更新履歴 | 20/04/17 レビュー掲載 (V1.03) |
販 売 | 制作・販売: Chilla's Art 発 売: 2020/02 2020/04/17 現在 Steamにて定価 310円で販売中 |
概 要 | 「Retro-Japanese Horror」シリーズ」の第六弾。心理的ホラー物としては四作目となる。ただし今回は時代設定が新しめでレトロという感じでは無い(画面エフェクト等がレトロを感じさせるという意味合いなのかも知れない)。 なおChilla's Artの商品ページにおける作品紹介には少々問題が在り、似ているゲームだからという事なのだろうが前の作品の紹介文をほぼコピペしただけというケースが多い(ゲーム名が前作のまま修正されていないという事まで過去にはあった)。今回の夜勤事件もコピーしてきた後に修正が不十分という印象で、実際の中身とは異なっていると考えられる記載も見られるので完全には信用しない方が良いと一言書いておく。 |
STORY | コンビニエンスストアで働く女子大生が主人公という設定。 |
パッチ&トラブル関連 |
最新はV1.03。 今回はV-SyncがON/OFF可能になっている。 |
シ ス テ ム |
・難易度は無し ・セーブは出来ない。チャプター単位でのリプレイも無し。 ・現在の目標の参照機能や矢印による方向ガイド機能は無し。ミニマップを含めてのマップ表示機能なども持っていない。 ・字幕有り(日本語対応) *キーアサイン不可×, マウス感度設定可○, マウス反転不可×, 明るさ調整可○ *一人称視点固定, FOV調整不可× *スプリント○, 屈み×, ジャンプ× *照準(カーソル)有り *コントローラー非対応× *Steam実績対応 設定画面はプレイ中にESC押下だが、ゲームに戻るのもESCである。設定画面上の「終了」は設定画面の終了では無く“ゲームの終了”の意味なので間違えない様に注意。 |
GAMEPLAY |
初回は60〜120分位のボリューム。個人的には90分ほど掛かった。エンディングは2種類(実績上では2個だが他に微妙な差異が存在しているエンディングはあり)。プレイヤー側で急いで時間短縮は出来るが、ゲーム側でスクリプトによって実行されるので短縮出来ないパートが結構多く、既に流れが解っているリプレイ時であっても時間の短縮はある程度までとなる。 これまでに比較すると長くなっているのは良い点だが相変わらずセーブ機能は無し。今回は区切りが発生しているのでマップを戻るという概念は無く、セーブ機能の開発はやり易くはなっているはずなのだが実装されていない。その為に途中で止められないし、もし落ちたりバグで進めなくなったら最初からだし、別エンディングを目指すには最初からまた長い時間を掛けないとならない。 進行には「第何夜」という形式で区切りが設けられており、毎晩自宅から始まってコンビニにバイトに行くという流れとなっている。コンビニまでの道は入り組んでおり初日はどこに有るのか探すのに手間取る可能性が高いが、その複雑な街路や家々にて特に何かイベントが有ったりはしない様である。勤務の終了後は自動で帰宅するので帰りは律儀に家まで戻る必要は無し。 コンビニ内部はあまり複雑には作られておらず、ポテトチップスが大量に棚を埋めていたりと数少ないアイテム類で構成されており再現度は低い。徹底して精細に作り込む必要は無いがもうちょっとバラエティさを設けてリアルさを出して欲しかった。 ゲーム性としてはアイテム探しやその活用とパズル要素が少し。アクションやステルスの達成等のスキルを要求されるシーンは含まれていない。 活動範囲はコンビニに限られているのでその範囲は狭く(勤務中は外部に移動出来なくなる)、インタラクト可能な物や場所には目立つアイコンが出る仕様なのでそこは解り易い。またやるべき仕事の説明も残されていたりする。しかし今作では客が来店したりとNPCとの絡みが存在しており、その登場タイミングがゲーム側のスクリプトに任されていたりもするので、「スクリプトの発動タイミングをただ待っているしかない」のか「スクリプトを発動させる為に何かやらねばならない事項がある」のかという判断が解り辛かったりという面は持っている。 パズル的な作業に関しては大半は難しくは無いのだが最後のパズルに関しては問題有り。パズルの設定はユニークだしそこは評価出来るが、難しいのでは無くて答えが解り難い。多数のあるアイテムの中から正解の物を複数選び出すという設定なのだが、それを判別する為のヒントが視覚的にハッキリしないのが欠点。 これまでの作品ではレトロなジャパニーズホラーと銘打ってVHSビデオ風の画質を用いたりしていたが、今作では時代設定がおかしな事になってしまっている。出現するのはVHSテープで、主人公の自宅にも再生用のビデオデッキが有るという点では時代はかなり昔のはず。だがその一方でコンビニではQRコード決済をしていたりと時代設定が合致しない(ストーリーの解説シーンによれば少なくとも2009年以降の出来事の様だが)。あまり突っ込むべき箇所ではないのかもしれないが気になるのは確か。 VHS風のノイズエフェクトは該当するテープの再生映像に使われているだけと限定的。通常プレイ時の画像エフェクトは設定画面においてはカメラエフェクトという名称で、照準が二重になど精細度が低下してブレたりや色滲み風のエフェクトが使われている。当然オフにしている方がハッキリと明確になってプレイはし易い。ただし独特の雰囲気は失われてしまうので難しい所。なお今回は明るいシーンがメインなのもあって過去作ほどにはエフェクトがオンでも気にならないとは言える。 