<COMBAT>
戦闘の基本的なシステム
*メイン武器は2つまで所持可能。持ち替える場合はUSEキーで拾いたい武器と交換となる
*PistolとGrenadeは別に所持しており、これらは3,4キーにて呼び出す
*Lean及びProneが可能
*Iron Sightを採用しており、このモードだと正確性が増す。その代わりに移動速度が大きく落ちる。
*Recoil(反動)はそれほど大きくない
*姿勢による命中率の変化に乏しい。立った状態でも命中率は結構高い。
*ヘルスパックでの回復有り(Veteran除く)
*持っている武器で移動速度が変化
*歩き(Walk)という要素は無い
*基本的にFriendly FireはON
Iron Sightといった要素を導入はしているが、リアルさ重視ではなくてあくまでもアクション系のFPSといった設定。実質Iron
Sightにしないと当たらないというのではなく、近距離であれば普通に腰撃ちでも十分であり、むしろ近距離では構えの姿勢を取ると一瞬攻撃が遅れてしまう事も。或る程度離れた場所にいる敵を狙うのにIron
Sightを使うと考えた方が良いだろう。同様に反動もそれほど大きくなく、ちょっと連射すると大きく跳ね上がってしまうという風にはなっていない。しかし敵から被弾した際には画面が赤くなって大きく銃が跳ね上がる様になっており、こちらの方が戦闘中には厄介な存在だ。
ダメージについてはNormalでは普通のFPSといった感じで、またヘルスパックが結構有るので大半のミッションではそれほど難しくは無い。しかしHardでは一気にダメージ量が上がり、ヘルスがMaxでも弾の威力が高い場合には2発で簡単に死んでしまうようになる。ヘルスパックは有るのだが、それ以前に死ぬ時はものの1秒で死んだりするので難易度が高い。上にも書いたように一発命中すると銃が跳ね上がってしまうので、最初に当てられるとそれでもう反撃出来ずに終わりといった事が頻繁に起き、ちょっとこの部分はアンバランスに感じる。これと絡んで姿勢に関していえば、その命中率の変化よりも敵からの被弾の可能性の変化の方が何倍も重要となる。姿勢を低くするほど敵の弾が当たり難くなるので、命中率を上げる為ではなくて被弾率を下げる為にProneの姿勢を取って行動するといった感じ。Normal辺りだとそれ程神経質になる事も無いが、Hardだとかなり重要な要素となって来る。
武器は2つまでなのだが、ミッションによっては初期装備の弾が足りなくなってしまうという事が発生するので、他の武器への持ち替えのタイミングやどれを取るかには頭を悩まされる個所も。武器(弾薬)は消えないので後で長い距離を戻って回収に回るという場合も出てくるだろう。それとFFがONになっている為にプレイヤーの攻撃が誤って当たると味方はダメージを受けてしまうし、ミッションによってはFFで殺してしまうとその時点で失敗になる物もある。逆に意図的にはプレイヤーを狙ってこないとはいえ、突然前に飛び出したりとかした場合には当たってしまう事も有る様だし、Grenade等で味方からダメージを受けるケースも。
CoDにおける戦闘の最も特徴的な点としてはスクリプト多用というのが挙げられる。FPSゲームではMapの中に敵を予め配置しておくという方式が一般的だが、CoDではイベントやプレイヤーが或る地点に到達したのをトリガー(引き金)として敵が出現するという方式を基本的に採用している。勿論こういったやり方で敵が出現するという方式はFPSゲームではよく見られる物なのだが、CoDではこのトリガーを使っている個所がとにかく多く、全体の80-90%はこうなっているのではないかと感じられる。つまり事前に配置されている敵に対してプレイヤー側から仕掛けられるのではなく、或る地点に達したのをキッカケに敵が出現して来るというシステムである。ほとんどの場合出現した敵はプレイヤー(側)の存在を知って出てくるので、ステルス行動での先制攻撃といった要素はゲームにはあまり含まれていない。
こういった形での敵の出現はやり方によっては面白くなる要素ではあるのだが、逆に問題となる要素も孕んでいる。まず敵の出現の仕方が一定でありこれはリプレイ時に単調になったりするいう事と、その反対に事前に敵の出現パターンを知らないと難しい個所が出来てしまうというのもある。突然出現する敵は文字通りにその場所にSpawnする事が多く(仮に事前にそこから出ると知っていて、その前にGrenade等でその場所を攻撃しておいても無駄)、大抵の場合プレイヤーの存在を知った状態で出てくる。その為にこちらがそれに気が付かないとか反応が遅れると先制攻撃を受けてしまう事になり、これは特にHard以上の難易度では非常に厳しい。自分の目の前に出てくるのならばまだしも、これは知らないと無理といった個所からの攻撃もあったりするので、その意味では死んで憶えながら進まないとならないというケースも多々出てくる。
