<GRAPHICS>

 エピソード毎に大きなバラつきがあるので、それらはその解説で述べるとしてここでは総合的な観点から。全体的にはやはり古いという印象で、同じ2000年に出た他の3DFPSに比較すると平均レベルよりも落ちる、というよりも1999年のゲームと比べてもどうか?という感じだ。確かにギリシャを中心として綺麗な場所もあるものの、グラフィックスで惹き付けるというレベルには達していないのは確か(全編ギリシャレベルのクオリティならば良かったのだが)。雨や雪の表現とか武器の輝きのエフェクト(Shiny Weapon)は結構綺麗だが、それだけではちょっと弱い。テクスチャの質も今一つだ。Q2エンジンを相当いじったという話だが、結局の所出すのが遅かったという事に尽きるのか。Q3エンジン採用のゲームが出ている中にこれではアピール度が弱い。

 もう一つ大きな問題がキャラクタデザインというかその造形だ。特に顔付きについてはちょっと異様で明らかにバランスがおかしい。主人公格の3人はまだまともだが、表情が変わらなければリップシンクも出来ないし、その他の登場人物や敵のデザインはちょっと.....。体型のアンバランスさはともかくとして、顔の作りが人間離れしていて変である。書き込みの細かさも無く、他のゲームでいうテクスチャの質を落とした時の様な顔となっている。走る時のアニメーションも不自然でぎこちない。コミック系のアーティストを入れたという割には、デザインもアニメーションも劣る印象である(もう辞めていなくなっていたのかも知れないが)。肝心の大刀のアニメーションももっとカッコの良い物にしてもらいたかった所。



<SOUND>

 史上最低と書かれている事の多かったBGMについては個人的にはそれほど気にならなかった。普段はやかましいと切ってしまうのだが、このゲームではボリュームは絞り気味だが流したままでプレイしていたし、大して印象に残ってはいないけれどもまあ悪くはないという所か。。効果音は平均点よりもやや下というところで迫力不足。
 それよりもHardware 3Dサウンドに対応しておらず、こちらの方がどうなのかと感じられる(DirectSound3Dには対応しているのか4SPにて若干効果が感じられる部分もあるが)。技術的に困難なので将来パッチにてとサイトの解説にはあるが、結局は実現されぬままに終わった。

 私が一番気になったのは音声で、例えば逃げ回る警備員の叫び声とか、Hiro自身が毒にやられたり寒さに震えたり溶岩の様な場所に落ちたりした場合の叫び声、これが大袈裟過ぎて実に耳障りというかうるさいというかイライラさせられる出来映え。また会話部分のセリフについてもMikikoの声の出来が非常に悪い。東洋人のしゃべる変な英語という感じでこれもまた耳障りだ。確かに東洋人ではあるがそれを変に強調し過ぎである。またセリフも生意気でイライラさせられる事が多い。もう死にそうだから下がってろと言っても「そんなのは私の主義じゃないのに」とかブツブツ言っているし、何度大刀で切り捨てたいと思った事か。Superflyは声はまともなのだがうるさい。突然大声で名前を呼んだりとか唸ったりとか。



<INTERFACE>

 操作性云々の前に一言言っておきたいのがマニュアルの適当さだ。ゲームのマニュアルというのは通常先行して製作される為に、ギリギリまで粘ったゲームの内容とはズレが生じる可能性がある。その分はReadmeに記載して相違点をハッキリさせる訳だが、このゲームではそのどちらも低水準である。

 まずマニュアルはかなり実際と内容が異なっており「何時の時点の物なんだ?」と思わせられる代物で、勿体無いから昔作った物をそのまま使ったという印象。しかも実に簡素というか、必要十分な説明がされていないと言わざるを得ない。特に武器に関する説明が何も無く、これだけ数多くの風変わりな物があるのに何故?と感じさせられる。アイテム関連の説明も何も無い。またReadmeも不親切で、まずはマニュアルから変更のあった部分を記載するべきなのに、ただ単に文章での説明というスタイルに終始しており”適当”という他は無い。例えばゲーム中に両方のサイドキックに同時に指令を出せないのか?と思って調べたらReadmeに小さくやり方が載っているだけという始末。
 こういった点を見るとコンシューマー同様の攻略本商法という感じで(コンシューマーの大作系作品になると莫大な制作費を埋め合わせる為に、マニュアルは基本的に簡素化し、割高な攻略本を買わないと詳しく内容がわからないようにして、その本の利益を見込んで予算を組むというシステム)あまり良い感じはしない。

追記:日本語版マニュアルは海外版と違い、サイドキックへの指示等の内容はちゃんと修正されている。また説明もかなり細かくて良い出来。

 操作性に関してはサイドキックの操作を除いては普通の3DFPSだが、若干問題点もある。まずはジャンプ出来る所の見分けが付きにくい。ここは飛び上がれるのかどうかとか飛べる基準が今一つハッキリしないのである。分かりにくいと言えば最初のエピソードの果物に関しても食べると体力が回復するというにしばらく気が付かなかった(デモの時だが)。また画面上で取ったアイテムの確認が困難という難点もあり(表示サイズが小さ目で名前の確認が出来ない)、この辺もう少し画面回りの改善がほしかった所だ。




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