<GAMEPLAY>
ゲームは米英露の3つのキャンペーンから成っているが、これは米->英->露の順番でしかプレイする事は出来ない。最後に4つ目のキャンペーンが有ってそれで終了となる。各キャンペーン内には一応の流れはあるが全体として一つのストーリーという風ではなくて、幾つかのブロックに分かれていてそれぞれは独立しているという感じである。そしてそれぞれのキャンペーンの最後はあまり明確ではなく、「これで終わり?」といった所で次の国に切り替わってしまう。ゲームの最後の最後である4つ目のキャンペーンに関しては一応”それらしい”終わり方はするのだが、全体としては一貫したストーリーを重視して作成されているゲームという感覚は無い。Tactical系Shooterによく見られるような、単独の独立したミッションが何個も入っているといった作りである。これにはSFアクション系のFPSの様に、進行に連れてより強力な武器が手に入るといった要素が無いのも関係しているだろう。
ゲーム全体のプレイ時間は8−12時間程度と結構短い部類に入る。最近では傾向としてこの程度の物が多くなってきているので特別に短いという事は無いが、やはり物足りなさは残るのが正直な所だ。この早さには「次に向かうべき地点はコンパスに常に表示される」、「閉じている扉等は開かない仕様になっているのでわざわざ試す必要が無い」事から道中で迷う可能性が低いというのも大きく関係している。事前のアナウンスでは20時間前後と言われていただけに、余計に残念というか疑問符が付く。別にミッション数が減らされたという訳でも無い様だし、どこからそれだけの時間が出てきたのか今となっては謎である。
難易度選択はEasy, Normal, Hard, Veteranの4つで、難易度毎のバランスはあまり良い出来とは言えない。Normalは普段FPSをプレイしているゲーマーには大部分がすんなりと進んでしまうと感じられるし(易しいという訳ではないが)、かといってHardにすると一気に難易度が上がるという印象。この両者の一番の変化は被弾した際のダメージ量で、Hardだとヘルスがフルの状態でも頭+他の個所の2発で死んでしまう。戦場のリアリティという点ではこちらの方が雰囲気は出るが、場所によっては相当な数の「死亡->Load」の繰り返しで乗り切らないとならない所も出てくるのが難点。FPSに慣れている人ならHardの方が向いていると思うのだが、ミッションによっては相当な難易度になってしまうので、その上の難易度が有るのならばもう少しダメージを軽減しても良かったのではと思う。そして最高のVeteranはMap内にヘルスが一つも無いという設定であり、一般向けの難易度とは言えないバランス。
ゲームをクリアしてもミッション単位で選択してのプレイは不可能で、或る特定のミッションを選んで自由に難易度を変えてプレイするといった事は出来ない。更にSaveされたゲームの一覧表示が増えてくると変になったりするというバグも有り、この辺はPatchでの修正をお願いしたいところ。
次に実際のゲーム性に関してだが、一つには非常に広大な戦場での大規模な戦闘を売り物としているのが特徴となる。MoHAAの欠点としてMapがそれほど広さを感じさせずにそこだけを切り取って置いてあるかのようなゲーム的な雰囲気が有った点、それと"Omaha Beach"の様な場所においても現実よりも遥かに少ない数しか味方がいない(見れない)という事があった。一方のCoDではアウトドアのMapは行く必要が無い場所も含めて非常に広大になっているのに加えて、味方はもちろん敵の方も相当な数が存在しているミッションも多く、中には200人を越える兵士が敵味方入り乱れて存在する物まである。これによって大規模な戦場に実際に立っているという臨場感が極めてよく出ており、これはゲームの大きなプラス点と言える。(良く出来ているミッションでの)戦場の迫力という点では、このCoDの右に出る物は2003年時点では存在しないと言っても過言ではない。
多くのミッションが部隊行動となっているのも特徴的な点である。戦場の雰囲気を出す為にプレイヤー単独での行動は避けて、味方の部隊と共に行動するという形式を取り入れている。その数はミッションによって異なり、2,3人程度の事もあれば10人以上にもなる時もある。場合によってはこの部隊が自分の所属以外にも幾つも有って、合計では相当な数の味方がMap内に存在しているという事もある。ゲームとしては自分が隊長として部隊の行動を指揮するミッションは存在せず、基本的には命令に沿って動く形になっている。味方の隊員は「死んだ場合はその都度補充がやってくる」、「展開の都合上無敵に設定されている」、「死ねばそれまでで補充されない」の3通りのケースが有って、これはミッションによって変化する。ただ最後の補充されないケースでもNormal以下の難易度ではそれほど苦になるようなシーンが無いので、常に味方を周囲に多く置いて部隊で行動しているというのをプレイヤーに意識させる為の”演出”に重点が置かれているという印象だ。
一方では前作に似ている個所も存在している。例えば下記部分はCoDが公開された当時のIW側からのコメントからのゲームのスタイルの解説になるのだが....
