CRYOSTASIS

                                  10/10/23


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製作・販売: Action Forms / 505 Games
発売: 2009/02
日本代理店: 未定




 ※10/10/23  修正パッチの記事を追加

概  要  ウクライナのキエフに位置するAction Formsからのサバイバル・ホラーがテーマのFPS。同社は古くはChasm: The Rift(1997)、または前作のVivisector: Beast Within(2005)で知られる会社である。代理店はロシアの最大手1C Companyで、欧州ではその子会社の505 Gamesからリリースされている。

 地元のロシア語圏では2008/12に発売済。欧州では多くの国で2009/02末にリリース。北米やオーストラリアではAspyrが代理店で4月に発売予定となっている。ダウンロード販売としては、現在Gamersgateにて扱われている。

 これまでゲームのタイトルは“Cryostasis: Sleep of Reason”とされており、ロシアでもこのサブタイトル付きで出ているのだが、欧州版の公式サイトや製品版パッケージ&マニュアルは単に“Cryostasis”に変えられている。抽象的な意味合いのサブタイトルを避けてシンプルにしたのかも知れない。

 シングルプレイ専用でマルチプレイは含まれていない。


 タイトルの“Cryostasis”とは冷凍睡眠技術を指し、一種のSF用語である。宇宙船で非常に長い期間旅行をする際に、体を低温状態に保って休眠状態にしておき、その間の老化といった現象を停止させて遠距離航行を可能にする技術。そして目的地に着くと自動的に開いた透明カプセルから出て来たりするシーンが良く見られるがアレの事。なお世界の一部で現実に行われている「現代医学では治癒出来ない病気の患者(or心配停止した患者)を冷凍状態で保存して、将来治療が可能になったら元に戻してやる」という行為はCryonicsと呼ばれ、現時点では「将来正常に生き返らせる事が出来るという保証が無い」という点でこれとは意味合いが異なる。
 このゲーム上での意味としては、船の稼動停止以来冷凍睡眠状態で眠っていたモンスター達が、熱源によって目覚めて再び起きて来るという事を指していると考えれば良いだろう。

 サブタイトルの“Sleep of Reason”の方は、スペインの画家フランシスコ・ゴヤの有名な作品「The Sleep of Reason produces monsters」(理性の眠りは怪物を生む)に由来している。その意味は、「理性に見放された想像力は、存在していない怪物を生み出す。想像力とは理性と結び付けられてこそ働くものであり、それはあらゆる芸術の母となり、また全ての奇跡の源となる」。


 ロシアにおけるこのゲームの評価はかなり高い。ロシアの大手ゲームサイトではほぼ80-90点台のスコアとなっている。ユーザーの評価も同様。ロシアでも西欧のゲームはほとんど出ているので、評価は我々と同じくそれ基準であり、特に地元贔屓も無い為に自国開発のゲームは酷い点を付けられるケースも少なくない。そんな中でこのゲームはロシア圏からはS.T.A.L.K.E.R.以来の、西欧のトップクラスと並ぶレベルの作品として賞賛されている。

 現時点ではPCのみでの発売。開発側の話では、可能性が無いとは言わないがXbox 360やPS3では能力的にこのゲームを動かすのは不可能に近いと話している。


STORY  ストーリーの記載が2種類存在するので一応両方書いておく。これまでにアナウンスされていた設定として、英国版のパッケージ裏にも書かれているのは以下の物。

 ゲームの舞台となるのはロシアの原子力砕氷船“North Wind”。1968年に北極圏にて氷山への衝突事故により氷の中に閉じ込められたまま、連絡が途絶えて長い期間放置された状態にあった。そして時は1981年、事件の謎の解明の為に船の調査が行われる事になった。その仕事に任命されたのが、死体の記憶を遡れる特殊能力を持つ気象学者Alexander Nesterov。北極観測所に勤務していた彼は、指令により凍り付いた状態のNWへと向かう。しかしそこでは凍ってモンスター化した元船員達が徘徊しており、彼はその中を何とかして生き延びて脱出の道を探さないとならなくなる。


 一方マニュアルの方では、極点で観測員として一人働いていた主人公に避難命令が出て、そこを脱出して用意された救助船と落ち合う場所まで到達せよという事になった。しかしその途中で氷が割れる転落事故に遭遇。そこで偶然に発見したNorth Windの中の探索を始めるという設定になっている。こちらでは彼が最初から時間遡行の能力を持っていたのか、船の中で初めてそれを与えられたのかがハッキリしていない。


PATCH

DEMO
 主にPhysXを強化したV1.1パッチがリリースされている。(公式掲示板のアナウンス)。日本語版は4Gamerのレビュー記事にパッチで追加される新武器の記載があるので、このV1.1は適用済みだと思われる。

*北米版とEU(505 Games)版はパッチが異なる
*新規PhysXエフェクトを実現するには、Vista + DirectX 10 環境以上が必要
*新規PhysXエフェクトに対応するのはNvidiaのビデオカードのみで、最低でもGTX 260以上要
*パッチを適用するとそれまでのセーブゲームとは互換性が無くなるので注意


