<GRAPHICS>
グラフィック用エンジンはReturn To Castle Wolfensteinの物をベースに使用。ただしほぼ原型を留めていないまでに改造されている。レンダリング部分に関してはHardware T&L専用にそっくり変更されており、Vertex & Pixel Shadersにも対応と大幅に拡張されている。その最適化故に画面上に描画出来るポリゴン数は飛躍的に増大しており、ミッションによっては実際に自分の視界に行軍する百人以上の兵士を同時に描画する事も出来るようになっている。
描画は2003年時点で目に出来る最高レベルの物と比べるとそこまでのレベルではないし、或いは新世代のShader多用のエンジンといった感じでもなく、これまでのHardware
T&L対応ゲームのレベルの延長線上に有って、その中での綺麗さを追求しているという物となる。特筆すべきはその美しさに比しての軽さだろう。このゲームはその広さやMap内を動き回るオブジェクトの数の多さからすると相当に軽く、この軽さでこのレベルの画像クオリティというのは相当に優秀と言える。
Mapの地形の描画には滑らかな曲線ではなく旧来の角張った粗いポリゴンの個所も目立つが、Map全体の書き込み度合いは相当細かくなっており、ゲーム自体には関係無い遠方の建物までキチンと書き込まれている。元々Quake3系エンジンは広いMap内に細かなオブジェクトを多数置くというのが苦手なエンジンだが、このゲームでは広大なMapに細かくモデリングされたオブジェクトが多数存在しており、見た目的にはQ3系だがその能力は全然違うというのは確かだ。戦争の状況から崩れ落ちた建物が多いのだが、これらの造形も相当に細かく変化に富んでおりリアリティを増すのに力を貸している。それと空挺部隊が随時降下してくるのが見えたりとか、空を戦闘機が飛んでいたりといった臨場感の表現も良い。一部オブジェクトがちゃんと砲撃等で壊れる点も現実的である。MoHAAでは広がりの無い箱庭の中に入れられた様な感じだったのが、実際に広大な戦場に立っているという雰囲気を感じられるまでにUpGradeされている。Textureのクオリティも相当に高く、その分かなりのメモリを食うようになっている様だ。
エフェクト系では燃えさかる炎やデフガンの閃光等の綺麗さも目に付く。爆発のエフェクトも単純なパターンの貼り付けではないようで綺麗であり、水面のエフェクトもリアルに見えて良い出来だ。ただしこれにはShader機能を使用していると思われ、場合によっては爆発等でエフェクトが生じた時に一瞬重くなるといった個所も見られた。特に良く出来ているのがMortarの着弾を近くで受けた時のShell Shock Effectで、視界が揺れて外界の音声が途切れるといった現象が起きる。吹き飛ばされたプレイヤーは強制的にCrouchやProneの状態となって移動が制限され、また立ったとしても揺れによりすぐにはちゃんと歩けない。
不満点としては、まず影の描画を行う事が出来ない。デモでは設定を書き換える事で強制的にONにも出来たのだが、製品版では不能にされている。これはオブジェクトが多いだけに負荷の問題も勿論有るとは思うのだが、完全に設定に入っていないというのはちょっと変であり、Q3系エンジンでは影がオブジェクトを突き抜けてしまったりするという問題が新エンジンでも直っていないからではとも思われる。アンチエイリアス(FSAA)の機能も持っていない。Bloodは当たった時には表示されるのだが、その量自体が少ない上に、倒れた人間からは一切流れないしBloodの跡も残らないようになっている。やはりTeenのRatingではこの程度が限界という事なのだろう。
キャラクタはちょっと短足な作りだがアニメーションは滑らかであり、ボディアクションのパターンも多彩になっている。造形の細かさやアニメーションはMoHAAに比べてレベルが上がっているのは確かだ。指示を出す際のハンドシグナルや柵を跨ぎ越えたりするアニメーションとかかなり細かく、負傷した個所に応じた行動中のアニメーションパターンの変化も取り入れられている(脚を引き摺ったり)。しかし走ったりする時のアニメーションはどこか不自然な印象も受け、倒れる時の動作もAAの時と同じでモーションが速過ぎると感じた。被弾アニメーションはHitした部位によって使い分けられており、どこに当ったかがハッキリと分かるシステムという話だったが、これはそれ程細かくは無いという印象。
兵士の顔については変化は付けられているのだが、個性的な顔が少ないというか変化の度合いが少ないというか、それほど印象的に残る顔の人物が少ないのは残念。ロシア編だけは印象に残る顔が多かったりするが。ちょっと距離を置いてしまうと見分けが付かないというのも感じられた。この辺は体型が同じキャラクタばかりというのも関係しているのだろう。なお表情の変化はちゃんとアニメーションとして組み込まれている。
