8番出口 (The Exit 8)




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更新履歴  24/09/07 レビュー掲載 (Ver1.0.9)

販  売  制作・販売:  KOTAKE CREATE
 発 売: 2023/11
 日本代理店: 無し

 2024/09/07 現在 Steamにて定価 470円で販売中

概  要  コタケクリエイト氏は日本の個人ゲーム制作者。ゲーム制作会社勤めの傍らゲームを制作していたのだが、このゲームのヒットにより個人制作者として独立している。

 2024/08の時点で売り上げは100万本を突破という大ヒット作となった。また同類のゲーム性を持った作品が国内&海外にて多数作られる様にもなり一つのジャンルを創設したと言えるほどの影響力も持っている。(ジャンル名は国内だと“8番ライク”だが海外では“Anomaly Hunt”と呼ばれるのが一般的)。

 ホラーファンの中には2018年のリリース以来人気を得ているシリーズで、同じく一つのジャンル(Spot The Difference Horror)を作り出すまでの影響力を持ったI'm on Observation Duty(現在6まで)との類似性を感じた方も多いと思うのだが、やはりその通りで発想の源はこのゲームだったそうだ。これにTwelve Minutesなどのループ物要素をミックスさせたいと考えて、いろいろと試行錯誤した結果このゲームの様なスタイルになっている。


 続編となる8番のりばが発売済み。これは姉妹作の様な位置付けとなり8番シリーズはこれで終了となる予定。現在はSTRANGE SHADOWを制作中。

 対応プラットフォームはPC, Switch, PS4と5。VR版はこれまでMeta Quest専用のタイトルであったがSteamでもリリースされる予定になっている。

STORY  特に無し。


パッチ&トラブル関連
 画面に表示はされないがパッチノートによれば現在のバージョンはVer1.0.9


*セーブファイルの場所は以下の中(隠しフォルダを表示する設定にしておかないと見えない)
 C:\ユーザー\(ユーザー名)\AppData\Local\Exit8\Saved\SaveGames


※ 起動時に画面が暗い
 本来よりも暗い表示になってしまうという問題(ゲーム内に明るさ調整は無い)。これには「開発に使用したゲームエンジンのUE5の機能であるLumen,NaniteがDirectX 11か、12に対応したGPUを搭載したPCでないと正常に動作しない可能性があります。」という風に返答されているのだが、対応しているGPUでも発生するという報告は幾つか出ており完全な解決には至っていない模様。


※ 異変が発生しなくなる
 バグなのか単にプレイヤーが異変に気付いていないのかが判然としない為に解決が難しい。現在のバージョンではセーブデータの削除機能がメニューに設けられているのでそれで最初からやり直すという方法も有り。


シ ス テ ム

・難易度は無し。一度クリアすると異なるゲームモードになる(後述)。
・ゲーム途中でのセーブ機能は無し。ただしクリア後に経過をセーブする機能は有り(後述)。
・現在の目標の参照機能なし
・アイコン表示や矢印による進行方向ガイド機能&ミニマップを含めてのマップ表示機能は無し
・字幕無し

*キーアサイン不可×, マウス感度設定可○, マウス反転可○, 明るさ調整不可×
*一人称視点固定, FOV調整可○
*スプリント○, 屈み×, ジャンプ×
*照準(カーソル)無し
*コントローラー対応○
*Steam実績対応


・キーボード操作の変更は出来ないが割り当てガイド画面も用意されていない。おそらくシンプルだからだと思われ前後移動とスプリントのみとなっている。

・画面揺れの設定, モーションブラーの切り替え, FOV変更など画面酔いへの対策は幾つかあり。後は負荷が大きいと描画が重くなり酔いへの影響が出る恐れがあるのでなるべく軽い設定にした方が良い。


BASICS

異変を見逃さないこと
異変を見つけたら、すぐに引き返すこと
異変が見つからなかったら、引き返さないこと
8番出口から外に出ること

 上記が基本ルールとなる。付け加えると異変が発生する可能性が有るのはメインの通路だけ(左側に広告看板等の有る, 天井に8番出口のガイド表示が有る)である。端から端まで見通せる程度の長さしかないが全てはこの中で発生する様になっている。

