Locked Up


ヒント&解答

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更新履歴  21/09/02 レビュー掲載 (V2.14)

販  売  制作・販売:  EMIKA_GAMES
 発 売: 2020/04
 日本代理店: 無し

 2021/09/02 現在 Steamにて定価 1,320円で販売中

概  要  EMIKA_GAMESはロシアのインディーズ会社でほぼソロでの運営となっている様である。

 デモが好評だったというのもあるのだろうが、有料ゲームをitch.ioとSteamでの同時リリースという珍しい形態(まずはインディーズ制作によるホラーゲームの発表が最も盛んなサイトであるitch.ioにて作品(デモ)をリリースし、ここで高評価を得ればSteamでのリリースに繋がっていくというケースが多い)。そして見事に成功してこの第1作目から高い評価を得ており、現時点で発売されている3作品が全て高評価という今後の期待度も大きな会社となっている。

 プラットフォームはWindowsのみで他は予定も無し。


 itch.ioでの購入にてSteamのキーは受け取れない。発売から時間が経過しているのもあってitch.ioでは頻繁に50%以上のセールが行われているので、Steamにこだわらないならitch.ioでの購入をお勧め。

STORY  以前に恐ろしい事件が発生したある家を舞台にしたストーリー。様々な背景設定はプレイしながら理解していくという意図で作られており、内容の詳しい紹介はストア頁でも行われていないのでここでも説明はしない。


パッチ&トラブル関連
 デモが用意されている。これは本編の前日譚となり独立した別の内容となっている。本編のチャプターセレクトからでもプレイは可能。


 現在の最新バージョンはV2.14(itch.io)。Steam版はSteamworksとの連係(クラウドセーブ, トレーディングカード, 実績機能等)が絡んでくるので、そちらだけ更新されてバージョンが異なる可能性もある。

*セーブファイルの場所は C:\ユーザー(Users)\(ユーザー名)\AppData\Local\Locked_Up\Saved\SaveGames の中(隠しフォルダを表示する設定にしておかないと見えない)。


※ キーのアサインが有効にならない
 他に訴えている人が見当たらないので私の環境によるのかもしれないが、操作キーの設定画面で好みのキーに変更しても有効にならない(設定画面を呼び出して確認すると表示上はちゃんと変更はされている)。デフォルトの設定が有効のままである。


※ ゲーム起動時にSteamVRが起動してしまう(ランダム発生)
 ライブラリからゲームを右クリック → プロパティ → 「一般」タブ → 「起動オプション」の欄に -nohmd と入れて閉じる。

シ ス テ ム

・難易度は無し。アイテム持ち越しの二周目やクリア後の別モードは持っていない。
・セーブはチャプター単位。チャプター選択機能有り。
・現在の目標の参照機能は無し
・アイコン表示や矢印による進行方向ガイド機能、ミニマップを含めてのマップ表示機能は無し
・字幕は基本的には無し。音声自体が少ないがその中の一部のみ字幕が出るケースも有り(日本語には非対応)

*キーアサイン可○, マウス感度設定可○, マウス反転可○, 明るさ調整可○
*一人称視点固定, FOV調整不可×
*スプリント×, 屈み○, ジャンプ×
*照準(カーソル)有り(非常に小さなドット)
*コントローラー非対応×
*Steam実績対応

BASICS
 まずはホラーゲームとしてどうかという件について。タイプはサイコロジカル(心理的)ホラーとなり、プレイヤー側は武器等の敵に対する攻撃手段などは持っていないし、ステルスで追っ手から隠れるといった要素も備えていない。また何等かのアクションを成功させる事を要求されるシーンも出て来ない。そもそも死亡を含めてゲームオーバーという概念自体が存在しないという設定である。