これだけ敵の出方がスクリプト化されていると、射撃の腕云々よりもどれだけ敵の出現パターンを憶えているかの方が重要という風にもなり、FPSゲーム本来の戦闘の面白さにはマイナスとも感じる。部隊行動で変化が有るとか難易度を変えてのリプレイならば良いのだが、同じ難易度でのリプレイ性は低い方と言わざるを得ないだろう。実際の所このゲームでの面白いと感じられるミッションは、FPSゲームとしてのシューティングの面白さが感じられる物とは必ずしも一致してはいない。
武器の使い勝手ではとにかくSniper Rifleが強力であり、ほとんど着弾点がズレない上に頭部でなくても通常一発で死亡させられるので非常に役に立つ。ちょっと強力過ぎるという感も有って、もう少しスコープの揺れといった要素を導入しても良かったかも知れない。SubMachineGun系武器は威力やレンジには差が有るのだが、敵は基本的に3-5発程度当てないと死なないケースが多く、それ程のリアリティや強力さは感じられない。中から遠距離攻撃には向いておらず、これはRifle系の武器に持ち替えた方が無難。万能系武器としては独軍のAssault
RifleであるMP44やFG42が有効であり(ただしFG42はほとんど登場しない)、連合側のBARやBrenは個人行動時には向かないのでやや劣るか。後はGrenadeが結構有って使い方によっては非常に有効な武器なのだが、これは味方にもダメージを与えるのでミッションによっては使いにくかったりもする。個人行動の場合には敵が圧倒的に多くなるので、Hard等ではこれで上手く倒して行かないと辛いバランスとなるだろう。
敵は攻撃が当たると仰け反ったり一度倒れたりといったリアクションをしてくれたりするので当たっているという感覚はあるゲームだが、場合によっては複数回倒れてから起き上がってきたりもするので慣れないと死んだのかの判断が難しい(武器が落ちればそのまま死亡)。
一方で敵側の命中精度にはかなりのランダム性が感じられて、どの程度当たる危険性があるのかは掴みにくいゲームである。全く同じ個所からLoadして同じ様な行動を取っても、結構当てられたり当たらなかったりがバラバラで、或る意味運任せの要素が強かったりする。特にHardだと上手く敵の弾が当たらない様な事が起きるまで繰り返しプレイするといったやり方で突破する個所も多くなって来るだろう。これは敵の攻撃に人間らしさが感じられるという点で私は良いと思ったが、人によってはやりにくさを感じる個所かもしれない。
認識力という面では一応不自然に遠距離からこちらを発見してしまうという問題は感じられないのだが、或る一定距離に近付くと確実にスクリプトとしてこちらを攻撃して来るという個所は結構有るので、事前に敵の位置に気が付かないと不味いという事はある。特にSniperの存在が滅多に無い代わりにMG42の数が多く、これは射程内にうっかり踏み込んでしまうと一気にやられてしまう可能性が高い。
戦闘においてユニークさを感じる部分は仲間の利用方法で、例えば味方が沢山いて自分が危うい状態ならばうまく戦闘になるように仕掛けて自分は隠れて敵が減るのを待つといった戦法を使ったり、補充される方式のMapならば少なくなったら援軍を待ってから活動を再開したりといった事が出来る。同じく無敵の仲間については(特にHard以上の難易度では)上手く使うと使わないとでは相当な差が出てくる。仲間が死ぬと補充されない場合は積極的に自分が前に出てカバーしてやって、その後を楽にしたりという風にも出来る。つまり自分が個人としてどういう風に戦うかではなく、味方と一緒にどういう風な動きで戦っていくかに面白さの焦点が置かれており、普通のFPSとは目指している物が違うという印象を受けた。
<AI>
売りとして前面に押し出されているのがConduitと呼ばれる新AIシステム。MOHAAとは全く次元が違うSquadベースのAIとなっており、発売前には「これよりも優れているAIが存在するなら教えて欲しいくらいだ」と自信有り気にコメントされていた。まずは発売前にIWから出されていたそのAIに関する情報をまとめた文と、実際のゲームではどうなのかを比較してみたのが以下の文章になる。この色の個所はそれが実際には出来ない、或いはゲーム中で確認出来なかった物となる。
