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CO-OP
 いきなり最大の欠陥から書かせてもらうが、発売前に最大の特徴だと宣言していたdrop-in/drop-out Co-opに、実はこの製品版は対応していない。私も購入してから知ったのだが、もしかしてPC版のみなのかと考えて調べてみた所、全機種においてやはりそうなっているという結論。一部のレビューでは可能だとされている物も在ったのだが、おそらくシングルプレイのみのレビューでCo-opをやっておらず、公開されている資料を基に可能だと書いてしまっているのではないかと思う。

 一応“drop-in/drop-out”方式とは何かを説明しておくと、シングルプレイとCo-opがシームレスで繋がっている形態である。代表的な物としてはLeft 4 Deadが挙げられる。プレイヤーは常に1〜3人程度のAIのキャラクターとチームで行動しており、そのキャンペーンをオンライン上にCo-opとして公開出来る。もしそこに人が入ってきたらAIキャラクターの中の誰かの操作を受け持つ形となり、抜けたら即座にその操作はAI操作へと切り替わる。よって見た目上は人間の参加者が何人であろうが、プレイヤー側のチーム人数は常に一緒。人が入ってきた際にチャプターを再読み込みする必要は無く、プレイを切らずに自由に参加者の出たり入ったりが可能なCo-op方式を指す。このゲームでいうなら、常にプレイヤー側のチームはベン, キム, エディーの三人構成で、現在参加しているプレイヤーの数に応じて「人間が操作しているキャラクター」の数は1〜3人に変化するという形式になる。


 では実際にはどういう方式なのかというと、チャプター開始前にロビーに集合してから開始するというごく一般的なロビー形式である。一度開始されてしまったら途中からは入れないし、もし2人でやっている時に3人目のフレンドを入れようと思ったら、一度ゲームを中止してロビーから再スタートさせないとならない。より具体的には、サーバー役のプレイヤーがチャプターを選択して起動するとロビーのエリアになる。ここでESCを押すと“Public”と“Private”のオプションが表示されるので、選択すると外部に公開されるというやり方。

 それでもこのシステムがまともであったらまだ救いがあったのだが、実際には未完成というか投げっ放しというか、問題を幾つも抱えたままという有様である。まずフレンド同士で行うプライベートモードならば、Steamをオンライン状態にしてフレンド表示を行い、ゲームのメニュー or SteamのI/F上から招待する方法で始められるのでこれは良し。ところが一般公開のサーバーを探そうとしても、公開されているサーバーを検索する機能を持っていない。成功した事が無いので憶測だが、もし自分がCo-opを開始しようとした時に他者のロビーがネット上で見付かればそこに接続されるのだと思うが、見付からなかった場合には自分のロビーが新規作成された状態になるだけ。後は来るのかも判らない他のプレイヤーを延々とその画面で待つしか方法は無い。(Dedicated Server機能は提供されていない)。発売から既に期間が過ぎている現在では、一般ユーザー同士のCo-opを成立させるのは困難という状況にあり、Co-op目的で購入する方はプレイするフレンドを先に見付けておくべきである。

 次にどうやったらCo-opを開始出来るのかという説明が一切無いので、いきなり「さあCo-opをやろう」と考えたプレイヤーは混乱する事になるだろう。。メニュー上のマルチプレイは対戦用の物だし、シングルプレイのキャンペーンを選んでもCo-opのメニューが存在しない。実はそのシステムはDead Islandと同様で、キャラクターを選択後に一度はプロローグを終わらせないとCo-opにはアクセス出来ないというもの。

 更に極度なまでにストーリーを重視するという姿勢から、自分がクリアしているチャプターまでしか参加する事が出来ないというシステムになっている。ストーリーを追う事が困難になったり、先の展開がネタバレになる様な事を避ける為に、途中のチャプターは決してスキップさせないという意味(おそらくだがDead Islandと同じで、フレンド同士のCo-opならば警告は出るがアクセスは可能だと思われる)。よっていきなりCo-opをやろうとして検索モードに入っても、チャプター01のロビー以外は引っ掛からないので、余計にサーバー探しが困難という事に。


 ボイスチャット機能も全く検証が行われていないらしく、会話音声がたれ流し状態になる。どうやらChrome Engine 5ではXbox LiveとPC版が同じ仕様になっているらしく、Xbox Liveでのボイスチャット仕様(オープントーク)が常に適用されるので、Steam側でPush to Talkに設定しても常時音声を切る事が出来ない。よってSkype等の外部チャットツールを使っていると、プレイ中の発声が二重に再生されてしまう。(このトラブルは同じエンジンのDead Islandでも発生していたが、こちらはパッチで修正されている)。

 これは仲間内のみしか通用しないが、一応この問題を修正する方法はある。(他のボイスチャットと自分の声を二重にしない方法)。

 [方法1] SteamのボイスはWindowsのデフォルト入力デバイスを使用するので、コンパネのサウンド設定からレコーディング(入力)をLine in等に変更してしまう。そして外部チャット側では実際に使うマイク入力を選択する。

 [方法2] OSによっては実際に端子にデバイスが接続されていないとグレーアウトして選択が出来ないので、その場合にはLine inならば青の端子にダミーとして何か他の端子等を接続して有効にする。そして方法1のように設定する。

 [方法3] マイク端子とLine inが兼用なので使い分けが不可能な場合。Virtual Audio Cable のデモ版を使用する。
http://www.ntonyx.com/vac_demo.htm

 インストール後に起動し、左上のcablesの箇所を1にしてset押下。これでvirtual cableという仮想デバイスが出来るので、これをWindowsのデフォルトレコーディングデバイスに設定。Steamでもそれが選択されるので入力をカット出来るようになる。