 ジャンプスケアは有り。ジャンプスケアとは「予期しないタイミングで驚かせる」タイプのホラーだと定義するなら、結構な数が用意されているとは言える。しかしジャンプスケアと言っても「突然襲い掛かられる&敵の顔のドアップ&大音量」といった文字通りに椅子から飛び退いて「うわっ!」とさせるレベルを狙いとした様な物から、定番中の定番となった「突然目の前の廊下などを何者かが横切る」というのもそうだし、それまでに無かった物が突然目の前に出現するという軽度な物まで様々である。そして怖がり方には当然個人差があるので、同じシーンであっても酷く怖がる人も居れば、もう多数のホラーゲームで似た様な物に慣れているので怖がらない人も居たりする。

 そんな中でこのLocked Upにおいては、本気で怖がらせに来ているようなドギツいジャンプスケアはほぼ無し(やや強めなのが1,2箇所位)。数自体は有るのだが軽度な物がほとんどという印象で、その軽度な物を短時間のインターバルでずっと繋いでくるといった構成。どれだけ怖いのかはこういったレビュー記事においては主観よりも相対評価の方が伝わり易いのでそうするが、恐怖度数としては私の体験してきたホラーゲームの中では標準以下。仮に5段階評価とするならレベル2といった採点になる。せいぜい少しビクッとなる程度の物が大半であり、ホラーゲームに慣れている人にとっては刺激が足りないと感じられるであろう。これには見た目のクオリティも少なからず影響している(グラフィックスの項にて後述)。しかし「恐怖度の高さ=ホラーゲームとしてのクオリティの高さ」とは限らず、ホラーゲームのファンだが直接的&猛烈に怖がらせに来るタイプのゲームは苦手という方も居るので、このゲームの恐怖感を丁度良いと気に入るかどうかは各人の好みにもよる。

GAMEPLAY
 ボリュームは2時間半程度(作者自身は2時間程度とコメントしている)。エンディングは一つだけだしルート分岐なども無いのでリプレイ性は低い。

 このゲームがP.T.の影響を受けているのは明白で、ゲームプレイの中心は周囲が変化して行く狭く限定されたエリア内でその変化を発生させる要因を発見する事にある。各チャプターにおけるそのエリアはオリジナル風に曲がった廊下であるケースもあれば、単一or複数の部屋内だったりする事もあり。プレイヤーがエリア内で変化を生じさせる箇所に対して干渉すると実際に変化が発生するので、それをエリアがクリアとなるまで繰り返すという形式を採っている。オリジナルの様にドアを開けて抜けるとループするという展開は無し。

 変化のきっかけ(フラグ)となるのは、オブジェクトにインタラクトする, 単にエリア内部を移動する, 発生するイベントを体験する, アイテムを用いてドアをアンロックする等々。実際の変化とは、それまでに存在していなかった物が出現する, 逆に存在していた物が消える, ジャンプスケアを含めたイベントの発生, 扉が開いて新たな場所にアクセス可能になるなど。

 つまり変化を生じさせるフラグとなる行為を見付ける事が目的となる一種の謎解きゲームというのがこの作品の本筋である。上でホラーゲームとしては恐怖度は高くないと書いたが、そういった構成なのでむしろホラーゲームというよりは謎解きがメインのゲームとする方が適切だろう。具体的には何かインタラクトが出来るオブジェクトがないかを探し、見付けてそれが正解だったら何等かの変化が生じるので、改めてエリア内を次のフラグ求めて探し回るという風にして進められる。その際にホラー系のイベントが発生したりもするという構成。

・インタラクト可能な対象は手形アイコンで示される
・インベントリー機能は無し。取れば持っている事になって対象箇所で自動的に使用されるか、直接掴んだ状態で目的地点へと持って行くと自動で使用される方式。
・フラッシュライトは無限でバッテリーは必要ない(ライターも同様)
・鍵などは取った際に何の鍵(ドア, 引き出し等)なのか表示してくれる(再表示は出来ない)


 主人公の独白などヒントのメッセージが下段中央に出るケースはあるのだが、スケーリング機能が無いのか文字が非常に小さい(フルHD)。そして見逃すと再度は表示させられない点に注意。