 このゲームは起動するとメニュー画面が表示されずにいきなりゲームが開始されるのだが(ESCでメニュー)、制作者の意図としては、この最初のシーンでは異変は発生していないので正常な状態を憶えるのが目的 → そのまま通路を進むとルールが表示された上記の看板が出て来るので、それでゲームの進め方を理解するという狙いだったそうだ。ところが既に異変を見付けるのが目的という件が知れ渡っていたりした為に、最初の異変の無い見本状態の通路で早速異変探しを始めてしまうプレイヤーも発生してしまいそこは少し失敗だったと述べている。

 より詳しく説明すると、メインの直線通路を奥の突き当たりまで移動しながら異変の有無を探す。その際に通路をスタート地点までは戻っても良い。通路はずっとクランクコースの様に直角に曲がりながらループして続いて行くので、「異変は無い」と思ったらそのまま前へと進む。一方で「異変を発見」したと思ったら反転して引き返し戻るルートを進んで行く。そしてどちらにしても折れ曲がると黄色の出口案内の看板が見えてきて、異変の有無が正解だった場合には出口の番号が+1され、不正解だった場合には番号は0へとリセットされてしまう。これを繰り返して出口の番号を8番まで上げ、その状態で次も正解すれば8番出口より地上へと出られてクリアとなる。なお異変を発見したとして通路を戻った場合、正解・不正解のどちらであってもそのまま先に進んでOKである。どちらへ進んでもループしながら通路は前へと進んで行く(異変発見と考えて逆方向へと進んだのだから、番号で成否を確認したらまた反転して元の方向へと進まなければならない、とは考えなくて良い)。


 その他に付け足しとして、異変探しに基本的には時間制限は無い。ネタバレにもなるので詳しくは書けないが、一部の異変はそれに対応したリアクション(逃げる等)を時間内に採らないとゲームオーバーになる物も存在している。

 異変を見逃してしまい不正解だった場合でも異変が何だったのかは示されない。正確にはどこで切り替わるのかは未検証だが、曲がって離れた位置から番号を見たら0番になっていたので「実は異変が有った」と解った際に、戻って異変を確認してみるという事は可能。ただし見付けられるのかは保証の限りでは無い。


 出口より脱出に成功するとモードが切り替わる。その後は未発見の異変だけが出て来る状態になり、残りの未発見数をカウントする掲示板が表示される様にもなる。ただし異変だけが発生する訳ではなく、異変無しの通路も出現するという所は変わらず。だが既に一度脱出しているので繰り返しの脱出成功にこだわる意味は薄く、とりあえず正解にこだわらずに進んで異変を全部確認(実績が解除される)するまでプレイし続けるという風になるだろう。ランダム発生だと全部体験するのにどれだけ時間が掛かるのか判らないので大変だが、こういうシステムに切り替わってくれるので全異変の体験をしたいという分には非常に親切な作りである。その反面失敗してはならないという緊張感は無くなるので、ゲームとしての面白味は低下してしまうという問題は有り。

GAMEPLAY
 全ての異変を見付けるまでに1時間半くらい。ストアには15〜60分という記載があり(初回クリアまでが短ければ15分という意味だろう)、価格は安いが短いというのは確かである。なおリプレイ時はスプリントを多用していたので、あまり使わないという人とは差が出そう(ちなみにスプリントは切り替え設定が欲しいところ)。


 最初に書いておくと、プレイ動画も見たことが無いので「異変を探すゲーム」という基本的な情報しか持っていなかったのだが、実際にプレイしてみると事前に想像していたのとは異なる内容の作品であった。この場合の想像とは「制作者側が巧妙に隠そうとしている異変を、プレイヤー側は注意深く周囲を観察して発見するのが目的」, 「その正解発見の達成感を味わう事によりプレイヤーは満足感を得る」といった事なのだが、これ等はゲーム内においては一部を占めているのみ。

 ではどうなっているのかと言えば、出現する異変の中で上記の様に「制作者側が巧妙に隠そうとしている」タイプの物は全体の1/3程度しかなく、残りの2/3はかなり解り易い異変となっている。あるいは全異変の半分程度は、「見逃す恐れが無い, どんなプレイヤーでも100%異変と解るレベル」である。その解り易い異変とは以下の様なタイプになる。

