<GAMEPLAY>

 プレイ時間は4つのエピソードが含まれている事から相当に長く、30時間前後のボリュームを持っている。この時代のゲームは近年に比較して全体的に長い物が多かったが、その中でも特に長い方の作品となっている。

 4つの違った時代を旅するストーリーなのでそれぞれの時代に関する評価は独立して設けることにして、ここでは共通して見られるデザインについて述べよう。まず最初に感じた点だが”古い”という印象。これは必ずしも悪い意味では無いのだが、デザインから受ける印象が昔のDOSゲームとよく似ている。Doom、Duke3D、Quakeといった時代のゲームを思い起こさせる構成だ。
 例えばそれはシークレットの扱いによく出ている。当時(94〜96頃)の3DFPSゲームというのはシークレットに相当力をいれており、評価する側からしてもいかに工夫の凝らされたシークレットが有るかというのが採点のポイントの一つとなっていたし、また普通では見付けられないシークレット・レベルを入れたりするというのも流行の一つだった。この大刀をやっていてもそれら昔の作品の影がチラつく感じで、シークレットを工夫するという点にかなり力が入っている。そして通常ルートの謎解きに関しても同様に、クネクネと複雑なマップ内を歩き回っての進路探しというのがイコール謎解き、というスタイルも似ている。なおシークレット・レベルは無いが、Quakeシリーズでも有名な例のDopefishが登場するシークレット・スポットが各エピソードに用意されていたりする。
 こういうスタイルが作者ロメロの好みということなのだろうが、当初予定の97年ならばともかく現状では正直古いと言う感は否めない。98年のUnreal、Half-Life辺りからシークレットの重要度というのは相当薄れてきており、通常ルートの方のデザインや凝った謎解きで勝負という方向性になっているからだ。そういう意味で大刀のプレイ感覚は昔のゲームを思い起こさせる。ただ付け加えておくと当時から遊んでいた人に取っては”懐かしい”という意味での面白さはあるかもしれない。

 それと良いのか悪いのかは別にしてサイドキックと行動する時間が想像以上に短い。もっと3人での行動が多いと思っていたのだが、この辺も特色としている部分をもっと押し出した方が良かったのでは無いか。それともAIに問題有りという観点から仕方なく出来るだけ同時行動を少なくしたという事なのか? どうも普通の3DFPSっぽい感じが意外なほど強く、オリジナリティーという観点からは高い評価は与えられないという印象である。また武器に関してはユニークさを狙うあまりに使いにくい物が多くなってしまっており、この辺のバランス感覚にも疑問を感じる。もっとテストプレイに時間を掛けて欲しかった。

 敵のAIに関していえばある意味凄いというか、これだけ酷いのを見たのは久し振り。とにかく目に付くのがそこら中で引っ掛かる事。こちらに向かって動く時に壁の出っ張り等に体の一部がつかえてそのまま足踏み状態となったりする。またちょっとした段差に引っ掛かって動けなくなったりとか。ある程度逃げてしまうと追いかけて来られなくなるようだし、ドア等を開けてといった芸当も当然出来ない。その場に止まって動かずに攻撃してくるだけなのとどっちがマシなのかは微妙な所だが、プレイしていて非常に気になった部分だ。もちろん危なくなると逃げるとか知能的な振る舞いは全く無く、単純な撃ち合いしか存在しない。反応にしても音を感知するという能力は無いらしく、そっぽを向いていると全然こちらに気が付かないとか。オリジナルのQ2と同レベルという感じに終わっている。



 私がこの作品で非常にガッカリさせられたのはストーリーである。以前より非常に濃密なストーリーを持ったRPGスタイルのゲームと聞いていただけにこれにはちょっと裏切られた感じだ。ムービー場面はそこそこあるものの意外な展開や複数の登場人物の絡みとかはほとんどなく、話その物は相当単純でしかない。もしもストーリーが面白ければ多少の問題は許せるのだが肝心のそこが弱過ぎる。4つの時代を旅するという点が隠されていたのならば驚きもあるのだろうが、このゲームではその展開が大っぴらに明かされており、だからそれ以外の部分で魅せるのだろうと考えていたのだがそうではなかった。普通の単純な3DFPSという感じなのだ。
 これは余計な事を考えずに戦闘をしたいという人には逆に良いのだろうが、私としては肩透かしを食らった印象で、何でこんなにあっさりした話しなのかなぁと残念でならない。もっとシナリオ部分に力をいれて、ユーザー側で会話選択が出来たりとかがあれば良かったと思う。サイドキックに対してストーリー的なレベルでの指示が出せないというのも期待外れだ。確か当初の予定では会話が出来るはずだったのだが。


