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GRAPHICS
 自社製のAtmosFear 2.0 Engineを使用。DX10(SM 4.0)に対応しており、影の描画とパーティクルの処理がより高度になる。パフォーマンスとしては10-15%程度の向上となっている。

 グラフィックス面で目立つ点としては水分の形態変化をリアルタイム描画する為にDual-texturing systemを導入しており、全てのオブジェクトの表面に氷用に使われるテクスチャが貼り付けられている。ただし固定された氷のパターンを単に貼るのではなく、実際に結晶化する様を演算して描写している点が特徴。そして凍っている場所が暖まると、徐々に表面の凍っている部分が解けて崩れて流れ始め、更には水になり流れ出すのが見て取れるようになっている。この凍り付いたオブジェクトの表面の氷が解けて流れ出して行く様も、用意されたアニメーションではなく物理演算を加えた動きとなっており、リアルでもあるし見所の一つとなっている。

 同じく船外デッキに出た際に吹き荒れる吹雪の表現も凄まじい。前が見え難い位に吹き付ける雪の表現は良く出来ている。室内では粉雪が空を舞っている表現も綺麗。この様に本当に寒そうという点で、非常にその表現力は高いエンジンである。ダイナミックライティングも凝っており、揺れる光源に応じて描画される動く影や、光を発している敵の動きに応じても複雑な影が描かれるようになっている。ただし何故か炎系の表現は普通である。

 テクスチャの質はあまり良いとは言えず、特に敵に使われている物は粗さが目に付く。ノーマルマッピングにて敵の体表面が凍ったり濡れているのが判る点は優れているが、その下の基本的なテクスチャや、更にはモデリングの方はもうちょっと頑張って欲しかったと感じる。敵とポリゴンの重なりがちょくちょく発生してしまうのも問題。


 物理エンジンとの絡みでは、流体のシミュレーションにSmoothed particle hydrodynamics (SPH)という技術を初めて採用したゲームだそうで、これは水面の動きを物理演算を含めて計算する物。Tech Demoにて実物を見られるが、オブジェクトの表面を流れたり跳ねたりする水の動きをリアルに再現している。ただし実際のゲーム内ではこの効果を見られる場所は限られているようだ。(V1.1パッチでより高度なPhysX演算が導入された)。


 問題点の第一は動作環境の項でも書いたようにその重さ。ここでは物理演算系の重さは置くとして、まず氷用のテクスチャが広範囲に渡って使われているので、VRAM使用量が相当大きくなりローディングで落ちてしまう事も多い。設定を上げると512MBでは足りなくなる模様。次に影の描画負荷が高く、例えば派手に光を発するPPSH-41を連射すると目に見えてfpsが落ち込む。非力なマシンでは影の設定を下げないとまともにプレイ出来ない位に重い。困るのは船内探索の雰囲気が重要なゲームなので、設定を下げてしまうとそれが損なわれてしまうという点にある。それを考えてLowやOFFにしてもある程度以下にはクオリティが下がらないようにはしている様だが、高スペックのPCを要求するという点は弱点なのは間違いない。

 次にNvidia提供のCUDAを使っている事からも判るように、現状ではRadeonのカードはパフォーマンス的に不利である。パフォーマンスの向上に最も重要となるHardware PhysXを使えないのがその理由。またRadeonだとSM4.0を使うと描画異常が発生するという報告も有り。


 ワイドスクリーン対応。ただし4:3の描画の一部をカットするという仕様なので描画される面積は狭くなる。




SOUND
 サウンドは3Dに対応しており、OpenALとEAX Advanced HDに対応している。定位感は良好なのだが、時々後方のSPからの音が切れてしまうケースに遭遇した。

 サウンドの質は高く、場所によって様々な環境音を聞き取る事が出来る。機械類の作動音から重量感のある扉の開閉音、雪の上の踏みしめる足音までリアルに聞こえる出来である。銃のサウンドは良い出来だし、狭い場所での発射のエコー音も綺麗に響く。またEAXの効果として、外の吹雪の音がドアを閉めると実際にドア越しに聞こえているかの様な篭った音になるのも細かい。音質もクリアで金属系の高い音が綺麗に表現されている。

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