まず新能力としてSuppressing Fireを行う能力が加わっており、自動或いはプレイヤーの指示によって敵のいる位置にマシンガンでの銃撃を続けて敵の攻撃を牽制し、頭を引っ込めている間に味方が移動するのを助けるといったプレイが可能になっている(もちろんこれは敵側も行ってくる)。この場合複数のSquadで行動していれば、最初のグループの前進を他方が助けた後、今度は役割を変えて進んだ側が制圧射撃を加えて後方のグループの合流を助けるという形を繰り返し、目的地点まで進んで行くという能力を持っている。
基本能力として障害物から次の遮蔽物への移動は勿論の事、フェンスを乗り越えたり開いている窓から侵入したりといった判断も出来る。開いているドアや窓を認識して敵に見えない位置から壁に反射させる形でGrenadeを投げ込めるし、投げられた物を拾って投げ返す事も出来る。また負傷した味方を安全な場所まで引き摺って移動させたりもやってくれる。攻撃時には体を大胆に曝してと行った自殺的な行為はせずに、Leanにて障害物から最小限の面積しか出さずに銃撃出来るし、壁に開いた穴が有ればそこを通しても撃てる。また現在のシチュエーションを理解するという事が出来て、敵の攻撃が強力で顔を出すのは危ないと感じたらそのまま無理に反撃は行わなず、多くのゲームの様に「敵がどれだけいようが自分が死ぬまで同じパターンで攻撃を続ける」という不自然さは無い。
次に3つの姿勢を状況に応じてちゃんと使い分け、不用意に立って移動したり逆に急ぐべき時にProneのままといった事は無い。プレイヤーに比べて視界が良過ぎるといった不自然さも無ければ、前進する場合は安全確認を怠らないし、仲間が来ていないのに自分だけで突っ込んでいったりもしない。うまく回り込んで敵の側方から奇襲したりといった事まで行える。更に集団行動中はどこにプレイヤーを含めた仲間が位置するのかを理解しており、狭い通路での通行の妨げになったり銃口のラインに無闇に体を出したりといった行為は行わない。
またデフガンの様な固定式の兵器を扱っているAIは持ち場を離れるという能力を持っており、固定されてMapに置かれていると思い込んで注意を背けると武器に持ち替えて席を降りた兵士に背後から奇襲されたりもする。他の地点への移動能力も高くて、開いた窓の様な同じ空間から延々と攻撃を続ける訳では無く、或る窓から攻撃をし続けた後に別の窓まで移動して攻撃を加えてくるので「待っていればまたあの場所に顔を出すはず」という常識が通用しない。
しかもAIはこれらの動作全てをスクリプトではなくその場の状況判断から行うので、何百回同じミッションをリプレイしようが全く同じ展開になる事は無い。勿論スクリプト部分が無い訳ではなく、ゲーム中のAIの行動のどこまでがスクリプトによる物なのかは詳しくは分からないが、これは状況によって使い分けるという風にするようだ。多くの人間がスクリプトと考えている個所はAIが自己判断で行っているし、スクリプトシーンとの区別は付け難いだろうとコメントされている(例えば仲間を引き摺って移動する等の動作)。
上記の様に実際の製品では最初の話とは相当異なっているのが分かる。例えばプレイヤーが指示を出せるという話だったのだが、具体的なコマンドとして指示出来る個所はゲーム中には存在しない。或る程度動きをコントロールする事は可能なケースも有るが、残念ながらかなり限定的でしかない。或いは動きがスクリプトなのか否かについては、あまりにもスクリプトが使われている個所が多いので、本当はスクリプトでは無いとしても区別が付けにくいという風になってしまっている。
基本的にAIの動きはWaypointにて行われており、配置されるポイントが幾つか設けられていていて、その内のどこかに付くという風に動く。よってあまり固まらずに散らばって配置されるという現実的な動きを見せるのは確かだが、完全にランダムにポジションを取ったりはしない。プレイヤーがカーソルを向けてFireを押すと「そこをどいてくれ」というコマンドになり、そうなると空いている他のポイントへと移動する。よってオープンなフィールドにて戦闘になった際に、Waypointが無い場所でも”そこに隠れられる”といった判断が出来ているのかは定かではない。前に障害物が有った時に乗り越えられるのかの判断は可能な様だが、窓枠をくぐったりとかは判断しているのか分からない。