・意表を突いてビックリさせるのが目的のイベント
・ゾッとさせるタイプのホラー現象
・笑いを取りに来ているギャグ系の異変

 つまりこれはどんな異変が発生するのかを楽しむ, 予期せぬイベントの発生で面白がらせるという点に力が入っている作品であり、正解を隠すvs発見するという知恵比べやその達成感には1/3程度の比重しか置かれていない事になる。(余談だがこのジャンルの作品を他にプレイしていない為に、影響を受けている作品でも皆こういった比重なのかは未検証である)。

 よってハッキリと異変だと即解るタイプのイベント的な異変の面白さというのが評価においては重要視されてくる。これで発生イベント自体に面白味が無いのならば、正統派の異変探し要素が1/3程度しか用意されていないだけに全体がグダグダになってしまう所だったが、そういうゲーム内容なのだと解った後はイベントの方を重点的に味合わせて貰い、結果としては十分に楽しめたというのが感想。一方で純粋な異変探し(知恵比べ)を求めてプレイした人は肩透かしを食う可能性が高い。

 発生する異変のイベントに重点が置かれているので、それ等を全て(数多く)体験しないと面白さを損なう。よってリプレイが重要となってくるが、これに関しては既に解説した様に「2周目には未体験の異変だけが出現する」という仕様なので時間は大して掛からないという親切設計である。


 上記の様に真剣に異変を探さなければならないというケースは1/3程度であり、残り2/3の異変は簡単に解るレベルなので、出口に到達するのに必要な8連続して正解の難易度は実はあまり高くない。後は繰り返しになるが異変に遭遇した際に素早くリアクションを採らないとゲームオーバーになるタイプの物も有るので注意(ネタバレになるので具体的には書かないが)。その時は暗転後にカウントは0にリセットされてしまう。ただし一度体験すれば対応も理解出来るので特にアクションゲームの操作スキルが要求される訳では無い。

 制作者によれば、異変の発生は基本的にはランダムなのだが、完全にランダムだと運が良ければ簡単にクリア出来てしまう状況も有り得るので、4番出口を超えて進むと「演出として見せたい異変や難しい異変」が優先的に出る様になっているそうだ(ゲームオーバーになる事も体験して貰いたいから)。

 正統派の“簡単には見付けられない様に巧妙に隠そうと試みている”タイプの異変については、非常に細かいという物は存在していない。例えば「看板広告の中のある一文字だけが異なっている」, 「蛍光灯の数が変わる」といった物。だが難易度が高い物は少しだが有り。

GRAPHICS & SOUND
 Unreal Engine 5を使用。グラフィックス設定のプリセット4種。個別の設定項目は4個。画面モードは排他的フルスクリーン, ボーダーレスフルスクリーン, ウインドウの3種。フレームレート上限設定有り(120Hz)。

 フォトリアリスティックなグラフィックスを採用しておりそのクオリティは高い。しかしその分重いという欠点も有り。またゲームのデザイン上仕方がないのだが、同じ風景が続くだけなのでバラエティさには欠ける。


 ボリューム調整可○, 3Dサウンド対応, ボイスなし。私の環境の問題かもしれないがサウンドがボリュームを最大にしても小さ目。それと異変の種類が視覚系だけでサウンドを元にした異変は出て来ない為に、効果音を含めた音数は最小限といった感じで非常に少ない。

BOTTOMLINE
 大ヒットして新しいジャンルを作り出した程の作品だが、実際にはゲームプレイ(プレイヤーに頭を使わせる等)の方は薄めである。体験を楽しむタイプの作品となっており、そういった内容なのだとして受け入れられるかが重要。制作者が知恵を絞って隠そうとしている異変を、プレイヤー側は注意深く観察して見抜くといったゲーム性は中身の一部分でしか無く、それを存分に楽しみたいという方には向かない。

 ボリュームは短いが安価なのでそこは問題にはならないだろう。個人的には楽しめた作品だが、「是非ともこれはプレイするべきだ」とお勧めしたいとまでは思わない。短時間でクリア出来る, 安価で面白い作品、となった際に候補作として挙げられるタイプのゲームである。


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