<STORY>

 西暦2455年という未来の京都、そこで道場を開いている主人公Hiro Miyamotoの元にある男性が尋ねてくる。Toshiro Ebiharaと名のるその男はHiroに向かって大刀と呼ばれる神秘の武器についての話を始めた。

 16世紀、日本を独裁政治により支配していた将軍Osaka Mishimaは唯一の反逆勢力であるEbihara一族を滅ぼす為に、日本一の刀工であるUsagi Miyamotoに命じて究極の武器を作成させることを思い立った。Usagiは命令通りに数年の月日を掛けて最高傑作と言える刀である”大刀”を作り出す。しかし完成した大刀は作成したUsagi本人の想像を超えるような神秘のパワーを秘めており、強大な威力と共にその力を利用する事によって時空を旅する事が可能となっていたのだ。この刀によりMishimaの独裁政治に更なる加速がつくことを怖れたUsagiは、完成した剣を対立者であるInshiro Ebiharaに渡してMishimaの打倒を依頼する。託された大刀の力は驚異的で、数に大きく劣るEbihara一族はそのパワーを借りてMishimaを滅ぼすことに成功した。そしてその後Usagiは大刀の能力が将来悪用されることを怖れて火口に大刀を投じてしまう。

 時は流れて現代、Ebihara一族は20世紀末に全世界の2/3の人間を死亡させたMMPウイルスの治療用ワクチンの開発者として更なる名声を得ていた。そして長年探しつづけた一族繁栄のキッカケともなった大刀の発掘にも成功する。しかし大刀は長年Ebiharaに仕えてきた男、信頼を得る為に身分を隠して機会を伺っていた復讐者、Osakaの子孫であるKage Mishimaに奪われてしまう。Kageは大刀の時間を超越する能力を利用して過去に遡り歴史を改ざんし、ワクチンの開発者を自分であることにしてしまい、歴史の英雄となって再び世界に君臨して独裁政治を奮うようになったのだ。

 Toshiroの話によればHiroの住むこの世界はKageの捻じ曲げた時空の延長上に存在しており、この時空を元の状態に戻す事こそが、自分達Ebihara一族の名誉回復と同時にHiroの先祖に当るUsagiの遺志を継ぐことになるのだと説明する。既にToshiroの娘であるMikikoが先にMishimaの居場所へと向かってしまったのだがその後連絡が途絶えており、彼はHiroに対して娘を救出して共に戦ってMishimaの野望を撃ち砕き、大刀を取り戻して歴史を元の状態に戻して欲しいと懇願する。


<動作環境>

HARDWARE 必要環境 推奨環境
CPU Pentium 233 PentiumIII 500+
MEMORY 32MB 128MB
HDD 200MB 600MB
VIDEO 4MB VRAM 32MB VRAM
SOUND Direct X 対応 Direct X 対応

対応OS: Win  95/98/2000/NT/2000
Direct X 7.0以上要


 発売時には必要・推奨・Kickassと3つ書かれていたのだが、時代も変わったのでKickassのスペックを推奨に変更している。発売された2000年の時点においても比較的軽い方のゲームだった。ただしソフトウェアモードは持っておらず、OpenGLでしか動かない。

 既にIon Stormは無いのでサポートの頁等は存在していない。

 デモが用意されているが、これはV1.00相当の物なのでどれだけ当てになるかは疑問もある。3つの時代のそれぞれ一部分を順番にプレイする事が可能である。


(追記) 2007/01

 私は海外版と英語版の両方を所持しているが、どちらも私の環境ではXPで動作可能である。ただし日本語版の場合、デフォルトのインストールのフォルダである"大刀"にしてしまうと、マップ切り替え地点(このゲームではHalf Lifeの様に、見た目上は繋がって見える切り替え地点でローディングが発生し、2つのマップを行ったり来たりが出来るようになっている)で落ちてしまうという現象が発生するので、半角英数のフォルダに変更する事が必要な様だ。なおテストは最初の箇所だけしか行っておらず、全体を通してプレイ可能という保証は無い。

 大きな問題は昔のゲームなのでゲーム内でのスピードが速くなり過ぎるという点で、この辺は何等かの調整を行わないとプレイに支障が出ると思われる。



<PATCH>

 この大刀においてはそのバージョンが非常に重要となっている。

*発売時の英語製品版はV1.00 (USとUKでは別物)
*その後のV1.1が大幅な改造パッチとなり、最終のV1.2はマルチプレイ関連の修正がメイン
日本語版はV1.1βとでも言うべき特殊な形態でリリースされている
*日本語版用にはパッチは無い


 この辺の問題は日本語版が特殊な形態で出されている事に関連がある。US版リリースが5/25、日本語版リリースが6/30、US版V1.1パッチが7/15というスケジュールとなっており、日本語版はリリース予定のV1.1分を先行して受け取ってV1.1相当の修正を組み込み済という形でリリースされているが、実際にはその後にリリースされた正式版V1.1とは異なる箇所が有って、マルチプレイにおいても海外版V1.1との互換性は無い。

 当時の話だがパッチサイズが巨大な上に適用にも時間が掛かるという点も問題視された。最大で4時間掛かるのでその間マシンを落とさないようにという注意が出ていた位である。当時私のPentium III 600MHzでは50分掛かっていた。またXPではパッチをSafe Modeにしないと上手く適用出来ないというケースもあったようだ。


