要素は薄めで、探索によるアイテム収集をメインとした謎解きが好きな人向け。マルチエンディング構成で別エンドに向かうにはプレイヤーのメタ的な知識を利用するという謎解きが特徴であり、タイムループ物が好きな人にもお勧め出来る。

 ストーリーの方も良く出来ており面白いがそれは初回に到達するエンディング1のみで、別エンドの方で話を膨らませようとしているのだがそちらは上手く行っていない。

 初回エンドだけだと1時間程度のゲームだが低価格なので大きな問題では無いと言える。定価が上がってしまったのは残念だが下がる可能性も残っているし、あるいはセール時に狙うという手もある。


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ヒント&解答

 以下ネタバレとなるので一部反転表示。






※ スプリントを可能にする方法

 信号機の有る部屋で焼きそばを入手。これを囲炉裏で使用して焼きそばを作れば以降は可能となる。





※ 5箇所の色を設定するパズルの正解

 左から 黄 赤 黄 青 青





※ エンディング2 ヒント

 鍵が掛かっていて入れない部屋を開けて入るルート。近くに3桁の暗証番号で開けてバルブを入手する箱が有るが、この箱は別の暗証番号で使って開ける事も出来る。その別の3桁の数字を探し出せば良い。ただし先にその別の番号で開ける必要あり(バルブを入手してしまうと以降は使えない)。壁に書いてあるのでフラッシュライトを持っている方が解り易いが(自動的に照らされるエリア)、持っていなくても近くに行けば数字は読めるはず。部屋に入ってイベントの発生後は普通に最後まで進めればOK。なおここでは5色の色合わせの答えは既に解っているのでアイテム集めはせずにいきなり答えを入れてしまっても構わない。

 未確認だが、もしかするとその別の暗証番号が書いてある場所をライトで照らさないと番号が有効にならない(プレイヤーには見えているが主人公には解らないという理由で)という可能性もある。その場合にはライトを持って行かないとならないが、ライトには使用回数制限があるので注意。上記の様に色合わせのアイテム集めは省略可能なので、それによりライトの使用回数は減らすことが出来る。




※ エンディング3 ヒント

 2周目以降で新たに発生する謎のイベント後に入手出来る日誌の内容に従えば良い。つまり帰る時に“叔父さん”を訪問する。それまでの過程はどの様でもOKと思われる。





※ エンディング4 ヒント1

 これがメタ視点からの知識を利用する進行。その利用する知識とは上記の色を設定するパズルである。初回プレイ時は3枚のフィルムを見付け出して映写機にセットしなければならない。だがその答えはランダムではない為に2周目以降は最初から答えを知っている。よってフィルムを入手する為に必要なアイテムを回収しなくても良くなる。

 それが何に関係してくるのかと言えば、実はフラッシュライトは使用回数が限定されており無限には使えない。初回プレイではアイテムを入手する為にライトを使わなければならない箇所に、2回目以降は答えを知っているので訪問しなくても済む様になり、結果的に初回では不可能な「ライトが使えないと入れない箇所」へと新たにアクセス可能になるという仕組み。例えば屋上の部屋に入るにはライトが必要だし、ビデオデッキの有るエリアもライトが切れると再訪問は出来なくなる。





※ エンディング4 ヒント2

 ビデオテープの再生までは達成しているが、選択肢のシーンで片方しか選べないというケース。ここではある事を達成していないと片方が?マークとなり選べず、急がされた後輩は事故に遭ってしまう。


 ここで選択肢を出すには本棚での作業が必要。まず近くて見逃す恐れも有るのだが、エンディング2での鍵の掛かっている扉の隣に低い本棚が有ってここに本が並んでいる。ここでは6冊の中から本を選択して読めるのだが、ここで適切な本を読むことでビデオ再生時に選択肢が表示される様になる。ただし1冊選ぶとそれ以後は選べなくなるというシビアな設定となっている(ダメだったら最初からリプレイするしか無い)。






※ ストーリーの意味

 レビュー本文でも書いたように2と3を含めたストーリー設定はどういう意味なのか私には解らない。ある種の想像をしてもどれも矛盾が生じてしまうといった感じである。

 エンディング4は後輩が探しに来て主人公が倒れている所を発見しているので、全ては「主人公が一人で配達に行って戻る途中で見た幻覚」という解釈になるのだろう。何で自分が復讐のターゲットにされているとかそういった内容になっているのかは謎だが。



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