IRON LUNG


ヒント&解答

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更新履歴  23/06/25 レビュー掲載 (Ver 2.2)

販  売  制作・販売: David Szymanski
 発 売: 2022/03
 日本代理店: 無し

 2023/06/25 現在 Steamにて定価 620円で販売中

概  要  David Szymanskiはアメリカのゲーム制作者。名の知れた作品としてはDUSK, GloomwoodなどのFPS系になるが、それとは別に昔から短編のホラー作品を多数制作しているという面も持っておりホラーゲーム界隈でも有名な人物。これはそのホラー系の方に当たる作品である。

 現時点では評価が非常に高く、彼のホラー系作品としては最も高評価&有名な物となっていると言えよう。

 プラットフォームはWindowとSwitch。

 ゲームがインストールされたフォルダ内のGoodiesフォルダー内に制作中の資料, 昔制作した別のシンプルなゲーム, 壁紙等が収録されている(Itch.ioでは未確認)。

 現在著名なyoutuberであるMarkiplierの協力の下に映画化が進められている。どういった内容になるのかはまだ明らかにされていない。

STORY  人類がもっと早期に宇宙へと進出を果たしている世界というSF設定。火星への植民を果たしたのが1992年で、これを基準にEIC (Epoch of Interplanetary Colonization)と言う暦が主に使われており、ゲーム内の出来事は378 EICのものとなる(西暦に換算すると2370年)。

 幾つかの衛星上にて発見されているBlood Oceanと呼ばれる謎のアノマリーの中の一つを探索する為に、一人乗りの小型潜水艦SM-13、通称"Iron Lung"に乗り込んで血色の海の底へと向かう。主人公は名も無き犯罪者で、自由と引き換えにこの危険な任務に挑む事になる。


パッチ&トラブル関連
 起動画面等にバージョン表示は無く、最新では2023/03/17にV2.2がリリースされたというアナウンスが有るのみ。Itch.ioの方では2.11という表記になっておりそれよりも古いが実際には更新されているのかは不明(購入者のみがアクセス可能なダウンロード頁の方がストア頁の表記よりも新しいバージョンというケースはItch.ioでは良く有る)。


*セーブファイルの場所はゲームがインストールされたフォルダ内

 障害関連はコントローラーの操作が上手く行かないという件が掲示板では多いが、最新のV2.2ではそのコントローラーの改善が行われている。最新パッチ後は特に目立った障害報告は無い様である。


シ ス テ ム

・難易度は無し。アイテム持ち越しの二周目やクリア後の別モードは持っていない。
・セーブはオートセーブ(1箇所のみを上書き)
・現在の目標の参照機能は無い、と言うよりは必要が無い
・マップ表示機能あり
・字幕無し(I/Fを含めて日本語には非対応

*キーアサイン不可×, マウス感度設定可○, マウス反転可○, 明るさ調整不可×
*一人称視点固定, FOV調整可○
*スプリント×, 屈み×, ジャンプ×
*照準(カーソル)有り
*コントローラー部分的対応○
*Steam実績対応


・ゲームを開始してしまうとオプション画面を呼び出せないので不便
・コントローラーでプレイ出来るが潜水艦内の端末画面はキーボードで操作するしかない

BASICS
 乗り込む潜水艦は単なる鉄の箱といった代物で内部も非常に原始的な作り。世界設定からして既に高度なテクノロジーを用いた物は残っておらず、こんな古い潜水艦を利用する以外に無いという事なのだろう。プレイヤーが動き回れるスペースはほとんど無く、たった一つの窓は海の底まで潜水した時点で水圧に耐える為に閉じられてしまうので外も全く見えない。外を見るには正面に取り付けられたカメラで撮影する他なく、実際にこれを使って写真を撮影するのが仕事になっている。

 主人公の任務は渡されたマップに記された地点へと順に移動して目標を全て写真に収める事。ただこの潜水艦の移動操作に関しては混乱も見受けられるので解説しておこう。各座標には3つのパラメーターが記載されておりX(横軸)とY(縦軸)はすぐに解るのだが“A”を高度(Altitude)だと勘違いしてしまう人が出ている。潜水艦は水中を探索するが最初に海底まで沈められた後はその海底部分を水平に動き回るだけで上昇&下降の概念は無い。“A”はAngle(角度)の意味で、正面に取り付けられたカメラを向ける方向を示している。