””徹底した史実の検証による当時の雰囲気の再現、舞台もWW IIの有名な戦闘を中心、しかしシステムとしては徹底したリアル系では無くてアクション寄りのFPS、とゲームの基本構造はMOHシリーズと変化は無い。しかしゲームの基本コンセプトとして、「WWIIでの連合側の勝利は各個人がその役割を地道に果たした結果であり、そこには超人的な活躍をした者がいた訳では無い」という観点から、プレイヤーが並外れたパフォーマンスを発揮出来るようなゲーム性にはしていない。例えばMoHAAではプレイヤーは超人的なキャラとして設定されており、何十人という敵相手に一人で戦って勝利したりするし、そもそも最初からミッション内容自体が一人の人間に任されるような種類の物ではなかったりもした(もちろん別にそれが悪いというのでは無くて、そういうデザインのゲームというだけの話)。言うなれば「ゲーム世界の描写はリアルさにこだわるが、ゲームバランスとしては普通のFPS」であったのだが、対するCODではそういったゲームにしようとは意図していない......””
しかし実際にはCoD全体の作りは前作のMoHAAに予想以上に似ており、Codならではのオリジナリティは思っていたほどではない。「プレイヤーが戦争において特別な存在ではない一兵士として参加している雰囲気を出す」、「プレイヤーが超人的な能力を発揮出来るようなバランスにはしない」という点については、実は「多くの場合大量に仲間を用意して孤独という印象を与えない」=「一兵士として参加しているという印象を与えない」、そして「超人的ではない」=「味方も大量の敵を倒すので数的に言えばプレイヤーがそれほど突出してFragを稼ぐ訳ではない」、といった意味合いの方が強く、ゲーム中にはMoHAA風の単独行動で大量の敵を次々に薙ぎ倒していく個所も存在している。
この”アクション寄り”という要素と”超人的な単独突破ミッション”の存在自体は特に問題とは言えない。例えばMoHAAをプレイしていない人に取ってはそれ程は気にならないだろう。個人で突破していくミッションも、CoDではそれが全体に占める割合はMoHAAに比べればずっと少ない為、後半になると単調さが目立って来てしまうMoHAAの様に欠点とは言えないと思う。だが既にMoHAAをプレイしている人であれば、最初となるランボー・スタイルのミッションから「MoHAAでこの手のはさんざんやったんでもういいよ」、といった反応になる事は十分に考えられる。
ゲーム進行の構造に関してだが、これはMoHAA以上にスクリプト(事前に決められた通りに進行する様な設定:演出)が多用されている。「状況に応じて使ったり使わなかったりする」という事前の情報だったのだが、実際には9割方がスクリプトと言ってもよくここは好みが分かれる点だろう。これはゲームのコンセプトがプレイヤーに映画の中の主人公の様な体験をさせる事を目的としているので、”映画=100%スクリプト”という観点からの演出重視の設定という事になっていると思われる。よってプレイヤー自身の行動の自由度は相当に狭い。
これをどう取るのかは微妙な所で、実際にこのゲーム中で非常に面白い個所、或いは惹き込まれるシーンというのはほとんどがスクリプトで動いている個所である。迷う時間も無くリアルタイムでこういう風にしないとならないといったタイプのプレイで、手に汗握るといった感じで興奮させられる。その意味でスクリプトが大きな効果を挙げている個所は多い。しかし逆に普通に進んで行く個所でも過度にスクリプトが使用されている為に、自由にプレイ出来ないと窮屈さを感じる個所も多い。スクリプトが効果的であるのは認めるが、何でもかんでもスクリプトを使用するという手法には疑問が残るし、コメントにあるように”状況に応じての使い分け”が上手く出来ていればもっと良くなったのにと残念だ。この辺は戦闘編で詳しく解説する。
それぞれのキャンペーンは使用武器が異なる事も有ってそれぞれに特徴付けがされており、以下はキャンペーン別の簡単な感想。
[U.S.]