動き自体は悪い訳ではなく、どこへ移動しても引っ掛かりといったバグは無いし、Waypointから次の個所へは直線移動が可能になっているようだ(わざわざ前のWaypointを通る為に戻ったりとかはない)。その他不用意に敵のマシンガンの前に姿を見せるといった事はせず、ちゃんと障害物からLean等で体を見せないようにして攻撃を仕掛けていく。状況に応じて伏せたりしゃがんだりもキチンと行えるようだし、Grenadeが付近に転がった場合はちゃんと逃げられる上に、味方が投げた物でも認識して避けてくれる。また敵の物を拾って投げ返したりも行える。
一度スクリプトとして登場した後の戦闘シーンでは動きにランダムさ、自己判断の要素は見られる。ケースによるがずっと同じ場所に突っ立ったままではないし、こちらを追ってきたり逃げたりという動きも見られる。味方と一緒にいるケースでは敵を味方が対応して倒してくれるケースは多々有るし、壁の背後から攻撃を行う際でもポジションを取る場所自体は固定では無い。しかしあまりにも大枠(初期動作)を決めている動きがスクリプトによって制御され過ぎている為に、ミッションの展開は同じに感じられるケースの方が多くなっているのが問題点。仮に自由な判断力が有るにしろ初期動作がスクリプトにて決められてしまっているので、そこからの動きが限定されてしまって変化に乏しくなってしまうという意味である。
一応感心した動きを列挙してみると、部隊の動きには広がりが有って”それらしい”動きは見せてくれる。戦闘になると広く散開する事が多いし、プレイヤーに付いて固まって団子状に行動するという風にはなっていない。移動中の姿勢も出来るだけ腰を落としての物となっており、走るべき時にはちゃんとその様に切り替わる。MG42に付いてこちらを攻撃する役の敵をそこに来る前に攻撃した場合、無理にMG42へは向かわずにその場から攻撃して来るという対応を見せる。同様にGrenade等の攻撃を行うとMG42やFlakからちゃんと離れて攻撃して来る。障害物から顔を出して攻撃して来るのは一定間隔ではなく、こちらの攻撃が激しい場合は引っ込んだままで、攻撃が一時止んでから再度攻撃を仕掛けてくる。また必ずしも攻撃を仕掛けようとする訳ではなく、ソロソロと顔だけを出して様子を覗うとか座り込んで背中から壁に張り付くとか動作も多彩である。GrenadeをAIに投げさせるのはかなり難しいので、投げさせるとしても固定された個所で決められた方向にだけ投げられるという風にしているゲームが多いが、CoDでは一応敵味方共に自由に投げてくる個所はあるようだ。失敗しての自爆も少ないし、この点は現時点では優秀な部類に入るだろう。
気になる部分としては、膠着状態になっても変化を求めるような動きは見せない事が多い、ダメージによって動きは変化しない、それとフォーメーションに関しては特に考慮されていない。それぞれの武器(役割)によってポジションを変更するといった行為はしてこないので、前線にRiflemanが並んで後方をMachineGunnerが守るといった事も起きてしまう(ただこれは前線の兵士をFireにてどかしてから、後方のMachineGunnerを同じくFireにて移動させることでポジションをある程度はいじる事が可能である)。
プレイヤーしか行えない作業や、プレイヤーが進まないと皆が動かない個所も有るが、これに関しては弾やヘルスの補給とかの探索時間があるので、或る程度はプレイヤーのペースで進ませないと問題が有るという観点からすると仕方ない所か(隊から離れている間にAIがドンドン先に進んでゲームをクリアしてしまうのを避けるには)。
総合的には良く出来ており、特別に悪いという感触ではない。しかし事前に大きくその能力の高さを宣伝していただけに、実際の出来はそれを下回る物だったという感はどうしても出てくる。上に書いたように最初の登場の仕方といいスクリプトにて動かされている個所が非常に多いので、実際の所どの程度状況に応じて動けるのかがハッキリしない。こういう風に指定してやらないと大して動けない程度の判断力しかないAIなのか、それともその持ち味をスクリプトの多用で殺されているのか? もう少し事前に配置されていて、プレイヤーの行動に応じてリアクションを起こしてくるミッションが欲しかった所。
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