 なんでこんな酷い事になってしまったのかはコメントを見た事が無いので解らない。発売数ヶ月前のインタビューではまだこのdrop-in/drop-out方式の宣伝を行っており、実際の画面I/F上は他のAI操作のキャラクタ欄が“Slot open”と表示されたりと、搭載予定で製作が進められていたのは間違いない。何か致命的な問題が発見されたので直前でカットされたのか、発売までにシステムが完成しなかったのか、とにかく謎である。そしてカットした結果、ロビー形式に切り替えたのだが、時間的にそちらのシステムを完成させる事も出来なかったという話なのだろう。

CO-OP (続)
 Co-opがシングルプレイとは異なる点。

*ダメージが超過するとダウン状態となるだけで死なない
*味方プレイヤーは近寄ってダウンしているプレイヤーを助け起こす事が出来る
*カットシーンは全員の合意で飛ばせる
*キャラクターが分かれて行動するシーンでは、実際にその担当者が分かれてプレイする事になる
*車の運転時は誰がそれを行っても良い
*全滅やイベント失敗時にはチェックポイントに戻るが、バグ等が発生した場合にメニューからチェックポイントに戻る事は出来ない


 一部だが特定のキャラクタしか出来ない仕事というのがあって、これはシングルプレイと同じキャラクタが行う事になる。よって参加者全員がキャンペーンをクリアしていない場合、進め方が解らないというケースも起こり得る(というか実際にあった)。


 対戦要素を含んだCo-opとして、シングルプレイには無いXPの稼ぎ方が存在する。これはChallengesと呼ばれ、固定スクリプトなのかランダムなのかは不明だが、プレイ中に定期的に突然発生する。「ヘッドショット5回達成」, 「最も早く5人倒す」, 「最も正確性が高い者」といった勝利条件が示され、一番先にそれを達成した者か、或いは制限時間内での成績が一番良かった者が勝者となるシステム。一回に付き250XPを獲得出来るので、シングルプレイに比較して(勝利すればだが)レベルアップの面では有利となる。


 シークレットアイテム探し、及びパートナーの獲得現場を目撃するという要素はちょっと微妙という感想。というのは三人共にそれを狙うという合意が無いと上手く機能しないからである。例えば他の二人が進行優先でプレイしている時に、自分だけが周囲のアイテム探しをしていたりすると、彼等を待たせてしまう事になってある意味迷惑。フレンド同士で皆のレベルを早く上げようという目的から、Secret Agendaを獲得する時は宣言して他者はそれを待つとか、アイテム探しの時間を設けて皆で探し回るといった協力方法はあるが、これは協力してはいるがゲーム本来の意図している物とは違うプレイスタイルになってしまう。それとアイテム探しを行う場合には、クリアまでの時間がかなり延びるというのも考えておかないとならない。



 プレイの方はシングルプレイに比べるとずっと面白い。各人が得意武器を持って近・中・遠と離れて戦えるので、そこで初めて3人の異なるキャラクタ同士のチームという雰囲気が生まれてくる。プレイヤーがやるしかなかった車の運転やアイテム運びなども手分けして行えるし、ダウンしたのを助け起こすという協力要素もある。この辺はCo-opでのプレイを最優先でデザインしたというのが活きていると言えよう。

 戦闘面についてはもっと手応えが欲しかったところ。人間プレイヤーが3人だと相当強くなるので、それに見合った調整があった方が良かったのだが、敵の数が増えるとかの調整システムは無い模様。


GRAPHICS
 DX11に対応しており、ゲームの起動時に選択する。このレビューのSSはDX9による物。私の環境ではトラブルの項で言及した画面の乱れという障害はあったが、フレームレートの不安定さやテクスチャ貼り付けの遅延の様な問題は生じなかった。それと遠景が霧の様な表現でカットされてしまうという事も無し。

 コンソール版の評価ではグラフィックスのクオリティの低さに言及している物も散見されたが、PC版では特にクオリティの低さが気になるという感じは無かった。このPC版でもストリーミングの技術が使われているのかは不明だが、VRAMが多い分だけテクスチャやノーマルマッピングの精度という点では有利である。

 特別に凄いというレベルではないが十分に及第点を与えられる出来で、前作で使われていたバージョン4よりも確実にアップグレードしており、キャラクターモデルの精度や砂塵の表現などが良くなっている。また過去の同エンジンで目立っていた、ちょっと離れた場所の草木等があからさまにポップアップして出現するという問題も改善されている。他にはIO InteractiveのGlacier Engineで有名な、狭いエリア内に大量のNPCキャラクターを発生させるという技術も新しく加わっている。

 問題点としては、キャラクターのアニメーションの方は今一つ。影描画は明るい場所ではまともなのだが、ちょっと明るいという程度の場所でのソフトシャドウが酷くボケている感じでジャギーも目立つ。水面のエフェクトなどもちょっと地味な印象。


 設定項目はテクスチャーの精度と草木の出現数のみ。少なくともDX9ではアンチエイリアスの設定も無い。


SOUND
 4SPでの3Dサウンドに対応しており、ドルビーデジタルは使用していない模様。

 銃のサウンドは軽い感じでやや物足りない。BGMも特に印象に残る物は無かった。

MULTIPLAYER
 対戦マルチプレイも用意されている。警官チームとギャングチームに分かれての対戦となり、オブジェクティブタイプやデスマッチタイプが幾つかのバリエーションに分かれている。

 しかし既にプレイヤーが居ないようで、これからのプレイはフレンド同士でないと難しそうだ。


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