 デモも発売後にリリースされている。

動作環境

トラブル
HARDWARE 必要環境 推奨環境
CPU Pentium 4 CPU 2.4 GHz Core 2 Duo 3 GHz or Athlon 64 X2 4200+
MEMORY 1GB 2GB
VIDEO VRAM 256MB
GeForce 6600 or Radeon 9800 Pro
VRAM 384MB
GeForce 8800 or Radeon 2900
SOUND DirectX 9.0互換 Sound Blaster X-Fi
対応OS  XP / Vista (SP1要)
DirectX 9.0c以上要


 DX10に対応。Shader Modelは2.0から4.0までを選択可能である。

 非常に重いゲームであり、現時点(2009/03)で発売されているFPSの中では最重量級と言えそうだ。その一つの原因として、Nvidiaの提供するCUDA(GPU用の開発言語)を通しての、PhysX使用による物理演算の負荷が非常に高いというのがある。オブジェクトの干渉や死体のラグドールだけではなく、ゲームの中のパーティクル(粒子)の動きや、凍結した氷が解けて流れる際の動きまで物理演算を使用しており、「少なくとも2008年内までに発売されるゲームの中では、史上最も複雑な物理演算を使用していると思う」と開発側も述べている。

 その負荷の傾向と軽くする為の対策として、ベンチマーク用のDX10 Tech Demoの結果を見てみよう。PCGHのテストだとE8500 3.6 GHz(オーバークロック), Vista 64, 4GB, 1,680 x 1,050, FSAA無し, 16:1 AFのPCにて、Geforce GTX 260-216とRadeon HD 4870は、共に平均で12fps程度しか出す事が出来ない(テクノロジーデモなので負荷が高い部分が多いというのはある)。しかしNvidiaが8000シリーズ以上に提供しているHardware(GPU) PhysXを有効にすると、GTX 260-216のfpsは36にまで上昇する。

 この時に2枚目以降のビデオカードを物理演算専用に指定する事も可能。GTX 280はGPU PhysXがOFFだと13fpsだが、ONにすると40.9fpsにまで改善される。この後2枚目のカードを物理演算専用に追加する場合、そのカードの性能に応じてfpsは改善されて行くが、それ程劇的には変化は無い。また性能の低い物を使うと反ってfpsが落ちるようになってしまう。

*GPU PhysXをONにする事が最もfpsの改善に効果がある
*GTX 280辺りのクラス以上ならば、単体でGPU PhysXをONにして兼用しても良い結果が得られる
*物理演算専用に2枚目のカードを追加するのは有効だが、それ程大きな効果は期待出来ない
*現状ではGPU PhysXがサポートされていないATI Radeon系は不利となる

 なおGPU PhysXの設定はゲーム内のオプションから行えるが、この時Nvidiaコントロールパネル側の設定に関わらず変更出来てしまう。おそらくコンパネ側でGPU PhysXを有効にする設定をちゃんとしておかないとならないと思われるので注意。

 私のGeforce 8800GTS 640MBでも、負荷が高い場所ではGPU PhysXをONにする効果は確かに見られた。しかしレンダリング系の処理の方が力足らずなので、同時に各種設定をHighにするのは困難というレベル。スローテンポのゲームなのでfpsの値を低目で我慢すれば、中間程度の設定で何とかプレイ可能といったところ。


 その他公式掲示板等で拾った情報だが、まず物理演算負荷が高い関係上CPUの性能が低いとそれがボトルネックになる。オプションの設定を低くしてもfpsが変わらない場合、CPUが原因である可能性が高い。Pentium 4辺りだと何とか動くという程度で、あまりそういう構成の人はいないと思うが、性能が低いCPUに高性能のビデオカードを組み合わせてもfpsは改善されない。Hardware PhysXが使えるという場合でも、全てをそちらで行う訳ではないので、やはりCPUがボトルネックになる可能性がある。またこのCPUについてはマルチコアで動作していないという声が多く出ており、それが低fpsの原因となっているとも考えられる。一方でモニターするとちゃんと動いているという人もいるので、何等かのバグかも知れない。

 EAX Advanced HDをOFFにするとfpsが改善されるという情報も出ている。サウンドを完全にOFFに設定も出来るので、それでテストすれば変化が判るだろう。私の環境でのテストでも確かにfpsは改善されるが、それ程劇的な変化は無かった。

 それと設定を高くするとVRAMの消費量も増え、メインメモリが2GB程度だとデータが溢れて仮想メモリへとスワップが発生し、所々で画面が一時停止するといった感じになる。またエリアの切り替え時に読み込みが頻繁に発生するようにもなる。断続して瞬間的にゲームが止まる様なら、テクスチャやノーマルマップの設定、或いは設定解像度が高過ぎると考えられる


*マップのロードで落ちてしまう
 特にL15で発生する。VRAMの容量が足りない可能性が高い。設定を下げて使用量を減らしてからリトライ。

*SM 4.0で描画異常。不安定。
 これはパッチ待ちとなる様だ。現状では3.0に下げてやるしかない。

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