ホラーとしては新鮮な印象でここは高く評価出来る。ホラーには向いている自宅からコンビニまでの暗くひっそりとした街路などはその演出には使われず、逆に明るい店内を舞台にしているのがユニーク。日常的な業務をこなしているうちに段々とおかしな事が起き始めるという構成も良く出来ている。NPCが登場するなど生活感もあり、その人物達がどこか奇妙なイメージを持っているのも薄気味悪くて効果を挙げている。ビデオテープの再生と絡んだ演出や監視カメラの使い方などは別の作品を連想させたりもするがパクリとかそういったレベルでは無い。なおジャンプスケア的な演出は一部に有りだが軽度である。ちなみに一番ビックリさせられる演出はホラーとは全く無関係なシーンで行われる。 その反面ストーリーの方は駄目と言わざるを得ない。(エンディングによるが)どういう話だったのかは最後に説明はされるのだが、まずその背景設定となるストーリー自体が面白く無いし怖くも無い。加えて主人公の体験した事とどういった関係があるのかも詳しくは説明されずに終わってしまう。「プレイヤー側の想像に任せてあえて明確な説明はしない」というのは日本式ホラーの定番ではあるのだが、それが上手く行くのは「良く解らないが不気味で怖い」という印象を与えられた場合であり、「詳細まで説明されていない上に面白くも無い話」と思わせてしまっては失敗である。 エンディングは2種類でおそらくラストの選択でのみ決定されると思われる。先に書いたが進行方法を解っていてもある程度は掛かるので別エンドへの到達は面倒にはなっている。 |
GRAPHICS & SOUND |
Unityを使用。グラフィックス設定のプリセット無し。個別の設定項目は7個。画面モードはフルスクリーンとウインドウ。 グラフィックスの設定はこれまではほぼ無かったのが今回は増えている。だがオンにすると明かる過ぎて白飛びした様になって見え辛くなる項目も有り、明るさ調整と合わせて好みでバランスを取る必要を感じさせる。単純に全部有効にしてそのままにはしない方が良い。 テクスチャーは高精細な物と非常に粗い物が混在している。登場人物達の造形は実写取り込みのテクスチャーをローポリゴンのモデルに粗雑に貼り付けた様な感じで、意図的なのかは不明だがその描画が奇妙な味を醸し出して効果的に働いている。 ボリューム調整可○, 3Dサウンド非対応, ボイス有り。ボイスは日本語対応(いつもの女性)。せっかくのNPCなのでこちらもボイスが有ればなお良かった。ホラー系のエフェクト音は増加しているという印象。後はBGMなどがもっと利用されても良いと思わせる。 |
BOTTOMLINE |
設定や演出がユニークでその意味では良く出来ていると評価出来る。もっと複雑化させて演出やNPCを増やしてボリュームが多ければなお良かったが、低価格(予算)故にそこは仕方が無いだろう。チラズアートの成長を感じさせる作品でお勧め出来る。 ジャンプスケアのショッキングな驚かし系では無く、気持ち悪い・不気味という系統のホラー。とびきり怖いというタイプでは無いのでホラー物が苦手だがアドベンチャー(謎解き)系のゲームは好きという方でも楽しめると思う。ただしやはりセーブが出来ないという件は大きな減点となる。 |
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ヒント&解答 |
ヒントと解答。ネタバレなので反転表示。 *ラストのパズル(正解条件) 多数のTVの中から正解となる4個のTVを選び出す。4個のTVをオンにして成功すればそのまま点灯状態で先に進めるようになる。失敗すると異音が鳴って全TVが消灯して最初から。ここでは正解に到達したと明確には示されない為に、正解しているにも関わらずそうではないと誤解してあれこれと他の事を試したりしてしまうというケースも見られる。 *ラストのパズル(解答) 監視カメラを覗いて子供の幽霊が視ているTV4台を選択する。だがここではカメラが遠い為にハッキリとどのTVモニターを見ているのかが判断し辛い。エフェクトは切って画質をハッキリとさせ、カメラを(わずかだが)動かしたりズームしたりして視線の位置を見極める。足元の釘の状態や床の模様で立ち位置を把握するという方法も有効。正解画像 *エンディング おそらく最後の選択だけで他の行為は影響しないと思われる。他者に送り付けるのはエンディング1。ゴミ箱に捨てるのとビデオ再生はエンディング2。後者は若干だが見せ方が異なる。 ちょっと気になる点としては、他者のプレイ動画でエンディングを確認したりした際に気が付いたのだが、エンディング1でのストーリーの説明文が私の時とは異なっている。途中まではおそらく一緒なのだが、動画では背景の説明で終わっているのが、私の時はその後に主人公に起きた出来事の記述が追加されている。可能性としては2つ考えられ、パッチで修正したという記述が見られるのでエンディング1にて流れる文章を変えているケース。幾つか確認してみたプレイ動画は以前の修正前のバージョンの物で、私のは修正後のv1.03だからという意味合い。もう一つは私はリプレイ時にエンディング1に到達したのだが、その際に何か変化が生じるのかと初回とは異なる行為をしてみるという姿勢で臨んでいた。その時に女性から渡されたお守りを受け取らないという風にしても進められたのだが、それによって最後の記述が変化するという可能性。つまりお守りを貰っていると加護されているので主人公にはその記述の様な事が起きないで終わるという設定。検証するのは面倒なのでやらないが.... |