 変化のフラグとなる箇所がかなり解り難いケースもあり、難解とまでは言わないが悩まされるケースも少なくなかった。例えば単なる移動がフラグのケースも存在し、部屋Aで探すが何も無い → 部屋Bに移って必死に探すがやはり見付からない → Aに再度戻ったら単にそれがフラグだったとか。またエリア内全体が大幅に変化するというパターンも結構あって、その度に全体を再度確認して回らないとならなくなる。それとスプリントが出来ない(歩き速度はかなり遅い)という件も、地味に探索に時間が掛かる原因となっている。だが簡単だと手応え無しですぐに終わってしまう恐れもあるし、特に悪い点とまでは言えない事項である。


 ストーリー関連。事前の解説や説明は無し。そもそも自分が操作しているのは誰なのか, 時代の異なる映像が含まれているが全部キャラクターは一緒なのかすら解らない。よく使われる手記等のドキュメント類の発見による内容解説というのもラスト以外には無し。作者自身から「断片を繋ぎ合わせて想像力を働かせながら理解して行く構成」というコメントもあり、漠然とした情報しか与えずに怖さを醸し出すという手法が採用されている。

 しかしストーリーに関してはプレイしてみても良く解らず、想像力に任せるという設定は失敗しているという印象。ストーリーが理解出来ないという声に対して掲示板で解説もしてくれてはいるのだが、その解説を読んでも解らない点が残るし、あるいは「何所からそういう意味だと解るのか?」という疑問符も付く内容である。また解説を読んだ後でも「このシーンは何を意味しているのだろう?」と理解出来ない箇所も多い。次のゲームからは解説用のドキュメントを幾つも用意したりと割とハッキリとしたストーリー解説になったので当人も上手く行かなかったと考えているのかもしれない。

GRAPHICS & SOUND
 Unreal Engine 4を使用。グラフィックス設定のプリセット4種。個別の設定項目は7個とそこそこ多い。画面モードは排他的フルスクリーン, ボーダーレスフルスクリーン, ウインドウ。

 (全てかは不明だが)グラフィックス関連のコンテンツはUnreal Engine 4のストアや無料配布サイトからのアセットを利用している。その為に背景のクオリティは高いのだが、家の内部などは他のゲームでも見た事がある様な風景が多い。欠点は怨霊(幽霊)などの3Dモデルやそれ等を動かす際のアニメーションのクオリティで、これは外注するにしても高額になるので妥協して済ませていると思われ、多くのインディーズゲームにおいて共通の弱点となっている。

 まず見た目的に怨霊となるキャラクターの作りが粗いし、それがあるので接近した状態では見せられないのか、出現させるにしても遠くから見るだけというパターンが大半である。移動させるシーンにしても、3Dモデルがちゃんと手脚を動かしてアニメーションしながらでは無く、そのまま動かずに置物の様に滑って移動して行くだけなど怖さを演出するには大きなマイナスとなっている(入手したキャラクターモデルに予め用意されている以外のアニメーションは実現出来ないという意味)。同様に壁や天井等に呪いの文字等が浮き出るシーンにおいて、その文字が手軽に書いた様な恐怖感を感じさせない代物になっているのも不味い点。


 ボリューム調整可○、ただし個別では無く全体調整の一つのみ。3Dサウンド対応でこれは効果的に働いている。大抵のセリフ(独白)にはボイスが用意されていない。一部音声を伴う物もあるが、呪文の様な物は字幕が無いので意味がある事を言っているのか判別出来ない。ボイスは素人が担当している感じの物もあってクオリティは高くない。

 BGMは少な目だがエフェクト系の音数はとても多いのが一つの特徴。ひっきりなしにホラー系の音(霊の喋る声とか何かを叩いている音とか)が鳴っているのだが、それが今何か変化が発生したというヒントになっていたりするので、音が発生したらその方面に行ってみるという風に役に立ったりもしている。

