おかえり|Okaeri




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更新履歴  20/04/10 レビュー掲載 (V1.2)

販  売  制作・販売: Chilla's Art
 発 売: 2019/09

 2020/04/10 現在 Steamにて定価 310円で販売中

概  要  Chilla's Art|チラズアートはアメリカ育ちの日本人兄弟二人組で、現在ホラーゲームを積極的に量産している。最初は海外風のホラーゲームを制作していたのだが途中から日本を舞台にしたホラーゲームを制作する様になり、珍しさもあってそこから知名度が上昇している。この作品はその第一弾としてリリースされた物。

 それ等一群の作品は「Retro-Japanese Horror」シリーズと銘打たれており、古き時代のVHSテープの再生画面を思わせるノイズが掛かった画質の悪いビジュアルが特徴。内容的には心理的なホラー物とアクション重視の逃走系ホラーの二種類で構成されている。

STORY  最近新しい家に引っ越した女子中学生が主人公。夕方6時に帰宅した彼女は母親が居ないと共に、何か得体の知れない事態が家の中で起きている事に気付く。


パッチ&トラブル関連
 最新バージョンはV1.2

 起動しない等の対策としてはランチャーにてグラフィックスのクオリティを変更する程度しか出来ない。

 設定にV-syncが無くオフで固定なのでフレームレートが上昇し過ぎるというケースでは、ビデオカードのユーティリティーなどのツールを使って強制的にオンにする事で対応する。

シ ス テ ム

・難易度は無し
・セーブは無し。一回でのクリアを前提としている。
・現在の目標の参照機能や矢印による方向ガイド機能は無し。ミニマップを含めてのマップ表示機能なども持っていない。
・字幕有り。多言語対応で日本語にも対応している。

*キーアサイン不可×, マウス感度設定可○, マウス反転不可×, 明るさ調整可○
*一人称視点固定, FOV調整機能無し
*スプリント△(微妙に変化する程度), 屈み×, ジャンプ×
*照準(カーソル)無し
*コントローラー非対応×
*Steam実績対応


GAMEPLAY
 プレイ時間は30分程度。エンディングは一個だけでリプレイ性は薄い。詰まるとすればパズル要素が一つ有るのと、進行のフラグの立て方が解り難い箇所が存在している。タイプとしては心理的なホラー系でアクションやステルス要素などの何等かのスキルを要求される箇所は含まれていない。

 最初は外の街路から始まるが大半は家の中でのプレイとなる。街路は異常に幅が細かったりと不自然な外観だが重要事項では無いのでそれは別に良いだろう。ゲームの進行は明確にこうしろといった目標が提示される訳では無く、ある種の行為を行うとそれで何かが起きて先に進めるようになるという方式。短いので進行は数段階程度しか用意されてはいないが、その中の一つはやや解り辛い。とは言え家の中は狭いので出来る事は少なく、とりあえずいろいろとやっていればその内に進めるという風にはなっている。


 ストーリーに関しては問題有り。ゲーム内ではいわゆる超常現象が発生するのだがストーリー設定との整合性が取れていない。ネタバレになるので別例を挙げて説明してみるが、仮にプレイヤーが屋敷内に閉じ込められて脱出しないとならない設定のゲームにおいて、追っ手が幽霊等の超常現象であるならば屋敷内にて超常現象が発生しても不思議では無い。超常現象自体は“不自然”ではあるが、元のストーリー設定が超常現象の発生を認めているので整合性は取れているという意味である。一方で追っ手がプレイヤーを誘拐して来て閉じ込めた単なる“人間”であるケースでは、超常現象は何の関係も無いのでそれがゲーム内で発生するのは変だという話になる。それと同じでこのゲームのストーリー設定自体には超常現象との関係性は何も無いのに、主人公はそれを家の中で体験するのでとても妙な印象を受けてしまう。

 ラストの展開も説明不足。「こういう話なのだろう」という想像は付くが理解出来ない点もあり、どういう事だったのかをもっと詳しく説明した方が良いと思う。なお日本的なホラーでは事態をあまり詳しく説明しない事によって得体の知れない恐怖感を醸し出すという手法が良く使われるが、ここでの説明不足はそれとは違った意味である。


 ゲームプレイにおける最大の欠陥はUseキーの扱い。このゲームではインタラクト可能な対象に対してEキー押下でUseするという方式なのだが、カーソル表示は無くて「ある程度画面の中心近くにその対象物のホットスポットが入る」とEの文字が表示され、その後Eの文字を画面の中心付近に持っていって実際にEキー押下という流れになっている。ところがこのEの文字表示が薄くて色も白と目立たず、かなり注意して探さないとEキーの表示を見落とす恐れがある。更にフィルムグレインの効果をオンにしていると余計にEの文字が見づらくなるという問題もあり(実例)。実は上記の進行フラグが一部解り難いという件もこのEキーの対象物が判別し辛いという問題に影響されている。

 その他の問題点としては、パズルにおいて部屋の名称が示されるのだが外観と一致せずにおかしな感を受ける。またパズルにおいてダイヤル式の錠前が登場するが、カーソルが無いので複数のダイヤルのどこを回すのか合わせるのが解り難い。

 マウス感度は最大にしても低く、ゲーミングマウス等の機能を使ってマウス側で調整する事になる可能性あり。

GRAPHICS & SOUND
 Unityを使用。グラフィックス設定のプリセット4種。個別の設定項目はフィルムグレインのON/OFFのみ。画面モードはフルスクリーンとウインドウ。

 テクスチャーの精度などは粗いが昔風という設定なので意図的な物かもしれない。問題点はフィルムグレインでその効果は段階的では無くON/OFFの二択(パッチでオフにする事が可能にされた)。そしてオンにした際の効果が強過ぎるという印象で、Eキー対象物探しにおける問題点としても先に書いたが普通にマップ内を移動する時においても見辛いという感は否めない(特に暗い場所において顕著)。

 ボリューム調整可○, 3Dサウンド非対応, ボイス有り(日本語)。ボイスは日本人だと思われ特に不自然さは無し。ただしセリフは少ない。

BOTTOMLINE
 シリーズ第一弾というのもあるのだろうが、後続の作品に比較すると完成度は低いし中身的にも面白さに欠ける。安価ではあるので対価格比では酷いレベルという話では無いのだが、シリーズの中でどれか一本やってみたいという方には「まずは順番に一作目から」という意味合いでこれをお勧めはしたくない。セール時やシリーズのセット販売だと安くなったりするので、それで入手したらやってみる程度で良いのではないか。

 なお欠点を多数挙げているが、チラズアートの製作姿勢について一つ補足しておく。彼等は短い製作期間で多数の作品をリリースしている為に、フィードバックによる問題点や要望は次作以降に反映させるといったコメントも出しており、重要な修正は当該作品においてもパッチとしてリリースはするが、ある程度の所で修正は打ち切ってしまうという傾向が見受けられる。よってこのゲームについても次作以降では実施された修正をこちらにも適用させて長い期間サポートを継続するというスタンスは見せていない。


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