 パネルの向かって左側の左右矢印で360度の進行方向(角度=A)を調整し、右側の上下矢印にて移動を行うのだが、XとYの値を独立して調整する事は出来ない仕様である。A=0だとY軸の正方向を向いているので、移動操作のプラス方向ではYの値のみが増えて行く。A=90ならばX軸の正方向を向いているのでXのみが増加。A=45ならばXとYが同じ比率で正方向に増加していく。Aが0〜45の間ならばY軸の増加率の方が高くなり、45〜90の間だとX軸の方が増加率が高くなるといった具合。片方の軸をマイナス方向へと減らしたいのならば目的に合わせて角度を90度以上にして調整したりする。なお矢印ボタンによる数値調整では押し続けるほど高速で数値は増加し、また離してもすぐには止まらないので少々の慣れは要求される。

 作業は指定されている座標に到達して、指定された角度に合わせてから写真を撮影することの繰り返し。角度は10度, 座標は2つまでのズレは許容範囲であり、達成すれば地図上にチェックマークが付く。廻る順番は自由で決められてはいない。衛星からソナーで製作したらしきマップは提供されるのだが、粗い画像なので何所を通れるのか明確ではない箇所も有る。

 角度表示の矢印画面がレーダーにもなっており近くに障害物を検知すると丸印で表示され、距離に応じて点滅速度と警告音が変化して知らせてくれる仕組み。衝突してしまえばゲームオーバー。

 セーブはオートセーブ形式だが写真撮影成功時にセーブされるのではなく、移動中の何等かのタイミングによりセーブされる。その際には画面右下にセーブ中の表示は出るのだが目立たないので見逃す恐れはある。


GAMEPLAY
 クリアまでは1時間半程度だった。制作者は凡そ1時間以内と言っているがその通りに1時間以内でのクリアは特に困難では無い。進行方向に対してどれだけ効率的に進められるか(角度調整)や端末操作(後述)にどれだけ時間を掛けるかによって変わってくる。

 障害物を避けながら移動しなければならないのでスキルが必要とも言えるが、反射神経を要求されたりする訳では無いので実質クリアするのに操作スキルは要らないというレベル。あるいはパズルも含まれていないし戦闘要素なども存在しない。ではウォーキングシミュレーターかと言えばほぼ歩き回れない。なので体験型のゲームと呼ぶべきか。


 展開はスローペースで地味な内容となっている。幾つかのイベントは有るのだがジャンプスケアの様にプレイヤーを酷く怖がらせる事を目的とした物では無く、地道にジワジワと恐怖感を高めていくというスタイル。クライマックスとなる終盤に向けて抑え気味の演出を採用している。20〜30分程度のホラー物(主にフリーゲーム)だと、特別なホラー演出は無しにずっと普通に進められてからの → ラストの驚かせに賭けた一発勝負タイプもそこそこ存在するが、これだけの長さを引っ張るというのは珍しい。一般的には出現した敵にコンスタントに追われ続けるとか、間を置いて頻繁にホラーイベントが発生するとかでプレイヤーを怖がらせる行為を持続させようとするものなのだが、このゲームではハッキリとしたホラー展開を見せるのは終わり近くになってからである。

 私はこういったスローなペースというやり方でも良いと思うのだが、ホラーゲームが好きだとしても気に入らない人はそれなりに居るのではないかという気はしている。見方を変えるとゲーム内で行う事の9割は計器操作による移動や障害物の回避でありホラーゲーム的では無い。よって途中で「何時になったら怖くなるの?」と感じる方も当然出て来るであろう。それには「とりあえず最後までやってみてくれ」としか言えないが、最後までやればきっと気に入るという事を保証する物では無い。

 上手く行っていると感じられるのは潜水艦内における閉塞感。動き回るスペースがほぼない上に、オンボロで今にも破損しそうな風体にも関わらず海の底へと沈んでいる所は恐怖感を湧き上がらせる。直接は外を見る事が出来ないし、ランダムに写真を撮影しても(血色の海を通しての特殊撮影なので)画像が粗くて明確には周囲を見渡せないという設定も効果的。