BOTTOMLINE
 ジャンプスケアと位置付けられる箇所はかなり多いが、軽度な物がほとんどで恐怖感は大したことがない。特にホラーゲームに慣れている人にとっては恐怖度は低いと感じられるだろうから、それを最優先にしてゲームを探しているならお勧めはしない。怖さを求めるなら同社制作の他の作品の方が向いている。

 これはP.T.に強い影響を受けている作品であり、何かすると周囲の状況が多段階に変化して行くのでその変化自体を楽しむという点が一つ。そしてその変化を発生させるフラグが何なのかを探していく謎解き的な要素をメインに据えている。その辺りを楽しめそうと考える方にお勧めである。P.T.ほど謎めいている訳では無いが、ジャンプスケアに頼った直接的な恐怖度の高さを売りにはしていないという所は共通している。ストーリーは良く解らないままだが「周囲を変化させるフラグを探し出してその変化を楽しむ」という観点からは、ストーリーが理解出来なくても影響は少ないと考えられるので問題は無い。反対に面白いストーリーを求めている方はパスするべき。

 価格的にはボリュームの割には定価が高めとは言えるが、既に安売りが多いので(特にitch.io)その際に購入すれば良いだろう。


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ヒント&解答
 相当な数のフラグ発見を経てクリアとなるチャプターが多く、その手順の全てを解説するのは大変なので割愛。それとチャプター名がプレイ中に表示されたりはしないし、ある特定のシーンを「このシーンにおいて」として説明・特定することが困難な構成であり、よって解り難いシーンを挙げて解説するのもやり辛い。なのでこのゲームに関してはどうしても解らないのならば多数出ているプレイ動画を参考にした方が良いと思う。




 以下ネタバレとなるので反転表示。ヒントを幾つか記載。

・アイテムには“Dismiss”だけではなく“Take”の選択肢が有る物もあり、その場合それをTakeしないとフラグにならないケースがある
・Eキー(or MMB)でズームして見る事がフラグとなっているケースがある
・VHSテープはセット後に再生ボタンを押下するとスタートする
・カメラによる撮影は撮影位置の判定がシビアだったりするので注意。撮影する対象を間違える可能性は無いので、何かが写らないのならば位置を調整してみる
・先に進めたとしても正確には何がフラグだったのか判然としないケースもあり





※ ストーリー解説

 作者自身が解説している内容を主に紹介。ただし本文でも言及している様にこれで様々なシーンの意味合いがスッキリと理解出来る訳ではない。またどうにも意味が理解しにくい箇所が有ったりして、作者の意図通りに説明出来ているのか自信は無い。更に作者自身がロシア人で英語がちゃんと理解出来てはいない為に、この英語で書いている説明が正確に意味を伝えられているのか判らないとしているというのもある。



 屋外の森の中の一軒家を撮影しているのは主人公とは別人の探偵。この屋敷はカルト宗教の教祖が誘拐して来た子供達を育てていた所で、このカルト宗教が儀式により悪魔を呼び寄せて事件の原因となった。この探偵は調査しているところを見付かってしまい処分されてしまう。


 主人公のキャラクターはFrank。探偵で上記の探偵の失踪事件を調べていた。ゲーム内の写真に写っているのは彼の家族。彼の一家はこのカルトの家が有った場所(付近?)へと引っ越して来たのだが、そこで彼の妻が悪霊に取り憑かれてしまい子供達を殺した後に自身は自殺してしまう。その原因を悪霊の仕業だと掴んだフランクは家を封鎖しようとするが、犯人は彼で狂っていると受け取られて捕まり精神病院にて治療中となっている。ゲーム中に壁面等にフランクを責める言葉(殺人者等)が幾つか現れるが、実際には彼は犯罪行為には関わっていない。


 多数のVHSテープはフランクが事件の調査の為に集めたコレクション。ゲーム内の構成はこのテープ類をフランク自身が振り返って視ているのだと考えられる。あるテープに映された箱の中のテープをいじったりしているスキンヘッドの人物がフランクである。悪魔の様な長身の女性が子供達を殺した(乗り移られた状態の)フランクの妻なのだろう。