◎パワーアップの場所
 このゲームでは一時的に各パラメータを上げてくれるアイテムが5種類用意されているのだが、その配置がどうも不自然であり、普通は取った場所の近くにそれが有効となる様なシチュエーションが有ると思うのだが、どうもそうではないような首を傾げてしまうケースが多い。
◎サイドキックの数値
 HPとArmor共に100がリミットなのだが、それを越えるような回復アイテムを取らせた場合に数値がどうなるかというのが結局不明だった。セーブ画面に行くと具体的な数値として見られるのだが、見る度に値が変わってしまうので(時には200まで行っていることもある)、そういったアーマー類を取らせる意味があるのかというのが分からず終い。
◎SECRET
 シークレットに関して特に最初の京都なのだが、見付けると有利というよりも見付けないと辛いといったバランスであり、本来の意味からするとちょっと問題ありだ。また怪しい場所を撃つと開くというスタイルならば良いのだが、ある程度のダメージを与えないと壊れないシークレットとかがあって意地悪過ぎる。
◎Hosportal
 回復器を使うと体力が時間と共に回復していくのだが、この時間が無駄であり短時間でMAXまで回復させれば良いのにと感じた。別に使っている時に敵が不意打ちを食らわせに来るでも無いので、メンバー全員で使っていると相当な時間の無駄使いになる。


 問題点を相当書いたが、最後にちょっと弁護はしておこう。このゲームが散々叩かれた理由にはプレイヤー側からの二つの怒りが存在している。一つはよく落ちるとかサイドキックが行方不明でやり直しといったバグによるゲームプレイ以前の問題が多いという意味での怒りで、もう一つはこれだけ期待を持たせた状態で長い期間待たせてこの程度かという怒りである。 しかしV1.1以降であれば前者のバグは大分改善されているし、特にこのゲームに思い入れが無かったのならば2番目は別に関係無いだろう。
 そういった意味ではこの大刀はゲームプレイ以外の面でのマイナスイメージが相当に強く、ゲームプレイだけを取り上げて見た際にはそれほど酷いゲームでは無いと思う。サイドキックのAIには問題があるのでどうしても単独行動で動いてしまう事が多くなると思うが、ノーマルな3DFPSとして見た場合にそれほど酷いという物でも無い。確かに成長システムに自由度は無いが、単純に自分が進むに連れて強くなると考えれば問題無いだろう。



<MULTIPLAY>

◎Deathmatch
 取りあえずはやってみようと思ったのだが誰もやっていない.....。完全に誰もということは無いのだが、サーバーの数が3から5程度で人も同程度なのである。つまり人がいるサーバーは1,2個程度でしかも数人しかいないという意味になる。内部のブラウザで見てもgamespyで見ても同じ程度なので本当にそんなものなのだろう。したがって感想は書きようが無い。入ってやってはみたものの2,3人程度しかいないので詰まらないし、一応V1.1以降はかなりネットパフォーマンスが改善されたというのは確かな様だが、この人数では軽いのか重いのかも確認出来ない。

 実際に発売当時やった人の感想を総合する限りでは武器バランスが癌ということだが、確かにシングルをやっただけでもそれは分かる。まずエピソード毎に武器が異なっておりそれがそのままマップにも適用されているので、世界毎に用意されている武器は大刀も含めて最大で7種類しか無い。その上やたらと使いにくい武器と強力過ぎる武器が多い為に、普通に戦える武器が少なくなってしまうのだ。もしも強力な武器を入れるとそれを取った人が勝ちというような大味な展開になるし、かと言って通常の武器には使いにくいものが多いから選べる武器が少ない。唯一まともそうなのはサンフランシスコくらいだが、ここはNovabeamという最強兵器があり取ったら勝ちという意味で問題ありだ。Skillのパワーアップアイテムは置かれているものの、こういったアイテムはゲームバランスを保つのが難しく(このゲームに限ったことではないが)、あまり活かされていない様だ。マップの方は作りはかなりオーソドックスで広い物が多いという印象。
 最初のバージョンではややラグが目立った点と、数回遊んだら目新しさも無く飽きてしまうというので、結局はドンドン人が離れていったという事の様だ。確かにQ3やUTがあるのに敢えてこれでというにはパンチ不足で、懐かしい協力プレイのDeathtagも不発に終わったらしい。結構下火になるのも早かったらしく、シングル共々早々に失敗作とみなされてそっぽを向かれたという結果に。

◎Cooperative
 こちらは独立して「COOP道場」の方で検証している



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