 エンディングは一つだけ。作者自身がそう言っているので間違いないのだが、人によっては別エンディングが存在するという主張も出ている。これはネタバレになるので詳しくは書けないが、通常とは異なった進め方も可能なのでそれを指して別エンド(別進行)と呼んでいるだけである。


 特徴の一つが背景世界の構築。ゲーム内の世界の歴史等がかなり作り込まれており、その内容(データベース)には潜水艦内の端末からアクセスする事が可能。テキストベースの画面にて(ハイライトされる)語句を打ち込みながらその中身を読める。これだけ作り込んであるのは同一世界観での別ゲーム構想が有ったりするのか?という気も。膨大な量ではないがこれを読んだりしながらだとプレイ時間は増す事になる。なおこの端末で得られる情報がクリアには必要とかでは無いので、興味が無ければ一切読まなくてもOK。

GRAPHICS & SOUND
 Unityを使用。グラフィックス設定のプリセット×。個別の設定項目は無い。ウインドウ化は可能。

 レトロなPSX(PS1)タイプの描画なので美麗では無い。またそもそも外を見られないなど風景として見られる場所が非常に限られている為にグラフィックス面の評価というのは難しい。PSX系の描画は特にホラーゲームにおいて独特の味わいがあるというのは認めるが、このゲーム内容ではその味が充分に活かされるとは言い難く、現代的で綺麗なグラフィックスの方が良かったのではないかという感想(作者がレトロな映像をお気に入りなのでそういった切替は有り得ないのだろうが)。


 ボリューム調整可○, 3Dサウンド非対応, (冒頭のみだが)ボイスあり。潜水艦内なので音数は少なく、外部のノイズや水音が小さく聞こえてくるのみ。BGMは有るが鳴る箇所は少ない。ビジュアル情報が少ないだけにもっとサウンド面には凝った方が良かったと思える。

BOTTOMLINE
 FPSやホラーゲームでの有名人David Szymanskiによる低価格の短編ホラー。

 楽しめる作品ではあるが、「ホラーファンならば是非に!」というほどのお勧めでは無いといった所。Steamの評価では非常に好評(しかも相当な得票数)となっているが、ホラー好きを対象にしたとしてもやや人を選びそうな印象を受ける作品である。個人的にはこういった地味にゆっくりと引っ張る展開でも楽しめるが、積極的にプレイヤーを怖がらせようとしてくるタイプが好みの方には向かなそう。

 ほとんど動けないし周囲も見られない潜水艦内の閉塞空間というシチュエーションを好むかもポイントとなる。閉じ込められているという感覚を恐怖として楽しめるか、あるいは動き回れないし出来る事が少ないのを退屈だと受け取るか。


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ヒント&解答

 以下ネタバレとなるので一部反転表示。














※ 酸素ゲージに意味は有るのか? (時間制限は存在するのか)

 演出であって実際には稼働していない。クリアしたノード(撮影ポイント)の数に応じて減っていくという設定であり、実プレイ時間には関係が無いので急がなくても大丈夫である。





※ 突然船が離れた場所に移動した?

 バグなどでは無い。何かにぶつかられた, 引き摺られた, 押されたなどと考えてみよう。





※ 見逃す可能性があるイベント

 障害物が無いと考えられる場所なのにレーダーに反応が発生する。しかも船を追尾して移動している様にも思える。と言った場合、その方向に向けて写真を撮影してみる。





※ エンディング解説

 エンディングのイベントの発生は特定のノードと決められているのでは無く(デフォルトでは一番右上のノード)、撮影に成功したノードの数に応じて発生する。つまり最後のノードにて例のイベントが発生するという設定なので、それによって撮影が出来なかったという結果に終わるが、回る順番を変える事で撮影が出来なかったノードでの撮影が可能となる。これを別エンディングと呼ぶ人がいるという話。





※ シークレット

 ノード以外の場所にて何等かの意味のあるオブジェクトが撮影出来たりする。これには航行しながら壁では無さそうなのにレーダーに障害物反応が出たりするのを探しながら, ノードだけを回る場合には通らないエリアを訪問といった手法を採る。その写真の表示内容から端末に隠しキーワードを入力するとそれに関する情報が読めたりもあり。



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