2種類出ているデモに収録されているのは共にこのアメリカ軍編。全7ミッション。構成はデモ同様に部隊としての行動がほとんどで、単独で屋内の大量の敵をクリアする物は1個のみ。Mapはアウトドア中心で一部インドアが組み合わさったりしている。全体的に最もオーソドックスな作りで、難易度も最初だけあって一番簡単。ここはHard辺りの方が面白いと思う。部隊行動の雰囲気を重視している為か、味方は補充されるタイプのミッションや無敵設定の物が多く、集団で行動しているという演出を多用している。
武器関連は一番充実しており、WWII物では御馴染みとなったM1 Garand, M1 Carbine,
Thompson, BAR等多彩。初期設定で持っていなくても死んだ仲間から拾って手に入れたりとかで、武器を変えてプレイ出来るという点では一番変化が付けられるキャンペーンと言えるだろう。
ここはミッションの質は平均して高いが、構成がユニークな物が少ないとも言える。その中ではCar Rideはユーモラスでもあって面白い出来。後は唯一の時間制限が有るミッションが存在し、またここはルートも幾つか有る上に味方が補充されない為に作戦的にどう動くかも加わるのでリプレイ性が高い(Hardでプレイすると特に)。
[British]
全6ミッション。Pegasus BridgeやEder Damといった史実に即した場所でのミッションとなる(Briefingでの実写映像は実際のMapとよく似ている)。ここは面白い物とそうでない物がハッキリしているという印象。私の一番のお気に入りはPegasus Dayで、味方の援軍が到着するまで一定時間拠点を守るという物。このミッションの戦闘は壮絶で文字通りに四方八方から敵が大挙して(無限に)押し寄せてくる様になっており、特にHardでは十回程度の死亡では利かない位に死にまくるのは確実。味方は無敵の設定ではあるのだが絶対数が少なく、またプレイヤーは次々にやってくる敵の戦車を一定時間内に破壊しないとならない為に、隠れて時間が過ぎるのを待つという手法が通用しない。その戦車破壊にFlak
Gunを使うかPanzerfaustを使うかは自由だし、戦車のやってくる方向もランダムとなっている。どの方面を守って時間内にどう戦車を排除するかといった作戦的な自由度が高く、ヘルスを何時取るかや武器の選択等も絡んでくるので面白い。難易度はゲーム中でも有数だがゲームのハイライトの一つだろう。
Truck RideからAirfieldへと続く一連のミッションも、こちらはスクリプトで自由度は無いのだが、変化の付いたアクションシーンが次々に起こるのでスピーディーで良い出来と言える。逆にかなりの長さとなる2つのミッションは単独行動で大量の敵を倒して行くという(MoHAA同様の)スタイルであり、全6ミッションであればこんなには要らないと感じるし単調でそれほど面白くもない。
使用可能な武器系はかなり限られており、更にSubmachinegunのStenは威力不足という印象。主力はSuppressing
Fire用のBren LMGになるが、インドア等では敵のMP40, MP44を奪っての戦闘が主体となって来るだろう。
[Russia]
WWII物で主人公が露軍というのはメジャーなFPSタイトルでは初めてと思うし、それだけにIWではここをゲームのユニークな売りとして推しており、ミッション数も9個と一番多くなっている。冒頭は既にムービーで何度も取り上げられているので見た人も多いと思うが、多数の一般人と船からStalingradへと上陸するミッションから始まる(MoHAA=プライベート・ライアン=Omaha
Beachに対抗して、CoD=Enemy at the Gates=Stalingradという図式)。武器も足りなければ訓練された兵士も少ないという中、主人公はリクルートされた一般人の中の一人に過ぎない存在。敵が制圧した場所に船で乗り付けてそれを奪い返すのだが、兵士全員に行き渡るだけの武器が無いというトンでもない状況。船を降りて突撃を命じられたプレイヤーに渡されるのは一握りの弾薬のみ。数人に一個しか武器が無く、無い人間は持っている人の後を付いて行って死んだらそれを拾って前進を続けるという作戦である。つまり攻撃力も生存率も低くても、分母となる頭数が非常に多ければ何とかなるだろうという酷い人海戦術。あまりの無茶さに逃げ出す人間も出てくるが、それは後ろに控えた味方の将校に敵前逃亡として射殺されるようになっている。空を飛び交う戦闘機や周囲への爆撃による振動、画面上には数百人という仲間達が突進して行くところが見られたりと、このStalingradの迫力は凄まじい物がある。タイプとしてはOmaha Beachと同様だがあの比ではなく、あまりの爆音に隣でしゃべっている仲間の声が聞き取りにくい位だ。ここから次のRed Square(赤の広場)奪回へと続くミッションはゲーム中のハイライトの一つで、ミッションの内容自体はシンプルでそれだけ取ると特に良いという物では無いのだが、プレイ中の迫力という点からは素晴らしい出来と思う。
その後はその腕前を認められた主人公はSniperに任命されて部隊に参加するようになり、Sniper
Rifleを多用して活動するパートが結構な分量を占めている。個人突破タイプのミッションはここでも有るのだが、仲間が途中合流して付いて回る個所も多くそれほどの単調さは感じられない。特にロシア編では仲間が死んだらそれっきりで補充されない個所が多くなっており、味方を生かす為に自分が先行して道を開くか、味方を先行させて自分の為に犠牲にするかといった選択が可能であり、他に比べてリプレイ時の変化に富んでいる。序盤の2つ以外のハイライトとしては(これまたムービーによく出てくる)Pavlov's Houseという拠点となるビルディング内部に侵入からクリアするミッションが有り、占拠後は味方が到着するまでのディフェンスとなる。ここも狭いビルディング内での動き方にはある程度の自由度が有り、味方と敵多数が入り乱れての戦闘は相当激しい物となる。特にHard以上の難易度では味方がいなくなってしまうので全ゲーム中で最高の難度の個所と思う。
後は唯一自分で乗り物を操縦するミッションが存在しており、戦車部隊の一員として味方戦車と共に戦う事になる。戦車の操縦法は良く出来ているし、ここでも破壊された味方は補充されないのでどういう風に行動するかで後半変化が生じたりする為に、この戦車での一連のミッションはなかなか面白い。全体としてキャンペーンの出来はこのロシア編が一番良い。
武器系統はScoped Mosin-Nagantが主体で、これにSub-MachinegunのPPSh組み合わせのみ。よって独軍の物を奪っての戦闘個所がかなり多くなる。
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