 ここでのポイントはプレイする大刀がV1.0かV1.1以降かという事にある。実は大刀はV1.1においてバグ修正だけで無くゲームのシステムを変更しており、これによって別のゲームと考えてもいいほどにプレイ感覚が変わっているからである。大刀への悪評もその大半がV1.0に対する評価であり、或いは既に日本語版−V1.1相当−を遊んだという人に取っては、「ゴミだのカスだの、そこまで言われるほど酷いゲームかな?」という思いもあるだろう。私がプレイしたのもV1.2であり、V1.0を比較プレイした訳では無いのだが、確かに各種の変更点を見る限りでは両者は別物というのも肯ける。そこで以下はV1.0と1.1では何が違うのかを比較検証してみよう。


◎Unlimited Saveを選択可能に
 1.0ではゲームをセーブするのにGemを使わなければならず、このアイテムの所持数分しかセーブが出来ないというシステムになっているのを、V1.1ではメニューから”無限回数セーブ可能”との選択式にした。Gem自体はその半数程度が普通に探していては見付からない場所に有り、セーブをしたければGem探しもしないとならないというのが不満点として挙げられていた。だが実は限定セーブ方式というシステム自体が大きな問題なのではなくて、この事が副次的な意味として大刀がクソゲーという評価を受けるのに大きな影響を与えたという方が大きかった。その理由は以下徐々に明らかになる。

 なお日本語版ではこの切り替えは選択出来ず、Gemを使った限定セーブ方式でプレイするしかない。取りあえずこれが明確に判明している海外版V1.1と日本語版V1.1との違いである。

◎サイドキックのロード時の消失
 このゲームではマップを切り替える時に必ずサイドキックと一緒に居なければならない(シナリオ的に一緒に居れば)のだが、このサイドキックがレベル切り替え時やセーブデータのLoad時に消えてしまうという現象が起きていた。そうなったら当然の事ながらゲームは続けられなくなる。問題はここからで、そうなると再度戻らないとならないのだが、限定セーブの為に場合によっては相当戻らないとならなくなるという問題になってしまった。例えば長い時間我慢してセーブせずに進みマップが切り替わったらサイドキックがいないという場合、再び最後のセーブ地点からやり直さないとならない。これを修正したとの事だが、実際には私の場合V1.2でも一度有った。いずれにせよ非常に問題のあるバグなのでこれが改善されたというのは大きい。

◎頻繁なクラッシュの修正
 ゲームが非常に不安定でクラッシュが多かったのを改善している。誰でもそうだと思うが面白いゲームをプレイしている時はそれほど気にならないものだが、大して面白くもないと感じているゲームが頻繁にフリーズしたら相当頭に来るだろう。これはかなり顕著だったようで、レビューでも安定性の低さを叩かれているのが目立った(或るレビューではこのゲームの唯一の良い所として「すぐにフリーズするのでこの詰まらないゲームをすぐに止められる事」というキツいコメントも有ったりした)。なお私の環境でV1.2では一度しかクラッシュは無く非常に安定していた。
 これもまた限定セーブに関連してくる。限定セーブを謳うゲームは世の中に数多くあるしそれはそれで結構だが、少なくとも安定性を確保した上でそれはやってもらわないと、自由にセーブが出来ないのに頻繁にフリーズされたのではたまらない。



◎MAPのバグ修正
 マップによってサイドキックがエレベーター等に乗ってくれなくなる等の、一緒に進めなくなるか或いは一度分かれた後に消えてしまうバグがありこれを修正。これもまた無限セーブでないのが当然問題を大きくしていた。

◎Voodooに対応
 Voodoo系の古いカードに未対応だったのを修正。具体的にはメニューのビデオ・ドライバ画面にて3dfx mini OpenGLドライバを選択可能にした。大刀のプレイヤーにはQuakeからの流れなのだろうがVoodooユーザーが相当おり、それへの未対応がこの問題を大きくしたとも言える。

◎サイドキックがHosportalを使用可能に
 ゲームの前半二つのエピソードにはそこに来さえすれば無限に体力を回復出来る場所があり、これらをサイドキックが使えるようにした。これはやっていない人には当然何の事やらわからないと思うのだが、既にプレイした人に取ってはサイドキックがHosportalを使えないというのがどれだけ大きな問題かはわかってもらえると思う(特に最初の京都)。

◎サイドキックの移動パス修正
 通常移動時の引っ掛かり等を修正。これも1.0をやった事がある訳では無いのでわからないが、1.2の状態よりも更に酷かったというのならばそれは問題だろう。

◎マルチプレイにおける様々な改善
 マルチプレイのバグとパフォーマンスの改善。初期状態ではラグが結構あったようで、この辺が軽くてマルチが盛り上がれば少しは評価も違ったかもしれない。また売り物の一つにしていたCoopについてもクラッシュが多かったようで、これも大きく評判を落とした原因だろう。V1.1ではCoop時にもSkinの色変更が有効となっている。


 以上のようにV1.1以降は大きくゲームの安定性と内容は改善されている(V1.2はほとんど変化の無いマイナーチェンジ程度)。製品発売が5月末でパッチリリースが7月中旬という事だったのだが、期待していたファンほどすぐに買ってプレイしてしまったという事が逆に不幸を呼んだとも言えるだろう。大きな話題作という事でこのパッチまでの1ヶ月半の間のプレイ人口が高かったという事である。そしてもう一つ、このパッチの変更内容がアナウンスされなかった為に(この様に不具合は修正されましたと強く宣伝されなかった)、最初の評価だけを見て買うのを控えるゲーマーを多数出したのも悲劇だった。

 結局の所さんざん今まで発売を延ばして来たゲームを、最後にパッチが完成するまでの1月半待てなかったばかりに台無しにしたという事か。これだけ延ばしているならば後数ヶ月延ばした所でどうということは無かったと思うのだが.....。



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