エンジンの問題点としては、クリッピングのエラーで銃身と壁が重なってしまったりするのが目に付く。時々向こう側にいる人間の物がこちらに飛び出して見えてしまったりするのは問題有り。
<SOUND>
元々サウンドチームはそっくり評判の高かったMoHAAの物を作成した部署が新会社に移動したという事から、これについては比類するゲームが無いほど良いという前評判は聞いていたのだが、その通りに非常に出来は良い。特に臨場感に関しては確かに並ぶ物が無いと言って良いだろう。私の場合EAX3(Audigy)の4SPにて再生したが、音の定位感も優秀な部類である。MoHAAの場合はHardwareの3Dポジショナルサウンドに対応しておらず、あくまでも周囲を包み込むようにして再生を行うという方式だった。よって例えばOmahaの様な個所でも、包囲感は有るのだが方向性はそれほど無かった。しかしこのCoDではちゃんと音が定位するので、Shellの着弾音や敵と味方の銃声が自分の周囲から方向性を持って聞こえてくるようになっており、その他激しいFlakGunの音や空を飛ぶ戦闘機の音、また虫の鳴き声といった環境音も再生されておりその効果は相当に大きい。
同年発売のゲームではVietcongが同様に激しい戦闘音を定位感良く再生していたゲームとして印象深いが、それと比較してCoDではより広い地域で音が鳴っている感覚があり、それが戦場の広さをより感じさせてくれている。CoDではプレイヤーがゲーム中に実質通る場所以外にも広大な地形が広がっており、そこにもサウンドの源となる兵器等が配置されている。AIについても100人以上を同時にMap上に配置してそれぞれを独自に行動させる事が出来るようになっている為に、全くプレイヤーの行動とは関係無い個所にて戦闘を起こしておく事が可能である。その為に自分の周囲の全方向から銃声や叫び声が聞こえてくるといった感じになっており、また(オブジェクトには関係の無い物として)空には何種類もの異なった両軍の戦闘機が飛び交い、それに対抗する対空兵器の激しい発射音が響き渡る。それらをちゃんと音として処理しているので、或る時には遠く離れた場所からの効果音が聞こえてきたりもする。
銃声その音の迫力も相当な物で、MG42などは実際に怖さを感じさせる。自分の周囲で鳴り響く銃声も低音が効いていて臨場感満点と言えよう。「自分が大規模な戦場の真っ只中にいると感じられる初めてのゲーム」という評価には私も賛成で、サウンドでこれ以上の臨場感を持ったFPSゲームは2003年時点では存在しない。デモの段階でも凄いと思ったが、それを越える凄まじい大激戦のサウンドを再生してくれるミッションが幾つも存在している。特にロシア編のStalingradやUK編のPegasus
Day等は白眉。BGMはMoHAAと同じで戦争映画風の壮大な感じの物が多く、それ程押し付けがましくなく記憶に残るといった物ではなかった。
これだけの音を出しながら音欠けをほとんど感じさせないのも優秀である。デモの時は何故か自分自身の銃声の出来がフィルターを通したような若干鋭さの欠ける音となっていたのだが、これも製品版ではちゃんと直っている。
<INTERFACE>
HUDのデザインは前作MoHAAと似ており、それ程多くの情報を示さないスッキリした構成。最初はやや見にくかったヘルスの値は確認し易く変更されている。コンパス表示が次に進むべき方向と高低差を教えてくれる上に、オブジェクトは非常に詳細に表示されるという親切設計。味方兵士は照準を合わせると階級・名前・役割を表示し、そのダメージについては色の変化で知らせるシステム。敵の弾が飛んで来た方向は赤い印で画面中央に表示されるといった点はMoHAA同様にゲーム的である。
Save/Loadは非常に速く、最新のSaveに関してはメモリ上に持っているらしくHDへのアクセス無しに一瞬でLoadされるので、何回死んでもストレスが無い(逆に死の重みを感じさせないので緊張感が無いという感もある)。I/F系で気になったのは以下の様な点。
*USEする時にその位置が限定されていて、指定位置によっては上手く合わない物が存在する(MG42等)
*最初のトレーニングをスキップ出来ない
*HELPのメッセージを消す事が出来ない
<英語>
ゲーム中は字幕表示が可能。ミッション前のBriefing等では字幕は出ない。ゲーム全体としてはそれほど英語量は多くないが、テキスト表示がフォントや色の問題で読みにくい個所が多いのは気になった。元々音が周囲の銃声等で聞き取り難かったり、また字幕側もゆっくり読めない個所も多かったりするので、苦手な人は日本語版の方が良いかも。ただし進むべき方向は常に表示されるしパズル要素も無いので、クリアに関しては英語が分からなくても何の問題も無いというのも確かだ。なおゲーム中の独軍はちゃんとドイツ語を喋るのだが、露軍は英語となっている。
次のページ